M&Aの資格とは?種類や難易度を比較

会計士 牧田彰俊

有限責任監査法人トーマツ入所、各種業務の法定監査、IPO支援に携わる。その後、ファイナンシャルアドバイザリーサービス部門にてM&A アドバイザリー業務・財務デューディリジェンス業務・企業価値評価業務等に従事。組織再編によりデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社に異動し、主に国内ミドルキャップ案件のM&Aアドバイザリーとして、豊富な成約実績を収める。2018年、これまで以上に柔軟に迅速に各種ニーズに応えるべく株式会社M&A DXを設立し、現在に至る。

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経営者の高齢化や後継者不在の課題を解消するため、近年M&Aが注目を集めています。また、知人や取引のある銀行員がM&Aに関する資格を保持していると聞いたり名刺に資格名が記載されているのを見たことがある方もいるでしょう。

M&Aについての相談は関係資格を持っている人にと考えるのは自然なことでしょう。しかし実際のところ、資格を持っているからといってM&Aにおいて優れた結果を残せるかといえば、必ずしもそうではないのが実情です。
ここではM&A関連の資格やその実態について解説していきます。

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M&Aの資格の重要性

ビジネスマンがM&Aに関する資格を取得するわけ

そもそも、M&Aの実務や助言をおこなうにあたり、資格はマストではありません。では、金融機関職員をはじめ、ビジネスマンたちはなぜ費用や時間をかけてM&A関連の資格取得を目指すのでしょうか。その主な理由を2つ紹介します。

取引先からの信頼獲得につながる

法律実務と異なり、M&A業務には誰でも携わることができます。しかし取引で動く金額が大きく、会社の今後を左右することもあるので、代表者は誰に相談すべきか悩むところでしょう。

そのような時、M&Aに関する資格を持っている人が周囲にいれば、きっと相談したくなるはずです。資格を持っていると、基本的な知識などは習得しているだろうという印象もあるでしょう。

特に金融機関は顧客からの信頼を得ることが取引拡充にもつながるため、その信頼を得るきっかけとして資格取得を目指すことがあります。

専門知識を取得することができる

M&Aの業務では、財務・法務・会計・経営など幅広い知識が必要になります。しかし、将来的にM&A業務に携わりたいと思っていても、何から勉強すれば良いかわからないかもしれません。

そこで、M&Aに必要となる専門的な知識を身に着けられる上、モチベーションを高められることから、資格勉強に勤しむのです。

M&Aにまつわる様々な資格

事業承継に特化するM&Aに関する資格は、数々存在します。特に馴染みがなければ、取引先の従業員が資格を保持していても、以前聞いたことがあるM&Aの別の資格と何が違うのか戸惑うかもしれません。

ここでは、「M&A」という用語が含まれる資格を中心に、それぞれどのような特徴があるのかを紹介していきます。

3つの機関が主催している民間資格

ここでは、M&Aを掲げた資格としてM&Aエキスパート、M&Aスペシャリスト、JMAA認定M&Aアドバイザーの3つの資格を紹介します。それぞれ、一般社団法人金融財政事情研究会、一般社団法人日本経営管理協会、一般財団法人日本M&Aアドバイザー協会と異なる民間機関が運営主体です。

M&Aエキスパート認定制度

M&Aエキスパート認定制度では、難易度に応じて3種類の資格があります。その中で入門編にあたる「事業承継・M&Aエキスパート試験」は、CBTというコンピュータ上で行う試験を採用しているため、全国190ヶ所で受験可能です。

M&Aスペシャリスト

M&Aスペシャリストは選択問題、論述問題を受験し、それぞれ合格基準の60%以上で合格できます。M&Aの知識をしっかりと身に付けたいという方には、支援講座も開設されており、講座受講後にそのまま受験することも可能です。

JMAA認定M&Aアドバイザー

JMAA認定M&Aアドバイザーは、M&A実務スキル養成講座を受講し、修了試験に合格することで日本M&Aアドバイザー協会の正会員に入会できます。講座費用は20万円ほどかかり、やや高額ですが、正会員になることでネットワーク構築できるメリットなどがあります。

国家資格でM&Aに携わる資格もある

ここまで紹介した資格以外にも、国家資格でM&A業務に携わるものがあります。例えば、公認会計士や税理士は、M&Aプロセスの中で対象会社の価値を評価するデューデリジェンス(DD)の場面で必要となり、財務面や税務面などに関するアドバイスも出します。

また、弁護士や司法書士といった法律関連の資格保持者は、M&Aにおける契約や登記関連などで活躍してくれるでしょう。

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M&A資格の難易度

M&Aに関する資格は多数存在する一方で、その難易度は様々です。
国家資格では、M&Aに特化した資格というものはありませんが、資格保有者はM&Aに関連する業務のプロフェッショナルとして様々な専門業務を行っております。一般的には、公認会計士はストレート合格を目指すのであれば5%、税理士は10%~15%、弁護士になるうえで必要な司法試験合格は約20%とかなり難易度は高いです。

一方で、民間企業が認定するM&Aエキスパート認定資格、M&Aスペシャリスト資格、JMAA認定M&Aアドバイザーは国家資格と比べると比較的難易度は低くなっています。資格を取得するために講座を受講する必要があるなど、資格取得のためのサポートを受けられます。

また、事業承継士はすでに難関の国家資格を持つ者だけが受験できるため、国家資格と比べると難易度は低いといえます。

資格保持=信頼できるとは限らない

資格保持=信頼できるとは限らない

ここまで、M&Aにまつわる様々な資格を紹介しました。しかし、資格を保持している人なら安心してM&A案件を依頼できるとは限りません。それはなぜなのでしょうか?

実績や経験値がない場合もある

M&A業務に必要なスキルは、資格の勉強だけで身につけることができるものではなく、実践でM&A業務を数多くこなしていることが重要です。

たとえばM&Aの値決めの場面では、それが如実に現れます。
確かに、その企業の妥当な価格を算出する際に、座学で学んだことを生かしてファイナンス理論上適正な株価を判断することはできるでしょう。しかし、売り手にとって有利な価格で契約をまとめられるかはひとえに「交渉力」にかかってるのです。

この交渉力は成功体験によって培われます。そのため、M&Aの資格と知識をアピールしていても、実績や経験値が全くないという担当者には気をつけましょう。反対に、実績や経験値が豊富な人ほど、資格へ依存しなくなるといえるでしょう。

士業でM&A経験がないことも多い

弁護士や公認会計士などの士業は難関資格ですが、M&Aに携わったことがない人も多くおり、当該業務に長けているとは限りません。

もちろん、契約書類やデューデリジェンスなど、専門家にしかわからない部分もありますが、M&A業務全般に関するアドバイザリーを受ける際には、やはり経験値の有無に注意が必要です。また、契約実務やデューデリジェンスにしても、M&A経験が豊富か否かでディール成立の可能性が変わることには注意しましょう。

肩書きを信用せず人や企業を見て判断すべき

繰り返しますが、M&Aに関連する肩書きを持っているからといっても、実績や経験がない場合は満足いく結果を出してくれるとは限りません。逆に言えば、資格を保持していなくとも、基礎知識と経験を頼りに優れたM&A業務をこなしている方がいるということです。

M&Aを検討する際は肩書きを過信せず、その人や仲介業者の実績や人間性を確認しながら依頼するのが良いでしょう。

まとめ

まとめ

以上、M&Aに関する各資格の特徴や注意点を紹介してきました。M&A関連の資格では、法務や税務、財務などの幅広い分野の学習が必要なので、業務に役立つ知識を得ることができます。

しかしM&Aにおいては資格を持っている人が必ずしも交渉を成功させられるとは限りません。取引先や知人が関連資格を保持しているからといって、M&A業務を安易に依頼せず、その人の実績などを見極めつつ依頼する必要があります。

M&A DXのM&Aサービスでは、大手会計系M&Aファーム出身の公認会計士や金融機関出身者等が多数在籍しています。事業承継でお悩みの方は、まずはお気軽にM&A DXの無料相談をご活用下さい。

株式会社M&A DXについて

M&A DXのM&Aサービスでは、大手会計系M&Aファーム出身の公認会計士、 M&A経験豊富な金融機関出身者や弁護士が、豊富なサービスラインに基づき、最適なM&Aをサポートしております。セカンドオピニオンサービスも提供しておりますので、M&Aでお悩みの方は、お気軽にM&A DXの無料相談をご活用下さい。 無料相談はお電話またはWebより随時お受けしておりますので、M&Aをご検討の際はどうぞお気軽にお問い合わせください。


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M&A用語集

M&A DX用語集では、M&Aに関する専門用語についての意味や内容についてご紹介しております。
M&Aや事業承継は英語を使うケースが多く、初めて聞くと意味が分からないまま会話が進み、後で急いで意味を調べるような経験がある方もいらっしゃると思います。M&Aの用語に関しては、一度理解してしまえばその後の会話で使えるようになるため、辞書代わりにご利用下さい。
※会計士の当社代表牧田が、動画で解説している用語もあります。

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