株式譲渡承認請求書における基本的な情報と書き方を解説!

山下正太郎

メガバンクに入行し、M&Aを含む各種ファイナンス業務に従事した後、大手M&Aブティックに入社。中小企業の事業承継問題に対するソリューションとしてのM&A取引を推進。その後、上場企業および大手コンサルティング会社の企画部門にて投資責任者を歴任。キャリアを通じて多数のM&A案件の成約に携わった他、PMI担当として買収先とのスムーズな経営承継を実現した経験を多数持つ。

この記事は約11分で読めます。

株式譲渡は、手続きが比較的簡便なので、中小企業では最も人気のある方法です。株式譲渡を実行するにあたり、いくつか準備を要する書類がありますが、その中の1つに株式譲渡承認請求書があります。この記事では、株式譲渡承認請求書の説明と、株式譲渡承認請求を実施する流れや書き方などについて紹介します。

株式譲渡は手続が比較的簡単であると言われていますが、いくつか把握しておくべき手続きが存在します。売側、買側、双方ともに関係する手続きですので、株式譲渡を行おうとする当事者の皆様はよく理解しておくことをお勧めします。

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株式譲渡承認請求とは?

株式譲渡承認請求とは?

株式譲渡承認請求書を紹介する前に、まずは株式譲渡承認請求の基礎を確認していきます。株式譲渡承認請求書という言葉に触れたことの無い方や復習したいと思っている方へおすすめです。

株式の譲渡制限を行う理由

株式は原則として自由に譲渡できると会社法127条で規定されています。ただし、すべての人間や法人が会社にとって良い株主になるとは限らず、場合によっては会社運営に悪影響が生じる可能性があります。そこで会社法107条1項1号では、株式の内容として、「譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要すること」と定めることができるとしています。発行株式の譲渡時に、発行会社の承認が求められる株式のことを譲渡制限株式と呼びます。

関連記事「なぜ株式譲渡の制限がある?制限するメリット・デメリットと承認プロセス

譲渡制限株式であるかどうかは、商業登記簿謄本に記載があります。確認してみましょう。

譲渡制限株式と公開会社、非公開会社の関係

発行するすべての株式に譲渡制限株式がある場合、非公開会社といい、それ以外は公開会社といいます。

公開会社会社が発行する全ての株式に譲渡制限の定めがない、もしくは一部の株式に定款による譲渡制限の定めがある
非公開会社会社が発行する全ての株式に、定款による譲渡制限の定めがある

公開会社は取締役会の設置が求められますが、非公開会社は取締役会を設置する必要がありません。また、公開会社は発行できる株式の総数が発行済の株式の4倍までという制限がありますが、非公開会社は制限がないことが会社法113条に定められています。

株式譲渡承認請求後の流れは2通りある

株式譲渡承認請求後の流れは2通りある

株主が株式譲渡承認請求を行うと、2週間以内に取締役会(もし定款で他の決まりがあるならば、当該機関が行う)が承認または不承認を決定し、決定内容を通知します。ここからは、承認または不承認の場合、それぞれどのような流れで手続きが進められるのかを紹介します。

請求して承認された場合の流れ

取締役会等で株式譲渡が承認されると、株主名簿が書き換えられ、譲渡先が株主となります。株式会社は、株主名簿をその本店(株主名簿管理人がある場合にあっては、その営業所)に備え置くことが会社法で義務付けられおり、株券を発行してない場合は、株主名簿は株主であることを証明する重要な書類です。
株主は、株主名簿に自分の名前が載っていてはじめて株主としての権利を主張できます。
株主名簿の記載事項に関する書き換えを会社に請求することを名義書換請求と言い、株券を発行していない会社の場合、譲渡側と譲受側が共同して、株式名義書換請求書を提出します。

請求して不承認とされた場合の流れ

取締役会等で株式譲渡が承認されなかった場合、会社は会社自身が買い取るのか、もしくは指定買取人を指定するのかを決定しなければなりません(会社法140条1項、4項)。会社が買い取る場合には、株主総会の特別決議によって決定することが会社法140条2項によって定められています。その後は請求者へ供託書(一株あたりの純資産×会社が買い取る株式数の額を会社の供託所に供託し、その供託を証明する書面)を交付します。会社が不承認を請求者に通知した日から40日以内に交付を行わなければ、株式譲渡が承認されたとして扱われるため、注意しましょう。

一方で指定買取人の場合、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役会の決議で誰を指定買取人とするのか決定します。指定買取人は不承認を請求者に通知した日から10日以内に供託書を交付します。

発行会社による買取りの場合、指定買取人による買取の場合、それぞれ次のステップへ進む際の制限日数が違います。
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株式譲渡承認請求書の基本情報

株式譲渡承認請求書の基本情報

この項目では、株式譲渡承認請求書の目的や株式譲渡承認請求書が求められる株式譲渡について紹介します。

株式譲渡承認請求書の目的

譲渡制限株式を譲渡しようとする株主は、会社に対しその譲渡を承認するか否かの決定をするよう請求できることが会社法136条に定められています。株式譲渡承認請求書はこの請求を実施するために会社へ提出する書類です。

株式譲渡承認請求書が求められる株式譲渡

株式譲渡承認請求書は、譲渡制限株式(株式譲渡に際し、会社の承認が求められる株式)を譲渡する際に用いられます。株式の譲渡は自由であることが原則であるため、全ての株式に対して株式譲渡承認請求書を用意しなければいけないわけではありません。

株式譲渡承認請求書に書く内容

株式譲渡承認請求書に書く内容

ここからは株式譲渡承認請求書に記載する内容を紹介します。

①株式の種類

まずは、譲渡する株式の種類を記載します。
株式の種類は、普通株株式、優先株式、劣後株式などがあります。そのうち、日本で主に使われている株はの普通株式です。優先株式は、配当や会社清算時の残余財産などの際において、普通株より優先度が前順位になる株式のことを指します。また、議決権に一定の制限が付される場合があります。反対に劣後株式は、配当金や会社清算時の残余財産の分配などの際において、普通株よりもその優先度が後順位になる株式のことを指します。

②譲渡する株式の数

2つ目は、譲渡する株式の数です。上記で紹介した株式の種類と合わせて記載します。

③譲渡する相手方

3つ目は、譲渡する相手の情報を記載します。相手の名前および住所を記載しましょう。

詳しい書き方はテンプレート(ひな形)を参考にする

ここまでは株式譲渡承認請求書を書く内容を紹介しましたが、イメージが沸かない方もいるかもしれません。その場合、株式譲渡承認請求書のテンプレートを探してみましょう。
どのテンプレートがおすすめか、この書き方で良いのかなど懸念点があれば気軽に弊社へご連絡ください。

インターネットを検索すればテンプレートは出てくると思いますが、迷われる場合には是非専門家へ相談されることをおススメします。弊社へお問合せください。
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株式譲渡承認請求を行う上での注意点

株式譲渡承認請求を行う上での注意点

ここでは株式譲渡承認請求書を実際に作成するにあたっての注意点を紹介します。

会社法に気をつける

株式譲渡承認請求と会社法は密接な関係があります。だからこそ、事前に会社法をチェックし、求められる要件に注意しましょう。複雑な要件などが発生するケースもありますし、不明点があれば専門家と協力してすすめることをおすすめします。

不承認だった際のことも書いておく

株式譲渡が不承認された場合、会社もしくは指定人によって株式譲渡承認請求書に記載されている株式が買い取られることになります。そのことを踏まえた上で、株式譲渡承認請求書を作成する際には不承認だった場合の対応を冒頭に書いておきます。書き方が分からないなど不明点があれば、弊社まで気軽にお問い合わせください。

法律に則った範囲で、より親切で効率的な記載方法を目指したいですね

まとめ

まとめ

今回は、株式譲渡承認請求書の基本的な部分や実際に書く上でのポイントなどを紹介しました。株式譲渡は比較的簡単なM&Aのスキームと言われていますが、実行するために必要な要件は複数あります。実際に株式譲渡を行うのであれば、この記事を参考に専門家のアドバイスをもらうことをおすすめします。

弊社では株式譲渡承認にかかる書面作成の豊富な実績がございます。

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