業務提携とは?メリットや進め方、資本提携・M&Aとの違いを解説

公認会計士 牧田彰俊

会計士 牧田彰俊

有限責任監査法人トーマツ入所、各種業務の法定監査、IPO支援に携わる。 その後、ファイナンシャルアドバイザリーサービス部門にてM&A アドバイザリー業務・財務デューディリジェンス業務・企業価値評価業務等に従事。 組織再編によりデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社に異動し、主に国内ミドルキャップ案件のM&Aアドバイザリーとして、豊富な成約実績を収める。 2018年、これまで以上に柔軟に迅速に各種ニーズに応えるべく牧田公認会計士事務所を設立し、現在に至る。本記事の監修を務める。メンバーの詳細はこちら

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人材や技術、顧客などお互いの経営資産を合わせて事業を行う業務提携や資本提携。同じ意味で認識している人もいますが、業務提携と資本提携は同じではありません。そこで今回は、業務提携と資本提携について徹底解説します。

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本記事のポイント

  1. 業務提携や資本提携について知りたい方向けの記事です。
  2. 業務提携や資本提携の特徴やメリット、手法などを丁寧に解説しています。
  3. 参考事例も説明しているので、実際に提携を検討する方の記事にもなっています。

業務提携とは

業務提携とは

業務提携とは、資本の移動を伴わない提携の手法です。お互いの人材や技術、顧客などの経営資産を提供し合い、特定市場における競争力の強化を目指します。

複数の企業が協力することで、単独では達成が困難な課題を解決できるのが特徴です。企業の経営的独立性が保て、提携の解消が容易であるというメリットがあります。

提携する目的や分野により業務提携の形態が変わり、それぞれに応じた契約を締結します。

業務委託や資本業務提携、M&Aの違い

業務委託や資本業務提携、M&Aの違い

業務提携と業務委託や資本業務提携、M&Aには、根本的な違いがあります。それぞれ異なる性質を持っているため、契約を進める際は形態を正しく理解して比較検討しなければいけません。

・業務提携と業務委託の違い
・業務提携と資本業務提携の違い
・業務提携とM&Aの違い
・業務提携と事業提携の違い

それぞれの違いを確認しましょう。

業務提携と業務委託の違い

特定の業務に対して複数の企業が協力しながらビジネスを進めるのが、業務提携です。一方、業務委託は特定の業務を完全に任せ、依頼した業務が完了した時点で報酬が発生します。業務委託に伴う契約を結ぶ際は、原則として契約を結ぶのが一般的です。

この際に結ぶ契約は業務委託契約と呼び、会社もしくは個人に業務を委託するときに用いられます。業務委託のメリットは、自社で人員を抱えたり新規事業立ち上げの初期投資を抑えることができる点にあります。特に事業環境スピードの変化が早くなってきた昨今では、人材や設備等を全て自前でまかなうのはリスクがあるため、業務委託をうまく使い、身軽な経営を行うことも視野に入れると良いでしょう。

業務提携と資本業務提携の違い

資本業務提携は、対象企業に出資し、出資先から議決権をもらう手法です。この時の出資比率は1/3未満(拒否権を超えない)となるような低い出資比率であることがほとんどです。

業務提携は資本の移動がないため、資本業務提携を結ぶことでより強固な関係を築けます。資本提携を行うときは、業務提携契約も締結するのが一般的です。

資本業務提携は、成長スピードを加速できるメリットがあります。資本業務提携はゼロから事業を育てる必要はなく、競合他社と競い合える経営基盤を迅速に整えられるのが特徴です。特定のビジネスでスピーディに事業を拡大したい際に魅力的な方法だといえます。

業務提携とM&Aの違い

M&Aは株式の取得により、提携先企業の経営権を取得して子会社化したり合併したりするなど、複数の企業がひとつになってビジネスを展開します。一方、業務提携は資本の移動がないことはもちろん、複数の企業が独立したままの関係です。

M&Aを選ぶメリットは、グループインすることによって業務提携よりもリスク・リターンを負って、事業を展開できる点です。

また、近年は後継者不足に陥る企業が多く、場合によっては廃業に至るケースも珍しくありません。このような問題を解決するためにM&Aが用いられることも多いです。

業務提携と事業提携の違い

事業提携とは、特定の事業に対して提携を行うことをいいます。事業提携を結ぶ主な目的は、他社の技術やノウハウを活かしながら自社のビジネスを成長させることです。企業経営の安定化を図るために事業提携を選択するケースも多くなっています。

業務提携と似た表現なので意味を混同する人も多いですが、業務提携は事業の特定の業務に関する提携を結ぶことです。事業提携よりも業務提携のほうが対象範囲が狭くなるのが、大きな特徴でしょう。

業務提携の4つのメリット

業務提携の4つのメリット

このように提携形態にはさまざまな手法があります。なかでも、業務提携は双方の企業に多くのメリットがある形態です。業務提携で生まれるメリットには、次のようなものがあります。

1.他社の経営資源を活用できる
2.時間やコストを削減できる
3.経営の独立性を保てる
4.安易に業務提携を解消できる

それぞれのメリットを確認しましょう。

1.他社の経営資源を活用できる

業務提携を結ぶことにより、提携先企業の協力を仰げます。単独では解決できなかった難解な問題も提携先の経営資源をうまく活用すれば、解決策の糸口が見つけられるかもしれません。提携で自社の業務を拡大できるヒントを得られるでしょう。

また、新たな分野にビジネス展開を進める場合、その分野に精通する企業と業務提携をすれば的確なアドバイスをもらえます。提携先からのサポートもあるため、回り道することなく迅速に新規ビジネスを始められるのが特徴です。他社の経営資源を活用できるのは、業務提携の大きな魅力でしょう。

2.時間やコストを削減できる

業務提携すれば、仕入れや製造、営業、物流などビジネスを進めるための工程を双方で協力し合えます。新しい分野への進出でもビジネスをゼロから構築する必要はありません。

双方が協力し合えば遠回りせず最短でビジネス展開できるので、コストの削減も期待できます。また、新しい市場にスピーディに参入できるのも業務提携を結ぶ大きなメリットです。

3.経営の独立性を保てる

業務提携は、資本を移動することなく双方の経営資源を活用する提携形態です。経営面において関与されることなく独立性を保ちながら、売上の向上や新規事業の参入が見込めます。

提携を結んでも経営者が変わらないため、社員を不安にさせる心配もありません。提携先企業の経営指針に振り回されることもないので、独立性を保ちたい場合に適した形態です。

4.安易に業務提携を解消できる

比較的安易に契約を解消できるのは業務提携の大きなメリットです。

参入する市場環境で急な変化が起きたときは提携先企業と提携を解消して、次の戦略を練り直すことができます。

市場の変化に応じて提携を解消できるのは、スピードがものを言うビジネスにおいては大切なポイントだといえるでしょう。

業務提携の4つのデメリット

業務提携の4つのデメリット

業務提携は双方にメリットがある形態ですが、デメリットがあるのも事実です。業務提携のデメリットには、以下のようなものがあります。

1.提携先との関係性が希薄である
2.予期せぬ問題が発生することがある
3.情報が漏洩する危険性がある
4.技術や情報が盗まれる可能性がある

それぞれの項目を一つずつ確認しましょう。

1.提携先との関係性が希薄である

業務提携は独立性を保てるというメリットがありますが、裏を返せば提携先と関係性がそれほど強くはありません。また、資本の移動が伴わない業務提携では、提携先企業からの金銭的な支援を期待することはできません。

さらに、業務提携は市場の変化に応じて提携をすぐに解消できます。提携の解消が比較的安易に行えるため、継続性という観点ではやや不安定なものとなります。

2.予期せぬ問題が発生することがある

単独でビジネスを進めるのであれば自社内ですべて管理できるため、ある程度のトラブルは予測の範囲です。ただ業務提携を結び共同でビジネスを進める場合は、予期せぬ問題が起こることがあります。

例えば、情報共有の不足や連携不足によるトラブル、顧客からのクレームの増加などがあります。

このようなトラブルを防ぐために、些細なことでも報連相は心がけておくくらいの姿勢でいると良いでしょう。

3.情報が漏洩する危険性がある

業務提携を行うにあたり注意したいのは、自社が抱える情報の漏洩です。企業は、取引先やお客様など個人情報や機密情報を保有しています。業務提携で双方が協力し合うとはいえ、機密性の高い情報が漏洩すると自社の信用問題に関わります。

提携先企業が自社と同じような情報セキュリティ対策を行っているとは限らないので、情報の取り扱いについては契約時によく話し合い、取り決めるようにしましょう。

4.技術や情報が盗まれる可能性がある

業務提携は、提携先企業の経営資源を活用してビジネスを拡大できる形態です。うまく活用できれば多くのメリットを得られる一方、提携先企業に自社の技術や情報が盗まれるリスクがあります。

なかには相手先が持つノウハウや知識を得たくて、業務提携を仕掛ける企業もいます。業務提携によって自社の競争力が脅かされないように情報は管理しなければいけません。業務提携を進める際は、提供する情報を十分精査しましょう。

業務提携の種類

業務提携の種類

業務提携といっても目的に応じて契約の種類が変わります。代表的な種類は、以下のとおりです。

1.技術を利用できる「技術提携」
2.製品を生産できる「生産提携」
3.商品を販売する「販売提携」

どのような契約の種類を選ぶかによって提携範囲も変わるので、事前に理解を深めておくことが大切です。それぞれの特徴を確認しましょう。

1.技術提携

技術提携は、提携先が持つ技術を自社に活用するために結ぶ契約です。契約形態は、ライセンス契約や共同研究開発契約があります。

まず、ライセンス契約とは、知的財産権を有する保持者がライセンスの許諾者に対して、契約条件下で自由に使用できることを許可する契約のことです。使用許可を得ることで、ある製品の製造や販売が可能になります。

一方、共同研究開発契約とは、複数の会社が協力して新技術や製品、サービスを開発するために結ばれる契約のことです。双方が持つ技術の強みを活かしながら開発を進めます。

2.生産提携

生産提携とは、提携先企業に生産や製造における一部の工程を委託することです。例えば、特定の製品に対する需要が好調になり、生産や製造が追いつかない場合に活用されます。

委託側は取りこぼしをなくすことができ、受託側は稼働率を上げられる点でメリットがあります。

生産提携で主に用いられるのは製造委託契約で、製品の仕様や品質レベル、原材料、検収方法などを細かく記載します。書面で製造委託契約を結ぶことで、一部の業務を委託しても従来と変わりない品質を保てるのが特徴です。また、契約形態のひとつとして製造を依頼できるOEM契約もあります。

3.販売提携

販売提携は、提携先企業が持つ販売資源を活用するための形態です。事業を発展させて利益を向上させるために自社製品の販売や営業を提携先企業に依頼します。販売提携の契約方法は、販売店契約や代理店契約、OEM契約、フランチャイズ契約です。

まず販売店契約とは、提携先の販売店が供給者側から商品を買い取り、販売する契約のことです。販売店は在庫リスクを負いますが、販売価格はある程度自由に設定できるメリットがあります。

一方、代理店契約とは代理で営業活動を行う契約のことです。提携先企業は営業活動がメインになるため在庫を抱えるリスクはありませんが、販売価格は依頼者の指示に従う必要があります。提携先企業の利益は、販売手数料や委託手数料がメインです。

OEM契約とは、提携企業先に自社の製品を製造してもらう契約のことです。OEM契約を結ぶことで、製造の負担を軽減できるメリットがあります。

また、製造の初期投資や生産コストを削減できるのもOEM契約の大きな魅力です。

最後に、フランチャイズ契約とは、提携先企業に独占的な販売権を与える契約のことをいいます。フランチャイズ契約のメリットはコスト削減です。

フランチャイズ契約で提携先企業に販売権を与えれば、店舗開設にかかる一部の費用を負担してもらえるため、企業は初期費用を安く抑えられます。

業務提携の契約形態

業務提携の契約形態

業務提携には、技術提携・生産提携・販売提携の種類があります。それぞれ契約形態が細かく分かれており、目的に応じて契約を進めることが大切です。契約形態には、次のようなものがあります。

・技術提携(ライセンス契約・共同研究開発契約)
・生産提携(製造委託契約・OEM契約)
・販売提携(販売店契約・代理店契約・フランチャイズ契約)

それぞれの特徴を確認しましょう。

1.技術提携

提携先企業が保有する技術を自社の技術開発や製造、販売などに活用することを目的としているのが技術提携です。

契約形態は、特許やノウハウのライセンス契約、共同研究開発契約などがあります。技術提携は技術分野に特化した提携なので、技術面において協力関係を構築したいときに活用する提携です。

技術提携においては、提携先と良好な関係を構築することが求められます。

ライセンス契約

技術の特許や商標などの権利に対して許諾を与える契約が、ライセンス契約です。自社の技術をライセンスする側は「ライセンサー」、ライセンスを受ける側は「ライセンシー」と呼ばれます。

ライセンス契約を結ぶときは、ライセンスの対象や期間、利用態様を双方で話し合って決めなければいけません。技術提携を締結するときに欠かせない契約です。

共同研究開発契約

お互いの強みを活かし協力しながら製品や技術を開発するのが、共同研究開発です。共同研究開発を行う場合は、双方で役割分担や費用負担、技術の取り扱いに関する事項を決めなければいけません。

この時に用いられるのが、共同研究開発契約です。共同研究開発契約を結ぶことで、のちのトラブルを回避できるため双方で話し合いを行いましょう。

2.生産提携

生産提携は、提携先企業に対して生産や製造の一部を委託するための提携です。例えば、ある製品の売れ行きが好調であるものの、自社で生産や製造が追い付いていない状況で用いられます。

生産余力のある他社に生産や製造の一部を委託することで、取りこぼしを防ぐことができるのがメリットです。提携先企業にとっても設備稼働率を向上できる効果を得られます。

製造委託契約

製造委託契約は、自社で販売するための製品の生産や製造を委託する際に用いられる契約です。製造委託契約を結ぶのは、双方に起こり得るトラブルを回避することを目的としています。

契約書の内容によっては自社に不利な契約を結んでしまったり、多額の損害賠償が生じたりなど重大なリスクを負わされる可能性もあります。製造委託契約書の作成は専門家に確認しながら進めましょう。

OEM契約

OEM契約は、他社の製品を製造することのみにフォーカスした契約です。製造を委託するメリットは、初期投資や生産コストを抑えられたり生産能力の不足を補えたりすることがあります。

3.販売提携

販売提携は、提携先企業と協力しながら販売実績を高めるための提携です。なかには、良い商品を製造できても販売力に欠ける企業も少なくありません。

特に新たな分野に進出する際は、提携先企業の販売力が有力に働く場合が多いです。近年は複数の企業が販売における強みを出し合い、統一ブランドの元に販売を強化する事例も増えています。

販売店契約

販売店契約は、メーカーから製品を仕入れて在庫を抱えながら販売する契約形態です。

メーカーから仕入れた製品を、販売店で自由に価格を設定できる点はメリットとなりますが、製品を購入する形になるため販売店は在庫を抱えなければいけません。

一方、メーカー側は製品を購入してくれる企業を確保でき、在庫を消化できるのがメリットです。

代理店契約

代理店契約は、提携先企業が代理店となり営業を行ってくれる契約形態のことです。提携先企業は代理店となり販売活動を行いますが、製品の販売はメーカーと顧客との間で契約が成り立ちます。

代理店は顧客との契約はありません。代理店企業のメリットは、在庫を抱えず販売活動を行えることです。販売手数料という形で代理店に利益が入ります。

フランチャイズ契約

フランチャイズ契約は、契約相手に対して商標・商号の使用権や販売権、経営ノウハウや教育指導を提供する契約のことです。

経営に関する権利やノウハウを提供する対価として、契約相手から保証金やロイヤリティを得ます。フランチャイズ契約のメリットは、広い地域に店舗展開できることです。また、契約相手から加盟金やロイヤルティを得られるので経営が安定します。

業務提携のメリット・デメリット

業務提携のメリット・デメリット

業務提携には技術提携・生産提携・販売提携があります。目的に応じて契約する種類も異なるため、それぞれの特徴を深く理解することが大切です。ここでは、技術提携・生産提携・販売提携を実施することで得られるメリットと、起こり得るデメリットを解説します。

業務提携で得られるのは、良いことばかりではありません。デメリットを理解したうえで契約に進めるのか十分に検討しましょう。

技術提携

技術提携を結ぶことで複数の企業が有する技術を融合させ、より高度な技術の開発が見込めるメリットがあります。

複数の技術を持ち寄ることで開発スピードも向上するため、競合他社に負けない高度な技術を開発することが可能です。

また、複数の企業で取り組むことで技術開発にかかる費用やリスクを分散させられるのも大きな魅力でしょう。

一方、技術提携は提携先企業に利益を独占される可能性があるというデメリットがあります。利益を独占されるのを回避するため、契約時に双方で取り決めを行うことが大切です。

また共同で技術開発に取り組めば、自社技術が流出するリスクも考えられます。契約時に、自社技術の流出リスクを抑えるための秘密保持契約を結びましょう。

生産提携

生産能力が追いつかず、一部の生産や製造を委託する生産提携は機会損失を防げるメリットがあります。

また、メリットを得られるのは委託する側だけではありません。委託された側も依頼により生産量が増えるため、稼働率を上げられます。

しかしながら、一部の生産や製造を委託することにより、品質にばらつきが出る可能性もあります。

そのため、自社製品の品質を守るためにも品質管理を徹底しなければいけません。

さらに生産提携では生産を任せるために自社の機密情報を渡すため、社外に流出するリスクが出てきます。社外流出を防ぐためにも、契約時に秘密保持契約を交わして情報を守りましょう。

販売提携

販売能力が高い企業に販売のみを委託する販売提携は、迅速に市場に参入できるメリットがあります。

委託された側も自社で取り扱える商材が増えるためお客様に対して提案力を上げられ、委託された企業は新規顧客開拓の機会を得られるのが特徴です。

メリットが多い販売提携ですが、自社の方針とは異なる方法で販売されるリスクがあります。

多少であれば許容範囲ですが、大幅にズレた販売方法ではブランド力を傷つける恐れもあるかもしれません。契約時に販売方針を明確にしましょう。

業務提携を進めるまでのステップ

業務提携を進めるまでのステップ

業務提携が決定したら、契約の締結に向けて準備を進めなければいけません。業務提携を進めるステップは、以下のようなものがあります。

1.目的を明確化する
2.提携先を確保する
3.費用負担を定める
4.業務提携を締結する

段取りを事前に把握しておくことで、業務提携の準備もスムーズに進められます。それぞれの項目を確認していきましょう。

1.目的を明確化する

業務提携の準備を進めるうえで、まずは目的を明確にしましょう。業務提携の契約形態はさまざまな種類があり、目的に応じて最良の選択をしないと何も得られないまま終わる可能性もあります。

どのようなことを目的として業務提携を行うのか、そして目的を達成するにあたりどの契約形態を選ぶべきか考えましょう。

社長同士が知り合いで目的もなく契約を進めるというケースも中にはありますが、明確な目的がないまま契約を進めても最終的に何も得られないでしょう。

業務提携で成功を収めたいなら、社内で目的を明確にしてから準備を進めましょう。

2.提携先を確保する

業務提携の目的が明確になったら、提携先の企業を決めます。通常は、自社の目的と提携先が求める要件が合致する企業をさまざまなルートから探し出します。

双方の意向が合致する企業を見つけたら個別に相談を持ちかけ、契約を進めていくのが一般的です。

提携先の企業を見つける手段には、金融機関や公的支援期間による紹介、ビジネス展示会への参加、ビジネスマッチングサイトや民間が運営する事業パートナー探し支援サービスの活用などがあります。

3.費用負担を定める

希望する提携先企業の了承が得られたら、双方の考え方の擦り合わせを行います。業務提携における基本的事項の確認を行ったら、秘密保持契約、基本合意に進めるのが一般的な流れです。この基本合意の契約書で費用の負担を決めます。

費用の負担が不明確のまま契約を進めてしまうと、トラブルで思わぬコストが発生した際にどちらの会社が支払うのか揉める原因になることもあり得ます。あらかじめ費用負担を明確にしておけば、トラブルが発生しても柔軟に対応することができます。

4.業務提携を締結する

基本合意の契約を締結したら、最後は事業提携契約に移ります。業務提携は資本の移動がなく双方で協力して行うソフトなビジネスであるものの、企業間における立派な契約形態です。

ビジネスを進めるうえで損害を与えたり機密情報を漏れたりした場合は、双方に責任が発生してしまいます。

提携先の意向もありますが、自社の権利や意見はしっかり主張しつつ公正な契約を進めることが大切です。

契約の締結後は長期にわたり提携先企業とビジネスに向き合わなければいけません。業務提携の締結が完了したら終わりではなく、その後の対応にも気を遣うことが大切です。

リスク回避のためにも、提携先企業と信頼し合えるビジネス関係を構築していきましょう。

業務提携契約書に記載すべき7項目

業務提携契約書に記載すべき7項目

法律では、どちらが契約書を作成するのか決まりはありませんが、海外の場合は契約書を作成する側が主導権を握るとされており、立場が上の企業が契約書の作成を行うのが一般的です。

一方、日本では、提携を持ちかけた側が契約書を作成します。業務提携契約書に記載すべき項目は、以下のとおりです。

1.目的
2.業務内容と範囲
3.知的財産権の帰属
4.競業避止義務と秘密保持義務
5.利益配分や費用負担
6.契約期間の設定
7.契約解除の規定

初めて業務提携を行う場合は、契約書を作成するのに時間がかかることもあるはずです。契約書の作成を進める前に記載項目を確認しましょう。

1.目的

業務提携契約書には、双方が成し遂げたい目的を明確にするために業務提携の目的を明記します。企業によって業務提携の目的はさまざまですが、具体的に業務提携契約書に記載しましょう。

この段階ですでに提携の目的が明確になっている企業は多いはずなので、その旨を記載するだけです。例えば、「〇〇の開発において双方の知識やノウハウを活用し、協力して利益・ビジネス拡大を目指すことを目的とする」などがあります。

2.業務内容と範囲

業務提携は、一部の業務において協力関係を結ぶための契約形態です。そのため、業務提携契約書では業務内容と範囲を明確にしなければいけません。ただ、自社と提携先企業では知識やノウハウにおける強みは異なります。

提携先企業の強みを理解したうえで、どの業務で活かせるのか十分に検討しましょう。この時点で業務内容と範囲が不明確だと、のちにトラブルに発展する可能性もあります。業務内容と範囲は、具体的かつ明確に明記するようにしましょう。

3.知的財産権の帰属

業務提携で利益が出たとき、その利益を双方でどのように分配するのか決めなければいけません。また、技術契約など専門的な領域で業務提携する場合は、協力して開発した知的財産権をどちらの企業に帰属するのかをこの段階で決めておくことも大切です。

お金の問題は業務提携契約書で明記しておかないと、利益が生じたときに揉めてしまうこともあります。のちの企業間のトラブルを防ぐためにも締結する際に十分に検討し、業務提携契約書に明確に定めておきましょう。

4.競業避止義務と秘密保持義務

業務提携契約書では、競業避止義務と秘密保持義務についても明確に定めなければいけません。競業避止義務とは、契約を解消した後に同種の事業を行うことを回避するために規定を設けることです。

競業避止義務が適用される範囲や期間、事業内容を明確にして契約事項に明記しましょう。

一方、秘密保持義務は、個人情報や機密情報の漏洩を防ぐための契約です。業務提携を結ぶとお互いに協力してビジネスを進めていかなければいけません。

業務を協力するうえで技術や知識、ノウハウを提携先企業に提供しなければいけない場面もあります。

このような機密性の高い情報が外部に漏れると、深刻な影響が出ることもあります。機密情報を守るためにも秘密保持義務は明記しましょう。

5.利益配分や費用負担

業務提携契約書では、利益分配や費用負担についてもしっかり明記しましょう。問題が起こってからでは柔軟に対応できなくなるため、この時点で明確にすることが大切です。お金の問題はトラブルに発展しやすいので、双方で納得いく形で詳細を決めましょう。

6.契約期間の設定

業務提携における契約期間に明確な決まりはありません。一定の契約期間を設け、双方から契約を解消するという申し出がない限り、契約を自動更新していくのが一般的です。

7.契約解除の規定

業務提携では、どちらか一方に信頼関係が崩れる出来事があった場合に契約解除が行えます。ただし、契約を解消するには一定期間前に申し出なければいけない旨が記載されることが一般的です。

この取り決めを契約段階で明確にしておかないと、双方の企業は自分都合で即契約解除できることになります。

急に契約が解除されるようなことがあると、ビジネスに影響が出る可能性もあります。そのため、契約解除の規定を定めることが大切です。

また、双方で契約違反が認められたり業務に協力しなかったりなど問題が起きたときに、一方的に契約解除を認める規定も定めておきましょう。

業務提携を締結する際の注意点

業務提携を締結する際の注意点

業務提携を締結する際はいくつか注意したいことがあります。主な注意点は、以下のとおりです。

・コミュニケーションを忘れない
・契約書のひな形をそのまま使用しない
・提携先企業の利益を考慮しる

業務提携は契約したら終わりではありません。業務提携を成功に導くためには、契約の締結時から注意して準備を進めることが大切です。それぞれの注意点を確認しましょう。

コミュニケーションを忘れない

業務提携は、締結することが目的ではありません。締結した後に双方が協力してビジネスを成功に導いていくことが大切です。

ただし、企業によっては提携したこと自体に満足してしまい、提携先とのコミュニケーションを疎かにするケースもあります。

このような状態では、双方の足並みを揃えることはできません。そもそも業務の進め方や考え方は企業によって大きく異なるため、そのギャップを埋める作業が求められます。

報連相を意識して密にコミュニケーションを取るようにしましょう。

契約書のひな形をそのまま使用しない

業務提携の契約書作成は、初めて契約を行う企業にとってはハードルが高くなります。分からないことも増えるため、インターネットで探した契約書のテンプレートを活用したくなるかもしれません。

しかし、これらのテンプレートを締結時にそのまま使用するのはあまりおすすめできません。

インターネット上にある契約書のテンプレートは、すべての状況に該当するような当たり障りのない内容で作成されていることが多いです。

このまま使用すると、項目が抜けていたり業務提携に対して不適切な内容が含まれていたりする可能性もあります。

契約書に関して分からないことがあるときは、専門家に相談して作成するようにしましょう。

提携先企業の利益を考慮する

業務提携を結ぶことで自社だけでなく提携先企業にもさまざまなメリットがあり、提携による利益を期待しています。

業務提携により自社の利益ばかりを求めてしまうと、提携先企業との信頼関係が崩れる原因になることも多いです。

そのため、提携先企業の利益も配慮してビジネスを行わなければいけません。まずは、双方の強みや弱み、業務提携の目的に応じて業務の進み方を決めましょう。

ビジネスにおける提携先企業の利益に配慮できれば、自社の利益にも繋がるはずです。

業務提携の事例8選

業務提携の事例8選

日本では、さまざまな分野で業務提携が行われています。業務提携の主な事例は、以下のとおりです。

1.セガとコメダ珈琲店の業務提携
2.スギホールディングスと台湾でドラッグストアの業務提携
3.日本気象協会と伊藤忠商事の業務提携
4.ファミリーマートとTOUCH TO GOの業務提携
5.楽天と日本郵便の業務提携
6.無印とUR都市開発が業務提携
7.北海道とYahoo! JAPANの業務連携
8.エイブルとフリービットの業務提携

業務提携に至った経緯や目的は企業によって異なります。どのような企業が業務提携を選択し、実践しているのか確認しましょう。

1.セガとコメダ珈琲店の業務提携

2019年の増税で利用客の落ち込みを予測したアミューズメントメーカーの株式会社セガ エンタテインメント。そんなセガがカフェチェーンのコメダ珈琲を運営するコメダに対して業務提携を打診しました。

セガの目的は、集客力を向上させることです。結果的に業務提携に至り、セガの店舗内にコメダ珈琲店の人気商品を販売するスペースを設置しました。人気商品を販売したことでセガの目的だった集客力は向上し、当初の目的を実現しています。

2.スギホールディングスと台湾でドラッグストアの業務提携

スギ薬局を全国展開するスギホールディングス株式会社は、台湾でドラッグストアを展開する大樹医薬と業務提携を行いました。

スギホールディングスは、業務提携を通じて海外への事業拡大を目的としています。業務提携した後は、大樹医薬が運営するドラッグストア内にスギ薬局のコーナーを設け、ブランドの知名度やファン層の獲得に励んでいます。

3.日本気象協会と伊藤忠商事の業務提携

伊藤忠商事株式会社は、気象コンサルティングサービスを提供する日本気象協会と業務提携を行いました。業務提携の目的は、アパレル向け需要予測システムの共同開発です。

近年、ファッション業界では在庫の大量廃棄が問題視されています。この問題を解決すべく、伊藤忠商事株式会社は異常気象に着目しました。

日本気象協会が有する技術やノウハウを活かし、アパレルの生産や販売計画、在庫管理に役立つ予測サービスを開発することを目的としています。

4.ファミリーマートとTOUCH TO GOの業務提携

株式会社ファミリーマートは、無人決済の省人化技術を開発する株式会社TOUCH TO GOと業務提携を行いました。

株式会社ファミリーマートが業務提携した目的は、無人化決済のコンビニを実現することです。業務提携を締結した結果、株式会社ファミリーマートは2021年に無人化決済のコンビニを開店しています。

5.楽天と日本郵便の業務提携

楽天グループ株式会社はEコマースの進展を受け、物流に対する業務提携を日本郵便株式会社と行いました。

楽天グループは、物流やモバイルなどあらゆる領域での連携強化を目的としています。

楽天グループは1億人以上の会員を有し、日本郵便は全国を網羅するネットワーク基盤を持っているのが特徴です。双方の強みを活かしたシナジー効果を図っています。

6.無印とUR都市開発が業務提携

生活雑貨を幅広く展開する株式会社良品計画は、独立行政法人のUR都市再生機構と業務提携を行いました。

UR都市開発は、良品計画の連携のもと中古住宅のリノベーションやリフォームを手がけることを目的としています。

一方、良品計画は中古住宅の改修を始め、個人向けの住宅関連製品を提案できる体制を整えることが目的です。双方の強みを活かし、利益増大を図ります。

7.北海道とYahoo! JAPANの業務連携

Yahoo! Japanを運営するヤフー株式会社は、北海道と連携協定を締結しました。双方は北海道の情報発信や北海道経済の活性化、デジタル人材の育成など、あらゆる分野で協定を結んでいます。

ヤフーは、Yahoo!ショッピングで道産品を揃え、北海道のご当地モールを開設しました。日本最大級のポータルサイトのYahoo! Japanから集客を行えます。

8.エイブルとフリービットの業務提携

不動産仲介業を営む株式会社エイブルは、自社開発した格安スマホを販売するフリービット株式会社と業務提携しました。

エイブルは、エイブル利用者向けアプリの開発を目的としています。アプリではアプリ内で利用できるコインや特典が付与される仕組みです。

一方、フリービットは、エイブルが有する利用者と接点を持ち販売に繋げます。競争が激しくなる格安スマホ業界で生き残りをかけた施策です。

資本提携とは

資本提携とは

ほかの会社から資本を投入してもらったり、逆に資本を投入したりすることを資本提携といいます。また、一方的に資金の支援を行うだけでなく、双方が資本を持ち合う場合も資本提携に含まれます。

一般的に、資金力がある大手企業とスタートアップ企業でよく見られる提携形態です。この場合、大手企業がスタートアップ企業に資本を投入します。資本提携による効果を最大限に高めるため、資本提携に加え業務提携を締結する事例も増えています。

資本提携の2つの種類

資本提携の2つの種類

資本提携には、株式譲渡と第三者割当増資の2種類の手法があります。また、株式譲渡に関してはさらに種類が細分化され、相対取引や市場買付、公開買付があります。

それぞれ特徴が大きく異なるため、資本提携を結ぶにあたり目的に応じた正しい手法を選択しなければいけません。資本の移動が伴うため手法の選択は十分に考慮しましょう。

1.株式譲渡

資本提携でよく用いられる株式譲渡は、提携先企業が既に発行している株式を買い取る形で提携を結ぶ手法のことです。

そんな株式譲渡では相対取引・市場買付・公開買付があり、目的に応じて契約を行えるのが特徴です。

どの種類を選ぶかによって契約の進め方や得られるメリットも異なるので、資本提携を検討するにあたりそれぞれの違いを理解しましょう。

相対取引

売手企業の株式の多くを保有する株主から、直接買い取る手法が相対取引です。売手企業が証券取引所で株式の売買をしていない非上場企業の場合、株式譲渡の選択肢は自ずと相対取引となります。

非上場企業の場合は、株式を保有する株主が分散していることも多いため、買い集めるのに時間を要することも踏まえなければいけません。

市場買付

売手企業の株式を証券取引所など公式な場所を通して購入する手法です。市場買付を実施できるのは、売手企業が上場企業の場合のみとなります。

また、株式の保有率が5%を超えた場合、大量保有報告書を管轄の財務局に提出する必要があります。大量の株式保有は、株価形成に大きな影響を及ぼすといわれており、透明性や公平性を高める目的で大量保有報告書の提出が義務付けられました。

公開買付

売手企業の株式を保有する株主に株式の売り渡しを募り、株式市場以外で株式を買い集めることを公開買付といいます。公開買付も売手企業が上場企業だった場合のみに行われます。

上場企業の株式を大量に買い集めたいときに用いられる手法です。ただし、上場企業の株式の取得に関する条件をすべて満たした場合、必ず公開買付を行わなければいけないルールがあるため、留意しておきましょう。

2.第三者割当増資

新しく発行する株式を第三者に割り当てる手法が、第三者割当増資です。既存の株主は保有する株式を継続的に持ち続けることになるため、支配権を獲得するためには相当な金額を出資し、株式を引き受ける必要があります。第三者割当増資は、支配権の獲得を目的としない提携において有効な手法です。

資本提携のメリット・デメリット

資本提携のメリット・デメリット

資本提携には、株式譲渡や第三者割当増資の手法があります。ただ手法によって得られるメリットやデメリットが異なり、両方をきちんと理解したうえで手法を選ぶことが大切です。

どちらの手法を選んだとしてもデメリットはあるので、理解したうえで自社にあう方法を選びましょう。ここからは、手法別に資本提携のメリット・デメリットを解説します。

1.株式譲渡

株式譲渡は、手続きがシンプルなところがメリットです。
株式譲渡の場合、双方の合意のもと契約が締結され、対価の支払いや株式名簿の書き換えを行えば取引は完了します。

ただし、非上場会社の株式を譲り受ける場合、ほとんどの会社が譲渡制限をつけているため、対象株式発行会社からの承認が必要となる点は留意しておきましょう。

一方、株式譲渡のデメリットは、株式を保有する株主が分散している場合、買い集めに多くの時間を要することです。

特に売り手企業が中小企業の場合は元従業員や知人などの社外に広く分散しているケースもあり、株主の所在が不明となっていることもあります。

2.第三者割当増資

第三者割当増資は、既存の株式を買い集めるわけではなく、新しく発行された株式を引き受ける方法です。

手続きがシンプルかつ短期間に実行できるというメリットがあります。

また、初めは低い出資比率から提携を始め、双方提携の効果が出てきたと実感した段階で追加出資し、徐々に関係を強めていくこともできます。

デメリットは、支配権を獲得しようと思うと多額の資金を要するところです。時価総額の倍以上の投資が必要となるため、第三者割当増資により支配権を獲得するのは資金力のある会社に限られるでしょう。

株式譲渡の場合は基本的にまとまった株式を譲り受けることが多いため、支配権となる50%超の議決権を獲得することが多いですが、そもそも第三者割当増資では単独で50%超となる株式を割り当ててもらうことは実際のケースとしては少ないです。

また、既存株主にとっては株式の価値が希薄化するというデメリットがあります。発行済株式数が増えることにより、既存株主の利益と持株比率が減少することを指します。

そのため、第三者割当増資を実施する際は、既存株主には丁寧に実施する目的を説明する必要があります。

資本提携を行う際の注意点

資本提携を行う際の注意点

資本提携には、株式譲渡や第三者割当増資の手法がありますが、それぞれ手続きが異なるため、注意すべき点も異なります。ここからは、資本提携を行う際に注意したいポイントを確認していきましょう。

1.株式譲渡の場合

株式譲渡は、手続きがシンプルなことから多くの企業が使う手法ですが、株式譲渡を進めるうえで注意したいポイントは、次のようなものがあります。

・株主との譲渡契約に時間がかかる
・株式譲渡契約書において取り決めをしっかりおこなう

それぞれの項目を確認していきましょう。

株主との譲渡契約に時間がかかる

株式譲渡では、既に発行されている株式を譲渡してもらいます。この際、主に非上場会社の株式で、複数の株主から譲り受ける場合、株主ひとりひとりと譲渡契約を結ばなければいけないため、手続きに時間がかかってしまいます。

法的拘束力を伴う最終契約になるので株式を譲渡してもらう際に結べば、のちのトラブルを回避できるメリットがあります。ただし、株主が多い場合は譲渡契約に時間がかかることも多いです。時間がかかる可能性があることを踏まえて計画を立てるようにしましょう。

株式譲渡契約書において取り決めをしっかりおこなう

株式譲渡においてはまとまった株式が移動するケースが多いため、経営権が旧経営者から新経営者へ移動することも多くあります。

旧経営者から新経営者に対し、トラブルなく株式譲渡ができれば問題ありませんが、株式譲渡をする際の取り決めが不明確であったために、後日、トラブルになるケースも少なくありません。

株式譲渡契約書において、きちんと取り決めを行うことにより、トラブルを未然に防ぐようにしましょう。

独占禁止法に抵触する可能性もある

株式譲渡で多くの株式を得た場合、独占禁止法に抵触することがあります。独占禁止法は企業が守らなければいけない規則を定め、公正で自由な競争を行えるように規制する法律です。

特に同じ分野における企業間の取引の場合、独占禁止法に抵触する可能性があるので注意してビジネスを進めていかなければいけません。また議決権比率が20%あるいは50%を超える場合は、独占禁止法に基づく届け出が必要になるので注意しましょう。

2.第三者割当増資の場合

第三者割当増資で資本提携を進める場合、次のようなことに注意しましょう。

・株主に新株の発行目的を説明する
・有利発行を回避する価格設定にする
・有価証券届出書の提出が必要になる

第三者割当増資を進めるにあたり注意点を把握しておけば、よりスムーズに手続きを行えることも多いです。それぞれの項目を確認していきましょう。

株主に新株の発行目的を説明する

第三者割当増資は、株式譲渡とは異なり既存の株式を買い集める必要はありませんが、第三者割当増資は第三者に引き受けてもらうための新しい株式を発行するため、既存の株式の価値は希薄化されます。

そのため、既存の株主に向けて新株を発行する目的を説明する必要があります。会社法上の手続きに従って増資を実行するのは当然ですが、株主からの理解を得るためにも、丁寧に説明するようにしましょう。

有利発行を回避する価格設定にする

会社が第三者割当増資で新株を発行する場合、既存株主の不利になるような価格に設定しないように注意しなければいけません。特に上場会社は、日本証券業協会の指針により、価格は時価の9割以上に設定しなければいけません。

また、発行会社が非上場会社の場合、市場価格がないため、将来収益や類似の上場会社の各指標などを参考にして株価を算出することになります。

有価証券届出書の提出が必要になる

上場会社が第三者割当増資により資本提携を結ぶときは、有価証券届出書の提出が必要です。有価証券届出書は、総額1億円以上の新株を発行する場合に提出が義務付けられている書類のことをいいます。

有価証券届出書は、金融商品取引法に基づき内閣総理大臣に提出しなければいけません。上場企業が第三者割当増資を実施する場合は、有価証券届出書の提出が必要になることが多いので忘れずに行いましょう。

資本提携の事例8選

資本提携の事例8選

日本では、さまざまな分野で資本提携が行われています。資本提携の主な事例は、以下のとおりです。

1.ぐるなびと楽天の資本提携
2.高島屋と日本環境設計の資本提携
3.パラカと伊藤忠商事の資本提携
4.フィードフォースとハックルベリーの資本提携
5.ロート製薬とカフェ・カンパニーの資本提携
6.伊藤忠商事とLOOP JAPANの資本提携
7.UUUMとライバーの資本提携
8.フォーサイドと角川春樹事務所の資本提携

企業によって資本提携を行なった目的や経緯は異なります。どのような手法を選択して資本提携を進めるのか確認していきましょう。

1.ぐるなびと楽天の資本提携

2018年に飲食店情報を集めた「ぐるなび」を運営する株式会社ぐるなびと、楽天株式会社は資本提携を締結しました。資本提携の目的は、ポイントの連携や楽天会員のぐるなび予約推進があります。

楽天がぐるなびの株式の一部を取得する形で進められました。2019年には双方の強化を図るために、さらなる資本提携契約を結んでいます。

2.高島屋と日本環境設計の資本提携

2020年に百貨店を全国展開する株式会社高島屋と、リサイクル開発の仕組みを作る日本環境設計株式会社が資本提携を結びました。

提携の目的は持続可能な循環型ビジネスの構築であり、その分野で優れた独自技術を有する日本環境設計に目をつけたとのことです。

高島屋は技術開発にあたり、第三者割当増資により、日本環境設計の株式を取得しています。

3.パラカと伊藤忠商事の資本提携

2021年に駐車場事業や太陽光発電事業を行うパラカ株式会社と、伊藤忠商事株式会社が資本提携を締結しました。

パラカは運用資産の拡大を図っており、全国に3万車室以上の駐車場を運営して地域の交通基盤を整っています。

一方、伊藤忠商事はあらゆる分野において事業投資を行っている企業です。そんな伊藤忠商事は不動産事業の拡大強化に向け、パラカが持つ知識やノウハウを活用しながら協力関係を構築していくことを目的としています。

4.フィードフォースとハックルベリーの資本提携

2021年8月に企業の生産性を高めるサービスを提供する株式会社フィードフォースと、eコマースプラットフォームのShopifyアプリの開発・運営を行う株式会社ハックルベリーが資本提携を締結しました。

元々2021年5月に業務提携を締結していた両社ですが、今回の資本提携を通して双方の強みを活かしながら、両者のビジネスの発展を図ることを目的としています。

ハックルベリーが第三者割当増資を実施し、全株式をフィードフォースが引き受ました。

5.ロート製薬とカフェ・カンパニーの資本提携

医薬品や化粧品などの製造販売を行うロート製薬株式会社と、飲食店舗の企画運営や地域コミュニティの事業を運営するカフェ・カンパニー株式会社が資本提携を締結しました。

ロート製薬の機能性素材・生産技術力と、カフェ・カンパニーの食を通じたコミュニティ企画・店舗運営・商品開発力、食産業のネットワークを組み合わせることで、より一層、多くのお客様へ健康的な生活のサポートや、健やかで楽しくおいしい「食」を通じて社会貢献していく体制を強化することを目的としています。

ロート製薬がカフェ・カンパニーの株式を取得し、主要な株主となりました。

6.伊藤忠商事とLOOP JAPANの資本提携

あらゆる分野で幅広くビジネスを展開する伊藤忠商事株式会社と、循環型のショッピングプラットフォーム事業を運営するLOOP JAPAN合同会社が資本提携を締結しました。

資本提携を結んだのは、サステナブルな社会の実現を目指す双方の目的が一致したからです。より広範囲なお客様のニーズを満たすことはもちろん、持続可能な発展に向けた循環型社会の実現を目指し協力関係を築いています。

7.UUUMとライバーの資本提携

クリエイターやインフルエンサーなどのメディア事業を運営するUUUM株式会社と、同じ分野の事業を展開している株式会社ライバーが資本提携を締結しました。

今回の資本提携により双方の強みを活かしながら、クリエイターのサポートの拡大を目指し協力関係を構築していくことを目的としています。双方のクリエイターをコラボレーションさせるなど、価値を最大化させる施策も推進します。

8.フォーサイドと角川春樹事務所の資本提携

電子書籍等事業を展開するグループ企業の統括・管理を行う株式会社フォーサイドと、出版事業を行う株式会社角川春樹事務所が資本提携を締結しました。

フォーサイドは角川春樹事務所の知識やノウハウを活かし、角川春樹事務所はフォーサイドのシナジー効果で新事業の開拓を目指すことを目的としています。双方の目的が合致したことで契約締結に至っています。

まとめ

まとめ

ビジネスにおいて業務提携や資本提携は頻繁に行われています。ただ、それぞれの提携にはさまざまな契約形態があり、自社の目的にあうものを選ぶことが大切です。またメリットやデメリットも異なるため、正しい知識を身につけたうえで判断することが求められます。

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