株式譲渡の意味とは?
株式譲渡とは、会社の経営者やオーナーが所有する株式を親族や第三者へ譲渡することを指します。株式の過半数を保有すると、経営権を掌握することができ、株式保有率が3分の2を超えれば社名などの根幹的な部分も独力で変更可能になります。つまり株式所持率が高いほど、支配権が強くなります。
契約書を締結し、株式の対価を支払い、その後株主名簿の書き換えを行うだけで手続きが完了します。ほかのM&Aの方法よりも簡単であるため、中小企業などで行われるM&Aの方法としては最も一般的です。
無償譲渡と有償譲渡の違い
株式譲渡には無償譲渡と有償譲渡があり、有償譲渡は買手に株式の対価を支払ってもらい譲渡することを言います。一方で無償譲渡は事業の継承を目的として親族や知人、従業員に行われるもので、対価を支払わずに譲渡を行うのがポイントです。
無償譲渡と有償譲渡の大きな違いは課せられる税金です。有償の場合は、株式の譲渡で得た利益に対して所得税や住民税が課税されます。
一方で無償の場合は株式を時価査定し、その額に応じて法人税や所得税、贈与税が課せられるほか、内容によっては交際費や寄付金、役員賞与などの課税を受ける可能性があります。このように無償譲渡は税金が複雑なため、もし無償譲渡を検討している場合は、税理士などの専門家にサポートを依頼するのがおすすめです。
株式譲渡を行うメリットとは?
株式譲渡は未上場の中小企業がM&Aをしやすい方法として知られており、売手・買手双方に大きなメリットがあります。
そこで次に、株式譲渡を検討している方に向けて、売手・買手共通のメリットと、売手・買手それぞれのメリットについて紹介します。株式譲渡は売手のメリットが多いようにも思えますが、買手にもメリットは十分ありますので、ぜひチェックしてください。
売手・買手共通のメリット
まず共通のメリットとしては、手続きが簡単であることや、事業や雇用が継続できることが挙げられます。取締役会等の承認が必要なケースがあるものの、株式譲渡は契約書の作成手続きと株主名簿の書き換えのみで取引が行えます。
例えば事業譲渡の場合、契約書の締結から履行までに数年かかることがありますが、株式譲渡は交渉から1ヵ月で資金決済まで行うことも可能です。
また株式譲渡による事業の継続は、売手にとっては後継者問題の解決や雇用の維持が期待でき、買手にとっては技術やノウハウ、人材の確保が行えます。事業継承後は更なる発展にも繋げやすくなるため、双方にとってメリットが大きいと言えるでしょう。
売手のメリット
売手のメリットは、株式譲渡により会社を売却して得られる利益です。
この売却益には「のれん」と呼ばれる会社としてのブランドや顧客との関係性など、目に見えない資産価値も含まれています。買手がこの「のれん」を高く評価すれば、その分価値を金額として上乗せした状態で売却することも可能です。
またこの売却益は税が安いこともポイントです。例えば事業譲渡を行う場合、会社には消費税と約30~35%の法人税が課税されますが、株式譲渡では基本的に20.315%(所得税15%+復興所得税0.315%+住民税5%)が課されます。
事業譲渡の場合課税の対象にはのれんが含まれていることから、のれんの価値が高ければ高いほど、株式譲渡のメリットは大きいと言えるでしょう。
買手のメリット
買手のメリットとしては、支配権の獲得とスムーズな営業の開始が挙げられます。
会社法によれば、株式の半数である50.1%以上を取得すれば会社の支配権を確保できます。
もし、株式譲渡によるM&Aに反対する株主がいたとしても、その株主が持つ株式以外で半数を取得していれば会社を経営することが可能です。
また、事業継承を行うと登記変更申請などの手続きも必要なく、許認可や各種権利などが引き継がれることも多くあります。そのため手続きに時間をかけることなく、スムーズに買い取った会社の事業を開始できます。
株式譲渡を行うデメリットとは?
もちろん株式譲渡にはメリットだけでなく、デメリットも存在します。売手としては、売却利益が下がる可能性、買手としては買取後の経営に悪影響を及ぼす可能性があります。
そのため、売手側であれば自社の状況を、買手であれば売却予定の会社の状況をしっかりと把握し、デメリットを受け入れた上で株式譲渡に臨みましょう。
売手のデメリット
売手のデメリットとしては、以下の2つが挙げられます。もちろん買手・売手の都合によりそれぞれ状況は異なりますが、これらを把握していなければ契約の合意には至ることは難しくなります。自社に該当するものがないか、しっかりとチェックを行ってください。
● 支配権を失う可能性がある
● 不採算事業があれば譲渡価額は減額
では次の項目で詳しく説明していきます。
支配権を失う可能性がある
会社の株式は、全体の過半数を譲渡すると、単独で取締役を専任できなくなるなど、会社の経営に関わることができず、名実共に支配権を失います。これが事業譲渡であれば、会社全体ではなく、事業のみを分離して売却できるため、売手に法人を残すことも可能です。
しかし、もし株式譲渡で100%株式を売却した場合は、売手側に法人を残すことができないため、会社への影響力を少しでも残しておきたい方は譲渡の方法を変えた方がいいでしょう。
不採算事業があれば譲渡価額は減額
もし会社の中で、採算が取れず赤字になっている、もしくはそうなる可能性が高い事業があると、株式算定の際にマイナスポイントとなるため、株式の価格が減額される可能性があります。
もし可能であれば、マイナスポイントになりそうな事業は会社分割で切り離す、もしくは株式の算定が始まる前にその事業から撤退するなどして、少しでもマイナスポイントを減らせるようにしましょう。
買手のデメリット
買手側で考えられるデメリットとしては以下の2つが考えられます。どちらも売却会社の都合により発生しうる問題であるため、売却会社の状況をよく調査した上で、株式譲渡により自社の発展が臨めるかどうか検討してください。
● 負債も引き継がなければならない
● 全ての株式が取得できない可能性がある
では次の項目で詳しく見ていきましょう。
負債も引き継がなければならない
先ほども紹介したように、株式譲渡は会社が持つ資産や事業を全て買い取る方法です。そのため、自社で展開を予定している以外の事業や、採算のとれない事業、さらには賠償義務、簿外債務などの負債も引き継がなければいけません。
きちんと調査せずに株式譲渡を行うと、後になってから負債が発覚する例も少なからず存在するため調査は徹底的に行いましょう。交渉のはじめでは決算書などを確認し、その後より詳細な財務状況や実態を把握していくと、帳簿にない負債の存在が発覚することもあります。
もしこのような負債やリスクが発覚した場合は、これらを含めた上で総合的にM&Aなどを行うメリットがあるか考えてください。また別の手段を利用すれば、リスクを排除した上で買収が行える可能性もありますので、いくつかの譲渡方法を比較しながらの検討もおすすめです。
全ての株式が取得できない可能性がある
売却会社の経営者1人が100%株式を保有していればスムーズに株式譲渡が行えますが、もし株式が複数人に分散している際は手続きが複雑化する、もしくは100%の株式を取得できない可能性もあります。
株式が複数人に分散している場合は、それぞれの株主から直接株式を買い取ることが可能です。しかし強制的に株式を買い取ることはできないため、買い取りを拒否されることもあります。
この場合は総株主の議決権のうち90%以上を保有する株主であれば、強制的に株式を買い取れる、という会社法に則った方法で買い取れます。90%を超えていない場合でも「全部取得条項付種類株式」や「株式の併合」などの方法が利用できますが、手続きが複雑化するのは免れないでしょう。
そのため株主が複数に分散していると発覚した場合は、M&A DXなどのM&Aや事業承継に詳しい専門家にサポートしてもらうのがおすすめです。
株式譲渡の手続き方法
株式譲渡は冒頭でも説明したように、株式譲渡契約を結び、代金の支払いと名簿の書き換えを行うだけでできます。
しかし、これは株式の譲渡に制限がかかっていない場合の方法です。現在多くの非上場中小企業では、株式に譲渡制限がかかっているため、次に紹介するような手続きが必要となります。ではその内容について詳しく見ていきましょう。
株式譲渡契約書を締結
まずトップにより株式譲渡の大筋合意が得られたら、株式譲渡契約書の作成と締結を行います。有償譲渡の場合は株式の価値がどの程度になるのか、財務状況や実態の把握に時間をかけるため、これが覆らないよう株式譲渡契約書を作成するのが一般的です。
一方、無償譲渡の場合は、親族などの親しい間柄で取引が行われるため、契約書を作成しないこともあります。ちなみに株式譲渡自体は口約束でも成立する諾成契約であることから、法律上は契約書の作成は必須ではありません。
しかし資産価値のあるものをやりとりする以上、親しい間柄であればこそ争いに発展することも少なくないため、できる限り株式譲渡契約書の作成が推奨されています。
株式譲渡契約書に記載される内容とは?
株式譲渡契約書を作成する場合は、以下のような内容を記載します。
● 株式の価格・株数・種類などの情報
● 株式代金の支払い方法
● 株式譲渡後に名義の書き換えを請求すること
● 譲渡の承認手続きの内容
● 表明保証と損害賠償に関する内容
株式の譲渡に制限がある場合は、承認手続きを実行することと、その期限も記載してください。表明保証とは、最終契約の締結日や譲渡日等において対象企業に関する財務や法務等に関する一定の事項が正しいことを売手に保証させることをいいます。これを行うことで、契約後に買手側に不利益が発生するのを防止できます。
株式譲渡に関して虚偽の記載があった場合の損害賠償の内容についても記載してくと安心できるでしょう。またこれらは有償譲渡を行う場合の例であり、無償譲渡の場合はトラブルの回避が主な目的となるため、以下のような最低限の記載にもできます。
● 無償で株式を譲渡すること
● 第三者に株式譲渡を行わないこと
● 株式譲渡後に名義の書き換えを請求すること
譲渡承認請求を行う
次に売手が譲渡承認請求書を作成し、請求を行います。この請求書はインターネットのテンプレートを使うか、M&A DXなどのM&A仲介会社に用意してもらえます。記載する内容は譲渡する株式の種類・数や、売手の氏名・住所などです。
またこの手続きは売手と買手が共同で実施する必要があるため、税理士などの専門家からサポートを受けながら実行してください。シンプルな内容ではありますが、欠かせない手続きであるため注意して行いましょう。
なお有限会社などの無償譲渡を行うような会社では、株式に譲渡制限がついていることが多く、基本的にはこの手続きが必要となります。
株主総会・取締役会での承認
会社への譲渡承認請求が完了したら、会社側でも承認手続きを進めます。どの機関で譲渡の承認を行うかは定款と法令によっても異なりますが、基本的には株主総会や取締役会で行います。
株主総会や取締役会を行う場合は、議事録を作成するなどして承認されたことを明記し、のちのトラブル発生を防止しましょう。
なお会社側はこの手続きを承認しない選択肢を選ぶことも可能です。その場合、制限株式の買い取り手続きを行います。会社側が株式を買い取るか、買取人を指定して株式を買い取ってもらいましょう。
会社側が株式を買い取る場合は、株主総会で株式を買取ることと、その株式の数について決議手続きを行います。買取人を指定する場合も、株主総会や取締役会で同じように指定について決議の手続きを行いましょう。
調印と株主名簿の書き換え
会社の譲渡承認後は、株式譲渡契約書に調印を行い公正取引委員会へ届出を行います。株式を発行している会社であれば、契約完了後に株券を交付して手続きが完了します。株券発行会社の場合、株券が交付済みであれば、株主名簿の書き換えは単独で行えます。
一方で、株券不発行会社の場合、株主名簿の書き換え請求は、買手と売手が共同で行うことが会社法で定められており、株主名簿の書き換えを行うことが客観的な譲渡の証拠になるため、この手続きにより株式譲渡が正式に完了したこととなります。株主名簿には、株主の名前、住所、保有株式数などが記載されます。
特に無償の株式譲渡の場合、客観的な証拠となる株式の対価交付がないため、この手続きに抜けがないよう十分注意してください。もし株式名簿を書き換えなければ正式な株主として認められない可能性もあります。
特に中小企業ではそもそも株主名簿を作成していない会社も少なくないため、これを機会に株主名簿の作成と保管を行うようにしましょう。
クロージング(資金決済)
最終契約後は、いわゆるクロージングとよばれる資金決済を行います。クロージングを行う前には、譲渡対価の決済(株券を発行している会社であれば株券の引き渡しも)、会社代表印の引き渡しなどをすべて完了させておきましょう。
クロージング日当日は、当事者間でM&Aの実行・完了のために必要な書類の確認や、その書類が有効か、書類に署名と押印がされているかなどの確認を行い、株式譲渡の手続き(書き換え済の株主名簿の写しの交付など)と、譲渡代金の支払いを行います。
最終契約日からクロージングまでは一定の期間を持たせることが多く、大抵は1ヵ月~1年程度まで時間がかかります。これは法令に基づき、必要な対応や売手会社を調査していくなかで発見された問題点の修正や、取引を実行するための事項処理などが多くあるためです。
ただし、契約日までに必要な手続きが終了している場合や、契約後に必要な手続きを完結させることを前提に、契約日と同時にクロージングを実施することも可能です。
株式譲渡に際し株式価値を算定する方法
株式譲渡を行う上で、株式価値の算定は双方の合意が得られるかどうかを左右するポイントです。そこで次に、譲渡する株式の価値を決定するには、どんな方法を使いどのように評価が行われるかを紹介します。
今回は大きく分けた3種類の方法を紹介しますが、実際にはいくつかの方法を組み合わせる場合もあるでしょう。また売手・買手それぞれの、数値化できない部分に対する評価なども加えられることになりますので、基本の方法は、あくまでも参考程度に考えてください。
もしより詳しく自社の株式価値を算定したいという方は、M&A DXで無料簡易診断が受けられますのでこちらもぜひチェックしてください。
マーケット・アプローチ
マーケット・アプローチは、株式市場で公開されている市場価格を参考に評価する方法です。売却会社が東証一部・二部やマザーズ、JASDAQなどに上場している会社であれば、そこで公開されている市場株価を基に評価します。
また、中小企業などの非上場会社であれば、同じ業界で規模や事業内容が似ている上場企業の株価を参考に評価を行います。市場株価という、客観性の高い指標を基に企業価値を算定しているため、公平性の高い方法です。一方で、必ずしも類似企業を探し出せるとは限らないため、評価が難しくなる場合もあります。よって、利用場面は、複数の類似企業がある場合に限定されます。
上場企業の価値算定として重視されている評価方法ではありますが、非上場企業だったとしても、類似する上場企業があるのであれば価値算定として重視されます。また市場価格は時期やさまざまな要因によって変動しやすいことから、一定期間の中での平均値を見て評価を行いましょう。
コスト・アプローチ
コスト・アプローチは、売却会社の賃借対照表などで確認した純資産を基に評価を行う方法です。基準が分かりやすく簡単に算出できることが特徴です。規模の小さな中小企業などでは、M&Aの取引を行う前に、暫定的な売却価値の相場を確認するための目安としても使われています。デメリットとしては、純資産額を基準としているため、将来的な収益価値を反映することができず、存続を前提とする会社の評価には適していません。
コスト・アプローチの方法としては、時価純資産法と、簿価純資産法が使われています。前者は資産の価値から負債の価値を差し引いて評価し、後者では賃借対象表に記載されている純資産をそのまま評価します。
インカム・アプローチ
インカム・アプローチは、売却会社の収益力を基に評価する方法です。DCF法がよく使われていますが、そのほかにもモンテカルロDCF法やAPV法などもあります。大手企業やベンチャー・スタートアップなどの成長性が高い企業は、インカムアプローチによる評価が適切になる場合が多いです。
DCFはディスカウンテッド(割引)・キャッシュ・フローの略で、今後期待できる収益力から、今後予想されるリスクを割り引いて算出します。将来を予想して価値を算定することから、いくつかのパターンを作成し、シミュレーションを行うことで柔軟な算定を行えるのが特徴です。
ただし、将来の予想には主観も入りやすいことから、論理的に収益力や起こりうるリスクを評価できるかどうかがポイントとなります。モンテカルロDCF法はモンテカルロ・シミュレーションと呼ばれる算出法を用いるDCF法で、APV法は割引率や資本の変化を盛り込んだ算出方法です。
税務上の株価
M&Aなどで有償譲渡が行われる場合、取引価格は交渉の末に成り立つものであり、公正さが保たれているため税務上の問題は発生しません。しかし親族間などで株式が無償譲渡される場合は、相続税対策として恣意的に株価を低く決定されることも多くあります。
しかし、税法上の評価額から乖離すると余計な税金が生じるリスクもあるため、公正かつ慎重に評価を行わなければいけません。以下の記事では、未上場の株式を相続する場合の税金対策について詳しく紹介していますので、無償譲渡を検討されている方はぜひこちらも参考にしてください。
株式譲渡でかかる税金について
株式譲渡益に課税される仕組みは、基本的には取得価格と譲渡価格との差額を計算し、そこに課税率をかけることで計算されます。個人であれば申告分離課税で譲渡所得の20.315%(所得税15.315%+住民税5%)が課税されます。法人の場合は会社に法人税が課税され、各法人によって税率は異なりますが基本的には約30%が課税されます。
買手の税金に関しては、第三者を介して適切な価格で取引されているのであれば、特に税金が発生することはありません。
株式譲渡後の社員の処遇
ここでは株式譲渡後の社員の処遇に関する3つの変化を解説します。
1.従業員の待遇の変化
会社を譲渡した場合、一般的には従業員は譲渡後も労働条件については変更がないことがほとんどです。しかし譲渡後に人事評価の変更等があった場合では良い労働条件を提示される可能性や、逆に譲渡前より待遇が悪化してしまう可能性もあります。その他にも譲渡の手法によっても従業員の処遇が変化します。譲渡方法が株式譲渡の場合では従業員の雇用契約もそのまま引き継がれるため従業員は従来どおりの労働条件で働くことが可能です。一方、譲渡方法が事業譲渡の場合は従業員との労働契約に関しては結び直す必要があります。
2.役員の待遇の変化
役員の待遇については、一般的に常勤役員と非常勤役員で異なります。非常勤役員が親族であり経営に関与していない場合は退任する場合がほとんどです。一方で常勤役員については待遇が変わることが多くみられます。譲渡後も継続を依頼されるケース、退任となるケースがあります。役員の継続や退任、報酬等は株主が株主総会で決定できる権利を有しています。したがって役員の待遇は株式の買手である譲受企業に決定権があるため待遇が維持される保証はないと言えます。
3.人事制度、福利厚生等の変化
譲渡後は、譲受企業による人事PMI(人事制度の統合作業)が行われます。譲受企業が譲渡企業の従業員にとって不利な就業規則や労働条件、人事制度へと変更すると「労働条件の不利益変更」という法的なリスクを負ってしまうため、徐々に人事制度を移行して従業員に個別に合意してもらうのが一般的です。福利厚生は譲受企業が決めるケースがほとんどです。そのため、譲渡企業の従業員の福利厚生が変化する可能性があります。
譲渡を検討している企業にとって譲渡後の社員の処遇は大きなポイントとなります。譲渡を検討する企業は譲渡後の社員の待遇の変化を想定し、譲受企業との交渉に臨むことが求められます。
株式譲渡を行う場合の注意点
株式譲渡を行う場合、いくつかのポイントに注意しなければ損害を負う可能性があります。例えば、株主の所在が分からない場合は、株主名簿に記載されている住所へ通知や催告を行えば有効となります。
しかし、株主が複数に分散しており、所在の分からない株主が多くなると買手にリスクと判断させる危険性があります。そのため通知などが5年以上届かず、配当も受け取っていないのであれば競売や売却により処分を行うといいでしょう。
また、株式譲渡は公的な機関へ申請を強制されていないため、中小企業などでは自社で手続きを進める場合もあるかと思います。しかし自社だけで手続きを進めると、どうしても書類の不備などが発生しやすいです。のちのトラブルなどにも繋がりやすいため、なるべくM&A DXなど仲介会社のサポートを受けながら手続きを行いましょう。
まとめ
今回は、M&Aとしては一般的な方法として知られる株式譲渡の基本的な知識や、手続きの方法、さらには課税される税金や注意点などについて紹介しました。株式譲渡はメリットも大きく、スムーズに事業継承などが行えますのでぜひご検討ください。