後継者育成とは?課題・計画・育成のポイント・具体例を紹介

会計士 加藤大典

大手自動車メーカーに入社、生産技術部にて製造工程設計業務に携わる。その後、デロイトトーマツコンサルティングに入社し、組織再編により有限責任監査法人トーマツのアドバイザリー部門に異動。製造業の法定監査業務及びIFRS導入支援、組織再編支援、事業再生支援、内部統制構築支援、決算早期化支援、経営管理体制強化支援等の様々なプロジェクトに従事。

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次世代を考える経営者にとって、後継者の育成は一番大きな悩みの種かもしれません。「子どもに会社を継ぐ気持ちがない」「社内に良い人材がいない」このような悩みを抱えた経営者は多いでしょう。この記事では、後継者育成に悩む経営者に向けて、候補者の選定や育成プランの作り方などの具体的な方法を紹介します。経営者育成の全体の流れを理解しましょう。

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本記事のポイント

  1. 事業承継を考え始めた経営者や、後継者が見つからず悩んでいる経営者向けの記事です。
  2. 後継者の選び方、後継者育成の方法、後継者育成の注意点などを解説しています。
  3. 後継者が見つからない場合に考えられる選択肢についても解説しています。

なぜ後継者育成が注目されるのか?

なぜ後継者育成が注目されるのか?

会社のために懸命に働いてきた経営者が、最後に直面する大きな課題が「後継者育成」です。自分がリーダーシップをとって成長させてきた会社も、いつか離れる時がきます。その時、どんな人物に後を委ねるかで会社の命運が左右されるのは言うまでもないでしょう。

後継者はその責任が大きいだけに、納得できる人材を選ぶことは簡単ではありません。納得のいく後継者に事業を任せたいと強く思えばこそ、早めに後継者育成に取りかかることが事業承継成功のポイントです。

特に日本企業では後継者不足が社会的に問題になっていますので、これからの事業承継では、じっくり時間をかけて理想の後継者を育てるという観点が欠かせません。

日本企業は深刻な後継者不足

日本の中小企業では、後継者不足が深刻化しています。近年では後継者が見つからないことを理由に廃業する企業も珍しくなくなりました。

その背景には、生き方や職業を選ぶ自由が拡大していることがあります。従来の事業承継では、経営者の子どもが会社を継ぐのが当たり前と考えられていましたが、現在は子どもが必ずしも会社を引き継ぐことを希望するとは限りません。

子どもがだめなら従業員に引き継ぐという考え方もあります。しかし、そもそも働き手不足や人手不足が叫ばれる中で、中小企業が有能な社員を雇用を継続していくのも簡単ではありません。

よって、後継者を育成するにも育成候補が見当たらないという事態に多くの企業が陥っているのです。

後継者不足は業界によっても差がある

後継者不足の状況は業界によってもバラつきがあります。帝国データバンクが実施した全国企業「後継者不在率」動向調査(2020年)によると、業界別で最も後継者不在率が高いのは建設業です。以降はサービス業、不動産業、小売業、卸売業、運輸・通信業、製造業の順で後継者不在率が高くなっています。

参照:全国企業「後継者不在率」動向調査(2020年)帝国データバンク

自身の業界の後継者不足率が高い場合は、早めに後継者育成に取り組むことをおすすめします。

後継者育成は早めに問題意識を持つことが成功のコツ

後継者育成は早めに問題意識を持つことが成功のコツ

事業承継は、単純な業務引継ぎとはまったく質の異なるものです。従業員としての優秀さと経営者に求められる能力は別のものですので、経営者になる素質のある人物を選定し、「経営者人材としての育成」を行っていくことになります。

経営者としての能力は、研修のように座学で習得できるものではありません。責任ある立場で実践を積みながら、徐々に経営者として育っていくものです。そのため、後継者育成は早めにスタートするのが事業承継成功のコツだといえます。

後継者育成は時間がかかる

後継者の育成には、10年程度の時間をかけて臨むのが理想的だといわれています。2011年に実施された事業承継実態調査(中小機構)によると、後継者育成にかけた方がいい時間は「5~10年」と答えた経営者が29.4%と最多です。

参照:事業承継実態調査(中小機構)

後継者育成は計画通りにいくことばかりではありません。時間に余裕があれば精神的にも余裕をもって後継者育成に取り組めますが、時間が不十分だと経営者の引退が近づいていく中で時間切れになり、伝えたいことが十分に伝えられなかったというようなことも起きかねません。

途中で後継者候補が変更になる、後継者候補が心変わりするなどのリスクを考えても、事業承継は10年程度の時間の余裕をもって取り組み始めるとよいでしょう。引退を70歳と考えているなら、60歳の時にはすでに後継者育成を開始することになります。

中小企業は経営者の影響力が大きい

中小企業は大企業に比べて人数が少なく、経営者の声が届きやすいという特徴があります。経営者の交代も数十年に一度しか起こらないことも珍しくないため、事業承継をきっかけに会社の雰囲気が大きく変わってしまいがちです。

特に、前の経営者が強いリーダーシップで企業を率いていたような場合には、注意してください。後継者の人望によっては求心力が急激に失われたり、会社の方向性が定まらなくなってしまったりすることがあります。経営者交代後も安定した成長を続けられるように、従業員から信頼される人材を育成していきましょう。

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同族?従業員?誰が後継者になっているのか

同族?従業員?誰が後継者になっているのか

帝国データバンクの全国企業「後継者不在率」動向調査(2020年)によると、後継者の選び方は同族承継(親族)34.2%、内部昇格(役員・従業員)34.1%、外部招聘(M&Aなど)8.3%の順に少なくなっています。同族承継と内部昇格は0.1ポイントの差しかなく、実質的に同じ割合で行われていると考えて差しつかえないでしょう。

参照:全国企業「後継者不在率」動向調査(2020年)帝国データバンク

日本企業の事業承継は伝統的に同族承継が一般的でしたが、近年では従業員や外部人材など血縁関係のない人材が事業承継する事例も決して珍しくなくなっています。事業承継を考えているなら、親族にこだわらず後継者候補を考えてみるのも良いのではないでしょうか。

中小企業の後継者選びパターン

中小企業の後継者選びは、「親族」「役員、従業員」「第三者(M&Aなど)」の大きく3パターンが考えられます。それぞれどのような特徴があるのか、特徴や気をつけたいポイントを簡潔にまとめました。どれかひとつの選択肢が優れているというわけではありませんので、自分の会社に合った後継者選びを考えながら読んでみてください。

親族

日本の中小企業で最も多く行われているのは、親族への事業承継です。親族の中でも特に多いのが息子や娘など子どもに事業承継させるパターンとなっています。

子どもに事業を引き継がせる場合に意識したいのは、本人の意志をきちんと確認することです。「子どもだから、多少抵抗があっても家業は引き継がなければならない」という考えのもとで無理に後継者候補とするのは避けましょう。そのためには、じっくりと時間をかけて後継者候補だということを伝え、後継者として自覚を持てるよう向き合っていくことになります。

また、子どもを後継者として育てるのと同時に経営ブレーンとなる人物も養成していきましょう。後継者が孤立しないためには、サポートに徹してくれる優秀な経営幹部の存在が欠かせません。

役員、従業員

近年では子どもの自由な生き方を尊重する風潮や、自社の経営の厳しさが分かるからこそ子どもに引き継がせたくないという考えから、役員や従業員を後継者とする事例が増えています。

役員や従業員から後継者候補を選ぶ場合は、様々な側面から経営者としての素質がある人材か見極めていくことになります。日常業務で発揮される能力だけでなく、意欲や覚悟、人望、経営ビジョンへの考え方などを総合的に判断しましょう。

また、これからの時代は企業を取り巻く環境も大きく変化していくことは想像に難くありません。経営者として自分の考え方に近いことだけにこだわらず、ビジネス環境の変化にスピード感をもって対応できる人材を選ぶというのも欠かせない観点です。

社内で後継者候補となりうる人物が複数いる場合は、後継者候補争いを避けるために後継者の選定基準を明確化しておくとよいでしょう。

第三者(M&Aなど)

身内にも従業員にも後継者となれそうな人物がいない場合は、M&Aなどを通して社外の第三者に事業を引き継ぐことを考えましょう。M&AとはMergers and Acquisitions(合併と買収)の略称で企業の合併・買収や資本提携、事業の譲渡などを総称するものです。
M&Aというと「難しそう」「得体が知れない」と漠然と不安に感じる経営者も多いものですが、近年ではそうしたイメージも弱まり、事業承継の有効な手段として受け入れられてきています。

事業の収益性を高め、内部統制の強化にも取り組むことで、M&Aにおける企業価値の向上に繋がります。経営者として在任中にもできることはありますので、積極的に取り組みを行っていきましょう。

後継者不在が廃業に直結することも

後継者育成には明確な開始時期やタイムリミットがあるわけではないため、気付けば後継者が見つからないまま引退が近づいていたということにもなりかねません。後継者不在の状況が解消されなければ、それが廃業に直結する可能性もあります

実際に、後継者が見つからないことを理由に廃業を考えている、もしくは廃業したという話は決して珍しくなくなってきています。

後継者育成の着手が早ければ早いほど時間的余裕が生まれ、丁寧な後継者育成が可能です。後継者が見つからず廃業という事態にならないためにも、ぜひ早めに後継者育成に着手してください。

後継者育成の前に行う準備

後継者育成の前に行う準備

ここからは、具体的な後継者育成の進め方を確認していきます。後継者育成は長期的な会社の方針に大きな影響を及ぼすため、念入りに計画を立てて慎重に進めたいものです。

特に経営者育成では実務能力の向上だけでなく、経営に関するセンスや素養を育てることになります。センスや素養というものは、感覚的な議論になってしまいがちな分野です。事前準備をしっかり行って方向性を明確にしておくことが欠かせません。

経営方針を再確認

後継者育成の大きな軸は、「企業理念や経営方針の承継」と「経営の実務習得」の2つです。特に企業理念や経営方針と呼ばれるものは、その企業だけにしかない無形財産ともいえます。

後継者育成を開始する前に改めて経営方針を確認し、事業承継を経てどのような会社にしていきたいのかはっきりさせましょう。経営の方向性があいまいなままだと、後継者の人材要件を定義することすらままなりません。

方針に合致する人材を選定する

先ほど確認した経営方針に基づき、人材要件を定義していきます。人材要件とは、性格、人物像、スキルといったものです。その企業が求めるものによって人材要件は変化しますが、リーダーに求められる資質としてはおおむね以下のようなものがあります。

● リーダーシップ
● 主体性
● 客観性
● 謙虚さ
● 会社の歴史への理解
● 傾聴力
● 発信力
● 交渉力
● リスク管理能力

これらの要素がすべて満点のスーパーマン的人材を探すのではなく、どの要素を重視するか優先順位をつけていくイメージが近いといえるでしょう。

人材像のイメージができたら、それに合致する人材を探す作業に入ります。最初から人材要件を満たす人物がいればベストですが、はじめから十分に基準を満たす人物はいないと思った方が現実的です。その人のポテンシャルや素質も含めて評価し、育成前提で人材選定を行いましょう。

関係者や従業員の理解を得やすいのは親族から選ぶ方法ですが、親族に適当な人物が思いつかない場合は役員や従業員からの選出も考えるとよいでしょう。ただし、社内から候補者を選ぶ場合は、後継者争いが不必要な憶測や争いを呼ぶことも考えられます。親族から選ぶ場合以上に選定基準の明確化や客観性が求められることに留意してください。

育成計画をつくる

後継者として選んだ人材の現在地や習得が求められる能力をふまえて、具体的な育成計画をスケジュールに落とし込んでいきます。育成計画の具体的プロセスについてこれから詳しく解説していきますので、育成計画づくりの参考にしてください。

育成計画をつくる際には、「社内で経験させるプロセス」「社外に派遣して経験させるプロセス」の2つに分けて考えると体系的な計画づくりが可能になります。

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社内で取り組む後継者育成プロセス

社内で取り組む後継者育成プロセス

後継者人材に社内で経験させたいプロセスとしては、「経営者によるOJT」「社内各部門での実務経験」「経営幹部としての経験」の3つがあります。

後継者候補によってはいずれかのプロセスは十分に経験している場合や、経験があっても能力が不十分といった場合もあるため、個人の能力や素質を柔軟に判断して育成プロセスを組み立てていきましょう。

経営者によるOJT

後継者育成には、経営者と後継者が直接時間をともにすることが有効です。言葉にならない想いや考えは、仕事をする姿や空気で伝わることもあります。愛情をもって後継者に接し、惜しみなく経営のノウハウを伝えていきましょう。

経営者によるOJTの具体的手法としては、まず経営者と後継者でミーティングを設定しましょう。このミーティングで共有するのは、事業承継に向けた互いの想いや考えです。特に経営者は、会社の歴史や経営理念、会社へかける想いを自分の言葉でしっかり伝えましょう。

また、後継者からは今後の会社の展望や事業構想、事業承継にあたっての自分の想いを共有することが大切です。ここで話し合った内容は、長く続く後継者育成のスタート地点かつ大きな指針になります。いつでも見返せるように文章化したりデータ化したりして共有するのがポイントです。

また、これ以降発生する事業承継の様々なステップは後継者に主体的に動いてもらうように仕向けましょう。経営者と後継者が一緒になって事業承継に取り組むことで、後継者にとっては事業承継に向けた覚悟が固まる、事業承継が目前に迫っていることを実感できるなどのメリットがあります。

後継者育成には長い時間がかかります。相互に行き違いや思い違いが起きないよう、定期的に2人でコミュニケーションする機会を確保することも大切です。

社内の各部門を経験させる

社内の各部門をローテーションで経験することで、現場感覚が身につき、社内の業務プロセスの理解にもつながります。会社全体の動きを客観的に把握できることは経営者に欠かせないスキルですので、主要な部門はぜひ経験しておいてもらいましょう。

また、従業員との人間関係や信頼関係の構築も副次的な効果として期待できます。日常業務を通して形成された信頼関係は、経営者と従業員という立場になっても大きく変化することはないでしょう。

後継者候補を従業員から抜擢したような場合は、後継者だからといっていきなり役員に据えるのではなく、実務経験を積ませながら通常の昇進フローを進ませるのも有効です。係長、課長、部長などそれぞれの立場の人間がどんな役割を求められるのか、自ら経験することで理解が深まるからです。

経営幹部として関わらせる

部門担当者としての経験も経営者には欠かせませんが、そこからは経営者としての感覚や経営センスといった能力は磨かれません。後継者人材としてある程度成長したと判断すれば、経営に関わるポジションである役員クラスの役職に任命しましょう。

いきなり経営者に据えるのではなく、補佐的ポジションで経営の根幹に関わってもらい、経営センスを磨くのが狙いです。実体験を通して磨かれた経営者としての感覚は、いざ経営者として就任した時にも大きな力になってくれることでしょう。

社外で取り組む後継者育成プロセス

社外で取り組む後継者育成プロセス

後継者育成では、これから紹介する「他社や子会社に出向させる」「ビジネススクールや外部セミナーを活用する」といった方法で後継者候補を社外に送り出し、未来の経営者として視野を広めさせることが有効です。

社内の事情しか知らない経営者は、どうしても井の中の蛙になりがちです。後継者育成においては、社内という守られた環境から一歩外に出て経験を積むことも大切な経験だといえます。

後継者候補に選ばれたということは、社内では優秀な人材と判断されたということです。しかし、ひとたび社外に出て見れば社内にいないようなハイレベル人材が多数いることに気付くかもしれません。守ってもらえない環境の中で修行ともいえるような経験をさせることも、後継者育成には欠かせないプロセスです。

他社や子会社に出向させる

社内で各部署を経験し、ある程度経営に関わるポジションで経験を積んだ後には、可能であれば関連会社や子会社の舵取りを任せてみましょう。

関連会社や子会社がある企業しかできない後継者育成プロセスではありますが、最終的に引き継ぐ会社より小さい規模の会社で経営を経験してみることで、貴重な経営の実務経験を積むことができます。

ビジネススクールや外部セミナーを活用する

場合によっては、経営の基礎知識が習得できるセミナーを活用するのも効果的です。自治体や中小機構などの公的機関、民間の経営者向けセミナーなどがあり、無料のものや受講料がかかるもの、単発のものや長期のものなどそのタイプも様々です。

セミナーで学べる内容も千差万別で、例えば経営戦略、ビジネスモデル、財務会計、法務などのビジネス知識に関するものからリーダーシップ、コミュニケーション、マネジメントなど経営者としてのソフト面を伸ばすものまで選択肢は多様です。後継者に不足していると思われる知識、もしくは後継者自らの希望も聞いた上で参加するセミナーを選ぶようにしましょう。

また、費用や時間はかかりますがビジネススクールに通うのも良いでしょう。ビジネススクールは修了すればMBAが取れるため、経歴に箔がつくというメリットもあります。また、ビジネススクールは境遇が似たビジネスパーソンと長い時間を共にするため、後継者・経営者同士のつながりができるのも見逃せません。

MBAで生まれたつながりはビジネスに活かせるだけでなく、社内で孤独になりがちな後継者候補の心の支えにもなります。費用的・時間的余裕があれば、後継者育成プロセスの一環に組み込んであげられると良いでしょう。

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後継者育成で気をつけたい2つのポイント

後継者育成で気をつけたい2つのポイント

後継者育成をする際に、気をつけてほしいポイントは「支援型(サーバント)リーダーシップを意識させる」ことと、「後継者の補佐人材も育てる」ことの2つです。

サーバントリーダーシップという言葉を聞いたことがない経営者も多いのではないでしょうか。時代とともに求められるリーダー像も変わってきています。これを機に、いま求められているリーダー像への理解を深めましょう。

支援型(サーバント)リーダーシップを意識させる

事業承継前後では、従業員が後継者に反抗的な感情を持つことも想定されます。こうした場合に、後継者が高圧的でトップダウン型のリーダーシップを発揮するとどうなるでしょうか。多くの場合で従業員の反発がより激しくなることは想像に難くありません。

近年では、新しいリーダーシップのあり方として「支援型(サーバント)リーダーシップ」が注目されています。サーバントリーダーシップとは、リーダーの中にある答えを押し付けるのではなく、「傾聴して相手の意見を引き出す」リーダーシップのあり方です。

現代のビジネスでは消費者のニーズが多様化し、考慮が求められる事柄が非常に多いため、リーダーが一人で解決策を考えるのが困難です。また、従業員の価値観や働き方も多様化し、従業員から柔軟な意見を引き出すためにはトップダウン型のリーダーシップが合わなくなってきているのも事実です。

サーバントリーダーシップの経営者のもとでは従業員の多様性を尊重しながら働けるのがメリットですが、事業承継においてはそれ以上に、従業員の過度な反発を避けられるという点の方が大きなメリットになります。

事業承継においては、後継者に反発的な態度の従業員にも寄り添い、傾聴を続けることで信頼関係を築いていくことになります。新体制を確かなものにするプロセスは、まさにサーバントリーダーシップそのものであることがお分かりになるでしょう。

2.後継者の補佐人材も育てる

後継者の育成は時間と手間がかかりますが、補佐人材を育てるのも一朝一夕にできることではありません。後継者育成と同時進行で補佐人材の育成も進めておきましょう。

後継者は事業承継後に孤立してしまいやすく、精神的にも追い込まれがちです。事業承継後の経営を安定させるためには、後継者をサポートしたり、相談に乗ってあげられたりする人材が欠かせません。

後継者不在ならM&Aを検討しよう

後継者不在ならM&Aを検討しよう

親族にも従業員にも後継者候補になる人材がいない場合もあるでしょう。「後継者が見つからないなら廃業しよう」そう考える前に、M&Aという選択肢も検討してみてはいかがでしょうか。

廃業という選択肢を選んだ場合、会社がなくなり従業員も職を失うことになります。従業員の再就職先の手当など、配慮しなければならない問題は多方面にわたるでしょう。また、清算後に資産が残れば創業者利益を確保できますが、場合によっては借金だけが残ることもあります。

このように、本当に廃業が最良の選択肢なのか判断するには慎重な検討が欠かせません。今や「後継者不在=廃業」という図式は当たり前ではなく、後継者不在によるM&Aは一般的なものになりつつあります。廃業を決意する前に、M&Aによる解決を検討してみてはいかがでしょうか。

M&Aでも後継者問題を解決できる

M&Aは前述した通り事業承継の有効な手段として受け入れられてきています。

M&Aによって会社の経営権は手放すことになりますが、外部から経営陣を迎えることで事業を存続させ、従業員も雇用し続けることが可能になります。

近年では後継者不足に悩む中小企業が急増し、その解決策としてM&Aが選ばれる事例が増えています。金融機関の斡旋や幅広い情報網を持ったM&A仲介会社など、相談先のバリエーションも豊富ですので、まずは気軽に専門家へ相談してみましょう。

まとめ

まとめ

この記事では、後継者不足に悩む経営者に向けて後継者の選び方や後継者育成のノウハウを紹介してきました。後継者の育成は10年程度の長い時間がかかるため、引退を意識し始めたら出来る限り早めに取りかかるのが事業承継成功のコツです。

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