破産手続きとは?仕組みや流れについても解説

清水淳史

MBA 清水淳史

阪和興業株式会社、株式会社紀陽銀行を経て、2018年フロンティア・マネジメント㈱に入社。紀陽銀行では、法人営業業務を経て、本部部署にて、事業承継・M&A業務を担当。フロンティア・マネジメントでは中堅・中小企業向けの事業承継型M&A業務、事業承継支援業務、組織再編業務に従事。製造業、飲食業、卸売業、小売業、不動産業など幅広い業界の事業承継型M&Aを多数経験。メンバーの詳細はこちら

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会社の経営がうまくいかなかったときに、破産手続きをしなければならない状況になることがあります。
実際に破産手続きとはどのようにすれば良いのでしょうか。
また破産手続きはどのような仕組みで、どのようなデメリットがあるのでしょうか。

この記事では破産手続きについて、仕組みや流れについてわかりやすく解説します。

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破産手続きとは

破産手続きとは、法人の場合は会社経営等のために膨らんでしまった借金が返せなくなったときにする手続きです。
破産手続きをすると裁判所が選任する破産管財人の調査と管理下におかれ、破産者が所有する財産を換金して可能な限り返済するという仕組みです。

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破産手続きの仕組み

借金が膨れ上がってしまい、返済が難しくなってしまった場合、破産手続きを行います。
破産手続きを開始すると裁判所が破産管財人を選定し、破産管財人の管理のもとで、財産を換金し借金の返済に当てます。
それでもまだ足りない分の借金は、帳消しになるということはなく、連帯保証人が負担するという形です。
破産者は、破産手続きをした後、借金を返さなくても良いという免責手続きもおこないます。
免責手続きをおこなわないと、借金を返済しなくてもいいという免責を得ることはできません。
免責手続きを終えたあと、破産手続きは終わり、手元には最低限生きていくだけの資産しか残っていないという状況になります。

破産手続きを検討するケース

借金があるにも関わらず、経営が上向く見込みがない場合は早めに破産手続きを検討した方がいいでしょう。
破産手続きのタイミングが長引いてしまうとさらに状況は深刻化します。
なぜなら借金には利息がつき、時間が経過するほど借金の額が膨れ上がっていくからです。
借金が膨れ上がってしまった状態で破産手続きをすると、連帯保証人に大きな迷惑をかけてしまうことになるでしょう。
借金の返済をするために、お金を貸してもらいやすい消費者金融などからお金を借りてしまうと利息が高いので、さらに状況は悪化します。
どうしてもここだけを乗り越えれば事業はうまくいくというタイミング以外は、利息の高い貸金業者には手を出さない方が無難です。
借金を返すための借金をしようとする前に、破産手続きも同時に検討した方がいいでしょう。
破産手続きをすると、自分の財産がすべてなくなってしまい、連帯保証人にも迷惑がかかってしまうのでなかなか踏み込めないかもしれません。
しかし、時間が経ってしまうと借金の額が膨れ上がってしまうため、さらに迷惑をかけてしまいます。
そのため、借金が膨れ上がり事業の先行きが不透明な状態になった場合、破産手続きをおこなった方が最終的にプラスとなる場合があります。
事業がうまくいかなかった時、事業の立て直しを図るためのアイディアがなければ破産手続きを検討した方がいいかもしれません。

特別清算手続との違い

特別清算手続は破産手続きの一種であり、広い意味では破産手続きと特別清算手続きは同じといえます。
特別清算手続と破産手続きの違いは、まず特別清算手続の場合、精算中の株式会社しかすることができません。
また特別清算手続で選任される特別清算人は、会社の代表が選任されることが多いです。

破産手続では破産管財人が選定されますが、会社とは関係ない第三者が選任されます。
会社の代表者が特別清算人になるということもあり、債権者の意見を聞きながら清算を進めていきます。
破産手続では法律で決められた基準のもと公平に分配されていきます。

再建型法的整理手続との違い

再建型法的整理手続には、民事再生手続と会社更生手続があります。
破産手続との違いは、会社を存続させつつ、債務を整理していくという点です。
民事再生手続であれば経営陣の交代は必須ではありません。
民事再生手続は債務者が自身の財産や債務を管理しつつ、計画に基づく債務を弁済していくというものです。

会社更生手続きは経営陣は退陣して、裁判所が選任した更生管財人が再建をはかっていくというものです。
民事再生手続きは個人でもすることは可能ですが、会社更生手続きは株式会社しかすることができません。

私的整理手続との違い

まず整理手続には法的整理手続と私的整理手続があります。
法的整理手続は裁判所の管理下で、法律にしたがって倒産手続きを進めていくものです。
一方で私的整理手続は、裁判所を通さず債権者と債務者の話し合いにより進めていくものです。
破産手続きとの違いは、公には公開されないので、破産によるイメージダウンを防ぐことができます。
ただし私的整理手続には法的拘束力は無いため、話し合いがまとまらなければ違う手段で倒産手続きを進めなければなりません。

破産手続きの流れ

破産手続きはどのような流れで行うのでしょうか。
ここでは破産手続きをおこなうことが決定したあと、具体的にどのような流れになるのかを解説します。

関連記事「廃業と事業承継の種類とその実態は?メリットとデメリットも徹底解説

破産手続の決定

まず、会社の事業がうまくいかず、立て直しを図るための良いアイディアもないので破産手続きをすることが決定したとします。
破産手続きの決定のタイミングが遅すぎてしまうと、連帯保証人に大きな迷惑がかかる場合があります。
破産手続きの決定のタイミングが早いと、連帯保証人に迷惑がかかることなく、会社の資産の売却だけで借金が全て返済できるという場合もあります。
どのタイミングで破産の手続きの決定をするかは、経営者としての大きな決断となるでしょう。

取締役会の決議

株式会社の場合、破産手続きをする際は取締役会で決議をしなければなりません。
取締役会で役員の承認が得られたあと、破産手続きへと進んでいきます。
また、場合によっては破産手続きを決議する取締役会の場で、事業を大きく前進させる画期的なアイディアが出てくることもあるかもしれません。
そのアイディアが有効なアイディアなのか、また今このタイミングで破産手続きをしたほうがいいのかを役員全員でじっくりと議論しましょう。
議論の結果、破産手続きをした方が良いという結論になると破産手続きの開始です。
破産手続きを決めた取締役会では、事業停止をいつにするかも決めなければなりません。

事業停止

破産手続きをすることが決まった場合、まず弁護士などの専門家へ相談します。
その後弁護士を通じて、裁判所に破産申し立てをして破産手続きの開始となります。
借金をしているのが経営者の個人だった場合、免責申し立ても同時に行います。
裁判所に破産手続きをおこなったあとは、会社が所有するすべての資産は破産管財人が管理することになります。
そのため会社の事業は全て停止となります。

従業員の解雇

従業員に対する解雇通知は事業停止するその日におこないます。
破産手続きを行ったあと、会社の事業が停止するので、従業員も解雇されます。
しかし従業員にはそれまで働いてもらった分の給料は支払わなければなりません。
従業員の給料は免責手続きを行っても免責とはならず、借金の返済よりも最優先で支払わなければなりません。
破産手続きを行ってすべての財産を売却したお金は、まず従業員の給料の支払いにあてられます。
その後、借金の返済へとお金が流れていきます。

しかし従業員の給料のうち払う義務があるのは通常の給料であり、ボーナスや退職金を払う義務はありません。

事業所の閉鎖

会社がやっていたすべての事業は停止されるので事務所も閉鎖されます。
会社の事務所が会社が所有する不動産だった場合、事務所も破産手続きにより売却されることになります。
事務所の中にあるオフィス用品なども、売却できるものは全て売却されます。

債権者への通知の送付

破産手続きを行うと弁護士を通じて債権者に破産の通知を送付することになります。
破産の申し立てをおこなったあとも、裁判所から債権者にあてて通知書が送られます。
弁護士に依頼した段階では、弁護士から債権者に対して受任通知が送付されます。
受任通知を送付した後は弁護士は会社の正式な代理人となり、債権者は直接破産者とやりとりをすることはできません。
破産手続きを行った後は、会社が所有している全ての財産は裁判所が選定した破産管財人が全て管理をしています。
そのため一部の債権者に対して優先的に借金を返済するということはできません。

また債権者からの郵便物も破産管財人が管理するので、郵便物は破産管財人に転送されます。
債権者はこの段階で連帯保証人に連絡することになるでしょう。

会社財産等の保全

破産手続きを開始するとすべての会社の財産は破産管財人が管理をします。
そのため会社の役員や従業員は会社の財産に対して触れることができません。
個人が自己破産した場合は、生きていくうえで最低限必要な分は自由財産として売却はされません。
しかし法人の場合は、自由財産として認められるものはなく、資産は全て売却して借金の返済に当てなければなりません。

資料収集

手続きを弁護士に依頼した段階で、弁護士に対して破産申し立てを行うための資料や書類を渡す必要があります。
破産申し立てに必要な資料(書類)は以下の通りです。

破産申し立て書類

過去3年分の確定申告書
直近の試算表
会社が保有する債務に関する契約書(金銭消費貸借契約書、リース契約書など)
買掛金や未払金の請求書
会社の会計帳簿(元帳、出納帳、売掛帳、買掛帳)
従業員名簿や給与台帳
税金や社会保険料の金額がわかる書類(納付書や通知書など)
自動車の車検証
その他の契約書類

事情聴取・申立書の作成

会社から破産手続きを依頼された弁護士は、会社に関する資料を見て破産に至った原因の分析を行います。
その後会社の代表者など、会社が破産してしまったことの事情に詳しい人から事情聴取をして、なぜ破産することに至ったのか原因を解析していきます。
なぜ弁護士がこのような事情徴収をするのかというと、破産者が意図的に財産を隠したり勝手に処分をしていたりすると破産手続きに影響が出てくるためです。
このような不正がないことが確認できたら、弁護士は破産申し立て書を作成して裁判所に破産申し立て書の申請を行います。
会社のすべての資産を把握して、債権者への借金の額なども把握した後は申立書を作成します。
その後売却できる資産は売却し、それぞれの債権者に平等に渡していきます。
破産手続きを行ってもまだ借金が残っている場合は、免責手続きを行い、借金を返さなくても良いという裁判所からの許可を貰います。
しかし借金が帳消しになるということではなく、払い切れない分の借金は連帯保証人が負担することになります。

破産手続開始決定

弁護士からの事情聴取が終わり、弁護士が不正がないことが確認できたら、裁判所に必要書類を提出して破産手続きの申し立てを行います。
提出する書類には様々な書類がありますが、全て弁護士が代わりに作成して提出してもらえます。

破産管財人が財産を換価

破産管財人は破産者の金銭面での相談相手となる人物です。不動産などの現金に変えなければならない資産がある場合は、どのように手続きをするのがいいのかを相談できます。

破産手続きを行った後裁判所に選定された破産管財人は、破産者の財産の管理のほかどのような財産があるのか調査をします。
破産者は資料を提出するなどして、破産管財人が調査がしやすいようになるべく協力をしなければなりません。
資料の収集に時間がかかってしまうと破産の手続きも遅れてしまいます。
また、破産手続きを始める前に、資産が今どのくらいあるのかを確認しておく必要があります。
不動産等の値段が上がっていると、不動産を売却するだけで破産をしなくても済む場合があります。
破産手続により事業は停止をしているものの、借金の利息が停止するわけではありません。
なるべく早めに破産管財人の調査が終えるように破産者も協力をするようにしましょう。

債権者集会

債権者集会は破産者の財産状況を報告するために裁判所でおこなわれます。
債権者集会に出席するかしないかは債権者の自由となりますが、債権者集会に参加しないことで財産の配当に影響が出るようなことはありません。
通常、債権者集会では債権者が出席することがほとんどなく、会社の代表者と会社の代理人の弁護士と、破産管財人と裁判官による話し合いとなるケースがほとんどです。

債権者への配当

会社の財産の全てを換金して、債権者への配当原資を確保できたら債権者に配当を行います。
債券の中にも種類があり、優先的に配当を受けることができる債権から順に配当が行われます。
例えば税金や社会保険、従業員の給料は優先的に支払わなければなりません。
配当が全て終わると、会社の破産手続きは完了します。

破産手続きが完了すると、破産手続きの終結が裁判所から交付され、会社の登記は閉鎖されます。

破産手続きの注意点

破産手続きには借金を返さなくても良くなるという大きなメリットがありますが、デメリットもあります。
ここでは破産手続きのデメリットや注意点について解説します。

自分の財産は処分される

破産手続きをすると生きていく上で最低限の必要な資産を残して、自分の財産は全て処分されます。
最低限必要な財産は自由財産といい、自己破産をしても処分されない財産のことを指します。
しかし自由財産が認められるのは、個人で自己破産をしたのみであり、法人が破損した場合はすべての財産が処分されます。

引越しや渡航には制限がかかる

破産手続きをした後は、裁判所から呼び出されると裁判所に行かなければなりません。
そのため引っ越しや渡航には制限がかかり、裁判所や破産管財人の許可が必要となります。

一時的に就けない職業がある

破産手続きをすると一時的につけない職業があります。
具体的には以下の通りです。

弁護士、税理士などの士業
警備員
生命保険募集人
旅行業務取扱管理者

これらの職業はお金を預かる信用が重要な仕事であり、破産手続き中はこれらの職業に就くことができません。

債権者の不利益になる行動は控える

破産手続きを行ったあとは、債権者の不利益となる行動はできず、意図的に不利益となる行動をしてしまうと免責が認められなかったり、場合によっては詐欺破産という犯罪になることもあります。
具体的に債権者の不利益となるような行動とは以下のようなことです。

換価財産を格安で誰かに売る
破産手続の直前に住宅や車の名義変更をする
破産手続をするつもりなのに手続き直前に借金を重ねる
特定の債権者にだけ返済をする(偏頗弁済)

また、弁護士に依頼すると弁護士は会社の財産を債権者の不利益となるような扱いにさせないために、以下のようなものを預かって管理をすることになります。

代表者印・銀行印
会社の預金通帳
手形帳・小切手帳
預かり手形
得意先に対する請求書・売掛帳など売掛金に関する書類
不動産の権利証
有価証券・保険証券・ゴルフ会員権などの証券類
決算書
契約書類

連帯保証人にも請求がいく

破産手続きを行い、免責が認められると借金を払う義務は近くなります。
しかし借金自体がなくなるということはなく、自己破産をしても払いきれなかった分の請求は連帯保証人が背負うことになります。

従業員の給料は免責されてない(法人の場合)

法人が自己破産をした場合、従業員の給料は最優先で支払わなければなりません。
自己破産をして免責となっても従業員の給料は免責とはなりません。

税金は免責されない(法人の場合、個人の場合)

自己破産をしても税金は免責とはなりません。
税金のほか、国民健康保険の保険料や、養育費、損害賠償等も免責の対象とはなりません。
そのため自己破産をしたあと、最優先で税金などの免責されないものから支払いをしていることになります。
法人の場合は滞納していた法人税や社会保険料等は、破産後に払う義務はありません。
また代表が代わりに支払わなければならないということもありません。
ただし納税保証書を提出していたり、第二次納税義務を持っている場合は支払わなければなりません。

郵便物は破産管財人に転送される

自己破産中の郵便物は全て破産管財人に転送されます。
これは債権者の不利益となるような資産の売却などをさせないための措置です。

ただし、宅配業者からの宅配便やメール便等は破産管財人に転送はされません。

まとめ

破産手続きの仕組みと流れについて解説しました。
破産手続きは弁護士に依頼した後、弁護士に任せておけば良いのでそれほど難しいことはありません。
また破産手続きをするにはなるべく早めに決断をしておかないと、債権者や連帯保証人など多くの人に迷惑をかけてしまうことになります。
破産手続きをすると、借金を払う義務はなくなるものの、信用を失ってしまいます。
そのために破産手続きは、膨れ上がってからではなく借金の全てが自分の財産の売却で終わらせることができる段階で、破産手続きを検討した方が良いでしょう。

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