事業承継・引継ぎ支援センターとは?
事業引継ぎ支援センターとは、後継者不在に悩む中小企業・小規模事業者に対して第三者への承継を支援するため、国が2011年度から事業引継ぎ相談窓口とともに各都道府県に設置した機関です。
なお、2021年4月からはこれまで第三者承継支援を行っていた「事業引継ぎ支援センター」と、親族内承継支援を行っていた「事業承継ネットワーク」の機能を統合し、事業承継・引継ぎのワンストップ支援を行う「事業承継・引継ぎ支援センター」へ発展的に改組されています。
事業承継・引継ぎ支援センターができた背景
事業承継・引継ぎ支援センターができた背景としては、現在多くの中小企業が抱えている後継者問題が挙げられます。日本では今後2025年までに、平均引退年齢である70歳を超える中小企業や小規模事業者の経営者数が約245万人になる見込みです。
また、そのうちの約半数である127万人は、後継者が未定とされています。このままでは今後廃業する企業数が急増し、2025年頃までに約650万人の雇用と、約22兆円のGDPが失われる可能性があるのです。そのため、中小企業が後継者を見つけ事業承継を行うことは、日本にとって大きな課題と言えるでしょう。
事業承継・引継ぎ支援センターが支援する内容
国が設置した公的相談窓口である「事業承継・引継ぎ支援センター」では、中小企業の事業承継に関するさまざまな相談に対応しています。具体的な内容は、「親族内の承継を支援」「第三者への承継を支援」「後継者不在の会社への支援」「経営者保証解除に向けた支援」です。
各支援内容について、詳しく確認していきましょう。
親族内の承継を支援
事業承継・引継ぎ支援センターでは、承継コーディネーターやサブマネージャーが課題を整理しつつ、今後の取り組みをアドバイスします。
また、税理士や中小企業診断士等の外部専門家と連携して事業承継計画策定の支援を無料で行っています。事業承継計画の策定は、現状の把握や将来の見通しを明確にし、円滑な事業承継を図る手段として有効です。
そのほか、地域の支援機関や金融機関と連携して「事業承継診断」等による事業承継の早期・計画的な準備の働きかけも行っています。
第三者への承継支援
事業承継・引継ぎ支援センターでは、M&Aのように第三者への承継を検討している際の相談にも対応しています。M&A案件の支援内容は以下の通りです。
● 民間業者や金融機関へつなぐ(登録された民間M&A仲介業者、金融機関等を紹介)
● マッチングを直接コーディネートする(譲渡の進め方のアドバイスや譲渡先の紹介、譲渡条件等のすり合わせ、各種書類作成の専門家を紹介)
当初からM&A仲介業者など民間機関を利用してM&Aを実行する予定でも、事業承継・引継ぎ支援センターをセカンドオピニオンの機関として活用できます。
後継者不在の会社への支援
事業承継・引継ぎ支援センターでは、後継者不在の会社と創業を目指す起業家を引き合わせる支援も行っています。
マッチングにより、後継者不在の会社は事業を絶やすことなく次世代に引き継げることや、事業の存続を望む従業員や取引先などの望みに応えられる点がメリットです。また、創業を目指す起業家側のメリットとして、創業時のリスクを低く抑える、地域における知名度や経営ノウハウなど目に見えない資産を引き継げることが挙げられます。
後継者不在の会社と創業を目指す起業家のマッチングを支援する土台となるのが、後継者人材バンクです。両者は最初に後継者人材バンクに相談・登録しておきます。
経営者保証解除に向けた支援
事業承継・引継ぎ支援センターでは、中小企業が金融機関から融資を受ける際に、経営者個人が会社の連帯保証人となる「経営者保証」の解除へ向けた支援も行っています。経営者保証を解除するためにはいくつか要件があるため、経営者保証に関するガイドラインの充足状況を確認し、今後の取組みをアドバイスすることなどがセンターの主な役割です。
ちなみに、事業承継時に金融機関側は経営者・後継者の双方に対して、二重には保証を求めないことになります。やむを得ない場合、金融機関が経営者・後継者の双方に十分に説明して理解を得なければなりません。
中小機構との関係性
中小企業に関連する機関には、独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)も存在します。中小機構とは、起業・創業期から成長期・成熟期に至るまで、企業の成長ステージに合わせた幅広い支援メニューを提供する国の中小企業政策の中核的な実施機関です。
中小機構の事業承継・再生支援部には、47都道府県に設置されている事業承継・引継ぎ支援センターの全国本部としての役割があります。また、円滑な事業承継・引継ぎの実施体制構築のための助言や中小企業・小規模事業者に対する広報活動、講演セミナーを通じた事業承継・引継ぎ支援センターの認知度向上・利用促進も中小機構の役割です。
後継者人材バンクと異なる点
後継者人材バンクは、事業引継ぎセンターと異なるものではなく、あくまで同センターが進める事業のひとつです。例えば、北海道後継者人材バンクは北海道事業承継・引継ぎ支援センター、福岡県後継者人材バンクは福岡県事業承継・引継ぎ支援センターに属しています。そのため、各都道府県の後継者人材バンクに関する問い合わせ先も、同地の事業承継・引継ぎ支援センターです。
なお、創業を希望する起業家が後継者人材バンクを利用する際の流れは以下の通りです。
1. 創業塾・セミナーなどを通じて連携する創業支援機関にて、後継者人材バンクへ登録希望を伝える
2. 受付した創業支援機関が、事業承継・引継ぎ支援センターに申し込む
3. 事業承継・引継ぎ支援センターの相談員と相談者が面談
4. 後継者人材バンクに正式登録
5. 事業承継・引継ぎ支援センター(後継者人材バンク)に後継者不足を相談していた会社と登録した起業家をマッチング
機関や団体によって異なる支援内容
前述したように、事業承継・引継ぎ支援センターは日本全国にある複数の機関や団体が連携を行いながら進めている事業です。そのため、機関や団体によってそれぞれ支援内容は異なります。まず都道府県や市区町村が地域ごとの事業承継支援策を立案するとともに、その他の機関・団体のとりまとめを行います。
次に実際に中小企業に対して、課題の洗い出しや後継者候補の確認を行います。事業承継診断を実施するのは金融機関や商工会、士業などの専門家です。また、事業承継を進めていくなかで専門的な課題を伴う案件への対応は、各種機関や団体などを通じて行います。
主な支援としてはM&Aや後継者の研修、金融支援や再生支援などが挙げられ、それぞれ金融機関OBや士業等専門家からのサポートを受けます。
なお、事業承継のとりまとめ役は、各センターごとに行われています。そのためサポート内容はセンターによって多少異なる部分があり、自社のあるエリアを管轄するセンターの情報を事前に確認しておきましょう。
主要地域での事業承継・引継ぎ支援センターを紹介
主な主要地域として東京・名古屋・大阪・福岡の事業承継・引継ぎ支援センターについてご紹介します。
まず東京の事業承継・引継ぎ支援センターは、東京23区においては
東京商工会議所内に事務所を構え、M&Aよろず相談、従業員承継のアドバイス、相手が決まっている際のアドバイス、候補先の紹介、M&A支援会社の紹介を行っています。
名古屋の事業承継・引継ぎ支援センターは、名古屋商工会議所内にあります。愛知県内に特化した事業承継ポータルサイト「ローカル承継マップ愛知」があり、マッチング後のアドバイス等、センターがサポートします。
大阪の事業承継・引継ぎ支援センターは、大阪商工会議所内にあります。コーディネーターが、大阪府事業承継ネットワークに参画する商工会・商工会議所、金融機関などの各支援機関と連携し、支援を行います。
福岡の事業承継・引継ぎ支援センターは、福岡商工会議所内にあり、福岡県を4つのブロックにわけてコーディネーターを配置。事業承継診断結果に基づいて専門家を無料で派遣するなど支援事業を行っています。
事業承継・引継ぎ支援センター相談前に確認しておくこと
後継者不足など事業承継にまつわる悩みを相談できる先は、事業承継・引継ぎ支援センターに限りません。いずれの機関に相談するか決断できるように、あらかじめ同センターの特徴を確認しておくことが大切です。
ここでは、事業承継・引継ぎ支援センターに相談した際に発生する費用や、相談時に用意しておく書類について詳しく解説していきます。
発生する費用
事業承継・引継ぎ支援センターは、国が設置した公的支援機関です。そのため、相談時に費用は一切発生しません。
親族内承継だけでなく、M&A案件に対しても経験豊富なスタッフに無料で相談可能です。ただし、専門家派遣による支援等を実施する場合には、費用負担が発生することもあるので気をつけておきましょう。
事業承継における専門家派遣で費用が発生しそうな場合には、国の補助金を申請できることもあります。2021年度の「事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)」では、補助率が補助対象経費の2分の1以内、補助上限額250万円以内でした。
用意する書類
「中小企業のM&A全般」のように、総合的な相談であれば特に用意しておかなければならない書類はありません。ただし、自社の状況に関連した個別具体的な相談を予定しているのであれば、内容に関連した書類を持参すると良いです。
例えば、第三者への譲渡(M&A)を検討しているのであれば、パンフレットのように会社概要がわかるもの、勘定科目明細付の直近期の決算書の持参を求められます。
なお、相談は予約制のケースもあるため、あらかじめ以下サイトから拠点を構える各都道府県をクリックし、事業承継・引継ぎ支援センターの連絡先へ確認しておきましょう。
事業承継・引継ぎ支援センターを活用した支援事例
ここまでで事業承継・引継ぎ支援センターがどのような事業であるかは分かりましたが、事業承継に悩む中小企業の経営者が気になるのは、センターの利用で本当に事業承継ができるのか、ということです。
実際に事業承継・引継ぎ支援センターを利用し、事業承継に成功した事例について紹介します。今回紹介するのは高知県・東京都・栃木県の事例です。では以下の項目で詳しく見ていきましょう。
高知県・漬物販売店の事業承継例
高知県高知市にある漬物専門店である「中央食料品店」は、長年地元住民らに愛されてきましたが、店主夫婦の体力への懸念があるなか、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けたことが決定打となり廃業を決意しました。
しかし、この廃業が地元新聞で報じられたことから、高知県の事業承継ネットワークが動き、漬物の技術だけでも引き継がないかと提案。了承を得て後継者を募集したところ同じ高知県の創業100年の老舗味噌製造所が手を上げ、店主夫婦の技術引継ぎが決定しました。
味噌製造所の社長は日頃から地域の発酵文化を守り、発展させ後世に伝えていくことを願っていたこともあり、話はスムーズに進み2020年の11月には事業承継が完了しました。中央食料品店としては、今回の事業承継を「(自分の娘が)お嫁に行ったみたい」と寂しさと嬉しさの入り交じった様子で語っています。
東京都・システム開発会社の事業承継例
東京都府中市にある、防犯カメラシステムの製品開発・販売・保守を行う「アイゼック」の創業者である代表取締役は、自身が70歳になったことで会社の将来を考えるようになりましたが、後継者が見つかりませんでした。
そこで、事業承継の方法を模索していたところ、事業承継ネットワークを勧められデータベースに登録を行いましたが、適任者が見つからずに事態は難航しました。しかし5ヵ月後、センターの構成員が、神奈川県の事業承継ネットワークに登録を行っていた 男性に注目します。
その男性は同分野の資格を有し、能力に長けていたこと、また起業を切望していたことなどから後継者候補に選定。面談の場を設けたところお互いに好印象を持ち契約へと進みました。その後中村氏が個人だったこともあり融資制度を利用、株式譲渡の締結により事業承継が完了しました。
栃木県・酒蔵の事業承継例
栃木県大田原市にある明治40年創業の老舗「池嶋酒造」の4代目は、50歳を境に体調を崩すことが増え、信頼する杜氏も体調を崩したことを機に後継者探しを開始。一度は第三者への譲渡を決めましたが、諸事情により最終段階で破談となりました。
その後地元商工会を通じて事業承継ネットワークに相談を行い、構成員と共に後継者を探したところ、酒の製造も行っている酒小売店の2代目社長を見つけ出し紹介。4代目は地元愛の強いこの社長に感銘を受けて事業譲渡を決断しました。
酒小売店の2代目社長も「池嶋酒造」の4代目の酒造りを尊敬し、ブランドの存続を約束したことで、株式譲渡の契約を締結。無事に事業承継を行うことができました。
事業承継・引継ぎ支援センターのメリット
事業承継・引継ぎ支援センターを利用するメリットは、「公的機関なので信頼性が高い」「気軽に相談しやすい」「日本全国に設置されている」といった点が挙げられます。それぞれ詳しく確認していきましょう。
公的機関なので信頼性が高い
事業承継・引継ぎ支援センターは、中小企業庁が所管して中小機構が本部機能を持つ公的機関です。公的相談窓口だからこそ、秘密厳守や公平中立も徹底しています。
また、事業承継・引継ぎ支援センターに在籍する経験豊富な中小企業診断士や金融機関OBなどのプロフェッショナルが相談に対応しているので、M&Aなどに関する具体的なアドバイスをもらえます。
気軽に相談しやすい
費用面で説明した通り、事業承継・引継ぎセンターは基本的に無料で相談に対応しています。相談員が高額報酬を得ようと強くM&Aを勧めることもないため、まだM&Aを決断していない段階でも気軽に相談しやすいです。
また、M&Aに限らず、親族内承継や従業員承継のアドバイスも受けられます。セカンドオピニオンとしての活用も可能なため、他の機関に相談予定の方も色々な意見を聞くために一度事業承継・引継ぎ支援センターに相談してみるのも良いでしょう。
日本全国に設置されている
事業承継・引継ぎ支援センターは、全国47都道府県に設置されています。そのため、事業承継に不安や疑問を感じた時すぐに相談できる点がメリットです。
また、全国にネットワークを持つからこそ、遠隔地間のマッチングにも対応しています。今まで県内でM&A候補先が見つからなかった場合でも、全国規模のデータベースを活用することでマッチング可能性が高まるでしょう。
事業承継の3つの方法
次に事業承継に悩む経営者に向け、そもそも事業承継にはどのような方法があるかを紹介します。主な事業承継の方法は以下の3種類です。
● 親族内での事業承継
● 役職員への事業承継
● 第三者への事業承継
このように、親族間での事業承継のほかにも事業承継を行う方法もあります。ではそれぞれの特徴について、次の項目で詳しく見ていきましょう。
親族内での事業承継
経営者の家族から後継者を選び事業承継を行う方法です。2019年に行われた中小企業庁の調査によると、55.4%が親族内での事業承継であり、いまだこの手法による事業承継が多数を占めていることが分かります。
社員や取引先から見て後継者として受け入れてもらいやすい方法であり、株式の売買などをせず、相続・贈与で事業承継を行うことも出来ます。日本では親族への相続にはさまざまな特典があるため、スムーズに事業承継を進められるでしょう。
一方で、経営者としての器にふさわしい人物が親族の中にいるとは限らず、無理に後継者を決めることで経営状態の悪化や、社員らからの反発を招く可能性もあります。また、そもそも候補者から事業承継を断られる可能性もあるため、早めに意思を確認することが大切です。
役職員への事業承継
企業の社員を後継者として選び、事業承継を行うことも可能です。親族のなかで後継者となる人物が見つからなかった場合などに行われることが多い方法です。
長年その企業で社員として勤務しているため、業務に必要なスキルや経験も十分に持っており、実務により収益を得ることは比較的容易であると考えられます。そのため親族内での承継よりも、経営者にふさわしい人物を選ぶことが可能です。
また、自社の風土や経営方針などに精通していることから、社員にとっても受け入れやすい後継者と言えます。経営者への就任後会社の雰囲気が変わることなども基本的にはありません。後継者としての育成も短期間で完了します。
一方で、後継者は基本的に一会社員であるため、事業承継の際に必要となる株式の売買で資金が準備できないことも多くあります。対価なしに自社の株式を引き継ぐことも可能ではありますが、贈与税がかかるため、ある程度の資金を要します。
第三者への事業承継
企業とは関係性のない第三者へ事業承継を行うことも可能です。親族にも社内にも経営者にふさわしい人物が存在しない場合に行われることが多い手法で、M&Aにより会社を売却することで事業承継を行う場合もあります。
会社の外から広く経営者としてふさわしい人物を探し出すことができ、親族や社員への事業承継よりも優秀な経営者へ引き継ぐことが可能です。ただし、自社の経営者として本当にふさわしいかを見極めることが難しいというデメリットもあります。
これまで自社にかかわりがなかった分、能力や熱意を見極めることが難しく、社員から反発される可能性もほかの2つの方法よりは高いでしょう。経営者としての就任後、経営方針や社風などが若干変わる可能性もあります。
事業承継の大まかな流れ
実際に事業承継を行うとして、気になるのはどのような流れで何を行うかということです。そこで次に事業承継の大まかな流れと、主な業務について詳しく紹介します。流れは以下の通りです。
● 経営状況や後継者の把握
● 経営状態の見直し
● 事業承継計画の策定・マッチング
● 事業承継の実施
これは事業承継・引継ぎ支援センターを利用したとしても、基本的には変わらないため事業承継・引継ぎ支援センターの利用を検討している方もぜひ参考にしてください。では次の項目で詳しく見ていきましょう。
経営状況や後継者の把握
まずは自社の経営状況や、後継者候補が存在するかを確認します。自社で扱っているサービスや商品、技術力などのほかにも事業としての将来性や、強み・弱みを把握してください。
後継者候補が存在する場合は、経営者としての適性や年齢などを判断材料として検討し、存在しない場合は第三者への承継やM&Aなどの選択もあります。親族への継承の場合はそのほかにも、相続財産の税額や納税する方法も選択候補です。
なおこれらの確認に関しては、事業診断で行うことが可能であり、より詳しく知りたいのであれば金融機関や税理士への仲介を行ってくれます。
経営状態の見直し
次に自社の経営状態に問題があれば、見直しを行います。現在日本では親族内での事業承継が最も多くなっていますが、件数自体は大幅に減少しており、その原因は将来性や安定性への不安と言われています。
そのため、事業承継をスムーズに進めるためにも、不安材料はなるべく取り払って後継者が意欲的に事業承継を行えるようにしましょう。また、第三者へ事業承継をする場合でも、不安材料のある企業の経営者に立候補する人は少ないでしょう。
M&Aを行う場合も、買手が魅力を感じる企業でなければ売却先が見つからない、もしくは希望の価格での売却ができない可能性があります。競争力の強化や財務状況の改善、また体制の点検を行うなどして、事業承継の準備を進めましょう。
事業承継計画の策定・マッチング
親族や社員に事業承継を行う場合は事業承継計画の策定を行います。事業承継計画とは誰が、いつ、どんな方法で承継を行うかを具体的に記したもの。後継者が何を行うかも把握できるため、現在の経営者と共同で作成していくと、その後の手続きがスムーズに行えます。
もし、後継者が見つからず第三者へ事業承継を行う場合は、マッチングを行います。特にM&Aでマッチングを行う場合、法律や税務などの知識がなければできないため、仲介会社や金融機関などのサポートを受けながら相手を探すことになるでしょう。
事業承継・引継ぎ支援センターを利用する場合は、データベースに登録を行っている人に向けて募集をかけるなどして候補者を探し出します。候補者や買手企業が見つかると面談や交渉を行い、合意が得られれば契約を結びます。
事業承継の実施
契約を結んだ後は実際に、株式(経営権)譲渡や資産の移転などを行い事業承継を実施していきます。親族や社員に事業承継する場合は、事業承継計画に則って相続や贈与、後継者としての教育を行います。
第三者への事業承継の場合は、最終的に締結した契約書の内容に則って自社株の承継、もしくは、株式の対価支払いなどを実施。なおM&Aで事業承継を行う場合、一連の流れの中で法律に定められた手続きを行うため、専門的な知識を持つ税理士や弁護士などのサポートを受けてください。
手続き上のミスは後の大きなトラブルにも繋がるため、注意しながら慎重に手続きを進めましょう。また事業承継の後は経営悪化や廃業とならないため、円滑な経営と事業発展のための取り組みを行います。
親族や社員による事業承継であれば、後継者による視点からの事業見直しを行い、第三者による事業承継であれば、これまで他社で培ってきた知識や経験を活かし、労働条件や就業規則、人員配置のチェックと、その場に応じた改革を行ってください。
まとめ
今回は、事業承継・引継ぎ支援センターの基本的な知識や事業内容、実際の取り組み事例や、事業承継・引継ぎ支援センターの活用により事業承継が成功した事例などを紹介しました。事業承継は年齢を重ねた経営者にとって大きな悩みの種ですが、現在は全国どこからでも相談が行え、専門家も紹介してもらえるため、ぜひ事業承継・引継ぎ支援センターの活用をご検討ください。