IRRとは
IRRとは簡単に述べると投資をする際に、その投資がどのぐらい有意義なものなのかを数値化したものです。
IRRの計算は少し複雑な計算方法を用います。
最初は出てきた数字が何を意味するのか分からないかもしれません。
しかし慣れれば、この数値が何を意味しているかが理解できて、投資の時にどのくらい魅力のある投資先なのかがわかるようになります。
IRRの使い方
IRRは日本語で内部収益率と呼び、投資がどのくらい効率的なものなのかを数値化したものです。
基本的にはIRRが高いほど良い投資といえます。
まずIRRの使い方について説明する前に、投資においてのお金の捉え方について説明しなければなりません。
投資の世界において、同じ100万円でも現在の価値と将来の価値は異なり、将来の100万円より現在の100万円の価値が高いという考え方をしています。
なぜ将来のお金の価値が低いのかというと、機会損失を計算に入れているからです。
機会損失とはお金を寝かせて使わず、投資しておけば稼げていたはずのお金のことをさし、経営をするうえでよく使われる言葉です。
経営においては単純に店を一時閉めてしまった場合、本来店を開けていたら得ていたはずの収入のことを指します。
機会損失を投資の件で分かりやすく説明すると、普通預金で100万円預けており、全く使わなかった場合と、定期預金100万円預けており、全く使わなかった場合であれば、定期預金に預けておいた方が将来お金が増えています。
この差が投資における機会損失です。
投資の世界においては、将来お金が増えていて当たり前という考え方なので、現在の100万円と将来の100万円では、現在の100万円のほうが価値が高いということになります。
次に実際に不動産を購入して、その不動産でアパート経営をした場合の運用について考えてみましょう。
不動産を購入するにはまず資金が必要です。
不動産を購入した時点では自己資金はマイナスですが、その後、毎年賃貸収入が出るのでその分プラスされていきます。
そして最終的に数年後に不動産を売却すると手元にいくらかお金が戻ってきます。
それまで不動産の運用で得た賃貸収入、不動産の売却金額、不動産の購入金額を元に計算した数値がIRRです。
IRRがマイナスだと投資回収ができなかったことを意味し、IRRが大きいほどその投資は効率的ということを意味します。
また、IRRでは投資のために借金をした額を計算に入れて考える場合と入れないで考える場合があります。
借入金と自己資金を合わせた額を初期投資として計算したIRRを「プロジェクトIRR」と呼び、プロジェクトIRRを比較することで、どちらのプロジェクトが優れているか比較することができます。
自己資金のみを初期投資として計算したIRRを「エクイティIRR」と呼び、エクイティIRRを利用することで、資金調達の影響を考慮して計算することができます。
例えば100万円の自己資金と900万円の借金で1000万円の不動産を買い、1年後に1,100万円でその不動産を売却したとすると、プロジェクトIRRでは1000万円の投資が1年後に1100万円になり、エクイティIRRは100万円の投資が1年後に200万円(1100万円の売却収入から900万円の借金を返済)になるため、明らかにプロジェクトIRRよりもエクイティIRRが大きくなることが分かります。
どちらのIRRなのか、しっかりと区別できるようにしましょう。
IRR(内部収益率)の目安
例えばIRRが1%の投資案件がある場合、投資すべきでしょうか。当たり前かもしれませんがその正解は投資案件によって異なります。日本国債と同程度のリスク(=比較的低リスク)の投資案件であれば投資すべきですし、日本株式と同程度のリスクの投資案件であれば投資すべきではありません。
つまりIRRがプラスであれば良い投資案件というわけではなく、同程度のリスクをもつ類似投資先から期待される収益率以上のIRRとなる場合のみ、投資すべきと判断します。
類似投資先から期待される収益率より低いIRRとなる場合は、現在検討している投資先ではなく、類似投資先に投資したほうが良いという考えなのです。
日本株式であれば5~7%以上のIRRが1つの目安となります。
IRR(内部収益率)の計算例
IRRの計算はどのようにすれば良いのでしょうか。
IRRの計算はExcelの中にIRR関数という項目があるので、Excelを利用すれば比較的簡単に計算をすることができます。
ここでは計算の例を紹介し、それぞれの数値は何を意味しているのかをわかりやすく紹介します。
IRR(内部収益率)の計算式
IRRの計算式は非常に複雑ですが以下の通りです。
C0:初期投資キャッシュフロー
C1~Cn:n年目のキャッシュフロー
r:IRR
初期投資キャッシュフローと投資期間のキャッシュフローが分かれば、r(IRR)だけの式になるため、IRRを逆算することができますが、計算は非常に複雑なので電卓を使って計算をするのではなくExcelを利用して計算することがほとんどです。
ExcelのIRR関数を利用すると数値を入力するだけで簡単に計算することができます。
注意点としてIRRは利益ではなくキャッシュフローを基に計算されるので、誤って利益額で計算しないようにしましょう。
IRRの計算例
以下のような投資案件を仮定してプロジェクトIRRを計算してみましょう
C0:△2,000
C1:100
C2:100
C3:2,200
先ほど説明した計算式に当てはめると、以下のようになります。
△2000+100/(1+IRR)+100/(1+IRR)2+2200/(1+IRR)3=0
IRRについて方程式を解くと(実務的にはエクセル関数を用いて計算すると)IRR=6.6%となります。
今度は先ほどと似た以下の投資案件を仮定してプロジェクトIRRを計算してみましょう。
C0:△2,000
C1:100
C2:2,200
こちらもIRRについて方程式を解くとIRR=7.4%となります。
前述した通り、IRRは機会損失まで考慮しているため、似たような投資案件でもIRRに差異が生じる場合があります。
IRR(内部収益率)の計算例
IRRの計算はどのようにすれば良いのでしょうか。
IRRの計算はExcelの中にIRR関数という項目があるので、Excelを利用すれば比較的簡単に計算をすることができます。
ここでは計算の例を紹介し、それぞれの数値は何を意味しているのかをわかりやすく紹介します。
IRR(内部収益率)の計算式
IRRの計算式は非常に複雑ですが以下の通りです。
C0:初期投資キャッシュフロー
C1~Cn:n年目のキャッシュフロー
r:IRR
初期投資キャッシュフローと投資期間のキャッシュフローが分かれば、r(IRR)だけの式になるため、IRRを逆算することができますが、計算は非常に複雑なので電卓を使って計算をするのではなくExcelを利用して計算することがほとんどです。
ExcelのIRR関数を利用すると数値を入力するだけで簡単に計算することができます。
注意点としてIRRは利益ではなくキャッシュフローを基に計算されるので、誤って利益額で計算しないようにしましょう。
IRRの計算例
以下のような投資案件を仮定してプロジェクトIRRを計算してみましょう
C0:△2,000
C1:100
C2:100
C3:2,200
先ほど説明した計算式に当てはめると、以下のようになります。
△2000+100/(1+IRR)+100/(1+IRR)2+2200/(1+IRR)3=0
IRRについて方程式を解くと(実務的にはエクセル関数を用いて計算すると)IRR=6.6%となります。
今度は先ほどと似た以下の投資案件を仮定してプロジェクトIRRを計算してみましょう。
C0:△2,000
C1:100
C2:2,200
こちらもIRRについて方程式を解くとIRR=7.4%となります。
前述した通り、IRRは機会損失まで考慮しているため、似たような投資案件でもIRRに差異が生じる場合があります。
IRR(内部収益率)のメリットとデメリット
IRRを使うとどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
IRRは投資において非常に便利な数値ではあるものの、万能ではありません。
ここではIRRのメリットとデメリットについて紹介します。
IRRのメリット
IRRのメリットは以下の2点です。
初期投資額、保有期間中のキャッシュフロー、売却価額といった投資において重要な検討事項が網羅されている
機会損失の概念(現在価値の概念)が反映されている
各投資毎に参考となる指標には、不動産投資であれば表面利回り・実質利回り、上場株式投資であればPER・PBRなど様々なものがあります。
上記のような指標は投資を実行する際に非常に優れた指標でありますが、初期投資額・投資期間中のキャッシュフロー・売却価額といった情報を網羅しているわけではないため、複数の投資案件のうちどれが投資効率が良いか考える際は、IRRを用いるのが良いでしょう。
また、機会損失の概念が反映されているため、前述のIRRの計算例で示した通り、いつ売却すべきかといった問いについても、IRRがより大きくなるタイミングで売却するのが良いということになります。
IRRのデメリット
IRRのデメリットは、投資規模が考慮されていないことです。
IRRの基本的な活用方法は、「同程度のリスクを持つ投資案件であれば、よりIRRが大きいほうに投資すべき」というものです。
しかし、IRRに投資規模が考慮されていないため、上記のIRR活用方法が誤った結論を導く場合があります。
以下2つの投資案件を仮定して、どちらに投資するべきか考えてみましょう。
C0:△10,000
C1:20,000 計算結果:IRR=100%
C0:△15,000
C1:28,000 計算結果:IRR=86.7%
さて、上記2つの投資案件は同程度のリスクであり、類似投資の期待収益率を20%としましょう。類似投資の期待収益率よりもIRRが大きいため、資金的に余裕があるのであれば、投資C、投資Dのいずれにも投資したほうが良いという結論になります。
しかし、資金的な制約があり、投資資金が15,000までしか出せない場合、どちらか一方の投資案件にしか投資できません。
この際、IRRが大きい投資Cに投資すべきでしょうか。
実は今回の仮定においては、投資Dに投資すべき、というのが正解です。
この結論を導き出すには以下の投資Eを仮定する必要があります。
C0:△5,000
C1:8,000 計算結果:IRR=60%
この投資Eは、キャッシュフローC0とC1において「投資D=投資C+投資E」となるように仮定したものです。
投資EのIRRは60%と計算され、類似投資の期待収益率20%よりも大きいため、この投資Eには投資すべきということになります。
以上から投資Cだけに投資するよりも、投資Cと投資E両方に投資したほうが良い(=投資Dに投資したほうが良い)ということになります。
このため、IRRの基本的な活用方法である「同程度のリスクを持つ投資案件であれば、よりIRRが大きいほうに投資すべき」という考えは直感的で非常に分かりやすいですが、資金的な制約がある場合は、IRRの大きさだけでなく投資規模の影響を考慮する必要があります。
まとめ
IRRについて紹介しました。
IRRは計算するには非常に複雑な計算式で計算しなければなりません。
またIRRの数値だけを根拠に投資実行を判断することは、危険性が高いです。
そのため投資においてはIRRだけではなく他の数値や、詳細なども調べた上で慎重に判断しなければなりません。