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吸収合併で契約は承継されるのか?手続きの流れや注意点を解説

善利友一

弁護士 善利友一

弁護士登録後、大手法律事務所に入所。企業法務、一般民事、刑事事件等の幅広い分野の案件に携わる。パートナー弁護士に就任後、企業法務、不動産法務、相続法務に注力し、顧問業務、法務デューディリジェンス業務に携わるとともに、多くの企業訴訟、不動産訴訟、相続紛争を解決に導く。クライアントによりマッチした法的サービスを提供すべく、善利法律事務所を開所し、代表弁護士に就任。 2017年からは、上場企業及び上場を目指す企業の社外監査役に就任し、弁護士としての経験を活かし、コーポレート・ガバナンスの一翼を担う。 2019年、株式会社すばるの社外監査役に就任し、現在に至る。

吸収合併はグループ企業の再編や経営の立て直しの際に有効なM&Aの手法のひとつです。M&Aに興味を持っている方の中には、契約の承継は可能なのか疑問に思う方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、吸収合併における契約の注意点や吸収合併契約書の作り方について解説します。手続きの流れが分かれば、正しい手順で吸収合併ができるでしょう。

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吸収合併で契約は承継されるのか?

吸収合併で契約は承継されるのか?

複数の会社を1社に合併する吸収合併は、組織再編の手法として有効です。存続する会社の技術力を高めたり顧客の幅を広げたりできるというメリットがありますが、合併契約を締結する必要がありますし、自社の契約も見直すべき場合もあります。

吸収合併前に締結した契約が承継されるのか疑問に感じる方もいるでしょう。ここでは、吸収合併後における契約の扱いについて解説します。

契約は全て承継される

吸収合併における契約の承継について、会社法第2条27号には「合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併後存続する会社に承継させる」と記載があります。したがって、契約を含む全ての権利義務は、合併後も存続する会社に承継させなければなりません。

引き継ぐ事業規模が大きいと契約の数が多いケースもありますが、吸収合併では会社の規模に関わりなく、全ての契約を承継させます。

雇用や労働契約の承継

会社法第2条27号の適用により、雇用や労働契約に関しても包括的な承継が可能です。民法第625条1項には「労働者の承諾を得なければ、その権利を第三者に譲り渡すことができない」と記載がありますが、吸収合併においては雇用契約や就業規則も基本的に全て継承されます。従業員に対して個別に同意を得る必要はありませんが、従来の規則から合併後直ちに変更はないので、不利益を被ることはあまりないでしょう。

ただし、会社ごとに就業規則や人事制度は異なるため、吸収合併後に雇用や労働契約の格差が生じることがあります。同じ会社に異なる規則や給与体系があると、混乱や不満を招き、モチベーションの低下や退職につながりかねません。特に、労働契約は社員の不利益にならないよう同じ契約が使われることを重点的に説明し、従業員の疑問点はできるだけ解消するのがおすすめです。

スムーズに吸収合併をするためには、合併する前に消滅会社の雇用や労働条件を見直すとよいでしょう。

参考記事「吸収合併で消滅した企業の社員も財産!処遇や給与・退職金について解説

吸収合併を行う際の注意点

吸収合併を行う際の注意点

吸収合併したときには社名は統一されますし、ブランド力や信用力の観点から社名を変更する場合があります。また、組織運営の意思統一を図ろうと代表者を変更することもあるでしょう。

ここでは、吸収合併をする際の注意点を3つ紹介します。

組織再編では契約書の結び直しは必要ない

吸収合併による組織再編をしても取引先との関係は続きます。消滅した会社が締結した契約書でも、存続する会社に承継されますので、必ずしも契約書を結び直す必要はありません。M&Aによる組織再編では会社の名前や代表者を変更するケースがありますが、吸収合併による組織再編では、契約の効力に影響しないため、再契約の義務はないと考えましょう。

但し、契約書の中には、合併した場合や代表者や社名の変更をした場合には「通知すること」という条項を加えているものがあります。契約自体に変更はありませんが、通知する義務があるときは速やかに対処しましょう。

また、吸収合併により取引の内容と契約書の内容に矛盾が発生したときは、取引における混乱やトラブルを避けるために取引先と協議して契約を見直しましょう。

契約書の変更や覚書の作成を新たに行う必要はない

契約書の中には、消滅会社の商号で締結した書類もあるでしょう。吸収合併前の権利は存続する合併後の会社が承継するため、新たに作成する必要はありません。覚書とは契約書の内容を変更したときに補足した文書のことで、契約書と同じように法的効力がありますが、合併した場合に新たな覚書を作成することは必ずしも必要ありません。

取引先の中には、吸収合併による社名変更に違和感を覚え、新たな契約書の締結や覚書の作成を求める会社があるかもしれませんが、社名が変わっても契約書の効力に変化はないため、必ずしも要請に応じる必要はありません。ただし、「法律上必須ではない」というだけで、双方が希望すれば契約の再締結は可能です。状況を見ながら、最善の方法を選ぶとよいでしょう。

チェンジオブコントロールに注意する

チェンジオブコントロールとは、M&Aにおいて経営権が移動したことを契約の解除事由と定めたり、経営権の移動について事前に他方当事者に通知する義務を課す規定です。例えば、M&Aにより経営権が移動した場合、取引先は継続取引を断り契約を解除できます。

取引先の中には、契約書にチェンジオブコントロールの条項によって通知義務を盛り込んでいる会社もあるでしょう。その場合、M&Aによる経営権の移動に関し、速やかに通知しなければなりません。

チェンジオブコントロールは取引先の信用に関わる規定で、外国ではM&Aによる経営権の移動が原因で契約を解除されるケースもあります。専門家と相談して適切なタイミングで報告することをおすすめします。

吸収合併契約書の作り方

吸収合併契約書の作り方

吸収合併契約書とは、吸収合併の際に会社間で締結する契約書です。会社の合併は、株主や債権者の利害にも影響を与えます。合併後のトラブルを未然に防ぐためにも、契約書は慎重に作成しましょう。ここでは、吸収合併契約書の作り方について解説します。

吸収合併契約書とは

吸収合併契約書は、会社法第748条に基づいた合併契約に関する契約書です。
吸収合併契約書は株主総会の特別決議で承認を受けなければなりません。吸収合併によるM&Aを進める際には早めに契約書を作成しましょう。なお、基本事項や契約書に記載しない重要事項は覚書に残すこともあります。

吸収合併契約書に記載する内容

吸収合併契約書に記載する内容には、法定記載事項と任意的記載事項があります。法定記載事項とは、合併契約を有効とするために記載しなければならない項目です。会社法第749条で法定記載事項を定めており、記載がない場合、契約は原則として無効と判断されます。

任意的記載事項とは、法律では定めていないものの、必要に応じて任意で記載する項目です。一例として、存続する会社の定款変更に関する事項、取締役の選任、配当の制限に関する内容が挙げられます。当事者間で必要と判断したときや、特別に取り決めたときに記載するとよいでしょう。

法定記載事項

会社法第749条1項には「吸収合併後存続する会社が株式会社であるときは、吸収合併契約において、次に掲げる事項を定めなければならない」とあります。主な事項は以下の通りです。

・合併当事会社の商号・住所

株式会社である吸収合併存続会社と吸収合併により消滅する会社の商号及び住所を記載します。

・合併条件

合併条件には、消滅会社の株主が株式と引換えに何を受け取れるのかを記載します。会社法第749条1項2号に基づき、消滅会社の株主や社員に対して株式、社債、新株予約権等を交付するときは、それぞれの数、金額、算定方法を記載します。

また、消滅会社が新株予約権を発行しているときには、会社法第749条1項4号に基づきその新株予約権者に対してその新株予約権に代えて存続会社が交付する新株予約権、新株予約権付社債または金銭の内容、数、金額もしくはその算定方法を記載しなければなりません。さらに、割り当て方法も詳しく記載します。

・合併契約の効力発生日

会社法第749条1項6号に基づき、吸収合併の効力が発生する日付を記載します。

任意的記載事項

吸収合併契約書に記載しなければならない法定記載事項の他に、当事者間で必要に応じて取り決めたものが任意的記載事項です。主な事項は以下の通りです。

・存続する企業の定款変更に関する事項
・新たに就任する存続会社の取締役選任に関する事項
・配当の制限に関する事項
・消滅会社の役員や従業員への退職慰労金の支給に関する事項
・吸収合併の効力発生日が変更となる事項
・吸収合併契約書には規定がないものの、必要となった事項
・消滅会社の財産の承継についての事項

上記にある定款とは、会社を運営する上での基本的規則を定めた「会社の憲法」のようなものです。法定記載事項には含まれませんが、存続する企業の定款を変更する場合は記載したほうがよいでしょう。

参考記事「合併契約書とはどういう書類?特徴や作成方法を徹底解説!

吸収合併の手続きの流れとは

吸収合併の手続きの流れとは

吸収合併は、M&Aのスキームの中でも経営の拡大や見直しを期待できる手法の一つです。ただし、法律にのっとり、なおかつスムーズに進めるためには、合併までの流れを理解しなければなりません。手続きに手間がかかると、会社の経営にも影響を与えるでしょう。ここでは、吸収合併の手続きの流れを会社法の規定を交えながら解説します。

吸収合併契約の作成

会社法第748条には「合併をする会社は、合併契約を締結しなければならない」とあります。吸収合併をするときは、まず当事会社による契約の締結をしましょう。契約書については会社法第749条に基づいた法定記載事項を定め、消滅する会社と存続する会社の双方が納得するように作成しなければなりません。

契約を締結すると、それぞれの会社が合意したことになり、当事会社は合意内容に拘束されます。締結後の変更は難しいため、契約に向けた話し合いは慎重に進めましょう。

承認手続き

吸収合併をする際は、効力発生日までに、取締役会と株主から承認を得なければなりません。

・取締役会による承認

吸収合併の際には、両社の取締役会による承認を得た上で、消滅会社と存続会社との間で契約を締結します。なお、取締役会がない会社は、取締役の半数以上の承認が求められます。

・株主総会による承認

会社法第783条1項と第795条1項によると、合併の効力が発生する前日までに株主総会による特別決議で合併契約の承認を得なけなければなりません。株主総会の招集通知は、非公開会社の場合は1週間前、上場企業の場合は2週間前を目安に行いましょう。

株主と債権者の利益確保

会社法第785条や第797条に基づいて、債権者と株主の利益を守る手続きをしなければなりません。

・株主への利益確保

株主に対しては、株主総会を開いて合併の承認決議をします。ただし、反対株主は「株式買取請求権」を行使するでしょう。当事会社の株主は、正当な価格で株式を買い取るよう請求が可能で、経営者は請求に応じなければなりません。

・債権者への利益確保

債権者に対しては、政府が発行する官報による公告と知れている債権者に対する個別催告をします。債権者が異議を述べられるように効力発生日まで1か月以上の期間を設けましょう。定款で、日刊新聞やインターネットを公告方法と定めていれば、官報以外でも公告できます。

債権者の異議申し立て

債権者は、会社法第789条1項に基づき異議申し立てをすることができます。申述期間内に異議がなければ、債権者は吸収合併を承認したとみなされます。

債権者が異議を申し立てたときは、債権者に弁済するか、弁済に相当する担保を提供しなければなりません。ただし、合併をしても当該債権者を害するおそれがないときは、この限りではありません。当事会社の経営状況が良好なときや債権額が少額のときは、上申書を法務局に提出すれば合併の手続きを進められるでしょう。

効力の発生

吸収合併契約を締結した後に手続きが順調に進めば、予定日に吸収合併の効力が発生します。効力が発生すると消滅会社は解散し、存続会社は消滅会社の権利や義務を承継します。存続会社は、消滅会社の株主に対して現金や株、その他の資産を対価として交付します。

存続会社は会社法第801条1項と3項に基づき、合併に関する事項が書かれた書類を作成しなければなりません。書類は効力発生日から6か月間、本店に備え置きます。

登記申請

吸収合併の効力発生日から2週間以内に税務署へ登記申請をしましょう。申請するのは、変更登記と解散登記の2つです。存続会社だけではなく消滅会社の登記も同時にしなければなりません。存続会社が登記する際に添付する主な書類は以下の通りです。

・吸収合併契約書
・合併契約を承認した株主総会議事録
・債権者保護手続関係書面
・株券提供公告をしたことを証する書面
・消滅会社の登記事項証明書
・資本金の計上証明書
・株主リスト

状況によっては上記以外の書類を提出するよう求められることもあります。準備する書類については事前に専門家に相談しましょう。

承継

吸収合併の効力発生により、消滅会社の持つ権利や義務を存続会社に承継します。会社法に基づく吸収合併の手続きは完了しますが、必要に応じて以下の手続きをしなければなりません。

・独占禁止法上の届け出
・許認可の届け出

独占禁止法上の届け出は公正取引委員会に提出します。許認可については合併により存続会社への承継が可能なのかを検討しなければなりません。承継できる場合でも手続きの方法や期間を把握しなければならないため、専門家にサポートを求めるとよいでしょう。

まとめ

まとめ

複数の会社がひとつの会社となる吸収合併には、消滅会社と存続会社が存在します。吸収合併により、消滅会社が有する権利や義務の全ては存続会社へと引き継がれます。新設合併に比べてスムーズに合併できること、また組織力の強化やシナジー効果、経営力のアップといったメリットが期待できることから、M&Aのスキームの一つとして魅力ある手法といえます。
しかし、合併には契約書の締結や反対する株主や債権者への対応、会社法で定められた書類の作成など、手続きが複雑で手間がかかると悩んでいる方もいるでしょう。

こうした複雑な手続きを実施する際には、M&Aを深く理解した経験豊富な相談相手を見つけることが大切です。専門的な知識も必要となるため、専門家のサポートがあれば、スムーズな承継ができるでしょう。

すばるは大手監査法人系M&Aファーム出身の公認会計士や税理士といったスペシャリストが多数在籍しています。吸収合併を含め、M&Aを検討している方は、ぜひすばるにお問い合わせください。