有限責任監査法人トーマツ入所、各種業務の法定監査、IPO支援に携わる。 その後、ファイナンシャルアドバイザリーサービス部門にてM&A アドバイザリー業務・財務デューディリジェンス業務・企業価値評価業務等に従事。 組織再編によりデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社に異動し、主に国内ミドルキャップ案件のM&Aアドバイザリーとして、豊富な成約実績を収める。 2018年、これまで以上に柔軟に迅速に各種ニーズに応えるべく牧田公認会計士事務所を設立し、現在に至る。本記事の監修を務める。
メディアやSNSを通じて、セミリタイア生活を送っている人のことを耳にしたことはないでしょうか。「40代でサラリーマンを辞め、生活日記などのブログで不労所得を得る」や、「毎日の通勤、上司からの説教といったストレスを受けずに、悠々自適に過ごすなんて羨ましいけれど、自分の貯金額では到底無理」と諦めている方も多いかもしれません。
では、セミリタイアの実生活を知っている方はどれくらいいるでしょうか。この記事は、どうすればセミリタイアの第一歩を踏み出せるのかを紹介します。
1990年春、当時人気を博していたタレント、故・大橋巨泉氏が「ボクはセミリタイアします!」と宣言し、放送界から一定の距離を置くようになりました。この言葉がきっかけで、セミリタイアという言葉が世間で知られるようになったと言われています。
英語のsemiretiredは、非常勤という意味ですが、日本でセミリタイアという言葉が使われる際の意味は異なります。
セミリタイアには明確な定義はありませんが、一般的に定年退職前に退職することを指します。その上、貯金やフルタイムではない、時間の融通が効きやすい仕事で生計を立てます。
生活していくためのお金の心配をあまりしなくて良い点が、無職やフリーターとは異なります。後述しますが、セミリタイアをするには事前にそれなりの資産や貯金が不可欠です。
セミリタイアは資産や貯金があってこそできます。「自分はまだまだセミリタイアできる貯金がない」「そもそも、定年退職後の十分な資産を蓄えられるかどうか…」と嘆く人もいるかもしれません。しかし、20代でもセミリタイア生活は可能です。
重要なのは、セミリタイアに向けた貯金、資産形成または移住計画などを検討し、実行していくかです。
セミリタイアと似た言葉に、アーリーリタイアがあります。アーリーリタイアは、定年前に退職するという点は同じですが、退職後に働くことはありません。
それゆえ、セミリタイア以上の蓄えが必要です。また、労働に時間を割くこともないため、趣味などの目的がないと時間を持て余す可能性もあります。
日本では終身雇用制度が崩壊しつつあると言われていますが、新卒で入った会社を定年まで勤め上げる意思の方は存在します。では、なぜあえてセミリタイアを決断する方が居るのでしょうか。
退職を決断する理由として挙げられるのが、職場の人間関係や仕事の辛さなどのストレスです。また、趣味のために生きるという目標や田舎暮らしへの憧れも理由も挙げられます。
働き方、年金、生活様式など、色々変化が大きいこの時代だからこそ、セミリタイアの決断ができるのかもしれません。
セミリタイアには、一定の資金が重要です。では、一体どれほどの資金を準備しておく必要があるのでしょうか。人生を左右する決断ですので、しっかりと計画を立てることが重要です。
総務省統計局が出している2020年5月分の家計調査(二人以上の世帯)によると、一世帯あたりの支出は252,017円ですので、単純に考えても毎月これ以上の金額を払える資産や貯金が必要です。ただし、これはあくまで平均値ですので、世帯人数や居住地域など様々な要素によって上下します。
まず、自分の近年の生活費を見直し、退職後の生活にかかる費用の見込みを算出しましょう。
出典:総務省統計局「家計調査(二人以上の世帯)2020年(令和2年)5月分 (2020年7月7日公表)」
セミリタイア後の資産形成を考える上で、知っておきたいのがF.I.R.Eムーブメントです。これは、Financial Independence / Retire Earlyの頭文字をとった造語で、経済的独立と早期退職を目標とするライフスタイルを啓蒙するムーブメントです。
F.I.R.Eムーブメントの支持者は4%ルールを提案しています。4%ルールは、年利4%の運用益を想定し、運用益から生活費を捻出します。先ほどの総務省統計局の世帯平均額を用いてみましょう。
日本の平均的な世帯あたりの支出は、月約25万円なので、年間約300万円の生活費支出です。4%ルールに当てはめると、300万円÷4%=7,500万円の資産があれば資産を減らさずに今の生活費を支払うことができるという考え方です。
4%を変動させるなど自身のケースに当てはめてセミリタイアに必要な資産を見積もることができます。
個人差はありますが、20代と50代では平均余命が大きく異なる上、年金受給のタイミングが異なります。従って、セミリタイアする年齢が早ければ早いだけ、残りの人生を過ごすための資金や貯金が多く必要です。
もし自分が20代、30代の独身で、月10万円代の金額で生活できていたとしても、今後結婚、出産を経験することもあります。その場合、数百万円の資産でのセミリタイアは現実的ではありません。
では、資産が1,000万円〜2,000万円程度あれば、セミリタイア生活を成り立たせることができるのでしょうか。例えば自身が50代後半で、子供も親の手から離れており、新たな働き口の目処も立っているのであれば可能かもしれません。しかし、20代〜40代の場合は、その時点の資産をもとに運用を工夫するなど、対策が必要です。
パワハラ上司と毎日顔を合わせたり、毎日朝早くに通勤電車に揺られたりすることもなく悠々自適に見えるセミリタイア生活ですが、後悔している人も存在します。ここでは、セミリタイアの失敗事例を挙げます。
代表的な失敗例が、生活の変化に戸惑うということです。毎日大勢の人に揉まれ、人疲れしていた方も、他人との接点が減ると孤独を感じる場合があります。
また、職場の人間関係が嫌で辞めたのに、セミリタイア後は別の人間関係に悩まされることもあります。今の人間関係を見つめ直してみるのも良いのではないでしょうか。
ここまで紹介してきたように、大きな買い物をせずとも、生活費を支払う能力を担保するには多くの資産が必要になります。
今の貯金でやりくりできるのか、働き口は見つかるか、借入やアパート賃貸できるか注意が必要です。
フルタイムで働いている時は、読書や映画鑑賞、スポーツにゲームなどやりたいことが沢山あったとしても、実際に自由な時間が増えると、やりたいことが思い付かず、退屈な生活が続くケースもあるそうです。
さらに、上述した資金不足問題も絡み、やりたいことがあってもお金が足りず何もできない場合があります。セミリタイアする前に、自分は何をするために退職するのか、そしてそのための資産・貯金はあるのかをしっかり確認しておきましょう。
ここからは、気になるセミリタイアのための資産形成を紹介します。資産運用する方法と働く方法の2パターン紹介するので、自分がどちらに比重を置くのかイメージしながら読んでみてください。
資産運用の一つに投資信託があります。リスクを取って利益を狙う積極運用と、リスクを抑えて安定した利益を狙う安定運用に分類できます。どちらの運用スタイルが良いかは個々人の嗜好や生活スタイルによって異なります。
資産形成には、投資信託のほかにも、預貯金、株式投資、債券投資、不動産など様々な資産運用があります。投資信託は様々な銘柄や資産に投資することができるのがメリットです。
預貯金は一番安定していますが、低金利により運用という面では利益を期待できません。株式投資は値上がりも見込めるメリットと大きな損失を抱えるデメリットがあります。
また、国や企業が資金を集めるために発行する債券を購入する債券投資もあります。不動産はインフレに強いのがメリットですが、高額で手が出しにくいのがデメリットです。しかし、最近では少額で不動産投資ができるREITという資産運用もあります。
なお、FXや仮想通貨は、巨額の利益を得る可能性もあれば、莫大な損失となる可能性もあり、実現可能性の高いセミリタイアを計画するには向いていません。
セミリタイア資金を貯めるには、リスクを分散させ、実現可能性が高い計画の検討をお勧めします。
実際にセミリタイア生活を送っている人の中にはSNSやブログでセミリタイア生活を公開する人もいます。
どのようにしてセミリタイア資産を貯めたか、実際にどのような生活を送れるのかを知ることができます。セミリタイアへのモチベーションを高めるためにも、一度セミリタイアブログをのぞいてみてはいかがでしょうか。
若くしてセミリタイアをするための職種としては、医師や弁護士、公認会計士などの士業が挙げられます。これらの職種は比較的高収入である上、独立可能な職種である一方、資格取得までに年数や費用を要します。
エンジニアやプログラマーはリモートワークが可能な職種のため、セミリタイア後、自分のペースで所得を得ることができます。
ITの発達に伴い、大きな設備を抱えずとも若くして会社を立ち上げることが可能になりました。
起業に成功すれば、セミリタイア後はリモートなどで会社の状況をチェックしつつ、安定した収入を確保できます。
既に起業しているけれども、管理に追われてセミリタイアどころではない、という方は会社を売却するのも手段です。愛着のある会社を手放すのは抵抗感があるかもしれませんが、経営のプレッシャーから離れ、利益を得ることができるメリットがあります。
セミリタイアを実現するために、自身の会社を売却するM&Aという手段があります。会社を売却する場合、売却益を得るだけでなく、従業員の雇用も交渉し確保することができます。
ここでは、M&Aの具体的な方法や注意点を簡単に紹介します。
会社売却をするために、買い手を探す必要があります。自身で探す場合もありますが、M&Aの仲介会社に依頼することでスムーズな取引ができるようになります。
M&Aの大まかな流れは、有力な買い手候補先が見つかると、売り手と買い手のトップ面談を得て双方が納得する条件で、譲渡契約書を締結し、引き渡し(クロージング)を実施します。
譲渡契約書を締結するまでに、売り手の価値やリスクなどを調査するデューデリジェンス(DD)など、サポートが必要な場面が出てくるので、公認会計士や弁護士など専門家に相談しておきましょう。
M&Aは、譲渡完了まで売却額や条件面を検討するのに少なくとも数ヶ月の時間が必要です。
時間に追われ、慌てて売却し譲渡金額や条件面で後悔がないよう、早くからの準備をお勧めします。
以上、セミリタイア生活を送る上での必要な資金や資産形成の方法を紹介しました。若くしてセミリタイアすることは可能ですが、資産運用や一定の貯金を蓄える必要があります。新たに会社を立ち上げたり、M&Aによって会社を売却したりするのも一つの方法です。
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