中小企業庁が定める事業承継とは?ガイドラインの要約や税制を解説!

公認会計士 加藤大典

会計士 加藤大典

大手自動車メーカーに入社、生産技術部にて製造工程設計業務に携わる。 その後、デロイトトーマツコンサルティングに入社し、組織再編により有限責任監査法人トーマツのアドバイザリー部門に異動。 製造業の法定監査業務及びIFRS導入支援、組織再編支援、事業再生支援、内部統制構築支援、決算早期化支援、経営管理体制強化支援等の様々なプロジェクトに従事。本記事の監修を務める。メンバーの詳細はこちら

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中小企業における事業承継では、ガイドラインが定められています。それが中小企業庁から出された「事業承継ガイドライン」です。さらにガイドラインに対応した「事業承継マニュアル」も発行されています。どちらも丁寧な解説がついて、非常に便利ですが、全てに目を通すことは、なかなか大変な作業です。そこで今回は、ガイドラインやマニュアルの内容を簡単に解説します。

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本記事のポイント

  1. 中小企業庁が定める事業承継ガイドラインを、手短に知りたい方向けの記事です。
  2. 事業承継ガイドラインにおいて、鍵となるポイントをピックアップし解説しています。
  3. 事業承継は、ある程度マニュアルに沿って進めるとスムーズにおこなえる点がポイントです。

中小企業庁が定める事業承継のガイドラインについて

中小企業庁が定める事業承継のガイドラインについて

中小企業庁が策定した「事業承継ガイドライン」には、全98ページに及んで、事業承継における、さまざまな内容が記されています。では、どのような目的や背景をもとに、事業承継ガイドラインが作られたのでしょうか。ガイドラインの中身について触れる前に、ここではガイドラインが生まれた背景や目的、概要を解説します。

ガイドラインが作られた背景

中小企業庁が「事業承継ガイドライン」を策定した背景には、日本の高齢化問題があります。中小企業における経営者の高齢化に伴い、より円滑に次世代へ会社を引き継げるよう、このガイドラインは作られました。

ガイドラインを定めることの目的は、中小企業がこれまでに培ってきた技術やノウハウを、よりスムーズに次世代へ伝えること。そして、中小企業を活性化させることです。

ガイドラインの概要とは?

98ページのガイドラインは、大きく分けて以下3つの内容が記されています。

・事業承継を早期から計画的に進めることの大切さについて
・事業承継を進めるための手順について
・事業承継をおこなう企業への支援体制について

要するに、「早めに事業承継することがなぜ大切で、そのために何をしなければならないのか、どんな支援があるのか」が全てまとめてあるということです。

中小企業庁が作る事業承継のマニュアル

中小企業庁が作る事業承継のマニュアル

中小企業庁はガイドラインを定めるとともに、それに対応したマニュアルも作成しています。それが「経営者のための事業承継マニュアル」です。このマニュアルには、事業承継を行うまでの手順や成功するために欠かせないアクション、中小企業庁から受けられる支援について記されています。それぞれの内容を簡単に解説するので、参考にしてください。

事業承継までの手順を解説

「経営者のための事業承継マニュアル」の第1章で書かれているのは、事業承継に関するアウトラインです。そのひとつが、事業承継を実行するまでの手順。マニュアルには以下5つのステップに分けて、説明されています。

ステップ1.準備の必要性を認識する
ステップ2.経営状態の確認
ステップ3.経営課題の改善(磨き上げ)
ステップ4.事業承継計画の策定または、マッチングの実施
ステップ5.事業承継またはM&Aの実行

ステップ4では、親族内や従業員へ承継する場合は「事業承継計画の策定」を行い、社外へ引き継ぐ場合には「マッチング」を実施します。さらにステップ5でも同じく、前者の場合は「事業承継」、後者の場合は「M&A」を実施します。

成功するために必要なアクション

マニュアルの第3章では、事業承継を成功させるために行わなければならない「アクション」が書かれています。具体的には、以下のような内容が記されています。

・後継者の選び方や教育方法
・M&Aによる事業承継方法
・経営権を分散させないための対策
・税金の負担を軽減する方法
・事業承継の際、用意しなければならないお金
・債務整理や個人保証への対応策

マニュアルは、フローチャート形式となっているので、自身が置かれた状況や知りたい内容に沿った解決策を得られるでしょう。

中小企業庁の支援体制について

第4章では、中小企業が事業承継を行う場合、受けられる支援について記載されています。事業承継に不安を感じる経営者が、専門的なアドバイスを受けられる「支援機関」を紹介しています。支援機関は、税理士や弁護士、公認会計士、中小企業診断士など。相談内容に応じて、さまざまな専門家からアドバイスを受けることができるのでおすすめです。

中小企業庁が定める事業承継税制について知ろう

中小企業庁が定める事業承継税制について知ろう

中小企業の経営者が、事業を承継する場合「税制」についても事前に把握しておかなければならないでしょう。事業承継税制とは「経営承継円滑化法」に則って、都道府県知事より認定を受けた場合に、贈与税や相続税の納税が猶予される制度のことです。法人の場合と個人の場合とでは、制度の内容が異なるため、以下でそれぞれについて解説します。

出典:事業承継税制とは

法人の場合の税制

事業承継の税制は、平成30年に大きく改定されました。大きな変更点としては、従来、定められていた一般措置と別に「特例措置」ができたことです。5年以内に特例承継計画を提出することで受けられる特例措置。これによって、10年以内の贈与・相続税の納税が猶予されます。

一般措置の対象株数は総株式数の最大3分の2でしたが、特例措置の場合、全株式が対象です。また猶予される割合も、以前は相続税のみ80%であったところ、特例措置では贈与・相続どちらの税金も100%猶予されます。

個人の場合の税制

令和元年より、個人事業者へ向けた「個人版事業承継税制」がスタートしました。こちらも「個人事業承継計画」をはじめとした、必要書類を提出することで申請できます。申請する場合は、以下の書類を用意しましょう。

● 認定経営革新等支援機関の認定を受けた証明書類
● 個人事業承継者が3年以上、事業に従事していたことの証明書類
● 性風俗関連特殊営業に該当しない旨の誓約書

各種書類の雛形などはコチラからダウンロードできるので、まずは一度、目を通しておきましょう。

中小企業庁からもらえる事業承継の補助金って?

中小企業庁からもらえる事業承継の補助金って?

中小企業の経営者が事業を承継することを推し進めるべく、中小企業庁は補助金を出す体制も整えました。申請することで、事業承継の取り組みに要する経費の一部が補助されます。

中小企業が受け取れる補助金は、経営革新、専門家活用の2つの「支援類型」によって変わります。それぞれの内容は、以下を参考にしてください。

経営革新型でもらえる補助金

経営革新型とM&A型は、事業承継・事業再編・事業統合を契機として行われる新たな取り組みや、廃業する場合の費用の補助を目的に支給される、補助金です。

経営革新型の場合、補助率は2/3、補助の上限額400~800万円までと定められています。さらに廃業を伴う場合は「上乗せ額」として、プラス200万円受け取ることができます。

専門家活用型でもらえる補助金

事業を引き継ぐ際「士業」などの専門分野における活動費用への補助を受ける場合は「専門家活用型」に分類されます。この場合の補助率等は、経営者交代型と同様。補助率は2/3、上限額は400万円、廃業時の上乗せ額は200万円です。専門家活用型の場合は、事業を譲渡する側と譲受する側、どちらの費用も補助されます。

中小企業庁が行う「中小M&A推進計画」とは?

中小企業庁が行う「中小M&A推進計画」とは?

中小企業庁は、これまでに説明したガイドラインやマニュアル、補助金などの策定に加わえ、2021年より新たな計画を実施しています。それが「中小企業M&A推進計画」です。4月よりスタートした本計画は、経営資源を未来につなげていくことを目的としています。計画の具体的な趣旨やポイントについて、以下で解説します。

中小M&A推進計画の趣旨

前述したとおり「中小M&A推進計画」の目的は、経営資源を未来へつなぐこと。経営者の高齢化や感染症の蔓延など、日本全体の課題に対応すべく定められた計画です。中小企業の経営資源が散らばってしまうことを防ぎつつ事業を再構築したのち、生産性を上げるため策定されました。次では本計画の主なポイントを解説します。

中小M&A推進計画のポイント

4つのポイントを押さえることで、中小M&A推進計画の全容が把握できます。

・中小M&Aの意義
・小規模または、超小規模M&Aの円滑化
・大規模または、中規模なM&Aの円滑化
・中小M&Aにおける基盤の構築

本計画では、中小規模のM&Aを行う意義を広く認識させる一方で、潜在的な譲渡者を拡大させる試みを行います。そのうえで、新たな補助体制や企業価値を正しく測るためのツールを提供するなどし、支援します。超小規模から大規模まで、あらゆる規模のM&Aを円滑に実施するために策定されました。

まとめ

まとめ

中小企業庁が定める事業承継のガイドラインやマニュアルを解説しました。現在日本では、経営者の高齢化は、深刻化しています。経営者にとって、事業を次世代に任せるのは大きな決断でしょう。しかし、経営資源やこれまで培ってきたノウハウを、次世代へしっかりと残すためには、早期から行動を起こすことが肝心です。

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