後継者問題に悩む福岡のM&A(事業承継)事情
東京商工リサーチの調査によれば、2018年に休廃業や解散を決めた全国の企業経営者の平均年齢は69.61歳となっています。また日本政策金融公庫による2019年10月時点の九州地方におけるデータによると、現在経営を継続している60歳以上の経営者のうち、5割以上が将来的に廃業を考えており、その理由の3割が後継者問題によるものということもわかっています。
経営者の高齢化、後継者を決めることができず、事業の存続を危ぶまれる事態が、九州だけではなく日本各地で大きな問題となっていることが読み取れます。
九州の大都市福岡でも進むオーナーの高齢化
九州はその立地や歴史背景から、西の玄関口として発展を遂げてきました。その中心都市である福岡は、東京や大阪、名古屋といった大都市圏に続く経済規模を持っています。
トータルでの経済規模が日本全体の1割を占めるという位置づけの九州、福岡でも、経営者の高齢化は深刻な問題となっています。2019年の後継者不在率は全国17位で67.2%と、3年続けて上昇傾向にあります。
買い手は地元地域以外に東京など外部からも
経営者が高齢化し、後継者が見つからない場合の1つの選択としてM&Aによる事業承継が地方にも浸透してきました。九州エリアはもちろんのこと、東京など他地域の大手企業が営業エリアの拡大、地方進出を目的にM&Aの買い手となるケースもあります。
この場合、買い手企業側にとっては、福岡に基盤を置く企業ならではのサービスや技術、人材を効率よく入手できるメリットがあります。
また売り手にとっても後継者問題を解決でき、大手資本のもと、経営を安定させることが可能になります。
地域支援のためJR九州が事業承継ファンドを設立
福岡市に本社を置くJR九州が、後継者問題に悩む地元中小企業を支援する目的で事業承継ファンド設立しています。
投資総額は50億円。事業再生などに強いファンドを運営するジェイ・ウィル・グループと組み、新型コロナウイルス禍や後継者不足に悩む企業に共同で出資し、人材を派遣したり、駅やホテルなどJR九州が持つ資産を活用したりして再生・成長を支援することが目的です。
中小企業の事業承継問題については、国も対策を進めています。公的な中小企業基盤整備機構(中小機構)が出資した事業承継ファンドを設立、中小企業のサポートに注力してきました。その他、地方銀行などの民間企業が出資し、事業承継ファンドを設立するケースも増加しています。鉄道会社の取り組みは珍しく、今後の展開が期待されています。
アジア展開の拠点として注目される福岡
福岡県は古くからアジアの玄関口と呼ばれています。最近では福岡空港から釜山は約50分、上海は約1時間45分、バンコクまでは約6時間で移動が可能となっており、よりアジアとの距離が近くなっています。また、留学生も多く受け入れているため東アジアの人々との繋がりが強く、今まで以上に日本におけるアジアの玄関口の機能を果たしています。
そんな福岡県には、豊富な資源を活かした一次産業や、サービス産業、エネルギー産業などを営む魅力的な企業がとても多く存在しています。日本市場の縮小を尻目に、成長を続けるアジア諸国へ進出しようと検討している日本企業は少なくなく、アジアの玄関口であり、魅力的な企業が多く存在する福岡県はアジア展開の拠点として全国の企業から熱視線を浴びています。
福岡の事業承継支援の現状
中小企業の事業承継を支援するため、国や地方自治体もさまざまな支援策を打ち出しています。その1つが事業存続に悩む中小企業・小規模事業者を対象とした事業引継ぎ支援センターの設置です。
事業引継ぎ支援センターは47都道府県すべてに置かれており、福岡商工会議所が認定支援機関となっています。
地域経済と産業を守るため公的機関もサポート
福岡県と福岡県事業引継ぎ支援センターは、県内の中小企業がスムーズに事業承継を行えるよう、地域中小企業支援協議会、商工会議所、商工会、金融機関、専門家団体などの170以上の専門機関からなる「福岡県事業承継支援ネットワーク」を立ち上げています。
事業承継セミナーや勉強会のほか、M&Aの専門家がサポートしながら後継者へ事業のバトンタッチを支援するなど、さまざまな取り組みを行っています。
地方に多いスモールM&Aを成功させる
スモールM&Aとは、売上高や従業員規模などが小規模な企業や個人事業におけるM&Aのことを指します。かつてM&Aといえば、大手・上場企業を中心にした例が多数でした。
中小企業がスモールM&Aを行うと、廃業を選択することなく雇用が守られるため、スモールM&Aのニーズが高まっています。特に小規模事業者の多い地方においては、スモールM&Aを成功させることが後継者不在解消のキーポイントとなるでしょう。
福岡でおすすめのM&A仲介会社
M&Aを成立させるには、まずは交渉をサポートしてくれるM&A仲介業者に相談することが堅実な第1歩です。しかしどの業者に相談すればよいのかわからずに困っている方もいるのではないでしょうか。そこで、福岡でおすすめのM&A仲介業者をご紹介します。それぞれの特徴を把握し、自社に適した業者を選びましょう。
M&A DX
特徴 | 大手会計系M&Aファーム出身の公認会計士や金融機関出身者の専門家が懇切丁寧に対応 |
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電話番号 | 0120-061-279 |
会社サイト | http://subaru-inc.co.jp/lp/ |
株式会社M&A DXは、M&A・相続・事業承継に関するスペシャリスト集団です。公認会計士・税理士・弁護士といった有資格者をはじめ、一般の事業会社で実際にM&Aの買手担当であった経験者、金融機関出身者といった、M&Aに必要な専門知識や経験を有する専門家を多数擁しており、スムーズな友好的承継を果たすためのサポートを日本全国で行っています。
後継者不足に悩む企業オーナーに対しては、はじめからM&Aありきの提案ではなく、事業承継のその他の選択肢も考慮しつつ、複合的な判断でソリューションを提案できる点が強みの一つです。
M&Aを含む事業承継の領域にて、さまざまな業界で豊富な実績を積んでおり、多様なケースに対応可能な点も強みです。
日本M&Aセンター
特徴 | 全国の金融機関や専門家とのネットワークを有している |
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電話番号 | 0120-03-4150 |
会社サイト | https://www.nihon-ma.co.jp/ |
日本M&Aセンターは、士業専門家によって構成されたサポートチームを擁している点が特徴です。累計5,000件を超える成立実績をもち、年間770 件の成立支援数を誇ることからも、さまざまな課題を解決する体制が整っていることがうかがえます。
金融機関や会計事務所とのネットワークも充実しており、豊富な案件情報を得ることができるでしょう。
ストライク
特徴 | 全国の金融機関や専門家とのネットワークを有している |
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電話番号 | 0120-552-410 |
会社サイト | https://www.strike.co.jp/ |
ストライクは、「M&Aは、人の想いでできている」をスローガンに定め、売り手と買い手の想いに向き合うことを重視しています。経済的な切り口だけではなく、M&Aに関わったあらゆる人々が思いをかなえられるように、最適なマッチングを行うシステムを用いてM&Aをサポートするのが特徴です。
日本最大級の拠点網を有し、全国にネットワークをもつのも特色と言えます。セミナーも開催しており、M&Aの知識を得たい方にもおすすめの企業です。
M&Aキャピタルパートナーズ
特徴 | M&A仲介を専門とするファーム |
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電話番号 | 03-6880-3800 |
会社サイト | https://www.ma-cp.com/ |
M&Aキャピタルパートナーズは、着手金無料、専門コンサルタントによる専任担当制を標榜しており、より多くの企業がM&Aを選択肢として検討できる体制を整えています。
子会社には、M&A業界の老舗であるレコフを傘下に置いており、グループシナジーを活かした様々な案件を取り扱っています。
アイユーミライデザイン
特徴 | 中小企業の経営コンサルティングや上場支援のサポートなどを行う会社 |
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会社サイト | https://miradeza.com/ |
アイユーミライデザインは、九州の税理士法人を母体としたコンサルティング会社です。M&Aアドバイザリー業務だけではなく、中小企業サポートやスタートアップサポート等のサービスを幅広く展開しています。
母体が税理士法人ということで、M&Aだけではなく、相続対策等の税務サービスも充実している点が特徴です。
福岡におけるM&Aのケーススタディ
これまで培ってきたヒト・モノ・カネといった資産を引き継ぎ、事業を存続させる有効な手段となるM&A。福岡でM&Aを成功させた事例をご紹介します。
雇用を守ることを優先した地元企業のM&A
福岡の設備工事を手掛けてきたA社は、従業員数十数名の会社。地域に根ざし、人材も定着、安定した売上も見込まれていました。
しかし経営者が高齢となり、10年以上前から後継者は不在。一時は廃業も考えたそうですが、従業員の雇用や長い付き合いとなる取引先の収益を守るため、M&Aを検討することになりました。
複数の譲渡先が候補に挙がり、中には上場会社であるゼネコンのB社、地場で土木関係の工事をメインとする中規模のC社に絞られました。B社が提示した価格の方が高額でしたが、管理体制や組織の見直しなど、大手のスピードを重視しました。これは、地方企業にはハードルが高いと感じられるものでした。
一方のC社は、提示価格はB社に劣るものの、A社の管理体制を維持。従業員の勤務のしやすさから、最終的にC社への譲渡を決定します。価格よりも共に働いてきた従業員のメリットを優先した事例です。
後継者が宙に浮いた小規模食品工場のケース
次は、福岡で食品加工をメインにするD社のケースをご紹介します。
D社は従業員15人の小規模企業です。地域に工場を建設してから40余年、多くの雇用を創出する会社でもありました。ただ定期的な採用活動を行わなかったことが仇となり、経営者のみならず社員の高齢化が進みました。
会社の将来を担う働き盛りの30、40代が極端に少ない状態になり、業績は下降路線に。2代目として入社したご子息も先代ほどのリーダーシップはなく、残念ながら後継者としては難しいと考えられていました。
そのような中、経営者が急逝し、やむを得ず2代目社長に就任します。しかし社内の混乱は続き、主要取引先が取引の中断を通告し、会社の存続が危機的な状況になったのです。そこでM&Aを検討しはじめたD社ですが、当時は赤字で買い手が見つからないのでは、と危惧されていました。
実際の交渉の席についたのは、別エリアで食品加工を手掛けるE社でした。従業員60名以上で中堅企業のE社は、D社の優良な取引先に着眼します。またE社の工場があるエリアは、E社にとってかつてから進出を考えていた未開拓エリアでもありました。
E社とM&Aが成立後、2代目社長は退社し、雇用も守られることが決定します。取引先も取引を再開、D社は新たなスタートを切ることができたのです。
まとめ
福岡のような地方の経済を停滞させることは、日本全体の損失だともいえます。地域経済活性化のため、中小企業の事業承継問題の解決が不可欠なのです。そのためのM&A戦略は地方においてもますます必要な選択肢となるでしょう。
しかしM&Aに着手するためには早い時期からの準備が必要です。また的確な買い手を見つけるためには豊富なネットワークを有するM&A専門家からのアドバイスが欠かせません。
M&A DXのM&Aサービスでは、大手会計系M&Aファーム出身の公認会計士や金融機関出身者等が多数在籍しています。事業承継でお悩みの方は、まずはお気軽にM&A DXの無料相談をご活用下さい。
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