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経営承継円滑化法の改正で事業承継はどう変わる?概要や課題点をわかりやすく解説

公認会計士・税理士 山田武弥

公認会計士・税理士 山田武弥

有限責任監査法人トーマツ入所。金融業及び卸売業を中心とした各種業務の法定監査業務に携わる。 その後、大手税理士法人及びコンサルティング会社にて事業承継・事業再生・法人顧問業務に従事。 組織再編税制を活用した事業承継スキームの構築や株価対策、事業再生計画の立案やその後のモニタリング及び金融機関対応等に豊富な経験を有する。 山田武弥公認会計士・税理士事務所として独立後、株式会社すばるに参画し、現在に至る。本記事の監修を務める。

先代が後継者へ事業を引き継いでいく際、さまざまな問題とぶつかります。その1つが「資金の問題」です。

後継者は事業所の代表となると同時に、相続税や贈与税の負担を背負いながら、事業を発展させていかなければなりません。また、先代が持っていた株式を分配することによって、資産が減ってしまうことがあります。

これらによって「事業を続けたくてもお金が足りない」「納税が負担になるため後継者になる人がいない」といった状況になりかねません。その結果として、事業継続ができず、廃業に追いやられることもあります。

このような課題を改善するために成立したのが「経営承継円滑化法」です。今回は、経営承継円滑化法の概要とメリット、課題点について解説します。

本記事のポイント

  1. 後継者へ事業を引き継ぐ際に利用できる「経営承継円滑化法」について知りたい方向けの記事です。
  2. 経営承継円滑化法の概要やメリット、課題点などを丁寧に解説しています。
  3. 「事業を続けたくてもお金が足りない」といった後継者問題を抱える経営者や後継者向けの記事にもなっています。
お問い合わせの電話番号0120061279

経営承継円滑化法の概要

経営承継円滑化法の概要

平成20年に成立した経営承継円滑化法の正式名称は「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」が正式名称です。その名の通り、中小企業を対象として事業承継を促すことを目的としています。

中小企業の事業承継を支援する基礎的法律

先代から事業を承継する後継者には、引き継いだ事業資産の贈与税、相続税の負担がかかります。また、民法上の遺留分を請求されると、先代から受ける相続や事業資産が減ります。

それにより、経営の存続に向けての不安感や資金調達の困難さが浮き彫りになっているのが現状です。これらを踏まえ、事業承継による税負担の軽減と、遺留分への対応を制定したのが「経営承継円滑化法」です。

この法律は「事業承継税制」「民法の特例」「金融支援」の3つの柱で成り立っています。

2018年の条文改正の意図

条文改正の背景の1つに、親以外の事業承継が増加したことがあげられます。「子どもの独立によって事業を引き継ぐ意思がない」「承継するにあたって能力を育成するのに時間がかかる」などの理由があるためです。

親族外承継であれば、事業の理念を引継ぐことができる候補から後継者を選定することが可能となります。

一方で、個人の資金力不足や、融資を受ける際の保証人も引き継いでいかなければならないといったデメリットもあります。また、経営者の高齢化も事業継承を難しくする問題の1つです。
こうした状況から事業継承の準備が遅くなってしまい、やむなく廃業をせざるを得なくなります。そこで、廃業ではなく事業継承を選択できるような仕組みが必要でした。

改正された条文には、こうした事業承継の現状から、中小企業がより円滑に後継者への引継ぎができるような内容が盛り込まれたのです。

条文改正前の3つの課題点

条文改正前の3つの課題点

条文が改正される以前は、事業承継を難しくしていたポイントがあります。以下の内容が、条文改正によって注目された点といえるでしょう。

後継者に集めるべき自社株の分散

民法には、相続人の法定相続分のうち、一定の割合を他の相続人が受け取れる「遺留分侵害額請求」があります。請求がおこなわれると、遺留分として最低限の遺産が確保できる仕組みです。

この仕組みが存在する結果、相続人が複数いる場合、相続財産の分散が生じます。自社株も相続財産なので、先代から次世代に自社株が相続がされると、分散の対象になります。特に相続財産の大半が自社株の場合には後継者に対して自社株の集約ができず、後継者による事業のコントロールが難しくなる等、事業承継に支障が生じるケースが少なからずありました。

相続人間の公平性の担保

先代が生きているうちに自社株の生前贈与が行われた場合、特別受益とみなされます。特別受益は、相続人の公平性をはかるためのもので、相続人に相続財産を分割する際、生前贈与分を相続資産に加えることを言います。なお、この特別受益の額は、相続財産の生前贈与時の時価ではなく、相続発生時の時価で計算されます。

これにより、早い段階で生前贈与により後継者に自社株を移転した場合、自社株が相続発生時の時価で相続財産に組み込まれてしまうため、生前贈与による株式分散の防止が出来なくなるとともに、後継者の貢献により増加し株式価値増加分が相続財産に組み込まれてしまうため、後継者の経営意欲が削がれるという問題点がありました

事前放棄制度の実効性

現行の民法では、遺留分を事前放棄する制度があります。文字通り、ほかの相続人が遺留分を受け取らないことになるのですが、これを申請するのは放棄する側の相続人です。

分配されるのであれば遺留分は受け取りたいという人がほとんどのため、うまく活用されていません。

改正による経営承継円滑化法の3つのメリット

改正による経営承継円滑化法の3つのメリット

事業継承を支援する経営承継円滑化法ですが、どのようなメリットがあるのでしょうか。以下の3点の制度について紹介します。

納税猶予制度による事業承継の円滑化

経営承継円滑化法には、「事業承継税制」という制度があります。中小企業が事業を承継することにより、雇用の確保と、地域経済の活力維持をしていくことが目的です。
平成30年度税制改正では、これまでの措置に加えて、10年間の時限措置として、納税猶予の対象となる非上場株式等の制限(総株式数の最大3分の2まで)の撤廃や、納税猶予割合の引上げ(80%から100%)等がされた特例措置が創設されました。
これにより、後継者が先代から非上場株式などを引き継ぐときに発生する「贈与税」「相続税」の納税が、一定の要件のもとで猶予されるとともに、この制度を継続利用して後継者の次世代に株式が移転した場合には後継者の納税が免除される制度となっています。

事業承継税制で、納税の猶予、免除に認定される相続、贈与には、以下の2つがあります。

・第一種認定

先代経営者から後継者への贈与、相続

・第二種認定

先代以外の株主から後継者への贈与、相続

納税猶予を受けるためには、「都道府県知事の認定」と「税務署への申告」の⼿続が継続して必要となります。

事業承継に必要な資金調達の支援

都道府県知事の認定を受けた中⼩企業者及び後継者個⼈に対して、事業を承継する際に問題となる後継者の資金調達の支援が受けられます。中小企業信用保険法の特例では、承継にかかる資金について融資を受ける際に、信用保証協会が積極的に保証を行えるように措置したものです。

これにより、承継に向けた専門的なお金のサポートが受けられるようになります。この他に、後継者個人に向けた株式会社⽇本政策⾦融公庫法及び沖縄振興開発⾦融公庫法の特例もあり、親族外承継や個⼈事業主の事業承継を含め、幅広い資⾦ニーズに対応できます。

相続人の同意で遺留分の減少

民法の遺留分侵害額請求は、承継に向けてのリスクになったり、事業の成長への意欲の減退になったりしかねません。そのため、遺留分の受け取りが可能な人全員の合意がされたことを前提に、民法の特例の適用を受けることができます。

内容は、後継者が贈与した事業用資産や非上場株式等を遺留分侵害請求の対象外とする「除外合意」、後継者が事業を成長させたことによって株式価値が上がったときでも、相続開始時の財産を元に遺留分の算定がされる「固定合意」の2つです。これにより、生前贈与による株式分散防止と後継者の経営貢献意欲を確保することが可能となります。

参考:経営承継円滑化法 申請マニュアル【相続税、贈与税の納税猶予制度の特例】令和3年2月改訂版

経営承継円滑化法のデメリット

経営承継円滑化法のデメリット

事業承継税制は、相続税、贈与税の納税猶予や免除を受けられるため、後継者の資金が少なく承継が難しいときに有効な制度といえます。しかし、デメリットとして特例措置を受けるための条件を守らなければなりません。

後継者は、制度を受けた5年間は、事業の代表者として経営の継続が求められます。途中で別の後継者に再度承継することになると、納税の猶予期間がすぐに終了し、猶予分の税金を納めなくてはなりません。

そのほかにも報告や条件が守られなかった場合、期間の途中であっても、猶予がなくなるケースもあります。事業承継税制のルールを確認せずに特例措置を利用してしまうと、一気に納税資金が発生することもあり得ます。

経営承継円滑化法の制度上のルール

経営承継円滑化法の制度上のルール

先に紹介した通り、経営承継円滑化法は制度上のルールを理解したうえで利用しなければなりません。特に、事業承継税制は要件が複雑なため、最低限知っておきたい点についてまとめました。

相続税と贈与税が100%猶予

改正前の事業承継税制では、猶予率が、贈与税100%、相続税80%でした。また、猶予の対象となる株数が総株式数の最大2/3に制限されており、事業継続が困難な状況でも、税が完全に免除されず利用しにくい状態でした。

そのため、改正後の猶予率は、贈与税、相続税どちらも100%に変更されました。また、後継者1名のみだった猶予対象者も、複数の後継者がいる場合のために、最大3名までとなったのです。

申告前後のスケジュール

事業承継税制を受ける際、以下のスケジュールに沿って利用ができるようになります。

①「特例承認計画」の作成

 会社を承継するまでの運営や、その後5年間の事業計画を記したものです。会社で作成し たのち、認定経営革新等支援機関(商工会、金融機関、税理士、弁護士など)が指導、助 言をして所見を記入します。

②都道府県庁に特例承認計画を提出

 認定申請が完了すると、認定書をもらうことができます。

③税務署に申請書を提出

 都道府県庁からもらった認定書の写しと、相続税、贈与税の猶予を受ける申請書を提出します。

④適用開始

申請後にも提出しなければならない書類があります。これらを怠ると、納税猶予期間が終了してしまうため、注意しましょう。

①申告後5年間

 年に1度、都道府県庁に「年次報告書」の提出が義務とされています。また、税務署には「継続届出」を提出します。

②申請から5年が経過した時

 都道府県庁に「実績報告」の提出をします。この際、5年間で平均8割雇用の維持ができているかどうかの確認があり、できていない場合は計画に関する報告書を別途提出しなければなりません。

③6年目以降

 税務署へ「継続届出」を提出します。

特例承継計画の提出リミット

制度の利用ができるのは、特例承継計画を提出し、確認をもらってから10年以内です。計画書の提出は2023年の3月31日までとされています。

また、計画書を作るには専門機関の所見を記入してもらう必要があるため、制度利用を検討する事業所は、早めの作成を心がけましょう。

経営承継円滑化法の改正後の課題点

経営承継円滑化法の改正後の課題点

経営承継円滑化法の改正によって、事業承継に向けてさまざまなメリットが生まれました。しかし、改正してもなお課題は残っています。

制度の課題を知ることで、自分の事業所で取り入れるべき制度かどうか見極めることができるでしょう。具体的な内容について解説します。

株価が高くないと制度のメリットが少ない

事業承継税制を利用しようと考えても、その手続きが複雑かつ分かりづらいため、手続きを外部に委託することがあります。また、先にも記した通り、計画書には専門機関の所見が必要となるため、そのための費用も発生します。

委託費を支払うことを考えると、高い株価がない事業所にとっては大きなコストとなります。場合によっては、後継者が株を買ったときにかかる譲渡税のほうが委託費より安く済むことがあるため、事業所の状況に合わせて考えなければなりません。

あくまで猶予でありいずれは清算が必要

事業承継税制は、先代の死亡などの要件を満たさない限り、納税が「猶予」される制度です。特例措置がなくなる2025年以降は、猶予分の清算が必要となります。

また、事業所の総収入がゼロになったり、雇用平均の要件を満たしていない状況で実績報告をしなかったりした場合、制度の取り消し条件となります。贈与税とともに猶予分の納税をまとめて清算するよう要求されるため、資金が一気に減ってしまうリスクがあるといえます。

制度を使う場合、猶予期間中にいずれ訪れる清算に向けて計画的に資金を貯めておくなど、制度の取り消し条件に該当しないために、どのような対策をとるべきかを考えておく必要があります。

金融支援の必要性が無い場合もある

金融支援措置として信用保証協会を利用することができます。しかし、金融機関の貸付も低金利であるため、あえて制度を使わなくてもよいでしょう。

また、制度を使うと保証料が発生します。保証料は、金融機関よりも高く金利がつくこともあるため、事前に情報を整理しておく必要があります。

遺留分侵害額請求の必要性

遺留分損害額請求に対する特例は、事業所がもっている非上場株式を対象としていますが、中小企業は、個人の資産を直接事業に使っていることがあります。そのため、個人の事業用財産も除外合意の対象としていくかを検討します。

生前には特例に合意していても、先代が亡くなってから相続人がどう主張するかはわかりません。慎重に必要性を見極めることが求められます。

事業承継制度の浸透

経営承継円滑化法は、2008年に成立した比較的新しい法律です。そのため、そもそもこの事業承継税制等の制度を知らない人も多くいます。

また、制度を利用したいと思ったときに手続きや要件が複雑なことが、制度を選択することを難しくしているともいえるでしょう。

まずは制度についての知識をつけ、専門家に相談できるだけの準備が大切です。

民法特例を受けるための一定要件

民法特例を受けるための一定要件

民法特例は、適用されるために必要な条件があります。

●会社:中小企業であり、3年以上継続して事業をおこなっている非上場企業
●現経営者:過去または現在の時点で会社の代表
●後継者:先代から贈与等により株式を取得しているため、会社の議決権の過半数を保有する

また、相続人となる全員分と後継者の合意が必要となるため、合意書を作成します。合意書の内容には、以下のことが盛り込まれます。

●会社の承継の円滑を図ることを目的としている
●後継者が取得した自社株式について、遺留分の計算から除外する(除外合意)、または遺留分の計算に参入する価格を固定する(固定合意)
●後継者が代表者でなくなった場合に、後継者以外のものがとれる措置
●必要に応じ、相続人の公平を図るための措置

合意書が作成できたら、1か月以内に申請をして経済産業大臣の確認を受けます。確認後、1か月以内に家庭裁判所への申し立てをおこない、許可が下りたところで合意の効力が発生する流れです。

遺留分侵害額請求は、相続人とのトラブルになりかねない制度のため、丁寧な話し合いをしたうえで、合意を求めましょう。

参考:中小企業経営承継円滑化法申請マニュアル「民法特例」 令和3年2月

まとめ

まとめ

今回は、これから事業承継を考えている方向けに「経営承継円滑化法」についての概要を紹介しました。小さな事業所でも、事業に必要な資金を確保しながら、小さな事業所でも、廃業ではなく承継していくために有効な制度です。

その一方で、制度自体が複雑で申請などに手間がかかるため、実際に利用するまでのハードルが高いことが課題でもあります。事業承継について考え始めたら、税理士や公認会計士が在籍する司法書士がおこなっている専門機関に相談するのがおすすめです。

細かい制度に関する豊富な知識や経験をもとにを教えてくれたり、事業所の状況に合わせた制度の活用方法を提案 コーディネートをしてもらえるでしょうくれたりします。

事業継承は、どんな事業所にも起こり得る課題の1つです。

的確最適な方法を知り、安心して次の代へ引き継いでいくためにも、利用できる制度の選択肢を広げておきましょう。

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