M&Aの失敗事例15選
名の知れた日本の大企業も、これまで幾度となくM&Aを実施しては失敗をしてきたといわれています。それぞれのケースにおいて、どのような状況でどのような失敗があったのか見ていきましょう。これから挙げる失敗例から多くの気づきを得て、M&Aを成功へと導くヒントにしてください。
【事例1】東芝
まずは、M&Aが成立した後に、売り手側の業績がM&Aの成立時に立てていた事業計画から大幅に悪化した事例をご紹介しましょう。買収を行う際、買い手側は売り手側の中長期的な事業計画を精査したうえで買収対価を提示します。精査した事業計画の期間内に、外部環境やトレンドの変化などにより、企業の業績が急激に悪くなることがあります。
2006年に東芝は、アメリカの原発大手ウェスチングハウス相手にM&Aを実施しました。しかし2011年に発生した東日本大震災の影響により、原発の安全性に対して疑問を抱く風潮が世界的に強まりました。このことから、当初想定よりもはるかに売上が下振れてしまったという失敗事例です。
東芝は3,300億円ののれん代を計上していましたが、2,600億円もの減損損失が生じることになりました。
【事例2】丸紅
続いては、M&Aによるカントリーリスクを過少評価していた事例です。海外進出している企業などにおいては、注意しておきたい事例といえます。
日本の大手商社丸紅は、事業拡大を図るため、2012年にアメリカの穀物大手ガビロンを買収しました。当時の買収金額は、約2,880億円です。
当時、丸紅は大豆の中国向け輸出でトップシェアを占めていましたが、丸紅による同社の買収により中国市場における寡占化を中国政府より警戒された結果、中国市場でのビジネスを当初想定よりも制限されることになりました。
これにより、丸紅はこのM&Aによる効果を発揮できなくなりました。その結果、ガビロン買収にかかるのれん代約500億円の損失を出すことになりました。
【事例3】キリン
続いても海外の企業とのM&Aに失敗したという事例をご紹介します。
2011年当時、大手飲料メーカーのキリンは、国内市場の縮小に伴う売上減少に直面していました。国外へ市場を求めたキリンは、ブラジルビール大手のスキンカリオールに白羽の矢を立てます。買収金額は約3,000億円でした。しかしM&A実施後、当初の予想に反してブラジルの景気が低迷し、2015年には減損損失1,100億円を計上しています。
世界における業界環境の精査や外部環境およびトレンドの把握が不十分であったことが失敗を招いた事例といえるでしょう。
【事例4】第一三共
次に、デューデリジェンス(DD)が不十分であったことにより、トラブルを回避できずM&Aの失敗につながったという事例をご紹介します。大手製薬会社の第一三共の例です。
2008年、第一三共はインドの後発医薬品メーカーであるランバクシーを買収します。買収額は当時の為替レートで約4,900億円であり、大規模M&Aとして注目を浴びていました。しかし、結果としては買収した期である2009年3月期にランバクシー関連で3500億円以上もの特別損失を計上しました。当該買収はTOBにより進められたのですが、そのTOB期間中に米国FDAより、抗生物質の取り扱いや製造器具の洗浄状況、生産管理、品質管理などに関する記録の保存について問題が改善されていないとして、30種以上の医薬品の米国への輸入を禁止する措置を取られたことが主な原因です。この結果、株価が買収価格より70%近く下落し、特別損失の計上を余儀なくされました。
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元株主がFDAの調査に関する情報を隠蔽していたとされており、DDが不十分であった事例でよく取り上げられる。
M&Aでは、売り手側の財務状況やコンプライアンス等を調査するDDが大変重要なプロセスです。DDが十分に実施されていない場合、このような失敗につながることがあります。
【事例5】ウォルマート
続いては、資金を投入するタイミングを誤ったために失敗に終わった事例をご紹介します。アメリカの小売大手ウォルマートは、当時業績不振で苦しんでいた西友と2002年に資本業務提携を行いましたが、その後も業績は改善しませんでした。こうした状況下、ウォルマートは2008年に約1000億円を追加投入して西友を完全子会社にしました。最終的にウォルマートの投資額は、2,500億円近くになっていたとのことです。
追加投資による完全子会社化を行っていることから、ウォルマートは再建への見通しをある程度持った上で完全子会社化を行ったものと考えられますが、2002年の資本業務提携時に完全子会社していれば対価はより少額で済んでいたといわれています。
【事例6】マイクロソフト
2014年、アメリカのマイクロソフトは、フィンランドの通信インフラベンダー、ノキアのデバイス事業を買収しました。ノキアは、従来型の携帯電話の時代には世界トップのシェアを誇ったメーカーです。当時の買収額は約72億ドルでした。
このころマイクロソフトは、スマートフォン事業ではAppleやGoogleに大きく遅れを取っていたため、この買収でスマートフォンへの対応を加速させようとします。しかしマイクロソフトは、この後もスマートフォン事業の遅れを取り戻すことはできませんでした。
翌年の2015年にはCEOも変わり、元ノキアの従業員を大量にリストラしたうえに、約76億ドルの減損損失を計上する結果となります。
Windows10が発表されてからは、Windows Mobile自体も終了となりました。M&Aを実施したものの業績の向上につながらず失敗した事例です。
【事例7】パナソニック
大手家電メーカーのパナソニックは、2009年に三洋電機を子会社化しました。買収額は4,000億円です。パナソニックの狙いは、三洋電機のもつ太陽電池やリチウムイオン電池事業でした。三洋電機の買収により、太陽電池とリチウムイオン電池事業で世界の上位に立つことを狙っていたのです。
このM&Aが成功すれば、年間売上高11兆円を超える国内最大手の電機メーカーが誕生するはずでした。しかし、子会社化したあとも業績は思うように振るわず、パナソニックは2011年には追加投資を行い、三洋電機は完全子会社化されました。総投資額は、約8,000億円とされています。しかし、事業環境が大きく変わったことから、2011年度、2012年度とあわせ総額約5,000億円の減損損失を計上した。
【事例8】富士通
続いては、業績悪化が招いた富士通のM&A失敗の事例をご紹介します。1990年、総合エレクトロニクスメーカーの富士通は、以前から業務提携をしていたイギリスの国策IT企業ICLを買収し子会社化しました。買収額は1,890億円です。
富士通はそのころ欧州エリアへの展開の加速を考えていた一方、ICLは資金調達の面で苦境を強いられていました。富士通はICLを足掛かりにすることにより、欧州エリアへの展開を図ろうとM&Aを仕掛けたといわれています。
買収によって富士通は電算機分野で世界2位となり、業績も好調と思われていました。1998年にはICLは富士通の完全子会社化となりましたが、その後の業績は悪化の一途をたどり、2007年3月期の個別決算では、2,900億円の評価損を計上しています。
【事例9】古河電工
2001年に、電線大手の古河電工は、アメリカで光ファイバー事業を展開するルーセント・テクノロジーを買収します。当時のレートで2,800億円という巨額M&Aです。その結果、古賀電工はさまざまな先進技術を手に入れ、ファイバー業界において世界2位まで上り詰めることができました。
業績好調でM&Aも成功したように見えた古河電工のファイバー事業でしたが、ITバブル崩壊の影響により売り上げがピーク時の5分の1にまで減少してしまいます。2004年3月期には、約1,000億円の評価損を計上することになりました。
【事例10】日立
2002年、日立は、世界市場で勝つための基盤作りをするべくアメリカのIBM社からハードディスク事業を買収しました。買収額は約20億ドルです。当時、売上高や市場シェアでは、日立はIBMに劣っていたので、このM&Aは日立が攻めに出たものと世間では評されました。
しかし、買収の前後からハードディスクの価格破壊が進み、毎年100億円規模もの赤字を出すことになります。
その後、同事業を、同じくハードディスク事業を展開するアメリカのウェスタン・デジタルに約48億ドルで売却しました。この間、9年間の累積赤字や工場などへの追加投資を含めて考えると、採算割れをしている可能性が高いといわれている失敗事例です。
【事例11】三菱地所
1989年、三菱地所は、NYマンハッタンのロックフェラーセンターを買収しました。当時の買収額は2,200億円です。
これはバブル景気によく見られた、日本企業が海外資産を買収するという例のひとつといえます。このM&Aは、当時アメリカ国民とニューヨーク市民の大きな反感を買いました。
その後のバブル崩壊により、莫大な負債を抱えた運営会社は1995年に破綻します。三菱地所は買収した物件の大半を放棄した結果、1,500億円の損失を計上することになりました。
1989年は日本のバブル経済の絶頂でもあり、いわゆるジャパンマネーが猛威をふるった時代でもあります。しかし、翌年からバブルの崩壊が始まったため、このような失敗事例が数多く生まれてしまいました。
【事例12】NTTコミュニケーションズ
NTTコミュニケーションズは、アメリカでインターネットサービスプロバイダ(ISP)・ホスティングサーバ提供事業を行うベリオを2000年に約6,000億円で買収しました。
NTTグループは、このM&Aで悲願であった海外進出を果たしましたが、その一方で業績は悪化していきます。そして、わずか1年後の2001年9月の中間期で5,000億円の減損損失を計上することとなりました。
【事例13】HOYA
光学ガラス最大手のHOYAは2007年に、カメラ・医療機器のペンタックスを1,000億円で買収し子会社化します。この買収に至るまでには紆余曲折ありました。
最初は合併による経営統合で合意をしていた両社でしたが、その後ペンタックス側が合併比率に難色を示し、合併の撤回を宣言するとともに合併を推進していた当時の社長の交代が行われたのです。
その後、吸収合併しますが業績は上がらず、2009年の3月連結決算では304億円の減損損失を計上し、2011年にデジタルカメラ事業はリコーに売却されました。このような混乱に陥った最大の原因は、ペンタックス側の取締役会が機能していなかったからだといわれています。主要株主と役員の意思が統一されていないことによる失敗事例です。
【事例14】新生銀行
2004年に新生銀行は、信販会社であるアプラスの財務状況の悪化を受けてアプラスのスポンサーになります。新生銀行は第三者割当増資を引き受け、350億円でアプラスの普通株式の67%を取得、また、アプラスのメインバンクであったUFJ銀行から300億円で優先株式を取得しました。
その後も新生銀行は優先株式を受け、業績の改善に努めていましたが、過払い金訴訟の影響を受け、業績は悪化します。
これは、2010年の法改正以前に借金をしていた人や借金返済中の人が過払い金請求をすることで、お金が戻ってきたり借金を減らしたりできるというものです。結果として、1,010億円の減損損失を計上する結果となりました。
【事例15】LIXIL
LIXILは2013年にドイツの水栓器具大手のグローエを約4,000億円で買収しました。しかしその後、グローエの傘下であった中国系の子会社ジョウユウで不正会計が発覚したため、グローエは破産手続に入ることになります。この結果LIXILは、ジョウユウの株式薄価・債務保証の負担を強いられ、660億円の損失を計上することとなりました。
この事例は、グローエがドイツだけでなく中国にも子会社をもっている多国籍企業であったことがポイントです。こういった企業を買収することに対するリスク認識とDDの甘さが、M&Aの失敗を引き起こしたといえるでしょう。
M&Aの失敗とは一体?
M&Aは、事業の強化や拡大などを目的とするものです。端的にいえば、「その目的が果たせれば成功」「果たせなければ失敗」といえるでしょう。ここでは、具体的にどのようなことが起これば失敗だといえるのか、考えられる3つのケースについて詳しく解説します。
損失が発生してしまう
M&Aの際には、買収先の会社の評価額を調査し買収額を設定するのが基本です。しかし、この調査が甘いと、のれん代の減損損失などを計上してしまうことがあります。
また、DDが甘いと、買収前には認識できなかった債務やリスクも一緒に受け継ぐことになったという失敗例もあるので注意が必要です。事業の強化や拡大のためのM&Aであるにもかかわらず、想定外の多額な債務やリスクまで受け継ぐことになってしまった場合には失敗といわざるをえなくなります。
投資対効果が得られない
想定していた投資対効果が得られないというのは、M&Aの失敗のなかでも一番多いケースといえます。
買収後に事業がうまくいかない場合も勿論ですが、高値掴みをしてしまうというケースも多くあります。
買収先企業の選定の際、条件にあった企業はここしかないと思い込んでしまうことには特に注意が必要です。どうしてもその企業が欲しくなってしまい、相手に足元を見られ、買収額が跳ね上がるということになりかねません。その企業を買収したいという競争相手がいる場合も、同様に買収額は高くなる傾向にあります。
このような状況下で買収をしてしまうと、思ったほどの投資対効果を得ることができない場合が多くなります。
経営破綻する
M&Aでは、売り手側の財務状況やコンプライアンス状況を専門家に調査してもらうDDを実施するのが一般的です。しかしコスト削減等を理由に、専門家に頼まず自社で実施するなどして調査を十分に実施しないケースは少なくありません。
その結果、買収後に売り手側の不正や財務状況の悪化が明るみになり、最悪の場合は経営破綻にまで追い込まれることがあります。M&Aは成功すると大きな効果を得られるものです。その反面、適切な手続きを怠ると、相応のリスクがあることも覚えておきましょう。
M&Aで失敗する確率は?
M&A市場は拡大を続けています。M&Aにメリットを感じている企業が多く、実際にM&Aを繰り返し実施することで規模を拡大している企業も多いからです。
しかし、日本企業におけるM&Aでは、その70%は失敗といわれています。海外企業の買収にからむM&Aをはじめ、失敗事例には共通する要因があります。その要因に注意しながら慎重に手続きを進めた企業がM&Aを成功させているといえるでしょう。
M&Aが失敗している事例に共通している要因は、起こりうるトラブルへの対策がしっかりと取れていないことが挙げられます。ビジネスは、ときに予測不能な想定外のトラブルに見舞われることもあります。しかし、事前に予測できるものも多くあります。失敗に繋がる要因をしっかりと把握しておくことによって、それらのトラブルを未然に防ぐことも不可能ではありません。
M&Aで失敗する主な要因
ここからは、M&Aで失敗する主な要因を説明します。失敗の要因は、買い手側と売り手側それぞれに存在するものです。買い手側と売り手側の双方がポイントを意識して手続きを進めることによって、M&Aを成功させる確率も高くなるでしょう。
買い手側の要因
買い手側企業の失敗要因は、以下のことが考えられます。
・ゴールが不明確であること
M&Aはあくまでも業容拡大・業績向上などの目的を達成するための手段です。M&A自体が目的になってしまっているケースが散見されます。M&A自体をゴールとして設定してしまうと、買収後の経営がおろそかになってしまい、失敗につながる要因となります。
・デューデリジェンス(DD)の不足
売り手側企業の財務・コンプライアンス状況を専門家に調査してもらうことを「デューデリジェンス(DD)」といいます。この調査が不十分である場合、買収前には思いもよらなかった不正や負債が見つかり、損失計上に繋がることがあります。コストと時間をかけてでも、DDは専門家に依頼することが重要です。
・戦略なきM&A
M&Aでは先に戦略を立て、そのあとに買収企業を選択するようにすると良いでしょう。当該戦略に基づき、買収対象となる企業の条件(事業内容、地域、規模、予算など)を決めておかないと、戦略に合致しない企業を買収対象としてしまう恐れがあります。自社の戦略について理解があり、信頼できるM&A仲介会社にサポートしてもらうということも失敗しないための有効な選択肢の一つです。
・根拠のない自信と価格設定
長年の取引業者だからというような曖昧な理由で、情に流されてM&Aに踏み切ると失敗する確率が高まります。また、決算内容や事業計画などに基づかず、他社の買収事例を推測しての価格設定はリスクを伴います。客観的な価格設定を行うには、専門業者に外注するのが安心です。
・その他
従業員の離脱や買収後のフォロー不足など、他にも失敗要因は多岐にわたります。
売り手側の要因
次に売り手側企業の失敗要因をご紹介いたします。
・情報漏洩による取引停止
M&Aでは、情報漏洩への徹底した対策が必要です。情報漏洩が起こると、「あの会社は身売りするらしい」「資金繰りが危ないのか」等、根も葉もない噂が業界内や取引先で囁かれる可能性もあり、最悪のケースでは取引先との商取引が停止に陥る可能性もあります。また、M&Aを検討していることが売り手側の従業員に知れてしまった場合、これもまた会社に対する不信感が生じ、離職へと繋がるケースがあります。そのような状況に陥った場合、買い手側からするとM&Aに対するリスクが高まっている状況と言え、M&Aそのものが頓挫してしまうリスクを伴います。情報漏洩には細心の注意が必要です。
・不誠実な対応
希望条件に不服があるからといって、「適切な情報提供をしない」「急に条件変更を申し出る」などの不誠実な対応は避けましょう。売り手側・買い手側ともに誠実な対応が求められます。
・買い手側のいいなり
買い手側に一方的に有利な条件を受け入れると、売り手側では従業員の離反や反発を招き、M&Aが成約したとしても、買収後の経営がうまくいかず失敗につながります。買い手側からの要望を精査し、受け入れるもの、受け入れることが出来ないもの、交渉するものを整理し、対等な立場で取引を進めていることが肝要です。多くの案件に立ち会っており、信頼できるM&A仲介会社のサポートを受けると良いでしょう。
・株券や株主名簿の未整備
M&Aは「株式と現金等の対価との交換」です。株券や株主名簿が未整備であるということは、取得した株式が法的な正当なものであることを証明できないということです。買収後に第三者より「実は私も株主です」と名乗り出る人が出てくる等といったトラブルも想定されることから、遅くともM&Aを検討しはじめた段階では整備をはじめ、お相手探しをはじめるタイミングでは整備が完了している状況を目指しましょう。何らかの理由で整備が出来ない場合には、専門家に相談することをお勧めします。
・M&A手続き中の業績の悪化
M&Aの成立には、準備をはじめてから平均で約1年の時間を要します。しかし、具体的な相手との交渉中に業績が悪化することにより、M&Aが成立しない(ブレイクする)ということもあります。M&Aが完了し経営を引き継ぐまでの間、経営者は気を抜かないことが大切です。
・株主と役員(キーマン)との意思の不一致
スムーズに交渉や手続きを進めるためには、株主と役員(キーマン)が一致団結することが必要不可欠です。
このほか、議事録の未整備や薄外債務の存在もM&Aの失敗要因となるので注意しましょう。
M&Aに成功するためのコツは?
ここからは、M&Aに成功するためのコツをチェックしていきましょう。5つのコツをご紹介しますので、M&A成立に向けて理解を深めておくことをおすすめします。
デューデリジェンス(DD)を徹底する
DDを実施すると、書類などでは知りえなかった色々な情報を得ることができます。その情報には、M&Aを進めるにあたってポジティブなものもあれば、ネガティブなものもあります。特にネガティブな情報については、買収するにあたっての対価や、買収後の経営方針に大きく関係してくる内容です。それらを把握すべく、DDは精緻に行いましょう。DDをしっかりと実施せずに、重大な情報を把握しない状態で取引を続けてしまうことは大きなリスクです。DDは外部の専門家に依頼して徹底的に実施することをお勧めします。
M&A戦略をたてる
M&A自体がゴールになってしまうと、買収後の経営を疎かにしてしまうケースが多くなり、結果として失敗してしまう確率が高まります。自社の課題を正確に認識した上で、その課題を解決するためにはどのような企業と手を結ぶべきか、M&A後の経営もしっかりイメージしながら検討しましょう。
買収金額は適切に設定する
買収金額は、買収先企業の価値をきちんと算定したうえで、適切な金額を設定することが肝要です。買い手側からすると、適切な価格から高めの金額を設定してしまうと、買収により思ったような効果が出ない可能性が高まりますし、低めの金額を設定すると、買収前に交渉決裂を招く可能性が高まります。
仲介会社を利用する
M&Aに関する経験と実績豊富なM&A仲介会社に相談することは、M&A成功の近道ともいえます。M&Aのプロに相談に乗ってもらうことで、時間的・精神的負担も軽減されるでしょう。株式会社M&A DXは、大手監査法人系M&Aファーム出身の公認会計士や税理士などが多数在籍しており、豊富な実績とノウハウがあります。お困りの際はぜひご相談ください。
効果的なPMIを実施する
PMIとはM&A成立後の統合作業のことです。
PMIには、ソフト面とハード面の2つがあります。
ソフト面のPMIは、人や企業文化を融合させることが目的です。双方の従業員や企業文化を尊重しつつ、うまくひとつに統合させていきます。
ハード面のPMIとは、経理やシステムなど、それぞれの部署での実務的な調整です。決済の締め日や支払日、使用するシステムに至るまでを統一していきます。
上記の作業についてそれぞれプロジェクトを組成し、課題の洗い出しと検証を繰り返しながら、新しい規程やマニュアルを整備していきましょう。
まとめ
M&Aは、企業の課題を解決して大きな利益を生むことができる取引です。相応のリスクはありますが、事前の対策によって成功確率を上げることは十分可能です。M&Aのリスクを最小限におさえ、メリットを最大限に引き出すためには、信頼できるM&Aの専門家と連携をとることが重要です。
株式会社M&A DXでは、経験実績豊富なM&Aアドバイザリーがあなたの会社のM&A成立をサポートします。M&Aのことなら、大手監査法人系M&Aファーム出身の公認会計士や税理士が多数在籍している株式会社M&A DXにお任せください。