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【図解】事業承継で持株会社化するという選択肢|メリット・デメリット、設立の流れも解説

岸田高明

岸田高明

大手金融機関に入行、本社審査部にて与信審査業務、財務部にて決算業務に携わる。 有限責任監査法人トーマツに入所後、M&Aを中心とした業務を提供するファイナンシャルアドバイザリーサービス部門に所属。その後、組織再編によりデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社に異動し、M&Aアドバイリー業務・財務デューディリジェンス業務・企業価値評価業務に多数従事。本記事の監修を務める。

親族を後継者とした事業承継を検討している場合、相続税対策や後継者問題に不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。事業継承問題の解決策のひとつとして、持株会社スキームがあります。持株会社スキームを活用する場合のポイントを把握し、専門家と連携して事業承継を円滑に進めるとよいでしょう。

そこで本記事では、持株会社スキームのメリットとデメリット、持株会社設立の流れなどをご紹介します。持株会社設立について理解を深めることで、事業承継の最適な方法を選択できるでしょう。

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事業承継で想定される4つのスキーム

事業承継で想定される4つのスキーム

親族内承継による事業承継を検討している場合、選択肢として主に4つのスキームが考えられます。自社株式の相続・贈与・譲渡という方法のほか、持株会社スキームも有力な選択肢となる場合があります。まずは、事業承継で想定される4つのスキームについて説明します。

持株会社スキーム

事業承継に当たっては、後継者に高額な相続税や贈与税が発生したり、株式が分散して経営権を後継者に集約することが困難となったりする場合があります。これらの問題を解決するスキームのひとつが「持株会社スキーム」です。

「持株会社」を設立して事業承継することにより、節税効果や経営権の集約といったメリットを享受できる場合があります。「持株会社」は、複数の事業会社を傘下に収め、それらの会社の株式を保有する会社です。

相続で対応する

後継者候補が経営者の親族なら、相続によって自社株式を承継し、会社の経営権を引き継ぐケースもあります。また、先代経営者の健康状態が急に悪化して、親族内承継を選択せざるを得ないケースもあるでしょう。相続による事業承継は「争続」と呼ばれるほど、相続人の間で問題が発生することがありますので注意しましょう。

後継者が相続する自社株式は、相続税評価額では高額となる場合であっても、一般的に換金が困難であるのが特徴です。後継者が経営権を取得するために、多額の相続税を支払うこととなり、後継者の税負担は大きいと言えるでしょう。

後継者が換金性のある財産をしていない場合であっても、後継者以外の相続人からすると、相続する相続税評価額の金額に差が生じ不公平を感じるケースもあります。さらに、他の相続人の遺留分(法律上、相続人に保障された一定割合の相続財産)を侵害してしまう可能性もあり、事業承継がスムーズに進まないことがあるので注意しましょう。

贈与での事業承継

相続のほかにも事業承継の方法として、生前贈与があります。生前贈与を活用することで、相続税の問題に対処できる可能性がありますが、贈与税の発生に注意しましょう。
贈与税は、受贈者1人につき年間110万円の基礎控除が認められます。この仕組みを活用して、毎年少しずつ自社株式を贈与する方法は効果的です。多額の損失が発生した場合など株式の評価額が低い時期に合わせて、多くの自社株式を贈与することも有効となるでしょう。

株式譲渡を利用する

後継者に自社株式を譲渡(売却)して、経営権を承継する方法もあります。相続や贈与に関する税の負担者は、後継者(相続人や受贈者)であるのに対し、株式譲渡に関する税の負担者は先代経営者である点が大きく異なります。また、相続や贈与は最高税率55%の累進課税であるのに対し、株式譲渡に係る税率は約20%と一定です。ただし、後継者に株式を買い取るための多額の資金が必要となる点において、大きな問題となるケースが多いでしょう。

中小企業でも持株会社を利用した事業承継が見られる

中小企業でも持株会社を利用した事業承継が見られる

持株会社は大企業によく見られるため、「持株会社スキームは大企業が採用するもの」というイメージを抱くかもしれません。しかし、持株会社スキームの利点は中小企業も享受できるため、中小企業での採用例も増加しているのが現状です。持株会社の概要や、中小企業における持株会社スキームについて説明します。

持株会社とは?事業持株会社と純粋持株会社の2パターン

持株会社は、子会社の支配を目的として子会社の株式を保有する会社です。持株会社は「事業持株会社」と「純粋持株会社」の2種類に大別できます。

事業持株会社は子会社の支配に加え、製造・販売といった事業活動も行う持株会社です。1997年以前に認められていたのは事業持株会社だけでしたが、独占禁止法の改正により純粋持株会社の設立が解禁されました。

純粋持株会社は実質的に事業活動を行わず、子会社の管理・支配を行います。純粋持株会社は事業活動から利益を得られませんが、主に子会社からの配当金で利益を得る仕組みです。

持株会社は子会社に対して重要な決定権を保有し、子会社は持株会社が与えた権限の範囲内において事業活動を行います。「重要な経営判断は持株会社が行い、事業活動を子会社に分離する」というのが持株会社スキームの基本的な考え方です。

【フローチャート】持株会社を設立する流れ

持株会社スキームは、「後継者が設立した新会社(持株会社)に、先代経営者の既存の事業会社の株式を譲渡し、事業会社を持株会社の子会社とする」というスキームです。後継者自身が100%の株式をもつ持株会社を通じて既存の事業会社の議決権を行使し、経営権を握ることができます。以下のフローチャートで、持株会社設立の流れを把握しましょう。

1.後継者が出資して新会社(持株会社)を設立する

新会社の全株式を後継者が保有することで、後のフェーズで新会社を持株会社化した際に、既存の事業会社(子会社)の議決権を後継者が承継することができます。

2.新会社(持株会社)が金融機関から融資を受ける

新会社は、金融機関より既存の事業会社からの配当を原資として資金調達し、先代経営者から既存の事業会社の株式を購入します。事業会社の株式を購入する主体は新会社であり、後継者個人ではありません。

3.先代経営者の既存の事業会社の株式を新会社(持株会社)に譲渡する

既存の事業会社の株式を後継者が新たに設立した持株会社に譲渡し、既存の事業会社を持株会社の子会社とします。その結果、後継者自身が100%の株式をもつ持株会社を通じて既存の事業会社の議決権を行使し、経営権を握ることができます。

中小企業の事業承継で持株会社化を選択するメリット

中小企業の事業承継で持株会社化を選択するメリット

中小企業において、持株会社スキームを有効に活用すると、事業承継においてさまざまなメリットを享受できます。相続で起こりがちな株式分散を防ぎ、節税効果も期待できることは大きなメリットです。また、先代経営者が現金を得られることも見逃せません。事業承継で持株会社化を選択するメリットを解説します。

株式分散を防止できる

持株会社スキームを活用して事業承継すると、株式分散を防止できることがメリットの一つです。相続により事業承継する場合、先代経営者が所有する既存の事業会社の株式は後継者以外の相続人にも分配される可能性があります。後継者が十分に株式を保有せず、株式が分散してしまうと、経営が安定しないこととなり、事業運営上、大きな問題につながるケースもあるでしょう。

この点、上記で説明した持株会社スキームを活用する場合、後継者が設立した新会社(持株会社)に既存の事業会社の株式を全て移管することになりますので、株式を所有するのは持株会社のみとなります。その結果、後継者自身が100%の株式をもつ持株会社を通じて既存の事業会社の議決権を行使し、経営権を握ることができるというメリットがあります。

節税効果が期待できる

後継者が、相続あるいは贈与により、直接先代経営者から既存の事業会社の株式を取得する場合、多額の相続税や贈与税が発生する可能性があります。一方、持株会社に先代経営者が所有する既存の事業会社の株式を譲渡する場合、持株会社においては税負担が生じないこととなります。先代経営者から持株会社に株式譲渡する場合、先代経営者において約20%の譲渡益課税が生じますが、後継者における相続税あるいは贈与税の最高税率はともに55%であるため、持株会社スキームは節税効果が期待できる可能性があります。

先代が現金を得られる

持株会社スキームにおいては、先代経営者が持株会社に株式を譲渡することにより現金を取得でき、リタイア後の生活資金に充てられるのもメリットの一つです。
また、先代経営者の相続発生時に、相続財産の大部分が自社株式のままであった場合には、他の相続人の遺留分を侵害してしまう時、他の相続人に対して別途現金などの資金を準備する必要がありますが、相続財産の大部分が現金である場合には、遺留分の問題に対応することが容易となるでしょう。

事業承継で持株会社スキームを選択するデメリット

事業承継で持株会社スキームを選択するデメリット

事業承継に持株会社スキームを活用すると、上記のようなメリットを享受することができますが、いくつかのデメリットもありますので、注意しましょう。事業承継に持株会社スキームを活用するデメリットについて説明します。

持株会社に借入金が発生する

持株会社は、先代経営者から既存の事業会社の株式を購入するために、金融機関から資金調達する必要があります。

持株会社における借入金について、傘下の事業会社である子会社からの配当金が返済原資となります。事業会社の経営状態が良好であれば、返済計画に問題は生じませんが、専門家の分析など含め、資金調達と返済計画の妥当性を十分に検討するとよいでしょう。

譲渡益に税金がかかる

先代経営者が持株会社に既存の事業会社の株式を譲渡すると、「譲渡所得」に対して約20%の譲渡益課税が生じることとなります。先代経営者は、株式譲渡価格から譲渡益に対する約20%の税金(手数料等を除く)を控除した金額が、手取り金額となります。

節税対策のみのスキームは問題視されることも

節税効果だけを目的として持株会社スキームを活用すると、税務当局から税務上問題があると指摘される可能性があります。持株会社スキームを十分に検討しないままの状態で活用せず、専門家とよく協議しましょう。例えば、「株式集約や資金の観点など、事業承継を円滑に進めるために持株会社スキームを活用しているといった合理的な理由を説明できるようにしておくのがよいでしょう。

まとめ

まとめ

持株会社スキームを活用することにより、事業承継において、株式分散を防止できる、節税対策ができる、先代経営者が現金を取得できるといったメリットを享受できる可能性があります。ただし、持株会社の返済計画を十分に検討する必要があるなど注意点もありますので、経験豊富な専門家と連携して進めましょう。

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