マイクロM&Aとは?メリット・デメリットを解説

山下正太郎

メガバンクに入行し、M&Aを含む各種ファイナンス業務に従事した後、大手M&Aブティックに入社。中小企業の事業承継問題に対するソリューションとしてのM&A取引を推進。その後、上場企業および大手コンサルティング会社の企画部門にて投資責任者を歴任。キャリアを通じて多数のM&A案件の成約に携わった他、PMI担当として買収先とのスムーズな経営承継を実現した経験を多数持つ。

この記事は約8分で読めます。

マイクロM&Aとは規模が小さいM&Aのことをさします。小規模であるがゆえのメリットも多く、個人で実施するケースやベンチャー企業による実例もあります。

この記事では、マイクロM&Aを検討している方向けに、どのような企業や人が実施しているのかを解説します。マイクロM&Aを行うことで得られるメリットを買い手側と売り手側の双方から紹介し、また、実施する際の注意点も紹介していますのでぜひご覧ください。

  目次  【閉じる】

相談先を迷っている方はM&A DXへ!
資料ダウンロード
M&A DXのメルマガ登録する
セカンド オピニオン

本記事のポイント

  1. マイクロM&Aを実施したいと考えている方向けの記事です。
  2. マイクロM&Aの実例も紹介しつつ、どのような企業や人が実施するのか丁寧に解説しています。
  3. マイクロM&Aのメリットや進めていくうえで注意したいことについても紹介していますので、小規模のM&Aに興味をお持ちの方は手続きを進める前にぜひお読みください。

マイクロM&Aとは?

マイクロM&Aとは?

マイクロM&Aとは、一般的には 売却価格が1,000万円以下のM&Aのことです(※)。

※参照元:マイクロM&Aとは?

スモールM&Aとの違い

スモールM&Aも、その名の通り小規模のM&Aです(※)。しかし、マイクロM&Aよりは大きく、一般的には売却価格が10億円以下のM&A案件を指します。

M&Aを一般のM&AとスモールM&Aの2つに分ける場合もあり、その場合は1,000万円以下の案件もスモールM&Aと分類されます。

※参照元:スモールM&Aとは?

マイクロM&Aの事例紹介

例えば、年間利益300万円ほどのカフェが850万円の案件としてM&A市場に出回ったり、年間利益240万円ほどの認可外保育施設が500万円の案件として取引されたりすることがあります。

また、一般のM&Aと同様に売却価格とは別に費用が発生する場合があります。例えば賃貸物件へ入居するなどして営まれている事業のM&Aを行う場合には敷金や保証金等が請求されることもあるでしょう。

マイクロM&Aを実施する企業や人とは?

マイクロM&Aを実施する企業や人とは?

どのような企業や人がマイクロM&A(売却)を実施するのでしょうか。よくある例を5つ紹介します。

事業継承者がいない個人事業主、小規模企業

個人事業主や小規模企業では事業継承者がいないという問題を抱えることがあります。事業を軌道に乗せたのに、年齢的にいつまでもは働けない、でも継承する人材がいないというケースでは、事業の売却も選択肢の一つとなります。M&Aに成功するならば、従業員の雇用や取引先との関係性の維持が可能であり、売却金額によっては老後資金として活用することもできる可能性があります。

また、他の事業に本腰を入れたい、あるいは本業の片手間で始めた仕事なのに忙しくなり過ぎてしまったなどの場合も、事業継承者を探す場合があるでしょう。事業ごと売却してしまえば、後継者を育てるより短い期間で経営を承継することが可能です。

経営状態が良くない小規模企業

事業の着眼点は良いと思うのに経営状態が良くないときは、優秀な経営者に経営を任せるほうが良いかもしれません。また、あと一歩踏み込めば経営状態が良くなる見込みがある場合でも事業に割く時間がないケースや、資金的余裕がないケースもあるでしょう。そのような場合も、買収したい企業や人に買い取ってもらうことで、事業を残し発展させることができます。

事業を早く軌道に乗せたい起業家

事業が軌道に乗るにはある程度の時間がかかります。取引先を開拓し、仕入れのルートを見つけ、様々な手法で広告して顧客を確保するとなると、早くても数か月、場合によっては数年以上もの時間がかかることになるでしょう。

すでに軌道に乗った事業を運営したい起業家なら、新規に事業を打ち立てるよりも、取引先や仕入れルートの開拓が終わり、ある程度の知名度を持つ既存企業をM&Aするほうが早道です。既存企業のマイクロM&Aならば、少ないコストで手早く事業を開始できるでしょう。

ベンチャー企業

資金調達の目的としてIPOを目指すベンチャー企業もありますが、IPOを実施するには事業年数や純資産、利益額などと、条件が厳しく起業後すぐに上場ということは現実的ではありません。

しかし、M&Aならば買い手さえつけば即実現可能です。マイクロM&A水準の小企業であっても、シナジー効果を期待できる企業が買い手となれば、事業の急速な成長が見込めるでしょう。

シリアルアントレプレナー

起業して会社を成長させて売却し、その資金で次のベンチャーを育てることを連続して行っている人を「シリアルアントレプレナー」といいます(※)。会社が大きく成長するまで待たないため、マイクロM&Aの規模で売却することも少なくありません。

M&A DXのサービスはこちら
相談先を迷っている方はM&A DXへ!
資料ダウンロード
M&A DXのメルマガ登録する
セカンド オピニオン

マイクロM&Aの5つのメリット

マイクロM&Aの5つのメリット

マイクロM&Aを実施することには次の5つのメリットがあります。

規模が小さいので実施しやすい

スモールM&Aの定義が10億円以下の取引であることからも分かるように、M&Aは本来大きなお金が動く巨大な取引です。しかし、マイクロM&Aならば売上1,000万円以下の規模なので、中小企業や個人など幅広い方が実現可能です。

事業継続が難しいときの選択肢になる

家庭の事情や年齢、他事業に時間を使いたいときなど、様々な事情で事業継続が難しくなることがあります。法務局に廃業届を出せば事業を止めることはできますが、経済的なメリットはありません。

しかし、M&Aならば事業を売却する対価として利益を得られます。また、規模の小さなマイクロM&Aならば、買い手候補も多いため、短期間でM&Aが成立することも期待できるでしょう。

事業基盤を引き継げるので起業しやすい

買い手の立場としても、マイクロM&Aには魅力があります。その中でも事業基盤を引き継げるのはM&Aならではのメリットと言えます。

運営に携わったことがあっても起業経験はないという方でも、すでに軌道に乗っている企業ならば経営しやすいでしょう。起業はしたいが最初の手続きや軌道に乗せるまでの過程を省略したいという方にも、マイクロM&Aが適しています。

事業の成長を加速することができる

事業を買収する際には、デューデリジェンスを行い、買収先企業の経営状態や財務事情などをすべて把握してから取引を進めることになります。買収して事業を開始する前に問題点や改善点が粗方分かっているので、事業成長を加速することもできるでしょう。

個人でも事業を始めやすい

個人が事業をはじめる場合も、起業するよりマイクロM&Aを行ったほうが費用も少なく、すぐに安定した経営ができるケースもあります。また、取引先や顧客の開拓も一からしなくても良いため、副業として手掛けることもできます。

マイクロM&Aの3つのデメリット

マイクロM&Aの3つのデメリット

手軽なイメージのあるマイクロM&Aですが注意点もあります。マイクロM&Aのデメリットについて見ていきましょう。

大規模M&Aと手続きは変わらない

M&Aの契約手続きは、買収先の企業の大きさとは無関係です。大企業のM&AもマイクロM&Aもどちらもほぼ同じ手順で契約を進めていくため、思ったよりも手間がかかると感じるケースもあるでしょう。

買収先の調査に手間がかかる

M&Aを行う際には買収先企業の財務状況や法務状況を詳しく調査するデューデリジェンスを実施します。M&Aの規模が大きくても小さくても、デューデリジェンスを実施した方が良いこと自体に変わりはありません。

しかし、マイクロM&Aの場合は、企業が小さい分、調査内容が大企業よりは多岐にわたらず、比較的短期間で完了することもあります。もちろん企業規模に関係なくデューデリジェンスに手を抜くのは危険ですが、取引先や仕入れ先が少なく、借入等も少ない傾向にあるため、調査する内容が減るのはマイクロM&Aならではの特徴といえるでしょう。

M&A後のプランを綿密に立てる必要がある

M&Aによって事業を売却する場合も、売却後にどうするのかプランを綿密に立てる必要があります。売却後も引き続き事業に関わっていく場合は今後どのように関わるのか交渉前に決めておきましょう。

また、買収する側も、単に買収するだけでは利益は得られません。M&Aにかかった費用以上に事業から利益を上げるために、どのように運営していくのか細かくプランを立てておきましょう。

属人性が高いケースがある

利益が上昇している事業を買収すれば、買収後も同程度の利益が得られるというわけではありません。例えば大将がやっている居酒屋やラーメン屋さんなどは、大将の人柄や味を求めて顧客がついているのであって、大将が変わってしまえば売上が著しく落ちる可能性があります。

大将の人柄や味を引き継ぐのは非常に困難なので、ほぼゼロベースから始める覚悟で事業を進めていかなくてはなりません。M&Aを実施する前に利益の源泉についても細かく分析し、どのように自分の持ち味を出していけるのか具体的なプランを立てておきましょう。

まとめ

まとめ

M&Aを行うことで、売り手側にとっては事業継承によって今後も事業を継続、ひいては発展させることができる可能性が高まり、買い手側にとっては起業する際の手間を減らし、かつ事業を引き継ぐため軌道に乗せやすくなります。マイクロM&Aは規模が小さいので、初めてM&Aを行う方にも手掛けやすいでしょう。

M&A DXでは、大手会計系M&Aファーム出身の公認会計士や金融機関等出身の専門家が、豊富なサービスラインに基づき、最適な事業承継をサポートしております。事業承継でお悩みの方は、まずはお気軽にM&A DXの無料相談をご活用下さい。

株式会社M&A DXについて

M&A DXのM&Aサービスでは、大手会計系M&Aファーム出身の公認会計士、 M&A経験豊富な金融機関出身者や弁護士が、豊富なサービスラインに基づき、最適なM&Aをサポートしております。セカンドオピニオンサービスも提供しておりますので、M&Aでお悩みの方は、お気軽にM&A DXの無料相談をご活用下さい。 無料相談はお電話またはWebより随時お受けしておりますので、M&Aをご検討の際はどうぞお気軽にお問い合わせください。


相談先を迷っている方はM&A DXへ!
資料ダウンロード
M&A DXのメルマガ登録する
セカンド オピニオン

SHARE

M&Aセカンドオピニオン

セカンドオピニオンとは、M&Aを検討する中で生じる不安や迷い・懸念を第三者視点で全体を俯瞰しながら、個々の状況に寄り添ってアドバイスするサービスです。
こんなお悩みの方におすすめです。

✓ M&A業者が進めるスキームで適切なのか知りたい
✓ M&A業者と契約したが連絡が途絶えがちで不安だ
✓ 相手から提示された株価が妥当なものか疑問に感じる
✓ 契約書に問題がないか確認したい
✓ M&A業者が頼りなく感じる

どんな細かいことでも、ぜひ【M&A DXセカンドオピニオンサービス】にご相談ください。
漠然とした不安や疑問を解消できます。

無料会員登録

会員の皆様向けに週1回、M&A・事業承継・相続に関わるお役立ち記事、動画などをお知らせするメールマガジンを配信させていただきます。
お役立ち記事はこちらからピックアップしてお届けいたします。
動画はM&A DXチャンネルからピックアップしてお届けします。
配信を希望される方はメールアドレスをご登録の上、お申し込みください。登録料は無料です。

LINE登録

LINE友達登録で、M&A・事業承継・相続に関わることを気軽に専門家に相談できます。
その他にも、友達の皆様向けに、動画などをお知らせするメールマガジンを配信させていただきます。
相談を希望される方は、ぜひお気軽にLINE友達登録へお申し込みください。

M&A用語集

M&A DX用語集では、M&Aに関する専門用語についての意味や内容についてご紹介しております。
M&Aや事業承継は英語を使うケースが多く、初めて聞くと意味が分からないまま会話が進み、後で急いで意味を調べるような経験がある方もいらっしゃると思います。M&Aの用語に関しては、一度理解してしまえばその後の会話で使えるようになるため、辞書代わりにご利用下さい。
※会計士の当社代表牧田が、動画で解説している用語もあります。

まんがでわかる事業承継

すべての人を幸せにするM&Aを、まんがでわかりやすく解説します。
「事業承継は乗っ取りではないのか?」と不安に思う社長に対し、友好的事業承継のコンセプトをわかりやすく解説します。

~あらすじ~
社長は悩んでいた。
創業して40年、生涯かけて取り組んだ技術も途絶えてしまうことに。
何より、社員を裏切る訳にもいかない…

そんな折、真っ直ぐな瞳の男が社長を訪ねてきた。
内に秘めた熱い心を持つ彼は、会計士でもある。
「いかがなさいましたか?」
この青年が声をかけたことにより、社長の運命が劇的に変わっていく。

資料請求

あなたの会社が【M&Aで売れる会社になるための秘訣】を徹底解説した資料を無料で提供しております。
下記のお悩みをお持ちの方は一読ください。

✓ M&Aを検討するための参考にしたい
✓ 売れる会社になるための足りない部分が知りたい
✓ 買手企業が高く買ってくれる評価基準が知りたい

【売れる会社になるためのコツを徹底解説】一部ご紹介します。

✓ 解説 1 定性的ポイント

業種、人材、マネジメント体制などの6つの焦点

✓ 解説 2 定量的ポイント

財務的に価値がある会社かどうか、BS・PLの評価基準

✓ 解説 3 総合的リスト

売れる会社と売れない会社を表にまとめて解説

詳細は無料ダウンロード資料「M&Aで売れる会社と売れない会社の違い」にてご確認ください。