ホールディングス化するメリット・デメリットは?方法も解説

会計士 武田修一

上場不動産会社を経て、有限責任あずさ監査法人に入社。法定監査、上場準備会社の経営管理体制強化等を経験。2017年よりディール アドバイザリー部門に異動。M&A、組織再編、事業再生に多数関与し、幅広い業務を経験。

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ホールディングス化するにあたり、どのようなメリット・デメリットがあるのか把握しておきたいでしょう。

そこでこの記事では、ホールディングス化のメリットやデメリット、ホールディングスの方法などを紹介します。ホールディングス化を検討している企業は、ぜひ参考にしてみてください。

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ホールディングスとは?

ホールディングスとは、持株会社が大株主として、傘下の企業を管理・指導する形態を指します。グループ会社の株をホールド(保有)することから、ホールディングスと呼ばれています。

1947年に制定された独占禁止法により、事業支配力が角に集中することを防止するために、持株会社を設立することは禁止されていました。しかし、世界情勢の変化などを背景に、1997年に純粋持株会社の設立、つまりホールディングス化が認められることになります。

これ以降、日本ではホールディングス化の動きが進んでおり、持株会社は増加傾向にあります。

ホールディングス化する企業が増えている

1997年にホールディングス化が解禁されて以降、日本ではホールディングス化する企業が増えています。

株式会社大和総研の「コロナ禍における持株会社化の動向(2022年7月27日)」によると、2022年6月時点で、600社以上の上場企業が持株会社です。また、上場企業のうち15%以上を持株会社が占めており、その数は増加傾向にあります。

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ホールディングス化の6つメリット

ホールディングス化する主なメリットを6つ紹介します。

①迅速に意思決定できる

ホールディングス化する大きなメリットの1つは、迅速に意思決定できる点です。

持株会社は、グループ全体の意思決定に特化しています。ホールディングス会社がグループ会社を先導することで、グループにとって最適な選択肢を迅速に取れるようになります。

②総合力を活かした商品・サービスを提供できる

ホールディングス化によって、顧客に対し、グループ全体の総合力を活かした商品・サービスが提供可能です。

ホールディングスは通常、グループ企業内で業種がわかれることになります。ある特定の業種で顧客に商品・サービスを提案する時、グループ内の別業種の企業とかけあわせて提案することで、顧客の満足度向上が期待できます。

③従業員のモチベーションアップにつながる

キャリアアップや向上心の強い従業員にとって、ホールディングス化はモチベーションアップにつながります。

ホールディングス化によって各社の役割が明確化され、従業員に合った配置や目標設定、適正な評価につながります。また、会社分割によって経営層のポジションが増えるため、キャリアアップや向上心の高い従業員にとってのモチベーション向上につながります。

④事業リスクを分散できる

ホールディングス化によってグループ企業それぞれが独立して事業を営むので、1社のみの時と比べて事業リスクが分散するメリットがあります。

たとえば、1社のみの時に営業停止処分を受けた場合、売上に及ぼす影響は甚大です。一方でグループ企業で分散すれば、仮にグループ企業内の1社が営業停止処分になったとしても、売上に及ぼすリスクは軽減できます。

⑤M&Aをスムーズに進められる

HD化によりグループ全体の方針や各子会社方針が明確となり、M&Aの目的も明確になりやすく、M&Aをスムーズに進められます。また、HD化自体がM&A後の親子関係の絵姿に類するところもあり心理的抵抗などが軽減される点もスムーズに進められる要因の1つとなります。また、子会社を売却する場合には、会社単位での譲渡を進めることができ、M&Aを進めることが容易となります。

⑥敵対的買収の防衛策となる

持株会社が大株主となることで、実質的に外部からの敵対的買収が不可能になります。親会社が子会社の経営を防衛することで、買収者の意欲を削ぐことが可能です。

ホールディングス化の3つのデメリット

続けて、ホールディングス化の2つの主なデメリットを紹介します。

①子会社間の連携が取りづらくなる

ホールディングス化によって意思決定は早くなりますが、子会社間に対抗意識が生まれてしまう場合には、子会社間で連携が取りづらくなる弊害があります。

ホールディングス化により、子会社間の関係が希薄になってしまうことがあります。HD会社の意思決定権が弱い場合には、子会社間の連携が希薄になりグループ全体の方向性が失われてしまうこともあるので注意が必要です。

②管理コストが上がる

ホールディングス化すると会社の数が増えるので、それに伴って企業の管理コストが増える一面もあります。

持株会社の子会社にそれぞれバックオフィス部門を設置し、税理士や弁護士などを置けば、当然維持コストは跳ね上がることになります。そのため、ホールディングス化においては、いかにバックオフィス業務を効率化するかが重要です。

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ホールディングス化の3つ方法

ホールディングス化するには、3つの方法があります。それぞれ、詳しく解説します。

①株式移転方式

株式移転方式は、既存の会社が完全親会社を新たに設立し、株式を親会社に移転する方法です。一般的に、ホールディングス化するには株式移転方式が用いられます。

株式移転方式は、株主に新たな親会社の株式を交付するので、費用を抑えながらホールディングス化できるのがメリットです。一方で、株式移転には取締役会や株主総会の承認などが必要で、手続きに時間を要する点は注意が必要です。

②株式交換方式

株式交換方式とは、会社がその発行株式のすべてを、ほかの会社に取得させる手法です。株式交換により、親会社となる企業が、子会社の株式を100%保有することになります。

株式交換方式は、M&Aでもよく用いられる手法です。株式交換方式は株式移転方式と同様、現金を用意する必要がなく、費用を抑えながらホールディングス化できます。一方で、取締役会や株主総会の承認などが必要で、手続きに時間を要するのはデメリットです。

③会社分割方式

会社分割方式とは、会社を複数の法人に分割し、それぞれに事業者や資産などを移転する方法です。

会社分割方式のメリットは、事業者や資産などの移転が容易な点です。一方で、会社分割方式は税務上の取り扱いが難しく、税理士と密にコミュニケーションを取りながら進める必要があります。

ホールディングス化に向いている企業

すべての企業がホールディングス化に向いているわけではありません。ホールディングス化に向いているのは、次のような企業です。

・年商30億円以上
・事業が複数にわたる
・拠点が複数あり、都道府県や国を越えている
・M&A推進を検討している
・関連会社が2社以上ある など

上記を複数満たす企業であれば、ホールディングス化を検討してみてください。

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ホールディングス化でよくある失敗事例

当然ですが、ホールディングス化によって必ず成功するわけではなく、失敗する企業もあります。ホールディングス化で失敗しやすい企業は、次のとおりです。

・目的のないホールディングス化
・株価対策だけが目的
・ホールディングス化による管理コスト増を甘く見る など

特に、目的のないホールディングス化は、失敗する可能性も高くなります。ホールディングス化する前に、なぜ実行するのか、その目的を明らかにしてみてください。

ホールディングス化のメリット・デメリットを理解しよう

ホールディングス化には、意思決定が早くなったりM&Aが進めやすいなどのメリットがあります。一方で、子会社間の連携が取りづらくなったり、維持コストが高くなったりする弊害もあります。

これらのメリット・デメリットをしっかり理解したうえで、ホールディングス化を進めるようにしましょう。

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