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経営者保証ガイドラインとは?適用対象や保証債務への影響について

公認会計士 加藤大典

公認会計士 加藤大典

大手自動車メーカーに入社、生産技術部にて製造工程設計業務に携わる。 その後、デロイトトーマツコンサルティングに入社し、組織再編により有限責任監査法人トーマツのアドバイザリー部門に異動。 製造業の法定監査業務及びIFRS導入支援、組織再編支援、事業再生支援、内部統制構築支援、決算早期化支援、経営管理体制強化支援等の様々なプロジェクトに従事。本記事の監修を務める。

会社が金融機関から融資を受ける際、経営者の連帯保証を求められることが一般的でした。これが会社の円滑な事業展開を妨げる原因になるとし、公表されられたのが経営者保証ガイドラインです。

ガイドラインを利用することで、保証なしの新規融資や既存融資の保証解除が可能になります。さらに2019年には、事業承継を対象にした特則も制定されています。

本記事では、ガイドラインの概要や適用される条件、ガイドラインの利用でどのようなことが変わるのかを紹介しましょう。

本記事のポイント

  1. 経営者保証ガイドラインを利用したいと考えている方向けの記事です。
  2. 経営者保証ガイドラインの概要や実現できることについて、丁寧に解説しています。
  3. 事業承継における後継者への保証契約の対応についても紹介していますので、経営者保証ガイドラインを利用する前にぜひお読みください。
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経営者保証ガイドラインとは?

経営者保証ガイドラインとは?

金融機関から融資を受ける際に求められる経営者保証は中小企業にとって負担であり、思い切った事業展開を阻害しています。この状況を改善するために制定されたのが「経営者保証ガイドライン」です。

経営者保証とは何か

経営保証(個人)とは、会社が金融機関から融資を受ける際、経営者が会社の連帯保証人になることです。会社経営には資金を要しますが、自己資金のみでまかなえる会社は多くありません。事業規模が拡大すればそれだけ大きな投資をしなければならず、外部からの資金調達が不可欠です。

そのため、多くの中小企業が資金調達として金融機関からの融資を利用しています。融資を受ける際は、経営者保証が求められるのが通常です。経営者保証は資金調達がスムーズに行えるというメリットがありますが、経営がうまくいかなくなり返済が難しくなった場合に早期の再建を困難にするなどのリスクがあります。

このリスクは事業への大きなチャレンジを躊躇させ、会社の成長を妨げる要因になっていました。経営者保証ガイドラインは、このような状況を変えるために設けられた制度です。経営者保証をなくすことで中小企業の負担を軽減し、円滑な事業展開を推進するという目的があります。

経営者保証ガイドラインの概要

経営者保証ガイドラインの概要

経営者保証ガイドラインは、経営者保証なしの融資や保証債務の整理に関する自主的なルールです。「担保や保証に依存しすぎない融資の促進」という金融庁や中小企業庁の方針を受け、日本商工会議所と一般社団法人全国銀行協会が事務局となって策定されました。

2013年12月にガイドラインが公表され、翌年から運用が開始されています。あくまでガイドラインであって法律ではないため、強制力はありません。しかし、金融庁はガイドラインの活用実績について定期的に報告書を求め、ガイドラインに沿った運用を促しています。金融機関としてもこれを無視することはできず、積極的に運用を進めることが求められているといえるでしょう。

経営者保証ガイドラインとはどのようなものか、その要点を紹介します。

経営者保証ガイドラインの要点

経営者保証ガイドラインは中小企業の経営者保証につき、適用条件に該当する場合は保証の解除や債務履行の軽減等ができる制度です。要点について簡単に紹介しましょう。

保証解除

ガイドラインの適用対象にある場合で、さらに一定要件を満たせば経営保証なしで新規融資が受けられます。また、すでに現在経営保証している融資契約がある場合でも、一定の経営状況であれば保証を解除することが可能です。

銀行等の債権者に信用を与える一定の要件を満たす経営者の個人保証を軽くすることで新たな融資を受けやすくし、中小企業が思い切った事業展開ができるように配慮しています。

債務履行内容の軽減化

ガイドラインでは、会社が事業再生や廃業をする場合、経営者保証の債務履行を軽減化する内容が盛り込まれています。自宅や現金等の一定の個人資産を手元に残し生活を守ることをインセンティブとすることで、経営者に対し速やかな事業再生の着手を促しています。

ガイドラインで変わること:新規融資の場合

ガイドラインで変わること:新規融資の場合

経営者保証ガイドラインの運用でどのようなことが変わるのか、具体的に紹介します。まずは新規融資の場合を見ていきましょう。

適用対象

経営者保証ガイドラインが適用されるのは、保証契約が次の要件に該当する場合です。

・主債務者が中小企業であること
・保証人が個人で、主債務者である会社の経営者であること。ただし、実質的な経営権を有する者、営業許可名義人、経営者と一緒に働く配偶者、事業承継予定者も含まれる
・会社と経営者が弁済について誠実であること
・金融機関の求めに応じて、財務状況などを適切に開示すること
・会社と経営者が反社会的勢力でなく、そのおそれもないこと

この要件は新規融資・既存融資に関わらず共通です。経営者保証ガイドラインの対象となる中小企業・小規模事業者等は、中小企業基本法に定める中小企業者に限定されず、法に定める中小企業者の規模を超えるような会社や、個人事業主も含まれます。

中小企業の要件

会社が新規融資を受ける際、経営者保証なしで融資が受けられる前提として、次のような状況が求められます。

・会社と経営者が明確に分離されている
・返済能力の向上に取り組んでいる
・経営の透明性が確保されている

第一に、業務や経理、資産管理などについて、会社と経営者の関係が明確に分離されていなければなりません。
たとえば、会社の事業に必要な不動産や自動車などを経営者が個人で所有している場合、経営者はこれらの資産を売却したり担保に入れたりすることが可能なため、それを実行し会社の事業が継続できなくなる可能性は捨てきれませんこのようなことが起きないよう、会社の資産は会社所有することで、経営者個人の資産と事業活動を分離させることが求められています。。経営者の自宅が事務所を兼ねているなど明確に分離できない場合は、法人が適切な賃料を支払うことで、実質的に法人と個人を分離することが求められます。
また、役員報酬が妥当な金額であるか、会社から経営者への貸付を行わないことや、経営者のプライベートな支出を会社の経費として計上しないこと等も求められます。

また、経営者保証は会社の信用を補うものなので、保証を不要とするだけの信用力を強化することが求められるでしょう。たとえば、業績をあげて十分なキャッシュフローを確保する、内部留保を豊かにするなどの状況が求められます。業績が安定していない場合でも、内部留保が十分で返済能力はあると判断できるような財務状況が要求されるでしょう。

さらに、経営の透明性も大切です。金融機関から財務状況について情報開示の要請を受けたときは、いつでも資産状況や事業計画などの情報を詳細に説明できるようにします。開示する際は貸借対照表や損益計算書だけでなく決算書上の各勘定明細の提出も行い、試算表・資金繰り表などの定期的な報告も求められます。

また、公認会計士や税理士といった専門家に検証してもらい、開示情報の信頼性を高めることも大切です。事業計画に変更がある場合は報告するなど、積極的な開示を行うことで透明性が十分に確保できます。

金融機関に求められること

新規融資を求める中小企業が上記3つの経営状況に当てはまる場合、金融機関には、経営者保証なしの融資や経営保証付きの融資方法に代わる手法を検討することが経営者保証ガイドラインでは求められています。
具体的には、停止条件または解除条件付保証契約や金利の一定の上乗せなどがあげられるでしょう。停止条件付き保証契約とは、融資契約に特約条項を設け、これに抵触しない限りは保証債務が発生しない契約です。解除条件付き保証契約の場合は、会社が特約条項を満たせば保証債務の効力がなくなります。特約条項になるのは金融機関への報告義務や書類の提出義務などで、金融機関ごとに内容は異なります。

但し、経営状況が要件を満たしていても、保証の有無は金融機関の判断に基づくものであり、交渉の結果次第では融資の際に保証を求められることもあります。ただし、保証を求める場合でも保証の必要性や、今後保証の変更や解除の可能性があることを具体的に説明すること、適切な保証金額を設定するが金融機関には求められます。

ガイドラインで変わること:既存融資の場合

ガイドラインで変わること:既存融資の場合

ガイドラインでは、既存融資の場合や事業再生・廃業における金融機関の対応についても取り上げています。その内容を見てみましょう。

現在の保証契約を見直す

すでに締結している保証契約でも、一定の条件により契約の見直しが可能です。

中小企業の要件は新規融資と同じ

保証契約について見直しを求める場合にも、経営状況について条件を満たしていなければなりません。業績を上げて返済能力の向上に努めている、積極的に情報開示を行なっているなどの状況が求められます。

金融機関は真摯かつ柔軟に検討

金融機関は会社からの申し出に対し、再度保証契約の必要性を判断します。十分な検討を行い、結果について具体的に説明しましょう。

その際は、次の点も考慮します。

・会社と経営者の資金のやりとりが、常識の範囲を超えていない
・会社の資力だけで借入れの返済が可能と判断できる
・会社から適切な財務情報などが提供されている

これらの内容が継続して満たされると見込まれる場合、金融機関は保証解除に向けて検討します。

事業再生や廃業などで保証債務を整理する

保証債務を整理する場合も、ガイドラインの利用ができます。その際には、次の条件を満たすことが必要です。

・会社が破産手続や民事再生手続などの手続を行っているか、すでに終結している
・債権者にとって経済的な合理性が期待できる
・保証人に破産法上の免責不許可事由がない

条件を満たした場合、以下のような対応が可能です。

生計費や自宅を残すことを申し出

事業再生や廃業を決めた経営者は金融機関に対し、必要な生活費や自宅を手元に残すことを申し出ることができます。生活費は、標準的な生活費の金額とされる月額33万円を雇用保険の給付期間に掛け合わせた額が目安です。

また、弁済計画のなかでは資産を処分せず、分割弁済を求めることも可能です。

専門家の支援を求められる

弁護士など専門家の支援を受けられる制度もあります。無料で専門家を事業所に派遣する制度です。手元に残す資産の範囲や弁済計画の策定など、適切なアドバイスを求められます。

保証債務の免除や経営参加ができる可能性

金融機関にとって経済的な合理性があると判断する場合、保証債務の免除や引き続き経営に関わることを認められる可能性があります。経済的な合理性とは、会社と経営者の資産や債務状況などから、破産手続をした場合の配当よりも多く回収をできる見込みがある場合などです。

なお、ガイドラインで債務整理を行った場合、信用情報機関への登録は行われません。

事業承継に焦点を当てた「特則」

事業承継に焦点を当てた「特則」

経営者保証ガイドラインは2019年、事業承継に焦点を当てた特則が公表されています。特則が制定された趣旨は、経営者の高齢化に伴う事業承継の問題が深刻化しているからです。2020年の後継者不在率は全国で65.1%と高く、60歳以上の経営者のうち50%以上が将来には廃業を予定しているという統計があります。

事業承継が進まない原因のひとつが経営保証です。後継者候補の約6割が、経営者保証を理由に承継を拒否しているとされています。

経営者保証の存在が事業承継の阻害要因になっている実情から、事業承継時の保証解除を促すためにガイドラインの特則を制定しました。特則では後継者に対する保証の負担を大幅に減らす内容になっています。

中小企業に求められる状況

事業承継でガイドラインの利用する場合、会社には次のような対応が求められます。

金融機関から情報開示の要請があるときは適切に対応する
経営者の交代により経営方針や事業計画などに変更がある場合には、誠実かつ丁寧に説明する
事業承継において新たな融資を保証なしで金融機関に求める場合、新規融資の場合と同じ「中小企業に求められる経営状況」が求められる

金融機関に求められること

一方、会社からの申し出に対し、金融機関には次のような対応が求められます。

金融機関は、前経営者の保証を当然に引き継がせるのではなく、必要な情報開示を得てあらためて保証契約の必要性を検討する
後継者と保証契約を結ぶ場合は適切な保証金額を検討し、保証契約の必要性などを具体的に説明する
前経営者から保証契約の解除を求められた場合、経営権や支配権の実態や返済能力などを考慮し、適切に判断する

また、ガイドラインの特則では次の点がポイントです。

二重保証の原則禁止

特則では、事業承継時に前経営者と後継者の双方に経営者保証を求める二重保証を原則として禁止しています。

例外的に求められるのは、主に次の場合です。

・前経営者が死亡したあとで相続が未確定な場合など、前経営者の保証が解除されることが予定されている場合
・会社が前経営者に多額の債権があるなど、後継者が保証解除をしないよう求めている場合

例外的に求めるときは、その理由を前経営者と後継者の双方に十分に説明して理解を得なければなりません。

後継者の保証契約への適切な対応

後継者に経営者保証を求めることは事業承継を阻害する要因になることから、保証契約の承継には柔軟な対応をすることが求められています。

そのため、当然に保証を引き継がせるのではなく、必要な情報開示を得て保証契約の必要性を改めて検討しなければなりません。保証を求めることで事業承継ができなくなる可能性があるなど、影響も考慮して慎重な判断が求められています。

経営者保証を必要とする場合でも、設定する資金を限定する、解除条件付保証契約など代替的な融資手法の検討をしなければなりません。

前経営者の保証契約を見直す

特則では金融機関に対し、前経営者との保証契約について見直しを求めています。保証を継続する場合でも、株式の保有状況や代表権の有無、実質的な経営権を持つかなどを検討し、慎重な対応が望まれます。特に、前経営者が取締役等の役員ではなく、議決権の過半数を有する株主でもない場合は注意しなければなりません。

また、2020年4月から、事業承継時の経営保証を不要とする「事業承継特別保証制度」が創設されています。一定の要件を満たせば保証の引き継ぎが不要になる制度です。各地の信用保証協会で取り扱いをしているため、問い合わせてみるとよいでしょう。

経営者保証ガイドライン利用方法

経営者保証ガイドライン利用方法

経営者保証ガイドラインの利用をサポートするため、相談窓口や専門家を派遣する制度が設けられています。 わからないことがあれば気軽に相談してみるとよいでしょう。

商工会議所や取引金融機関などの相談窓口

ガイドラインの利用について、商工会議所、商工会、中小機構地域本部、取引先の金融機関の窓口で相談できます。また、これら窓口を通じ、(独)中小企業基盤整備機構の「専門家派遣制度」を利用することも可能です。

専門家派遣制度

ガイドライン活用のため、専門家が会社を訪問してアドバイスを行う専門家派遣制度が設けられています。無料で最大年3回まで利用できます。

派遣されるのは、次の専門家です。

・弁護士:再生や清算時に発生する諸手続きをサポートする
・税理士・公認会計士:ガイドラインの適用対象となる経営体制を目指し、財務状況や税務会計のアドバイスを行う
・中小企業診断士:経営改善計画や事業承継のアドバイスを通し、ガイドラインの求める体制構築をサポートする

専門家が行うアドバイスは、主に次のような内容です。

(保証なしの融資や既存融資の見直しについて)

ガイドラインで求めている経営状況かどうかを確認し、その実現および継続のためアドバイスを行う

相談例
・保証なしで融資を受けたい
・保証契約をしている借入金について保証を外したい
・廃業・引退を予定しているが、個人保証が妨げになっている
・後継者への事業承継をしたいが、保証契約があるため円滑な事業承継ができない

(債務整理について)

保証人の資産調査や、資力の情報開示に関する支援、弁済計画案の作成支援を行う

相談例
・手元に残せる生活費はどのくらいか
・自宅は残せるか
・再生後も引き続き経営に参加できるか

専門家が行えるのは、新規融資・既存融資の見直しに関する専門家としての検証、および債務整理に対する専門家としての関与・アドバイスです。 仲裁や斡旋などは行いません。

まとめ

まとめ

経営者保証ガイドラインは経営者保証なしの新規融資や既存融資の保証解除を通し、中小企業の思い切った事業展開や円滑な事業承継を支援する制度です。経営者保証が負担になって新たな融資が受けられない、後継者が見つからないという経営者は、利用を検討してみるとよいでしょう。

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