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合併における仕訳方法をレクチャー!ケース別のやり方は?

公認会計士 牧田彰俊

公認会計士 牧田彰俊

有限責任監査法人トーマツ入所、各種業務の法定監査、IPO支援に携わる。 その後、ファイナンシャルアドバイザリーサービス部門にてM&A アドバイザリー業務・財務デューディリジェンス業務・企業価値評価業務等に従事。 組織再編によりデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社に異動し、主に国内ミドルキャップ案件のM&Aアドバイザリーとして、豊富な成約実績を収める。 2018年、これまで以上に柔軟に迅速に各種ニーズに応えるべく牧田公認会計士事務所を設立し、現在に至る。本記事の監修を務める。

複数の企業が合併する場合には、適切な仕訳作業を進めなければなりません。専門家でもミスをすることがあるという複雑な作業のため、詳しい仕訳方法を知りたいという方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、企業合併における仕訳方法を徹底的に解説します。「のれん」の取り扱いや共同支配企業の仕訳について知ることも可能です。ぜひ参考にしてみてください。

ケース別の合併の仕訳方法

ケース別の合併の仕訳方法

企業合併における仕訳は、事業を取得する方法や資産規模の大きさによって異なります。合併の際の状況に応じて適切な方法を用いることが大切です。ここでは、合併の仕訳方法を三つのケースに分けて解説しますので、チェックしてみてください。

【関連記事】合併とは?買収、統合との違いからメリットまで徹底解説!

通常取得の場合

通常取得で仕訳を行う場合、取得した企業(取得企業)と受け渡した企業(被取得企業)それぞれの企業が対象です。

まず、被取得企業は決算を行い、財務諸表を確定させましょう。決算に反映する期間は、企業合併を行う前日までです。この時作成する貸借対照表(バランスシート)は簿価で作成する点に注意しましょう。

そして、取得企業は被取得企業の資産や負債を時価で受け入れます。その際取得企業が支払った対価と、被取得企業から受け入れた時価資産と時価負債の差額(受入純資産)との間に乖離があれば、その乖離部分をのれんもしくは負ののれんとして処理します。

取得企業が被取得企業と親子関係にある場合

取得企業と被取得企業が親子関係にある場合、取得企業が保有する被取得企業の株式には合併対価は交付されず、特別な処理をする必要があります。

親会社が子会社を合併するケースでは、子会社の受入純資産を親会社持分相当額と少数株主持分相当額とに分け、子会社株式の簿価と親会社持分相当額との差額を抱合せ株式消滅差損益として認識します。そして、交付した対価と少数株主持分相当額との差額部分はのれんもしくは負ののれんとして認識します。

逆取得の場合

合併では通常取得する企業が存続会社で、取得される企業が消滅会社となるケースが一般的です。この反対に取得する企業が消滅会社となる場合がり、逆取得と言われます。逆取得となる場合では、通常の合併とは反対に決算で財務諸表を作成するのは、被取得企業ではなく取得企業になります。同じく合併を実行する前日までの期間を反映させて作成しましょう。

取得企業の資産や負債を受け入れる際には、時価ではなく簿価で受け入れることになります。通常取得では時価で計算するため、間違いやすい点でもあるため注意が必要です。取得企業の株主資本相当額は、合併の効力発生日の前日の簿価をもって払込資本(資本金・資本剰余金)として処理する。

取得企業が債務超過の場合、原則、払込資本をゼロとし、その他利益剰余金のマイナスとして処理します。ただし、被取得企業が新株のみを発行する場合、合併の効力発生日の前日の株主資本の内訳科目を、自己株式の処理等を除き、そのまま引き継ぐ処理が容認されています。

通常取得の知識があれば問題ないケースが大半ですが、実際の仕訳は複雑なため、ひとつずつ確実に算出しましょう。

吸収合併における仕訳の切り方

吸収合併における仕訳の切り方

企業合併には大きく分けると吸収合併と新設合併の二つがあります。それぞれ仕訳方法が異なりますが、特に吸収合併では取り組みの内容によって仕訳の切り方が変わる点に注意しましょう。

親会社が子会社を吸収する合併方法では3段階に分けて仕訳を行います。どのように計算するか覚えておくとよいでしょう。ここでは、吸収合併における仕訳の切り方を解説します。

【関連記事】吸収合併とは何か!必要な手続きや仕訳について

資産と負債の受け入れ

仕訳の切り方を説明するために、以下の場合について考えましょう。なお、消滅会社の諸資産は500万円、諸負債を200万円とします。

・親会社(存続会社)が100%子会社である企業(消滅会社)を吸収合併

・消滅会社を設立した際の払込資本は100万円

・存続会社が所有する消滅会社の株式(帳簿価額)は100万円

消滅会社の諸資産と諸負債をすべて受け入れます。つまり、諸資産500万円、諸負債200万円を引き継ぐかたちになります。

子会社がもっている株式の消滅

消滅会社は合併すると法人格が消滅する企業のことです。したがって、存続会社が所有している消滅会社の株式も消滅します。存続会社の貸借対照表に記載されている消滅会社の株式を借方から落とさないといけないので、貸方に100万円と仕訳を切ります。

このように、合併する以前から存続会社が所有する消滅会社の株式を「抱合せ株式」といいます。抱合せ株式に関する取り扱いには複雑なルールがあるため、専門家に相談したほうがよいでしょう。

差額は抱合せ株式消滅差益扱い

ここまでの仕訳で、借方が500万円(諸資産500万円)、貸方が300万円(諸負債200万円+子会社株式100万円)となります。このままでは200万円の差額が発生しますが、最終的には借方と貸方を同額にしなければなりません。

このような差額を埋めるのが「抱合せ株式消滅差益」です。仕訳科目の名前に明確なルールはなく、特別利益として扱うケースも見られます。差額をのれんではなく抱合せ株式消滅差益と処理することに注意しましょう。

合併で純資産の引継ぎを行う方法

純資産を引き継ぐ際には、以下のケースで場合分けをして会計処理が行われます。

・取得

・逆取得

・持分の結合

・共同支配下の取引

・共同支配企業の形成

取得は元々当時会社がグループ外であった場合の合併、共同支配下の取引は反対に元々グループ内であった場合の合併(グループ内再編)を意味します。実務上は取得と共同支配下の取引のどちらかであるケースが多く、どちらに分類されるかによって引き継ぎ方法が異なります。

取得の場合、消滅会社の資産と負債を時価で引き継ぎます。合併の対価として、取得企業が新株を発行した場合は、払込資本の増加として処理します。また、対価として自己株式の処分をした場合は、増加すべき株主資本の額から処分した自己株式の簿価を控除した額を払込資本の増加として処理します。。

一方、共同支配化の取引では消滅会社の資産と負債を簿価で引き継ぐのがルールです。純資産金の構成内容を変更せずに引き継ぐ方法も選択できます。

仕訳に関わる「のれん」とは?

仕訳に関わる「のれん」とは?

消滅会社が存続会社に吸収されると、消滅会社の資産や権利義務はすべて引き継がれます。合併により増加する株主資本等と諸負債を合計した金額が諸資産よりも大きい場合、差額分を計上するのが「のれん(正ののれん)」です。

消滅会社がもつ可視化できない価値(無形固定資産)を評価し、消滅会社の受入純資産よりも高額で吸収する方法といえるでしょう。このような性質から「のれん」は「超過収益力」と例えられます。

一方、消滅会社を取得した金額が時価の純資産額よりも小さい場合は「負ののれん」として扱います。消滅会社の超過収益力を評価するのれんに対し、負ののれんは様々な要因によりたまたま格安で取得するケースはあるものの、消滅会社の経営状態が悪化しているケースがある点も考慮しなければなりません。のれんは仕訳にも大きくかかわる項目なので、正しい知識を蓄えておきましょう。

「のれん」の特徴

のれんを計上する際、その全額をのれんとして処理するケースが従来一般的でした。しかし、IFRS適用企業や日本基準の会社においても、のれんをさらに細分化して処理する会計処理を求められるようになりました。これを、Price Purchase Allocation(PPA)と呼びます。一般的には以下のような項目があります。ひとつの例として覚えておきましょう。

・ブランドの知名度

・社会的な信用度

・技術力や独自性に対する評価

・顧客網や営業力に対する評価

・特許や著作権等の知的財産

消滅会社の無形固定資産を評価することは、吸収合併によるシナジー効果を検討するという意味でもあります。消滅会社と存続会社が何を目標に掲げるかによってM&Aの目的も変わります。

そして、PPAとして評価した残りをのれんとして計上します。のれんは、定額法の均等償却を用います。償却期間は、吸収合併を実行してから20年以内とされており、実務的には5~10年とされるケースが多いように思われます償却期間を終えるまで価値を持続できないリスクもあり、その場合はのれんを減損処理(特別損失)することにも繋がるため、慎重に判断することが大切です。

「負ののれん」との違い

負ののれんが発生する吸収合併の場合、消滅会社から純資産額以上の株式を受け取れないことと同義です。吸収合併によるシナジー効果を期待する正ののれんに対し、負ののれんはネガティブな要素も多く、リスクを受け入れなくてはいけない可能性があります。負ののれんが発生する主な原因は以下の3つです。

・消滅会社の株主がM&Aを急いでいる

・業績が悪く、慢性的な赤字体質となっている

・損害賠償請求のリスクがある等、貸借対照表に計上されていない債務(簿外債務)がある

未払残業代や債務保証に関する簿外責務が複数ある場合、負ののれんが発生する可能性が高まります。「損害賠償を請求されるかもしれない」という状況は、存続会社にとっても負担が大きいといえるでしょう。

負ののれんを計上する際には、のれんの均等償却と異なり一括で(特別)利益として処理します。

負ののれんが発生する合併が成立する理由

負ののれんが発生する合併は存続会社にとってリスクがあり、吸収合併後の経営を左右するおそれもあるため、合併すべきではないと考える方もいるでしょう。しかし、長期的な目標を立てることでシナジー効果が得られると考え、合併を決断するケースもあります。具体的にあげられるのは以下のような効果です。

・消滅会社の経営状態を改善させる施策がある

・負ののれんという利益を発生させることが目的である

・マイナス要素はあるものの、消滅会社が保有する特許や顧客基盤等のプラス要素を重視している

消滅会社のみでは売上の向上が見込めない場合でも、存続会社と協力することによってシナジー効果が得られる可能性があります。負ののれんが発生しても、M&Aとして適していないわけではありません。

現在、吸収合併を検討している方は、正ののれんと負ののれんによる効果や仕訳方法についてしっかりと理解しましょう。

【関連記事】M&Aに関わる「のれん代」とは?特徴と償却期間や会計処理について解説!

共同支配企業の場合の仕訳

非常に稀なケースではありますが、以下の四つの条件をすべて満たした場合に限り、共同支配企業の形成として取り扱います。

案件 具体的な条件
独立企業要件 共同で支配投資を行う企業(共同支配企業の株主)が、複数の独立した企業で構成されている
契約要件 共同支配投資企業となる企業が、共同で支配する旨の契約を締結している
対価要件 企業結合において支払われた対価が、原則すべて議決権のある株式である
その他の支配要件 上記三つ以外に、支配関係を示す一定の事実が存在しない

共同支配企業では、仕訳方法に取得企業と被取得企業の区分がありません。存続会社は消滅会社の株主資本をそのまま引き継ぎます。消滅会社は、簿価を反映した決算を行うのが仕訳のルールです。

合併の仕訳を専門家へ依頼する際の注意点

企業合併の処理や仕訳は非常に複雑な作業であるため、専門家に依頼することをおすすめします。合併の仕訳は専門家でもミスをするおそれがあるといわれるほどです。仕訳方法が一律ではなく、逆取得や共同支配企業の形成等様々な場合分けがあり、逆取得の中でもケースにより様々な場合分けがある点がミスを誘発する原因といえるでしょう。

信頼できる専門家に任せられると安心ですが、複数の依頼先を探しておくのもひとつの方法です。多くの観点からアドバイスを求めることで、見落としやミスを防ぐきっかけにもなります。経験が浅いとミスをするリスクが高くなるので、実績豊富な専門家を見つけるよう意識するとよいでしょう。

すばるのM&Aサービスなら安心!

企業合併における処理や仕訳方法にお悩みの方は、すばるのM&Aサービスへお任せください。M&A、相続、事業承継に関する専門家が集まる会社で、大手監査法人系M&Aファーム出身の税理士や公認会計士が多数在籍しています。

M&Aや事業承継にかかわるすべての人を幸せにできるような、安心・信頼のサービスをご提供するのが私たちの取り組みです。仕訳方法だけでなく、企業合併の手続きに関するご相談も受けつけています。

まとめ

まとめ

企業同士が合併する取り組みでは、そのスキームや資本構成によって適切な仕訳を行わなければなりません。基本的な仕訳方法だけでなく、取得企業と被取得企業での違いやのれんについても知識を蓄えることが大切です。

計算方法や項目の分類が複雑な仕訳に関しては、信頼できる専門家に相談しましょう。不安な場合は複数の専門家を見つけるのもおすすめです。すばるでは、豊富な実績を誇る専門家が信頼性の高いM&Aサービスをご提供します。合併に関して不明点がある方は、ぜひこの機会にすばるまでご相談ください。

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