アライアンスの意味は?ビジネスにおける使用例とその重要性を解説

小野田篤

大手銀行系ノンバンクの不良債権ビジネスからキャリアをスタートし、その後、独立系ノンバンクで投資銀行業務に従事。デット・エクイティを織り交ぜた投融資やメザニンレンダーとして多数のディールを経験。また、スタートアップベンチャー企業への投資及びFAS業務に従事し起業。ベンチャー企業専門のプレスリリース配信サイトや企業情報データベースサイトを構築運営。IPO支援や資金調達支援に実績を残す。外資系銀行・外資系生命保険などの金融業界では、富裕層及びオーナー経営者に対するM&Aを含む相続・事業承継コンサルティングや投資銀行業務に従事。ウェルスマネジメントを意識した金融スキームの提案、金融商品を活用したソリューション提供に多くの実績を残す。

この記事は約10分で読めます。

アライアンスとは、どのような意味なのか、M&Aとどのような点で違うのでしょうか。
またビジネスにおいてアライアンスをどのように使用すれば良いのでしょうか。
この記事ではアライアンスの使用例とその重要性をわかりやすく解説します。

  目次  【閉じる】

相談先を迷っている方はM&A DXへ!
資料ダウンロード
M&A DXのメルマガ登録する
セカンド オピニオン

アライアンスとは

アライアンスとは、日本語で一般的に業務提携のことを指します。
ある特定の事業や目的のために、複数の会社が資産や人材を派遣して、共同で事業を進めるということです。
アライアンスにも目的によっていくつか種類があるので紹介します。

関連記事「業務提携とは?メリットや進め方、資本提携・M&Aとの違いを解説

アライアンスの目的と概要

アライアンスとは、複数の企業がそれぞれの持ち味を生かして、共同で事業を行い、より大きく成長しようとすることが主な目的です。
例えば身近な例でいうと、コンビニで売っている有名ラーメン店とコラボしたカップ麺などもアライアンスの一種です。
この例の場合、カップ麺を製造している会社は、更なるカップ麺の売上を伸ばすために有名ラーメン店とアライアンスを実施します。
一方で有名ラーメン店は、カップ麺メーカーとアライアンスを組むことで、新たな収益機会を得たり、既存の有名ラーメン店舗自体の認知度を高める効果があります。
こうしたアライアンスの場合、お互いの強味を活かして新規顧客及び収益機会の拡大という大きなメリットを得ることができるのです。

またアライアンスは異なる2つ以上の企業が手を組むことで、それぞれが独自にビジネス展開するよりも、大きな利益を生み出すことを目的としています。

アライアンスの種類

アライアンスの種類には、販売提携のほか「生産提携」と「技術提携」があります。

生産提携

生産提携

生産提携は、自社工場で製造しているものの、生産が需要に追いつかないという場合に行う業務提携です。
生産提携の場合は、工場の生産能力に余裕がある企業に対して自社の人気商品を共に製造してもらい、需要を満たすということを目的としています。
その他にも生産提携には開発担当の会社と販売担当の会社に分かれている場合があります。
生産提携の中にも2種類があり、OEMとODMがあります。
OEMは委託者である会社が開発、生産方法などを確立し、技術指導をもとに受託者である会社に生産を依頼する形式です。
その場合、受託を受けた会社は委託した会社が持つブランド名で製品を販売し、受託者の会社名は全面的には公開されません。
自動車のメーカーと部品工場はこのような関係です。
ODMはOEMとは反対で、受託者が開発設計をした製品を委託者に委託者のブランド名で販売することをさします。
つまりOEMは販売提携と似た形です。
例えば身近な例では、有名なゲームメーカーから発売されたゲームソフトは、実際に開発したのは無名の小さなゲームメーカーの場合があります。
この例では無名の小さなゲームメーカーが開発したものを、有名ゲームメーカーの名前で販売するという形になり、小さなメーカーにとっては自社の名前で販売するよりも多く売れる可能性があります。
大手のゲームメーカーにとっては自ら開発する手間と費用を省き、良質なソフトをリリースすることができるというお互いにとってメリットがあります。
生産提携は自社が持っている技術を他社と共有することになるので、技術やノウハウの流出リスクがあるため、注意が必要です。

技術提携

技術提携
技術提携とは、それぞれの会社が持っている技術を組み合わせるということです。共同開発などといった言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
技術提携の代表例はスマートフォンやパソコンです。こうした技術提携では、それぞれの部品をそれぞれの専門分野の会社が制作しています。

販売提携

販売提携とは、「提携企業同士で販路を共有し、市場のニーズを満たすこと」です。販路がないケースはもちろんの事、販路開拓が弱いケースにおいても有効な手段です。既存の販路を相互に利用することで効率的な販売が可能となります。

アライアンスとM&Aの違い

アライアンスとM&Aの違いは、どのようなところにあるのでしょうか。
M&Aの場合は、ある会社がある会社を買収するということになるので、完全な上下関係があります。
しかしアライアンスの場合は、買収はしないので対等な立場で事業を進めることになります。
M&Aを検討していたものの、業務提携で充分やっていけるという場合もあります。
例えば例に出した有名ラーメン店とカップ麺メーカーの関係について考えると、有名ラーメン店舗を買収し、自分たちのブランドの中に組み込んでしまうというものがM&Aです。
しかしあくまで業務提携で、役割分担をしているだけだと、アライアンスです。
この状況でM&Aを実施すると、どのようなことが、が考えられるでしょうか。
M&Aで有名ラーメン店を買収すると、カップ麺メーカーにとって、店舗運営という新しいビジネスを行うことになり、新規参入リスクも抱えることになります。

このように経営者はM&Aで買収したほうがいいのか、あるいはアライアンスで業務提携に留めておくほうがいいのかを、様々なシチュエーションを検討した上で判断しなければなりません。
またM&Aは株式譲渡などの手法により、売手の会社は買手の会社の中に組み込まれます。
そのためM&Aでは、それぞれの会社が独自性を保つことはなく、完全に上下関係が成立します。
商品開発においても基本的には親会社の指示に従わなければなりません。
しかしアライアンスの場合は対等な立場での提携なので、それぞれの会社は独自性を保つことができます。
そのため、どうしても納得できない商品開発をする場合などは、断って業務提携を解消することもできます。

アライアンスを使うビジネス用語

アライアンスを用いたビジネス用語でよく使われるのは「アライアンス契約」、「アライアンス事業」、「アライアンスパートナー」などです。

アライアンス契約

アライアンス契約とは複数の企業がある事業のために技術や人材等を出し合うことを決めるために結ぶ契約のことです。
例えば、有名ラーメン店舗がカップ麺メーカーとコラボ商品を販売するという契約を結んだ場合、この契約はアライアンス契約と呼びます。
アライアンス契約の中に他の競業企業とは、同様の契約を禁止することを求めたり、突然契約を打ち切られないように、製造商品数を決めたりといった内容を入れることもできます。

アライアンス事業

アライアンス事業とは、複数の企業が人材や資材を導入して、新規事業を立ち上げたり既存の事業を発展させることです。
何かを共同開発することなどもアライアンス事業の一部といえます。

アライアンスパートナー

アライアンスパートナーとは、前述したアライアンス契約を結んだ会社、またアライアンス事業を共にやっている企業のことを指します。
会社がやっているすべての事業をアライアンスパートナーとともにやっている場合もあれば、一部の事業だけをアライアンスパートナーとしてやっている場合もあります。
例えば自動車の部品工場などは自動車の部品だけを作るのではなく、ロケットや航空機の部品も製造している場合もあります。

M&A DXのサービスはこちら
相談先を迷っている方はM&A DXへ!
資料ダウンロード
M&A DXのメルマガ登録する
セカンド オピニオン

アライアンスのメリットとデメリット

アライアンスにはメリットとデメリットがあります。
アライアンス契約をする際は、自分たちの会社にとってメリットが大きいのか、デメリットが大きいのかをしっかりと考えなければなりません。

アライアンスのメリット

アライアンスの大きなメリットは、自分たちの企業が不得意としているジャンルを他の企業が補ってくれるという点です。
例えば魅力的な商品を作れるだけの技術があるにもかかわらず、マーケティングが苦手という企業がいたとします。一方で商品開発の能力は無いものの、多数のユーザが利用する通販サイトを運営しているという企業がいたとします。
この2つの企業がアライアンス契約を結ぶとお互いの不得意な部分を補うことができ、双方にとって大きな利益を生み出す可能性が高くなります。
もちろん魅力的な商品開発ができる企業が、マーケティングにも力を入れ自社のサイトで通販サイトを立ち上げるということも可能でしょう。
また多数のユーザが使用する通販サイトを既に持っている会社が、商品開発に力を入れ独自の商品を開発することも可能でしょう。
しかしながら新たな部門を立ち上げるには、多大な労力と時間が必要です。
そのため、アライアンス契約を結び、お互いの苦手な部分を補助しあえる関係を作ると費用対効果が高く、お互いにとって多大なメリットがあります。
自分たちの企業の不得意な部分を補うということは、M&Aで自分たちの不得意な分野が得意な企業を買収することで補うこともできます。
M&Aとアライアンスを比較した場合のメリットは、買収に関しての費用がかからないことと、リスクを背負わないということです。
M&Aで買収すると会社の規模が一気に大きくなり、管理が行き届かない場合もあります。
また一時的に買収した会社が持っているノウハウは必要であったものの、長期的に見ると必要ではなくなる場合もあります。
アライアンス契約だとこのようなリスクを避けることが可能です。

アライアンスのデメリット

アライアンスのデメリットは技術やノウハウが流出してしまう可能性があるという点です。
開発と販売で完全に仕事内容を分けている場合であれば、技術流出の心配はそれほどないかもしれません。
しかし共同で何かを開発したり、何かのノウハウを教えることがある場合、その技術が流出してしまいます。
例えばある企業が長年かけて開発してきた営業のコツや、マーケティングのノウハウなどをアライアンス契約をしている企業と共有すると、そのノウハウを相手の企業が学ぶことになります。
やがてその相手企業が、マーケティングを他社に頼る必要なく、自分たちだけで出来るようになれば、マーケティングを得意としている会社とアライアンス契約を結ぶ必要がなくなってしまいます。
このようなことにならないように、役割分担をしっかりして技術流出を防ぐようにしましょう。
また小さな会社にとっては、アライアンス契約で業務提携をしている大きな会社との仕事だけをするのは大きなリスクとなります。
アライアンス契約でやっている仕事の他にも、通常の発注を受けてやっている仕事があれば、アライアンス契約が解除されても会社としての仕事はあります。
しかし他に仕事をやっていなければ、アライアンス契約が解約されると会社としての仕事が全くなくなり、収益がゼロとなってしまいます。
このようなことになってしまわないように、なるべくアライアンス契約で業務提携をしている仕事以外の仕事も行うか、契約書に特定の期間内には解約できないという条件を盛り込んでおくようにしておきましょう。
契約書にある期間内には解約できないという条項があれば、突然解約された際によほどこちらに落ち度がない限りは損害賠償を請求することができます。
またM&Aと比べてのデメリットは、アライアンス契約が終わると、ライバル他社とまた新たな契約を結ばれてしまう可能性があるということです。
M&Aの場合は買収しているのでライバル他社に流れてしまうという心配はありません。

まとめ

アライアンスについて解説しました。
アライアンスをうまく活用すれば、お互いの企業にとって大きな利益を生み出すことができます。
しかし、すべてのことを共有してしまうと、技術やノウハウの流出につながり、他社に自分たちの持っている技術やノウハウを渡してしまうことにつながりかねません。
そのような技術流出には注意しながら、お互いの役割分担をはっきりさせてアライアンス事業を進めるようにしましょう。

関連動画はこちら「YouTube「「アライアンス」と「M&A」の違いとは?M&A会社社長が徹底解説!」の動画を公開しました」

株式会社M&A DXについて

M&A DXのM&Aサービスでは、大手会計系M&Aファーム出身の公認会計士、 M&A経験豊富な金融機関出身者や弁護士が、豊富なサービスラインに基づき、最適なM&Aをサポートしております。セカンドオピニオンサービスも提供しておりますので、M&Aでお悩みの方は、お気軽にM&A DXの無料相談をご活用下さい。 無料相談はお電話またはWebより随時お受けしておりますので、M&Aをご検討の際はどうぞお気軽にお問い合わせください。


相談先を迷っている方はM&A DXへ!
資料ダウンロード
M&A DXのメルマガ登録する
セカンド オピニオン

SHARE

M&Aセカンドオピニオン

セカンドオピニオンとは、M&Aを検討する中で生じる不安や迷い・懸念を第三者視点で全体を俯瞰しながら、個々の状況に寄り添ってアドバイスするサービスです。
こんなお悩みの方におすすめです。

✓ M&A業者が進めるスキームで適切なのか知りたい
✓ M&A業者と契約したが連絡が途絶えがちで不安だ
✓ 相手から提示された株価が妥当なものか疑問に感じる
✓ 契約書に問題がないか確認したい
✓ M&A業者が頼りなく感じる

どんな細かいことでも、ぜひ【M&A DXセカンドオピニオンサービス】にご相談ください。
漠然とした不安や疑問を解消できます。

無料会員登録

会員の皆様向けに週1回、M&A・事業承継・相続に関わるお役立ち記事、動画などをお知らせするメールマガジンを配信させていただきます。
お役立ち記事はこちらからピックアップしてお届けいたします。
動画はM&A DXチャンネルからピックアップしてお届けします。
配信を希望される方はメールアドレスをご登録の上、お申し込みください。登録料は無料です。

LINE登録

LINE友達登録で、M&A・事業承継・相続に関わることを気軽に専門家に相談できます。
その他にも、友達の皆様向けに、動画などをお知らせするメールマガジンを配信させていただきます。
相談を希望される方は、ぜひお気軽にLINE友達登録へお申し込みください。

M&A用語集

M&A DX用語集では、M&Aに関する専門用語についての意味や内容についてご紹介しております。
M&Aや事業承継は英語を使うケースが多く、初めて聞くと意味が分からないまま会話が進み、後で急いで意味を調べるような経験がある方もいらっしゃると思います。M&Aの用語に関しては、一度理解してしまえばその後の会話で使えるようになるため、辞書代わりにご利用下さい。
※会計士の当社代表牧田が、動画で解説している用語もあります。

まんがでわかる事業承継

すべての人を幸せにするM&Aを、まんがでわかりやすく解説します。
「事業承継は乗っ取りではないのか?」と不安に思う社長に対し、友好的事業承継のコンセプトをわかりやすく解説します。

~あらすじ~
社長は悩んでいた。
創業して40年、生涯かけて取り組んだ技術も途絶えてしまうことに。
何より、社員を裏切る訳にもいかない…

そんな折、真っ直ぐな瞳の男が社長を訪ねてきた。
内に秘めた熱い心を持つ彼は、会計士でもある。
「いかがなさいましたか?」
この青年が声をかけたことにより、社長の運命が劇的に変わっていく。

資料請求

あなたの会社が【M&Aで売れる会社になるための秘訣】を徹底解説した資料を無料で提供しております。
下記のお悩みをお持ちの方は一読ください。

✓ M&Aを検討するための参考にしたい
✓ 売れる会社になるための足りない部分が知りたい
✓ 買手企業が高く買ってくれる評価基準が知りたい

【売れる会社になるためのコツを徹底解説】一部ご紹介します。

✓ 解説 1 定性的ポイント

業種、人材、マネジメント体制などの6つの焦点

✓ 解説 2 定量的ポイント

財務的に価値がある会社かどうか、BS・PLの評価基準

✓ 解説 3 総合的リスト

売れる会社と売れない会社を表にまとめて解説

詳細は無料ダウンロード資料「M&Aで売れる会社と売れない会社の違い」にてご確認ください。