第二会社方式とは?メリット・デメリットと事業再生を成功させる方法

公認会計士・税理士 山田武弥

会計士・税理士 山田武弥

有限責任監査法人トーマツ入所。金融業及び卸売業を中心とした各種業務の法定監査業務に携わる。 その後、大手税理士法人及びコンサルティング会社にて事業承継・事業再生・法人顧問業務に従事。 組織再編税制を活用した事業承継スキームの構築や株価対策、事業再生計画の立案やその後のモニタリング及び金融機関対応等に豊富な経験を有する。 山田武弥公認会計士・税理士事務所として独立後、相続・M&A大学に参画し、現在に至る。本記事の監修を務める。メンバーの詳細はこちら

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業績悪化による倒産を防ぐための方法の一つに「第二会社方式」があります。経営不振に陥っている企業でも第二会社方式を活用すれば、収益性の良い事業を新しい会社に移転して再スタートすることが可能です。

しかし、メリットばかりの手法ではないため、デメリットをどう克服していくかがポイントとなります。

ここでは第二会社方式のメリット・デメリットを紹介するとともに、事業再生を成功させるポイントを解説します。

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本記事のポイント

  1. 第二会社方式を利用したいと考えている方向けの記事です。
  2. 第二会社方式の概要や実現できることについて解説しています。
  3. 第二会社方式を用いて事業再生を成功させる方法についても紹介していますので、成功方法を知りたい方向けの記事にもなっています。

第二会社方式とは?

第二会社方式とは?

そもそも第二会社方式とはどういったもので、どのような場合に使用されるのでしょうか。まずは第二会社方式の意味と特徴をここでチェックしておきましょう。

第二会社方式の意味

第二会社方式とは、経営不振に陥っている企業から収益性の高い事業のみを他の会社(第二会社)に移転したうえで、不採算事業を旧会社に残した状態で法人格を消滅させる手法です。

複数の事業に取り組んでいる会社にとって、すべての事業を好調のまま維持し続けるのは大変です。一つの事業は好調でも、他の事業が赤字だと会社が抱える負債がどんどん膨らんでいき、取り返しのつかないことになることもあります。

そのような状況を避けるために有効なのが第二会社方式です。そのまま破産手続きをすると会社の事業が全て消滅してしまいますが、第二会社方式を実行すれば、好調な事業は他社に移転したうえで存続することが可能となります。

第二会社方式のメリット

第二会社方式のメリット

第二会社方式によって事業を再生することは、主に3つのメリットがあります。

優良事業のみを残せる

第二会社方式を利用すれば、収益性の高い優良事業だけを残し、赤字の状態が続いている不採算事業のみを切り離して事業再生できます。

破産手続きをすると採算が取れる黒字事業もすべて消滅してしまいますが、第二会社方式を採用することによって、優良事業は新しい会社での再スタートが可能です。赤字事業のみを切り捨てて会社を存続できる点は、優良事業の後継者にとって大きなメリットでしょう。

税務上の優位性がある

純粋な私的整理で直接債務免除がなされる場合、債務者は免除された債務を利益として取り扱わなければならないため、期限切れの繰越欠損金等が大半で使用できるものが少ない場合、過大な法人税負担が課されることになります。放棄する債権者側も寄附金税制の適用により放棄した債権額の大半が損金処理できないことが想定されます。

このように税負担は事業再生において大きなファクターになりますが、タックスプランニングを行ったうえで第二会社方式を利用すれば、既存の法人を特別清算等により消滅させることにより、債務免除益課税等を回避することが可能な場合があります。

また、第二会社方式により特別清算等を利用して協定型の清算手続きを行うことで、債権者にとってもより安全に放棄した債権額を税務上損金処理をすることができるため、債権者との交渉を比較的有利にすすめることが可能となります。

スポンサーの信用を得やすい

第二会社方式では優良事業の事業用資産・負債に限定して承継する会社に移転することができるため、手続実施後に生じた偶発債務や簿外債務などの想定外の不良債権リスクを遮断することが可能です。

また、前述の税務上の優位性もあるため、新会社の出資者からの協力を得やすい環境をスムーズに構築できます。

第二会社方式は優良事業の社会的価値がほとんど損なわれず、より良い状態で再スタートできるため、スポンサーの援助を得やすい方法と言えます。加えて、金融機関からの融資を受けられなくてもスポンサーの支援を得られれば、優良事業の運転資金も確保できるため、スキーム実施後の安定して優良事業を運営することができます。

第二会社方式のデメリット

第二会社方式のデメリット

第二会社方式はメリットばかりではありません。下記3つのデメリットも存在します。

許認可を再取得する必要がある

第二会社方式では新たな会社が事業を開始することになるため、事業運営のために必要な許認可は新会社で再度取得しなければならないケースが多いです。

そもそも許認可を再取得できる保証はありません。万が一取得できなかった場合は、事前に見込んでいた収益が得られなくなり、事業を再開できないリスクが発生します。

許認可が必要となる事業が第二会社方式を採用する際は、大きなデメリットが伴うことを事前にきちんと把握しておきましょう。

移転コストが発生する

第二会社方式で会社を新しく設立したり不動産の移転をしたりすると、不動産取得税や登録免許税が課税されます。第二会社方式には税務上の優位性があるとはいえ、不動産の設立・移転時には新たな税負担が発生するため注意しましょう。

経営が悪化している企業にとって、新たなコストが発生する事態は避けたいところ。事業再生をスムーズに進めていくためにも、税負担が重くなることを事前に考慮したうえで、財源を確保しておきましょう。

資金調達が難しい

第二会社方式で事業を継続するには、当面の資金を準備してから実行するのが望ましいです。その理由は、新しい会社が金融機関から融資を受けられる可能性が低いことが挙げられます。

運転資金を金融機関から調達しようとしても、旧会社で取引していた金融機関から融資を受けることは難しいでしょう。銀行は新会社と旧会社を同じ会社として見るため、融資には消極的です。

経営が悪化している企業にとって、金融機関から資金を調達するのは簡単なことではありません。スポンサー企業が付いていないと、厳しい状況に追い込まれてしまう可能性もあります。スポンサー企業からの支援がない状態で、運営資金を確保するのは難易度が非常に高くなります。

どのように資金を調達するか、新たな資金調達先を見つけられるかどうかが、第二会社方式を実行する場合の大きな課題です。

第二会社方式のスキーム

第二会社方式のスキーム

第二会社方式には「事業譲渡」と「会社分割」の2つのスキームがあります。どちらも似た形の手法ですが、税金面での優遇措置や手続きにかかる時間などが異なるため、目的に適した手法を選べるように、それぞれの特徴と違いをきちんと把握しておきましょう。

事業譲渡

事業譲渡は旧会社の中から残したい事業の資産や契約などを切り出し、第二会社へ譲渡するスキームです。それぞれの債権や債務を契約者と合意したうえで承継していくことになります。買い手企業は契約で明記された債務以外の簿外債務を引き継ぐ義務が無いのが、事業譲渡の大きなメリットです。

ただし、事業譲渡は売買にあたるため、売手・買手の双方に消費税が課せられます。また、税負担の軽減措置もありません。税金面での優遇が適用されないのは、事業譲渡の大きなデメリットでしょう。

事業譲渡は個別に契約や名義変更を行わなくてはならないため、引き継ぐ事業規模が大きいほど手続きも煩雑になります。

会社分割

会社分割とは、旧会社の中から残したい事業を切り出して、資産や負債を包括的に第二会社に承継するスキームです。事業譲渡とは異なり、会社分割は包括承継で個別の合意は不要なため、規模が大きくても事業譲渡ほど手続きに手間はかかりません。

ただし、事業運営上必要な契約の他、資産や負債もそのまま引き受けることになります。手続きは比較的簡易ですが、簿外債務まで承継してしまうのが会社分割の大きなデメリットです。

他方で会社分割は消費税が非課税となり、登録免許税や不動産取得税の軽減措置を受けられるメリットがあります。

第二会社方式のポイントと事業再生を成功させる方法

第二会社方式のポイントと事業再生を成功させる方法

第二会社方式にどのような問題点があるかを事前に把握したうえで適切な対策を打てば、事業再生を成功に導くことができます。

第二会社方式を実行する際にポイントとなるのは、以下の3つです。

事業譲渡と会社分割のどちらを採用するか

第二会社方式には事業譲渡と会社分割の2つのスキームが存在します。どちらの手法を採用するかは、会社にとって大きな問題になります。

会社分割の場合は包括承継になるため、譲渡時に消費税が生じないメリットがあります。その一方で、簿外債務が引き継がれてしまうため、不良債権リスクが高まるのです。

事業譲渡の場合、個別承継となるため税制面の優遇は得られませんが、簿外債務を引き継がずに済むメリットがあります。

事業譲渡と会社分割にはそれぞれメリット・デメリットがあり、どちらの手法が適しているかは事業の規模や事業再生の目的によって異なります。税負担や債権者の意向など、個別事情を考慮に入れてさまざまな側面から慎重に判断することが大切です。

産業競争力強化法を活用する

税負担や金融支援面でのデメリットを回避する手段として、『産業競争力強化法』を活用する方法があります。

産業競争力強化法は、企業の成長と産業競争を後押しする目的で2014年1月に施行された法律です。事業の発展段階によって各種支援策を行っており、これまで度々改正が行われています。

参考:経済産業省 産業競争力強化法

2018年の改正では、事業承継の促進、経営支援体制の基盤強化を行うための措置が施されました。この改正により、会社法の特例措置や税制上の措置、自社の株式を対価とするM&Aの解禁が行われています。

第二会社方式には許認可の面で引き継ぐことが保証されないリスクがありますが、産業競争力強化法を活用すれば、許認可を第二会社に引き継ぐことが可能です。また、会社設立時や不動産移転時の登録免許税や不動産取得税が軽減され、金融支援を受けられます。

新しい会社に課される費用面の負担やリスクを軽減するためにも、産業競争力強化法を積極的に活用しましょう。

専門家にスキーム策定に関与してもらう

第二会社方式の実行には、専門的な知識が求められます。会社分割か事業譲渡のどちらの手法で実行するかをご自身だけで判断しようとせず、専門家を含めて検討しましょう。

どちらの手法を選ぶかによって手続きにかかるコストや、発生しうるリスクに大きな違いが出るため、安易な判断は禁物です。専門家の力を借りることで、税務上のリスクや法的リスクを回避することが可能になります。

まとめ

まとめ

第二会社方式は、経営不振に陥っている企業の事業を再生する一つの手法です。収益性の良い事業だけを新しい会社に移転できるため、効率の良い事業再生が可能となります。

しかし、デメリットが全くないわけではありません。移転コストが発生し、資金繰りが困難になりやすいといった問題があるため、正しい知識を持って実行することが極めて大切です。第二会社方式のメリット・デメリットを踏まえたうえで、適切な対策を取りましょう。

事業再生を成功させるには、専門家の力が欠かせません。第二会社方式による事業再生スキームの実績がある専門家の力を借りながら、スムーズな事業再生を実現しましょう。

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