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会社経営への影響は?令和元年に改正された会社法のポイントを解説

善利友一

弁護士 善利友一

弁護士登録後、大手法律事務所に入所。企業法務、一般民事、刑事事件等の幅広い分野の案件に携わる。パートナー弁護士に就任後、企業法務、不動産法務、相続法務に注力し、顧問業務、法務デューディリジェンス業務に携わるとともに、多くの企業訴訟、不動産訴訟、相続紛争を解決に導く。クライアントによりマッチした法的サービスを提供すべく、善利法律事務所を開所し、代表弁護士に就任。 2017年からは、上場企業及び上場を目指す企業の社外監査役に就任し、弁護士としての経験を活かし、コーポレート・ガバナンスの一翼を担う。 2019年、株式会社すばるの社外監査役に就任し、現在に至る。

会社法の一部を改正する法律が2019年12月11日に公布されました。今回の改正された制度の施行は1年6か月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとされています。ただし株主総会資料の電子提供制度の施行のみ、3年6か月を超えない範囲内において政令で定める日となっています。すでに法案の成立・施行からかなり時間が経っているので、施行時期はすぐにやってくるでしょう。会社法のどこが改正されたのか、そしてまたこの改正のポイントはなにか、事前に準備しておくべきことはどんな点にあるのか、などの疑問に答えるべく、くわしく解説していきます。

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会社法とはどういうものなのか?

会社法とはどういうものなのか?

そもそも会社法とはどんなものなのでしょう。日常生活の中ではあまり登場する機会がありませんが、会社の根幹に関わる法律であり、会社の経営者はもちろんのこと、役員、株主、取引先など、会社に関わっている人たちにとっては、確認する頻度の高い法律でしょう。ここでは会社法の定義など、基本的な事柄を説明します。

会社法と商法の違いは?

会社法は比較的、新しい法律です。会社法が国会で成立したのは2005年6月で、施行されたのは2006年5月でした。それ以前までは商法の中の一部分の法律という扱いだったのですが、会社法ができたことによって、それぞれの範囲が明確になったのです。

会社法とは、会社の設立、組織、運営及び管理について定める法律と会社法第1条に定められております一方、商法は商人の営業、商行為その他の商事に関する法律です。つまり会社という法人の行為に関する法律が会社法で、商人の取引などに関する法律が商法ということになります。もともと商法の中にあった会社に関する内容を切り離して、会社法として独立させたのです。

会社法と商法の違いをわかりやすく説明すると、当事者の中に会社が含まれているかどうかの違いということになります。会社法が商法の特別法にあたるため、会社に関する事項で、会社法に規程がある場合には会社法の適用範囲で、それ以外には含まれていない場合は商法の適用範囲です。

会社法は1000条近くあり、しかもそれぞれの項目が長文であるものが多く、かなりボリュームがあることが特徴です。すべてを読むのは大変ですが、経営者など会社に関わっている人はひと通り、目を通すことをおすすめします。

成立した時期が新しいこともあって、明治時代に成立した民法や商法と比較すると、かなり内容が整理されていることも大きな特徴です。

これまでの会社法改正の流れ

商法から独立する形で2006年に施行された会社法の最初の大型改正となったのは2014年に成立した会社法改正案です。この時の改正は「第一次改正」と呼ばれています。この改正で行われたのはコーポレートガバナンスの強化、親子会社に関する規律の整備でした。この第一次改正の時点で、2つの附則が追加となっています。ひとつめがこの改正法の施行から2年経過したタイミングで、コーポレート・ガバナンスに関わる制度のあり方を検討するというものでした。もうひとつは社外取締役に関するものです。この2つの附則に基づいた議論が行われて、その結果、今回の会社法改正につながったのです。

会社法の改正の特徴と施行時期

会社法の改正の特徴と施行時期

2019年の会社法の改正にはどのような特徴があるのか、解説していきます。また施行時期の見通しなどについても説明しましょう。

なお会社法の改正された部分については、改正会社法という呼び方が一般的になっているので、この記事でもこれ以降は改正会社法という名称を適宜使用いたします。

コーポレートガバナンスのさらなる透明化

近年、企業の不祥事が後を絶たない状況が続いていること、企業の倫理的な行動を求める風潮が高まっていることなどから、コーポレートガバナンスのさらなる透明化は時代の流れの要請として出てきた課題です。

施行されるのはいつからか?

今回の改正会社法は、公布日から1年6ヶ月を超えない範囲で政令で定める日から施行されることになっています。公布されたのが2019年12月ですから、2021年6月までには施行されることになります。

当初は2020年中に施行されるのではないかとの見通しが多かったのですが、2020年9月1日に法務省から発表された会社改正法に関する意見募集の募集要綱の中に、施行日に関することが言及されていました。「令和3年3月1日から施行することを予定している」という一文があるのです。つまり2021年3月1日からということになります。

今回の改正会社法では株主総会に関する改正事項がいくつかあり、3月決算の会社が多く、株主総会が6月に多く開催されることから、その前に施行しておきたいという狙いがあるのでしょう。3月1日施行であれば、改定会社法のもとで6月の株主総会開催を実現することが可能です。

なお、株主総会資料の電子提供制度の施行のみ、3年6か月を超えない範囲内において政令で定める日ということになっており、具体的な施行のタイミングはまだ明らかになっていません。

株主総会に関する改正

株主総会に関する改正

改正会社法の改正点の大きな柱のひとつになっているのは株主総会に関する改正です。ここではその具体的な内容について解説します。

株主総会資料の電子提供制度

日本国内のさまざまな分野において、デジタル化が急速に進んでいます。株主総会資料の電子提供制度もそうした流れに対応したものでもあるでしょう。

定款に定めることにより株主総会参考書類、議決権行使書面、計算書類と事業報告、連結計算書類に関しては電子提供措置を採用できることが規定されました。電子提供として具体的にはウェブサイトに掲載し株主に対しそのアドレス等を書面で通知します。企業にとっては印刷や発送のコストを削減できるだけでなく、内容を充実させる、資料提供のスピードを早めるなど、多くのメリットを見込むことができます。

電子提供制度を採用した場合の手続きとしては、新しく制定された会社法325条の3により、株主総会の招集に係る電子提供措置の規律に従う必要があります。
電子提供措置をとる旨の定款の定めがある株式会社の取締役は、株主総会の招集通知を書面で行う必要がある場合(会社法299条2項各号)には、株主総会の日の3週間前、もしくは株主総会招集通知の書面による通知を発した日、のいずれか早い日から、株主総会の日後3か月を経過するまでの間、会社法325条の3各号に掲げる情報について、電子提供措置を行わなければならないとしています。

また、電子提供措置制度を採用する会社についてインターネットを使える環境にない人のことを考慮して、書面交付請求の制度が認められており、資料の書面送付をしなくてはならないこともあります。

株主提案権の濫用的行使の制限

株主提案権の濫用的な行使を制限するために、株主が提案できる議案の数が10個までとなりました。

こうした改正が行われた背景には、近年、一部の株主によって、大量の議案数が提出されて、株主総会の進行に支障が出るケースがあったことによります。このことによって、株主総会の審議時間が長くなり、株主総会の意思決定ができなくなるなどの弊害が出るためです。

改定会社法では議案の数が10個を超えて提出された場合には、株主が定めた優先順に従って10個の議案が選ばれます。優先順位がない場合には、取締役が選ぶことになります。

株主総会に関する改正の対応ポイント

株主総会資料の電子提供制度は効率化を図るものです。企業側にとってのメリットの大きな改正ですが、株主にとってもメリットのあるものとなっています。インターネット上で提供された資料だと閲覧が簡単であるだけでなく、電子データ上では検索機能を利用することができるため、見たい資料をすばやく探し出すことができるでしょう。

株主提案権の濫用的行使の制限は株主総会をスムーズに進行させるためのものです。近年、実際に起こっている株主総会での問題に対応する形で成立した改正ということになります。

取締役に関する改正

取締役に関する改正

近年、会社に関する不祥事のニュースが報道されることは珍しくありません。また企業価値を向上させるものとして、コーポレートガバナンスが注目を集めています。今回の改正会社法はそうした社会的な背景のもと、取締役に関するいくつかの規律の見直しが行われていることが大きなポイントになっています。どのようなところが改正されているのか、くわしく説明しましょう。

取締役の報酬等にかかる規律の見直し

上場会社等の取締役会は、取締役の個人別の報酬の内容が株主総会で決定されない場合には、取締役の個人別の報酬の決定方針を定めなければならなくなりました。取締役への報酬等を決定する手続の透明性を向上させる目的です。また上場会社等の取締役の報酬等として株式の発行等をする場合には、出資の履行を要しないこととされました。この改正に伴って、取締役に付与される株式、および新株予約権の数の上限が株主総会の決議事項になりました。

これまでは、株主総会で取締役全員の報酬の総額を決め、具体的な配分は取締役会又は代表取締役が決定することが多かったですが、報酬の配分を明らかにすることはありませんでした。

会社補償に関する規律の整備・役員賠償責任保険に関する規定の新設

役員等の責任を追及する訴えが提起された場合等に、善意無重過失であるときの一定の損失について、その全部又は一部を株式会社が補償する旨の契約(補償契約)を役員等と締結することができるものとする規定が設けられました。これまでは規定が明文化されていませんでした。しかし改正会社法によって新たに、いくつかの規定が設けられることとなりました。会社補償を行うための手続き、およびその情報開示の義務が定められたことが大きなポイントといっていいでしょう。

また、株式会社が役員等を被保険者とする会社役員賠償責任保険(Ⅾ&О保険)に加入するために必要な手続規定も新たに設けられました。

社外取締役に関する規定の整備

上場会社等において社外取締役の設置が義務づけられました。これまでは社外取締役をおいていない場合の理由を当該事業年度に関する定時株主総会において、説明することによって、社外取締役を設置しないことも可能ではあったものの、この改正によって完全に義務づけられました。企業によっては、社外取締役の人材確保が急務になることが予想されます。

また、株式会社と取締役との利益相反状況がある場合等において取締役会が社外取締役に委託した業務については、社外取締役がこれを執行したとしても、社外性を失わないこととされました。社外性とはすなわち外部からの客観的な視点です。社外取締役が会社の業務を行うことによって、社外である意義を失ってしまうことを防ぐための規定でしょう。

取締役に関する改正の対応ポイント

取締役に関する規定の改定の背景には、コーポレートガバナンスのより一層の透明化の狙いがあります。

取締役に対する報酬をさらに透明化するために取締役の報酬規制も見直されました。取締役の報酬の決め方に関してはそれぞれの取締役の実績を考慮して評価するなど、客観性を高める方向に向かうことになるでしょう。

社外取締役の設置に関しては、会社の透明性の維持、適正な監視体制の整備といった狙いもあると考えられます。

その他の改正

その他の改正

今回の改正会社法では広範囲にわたって改正が行われました。前述したもの以外にもポイントとなるものがあります。その中のいくつかを解説していきましょう。

社債の管理に関する規律の見直し

今回の改正で社債管理補助者制度が創設されました。各社債の金額が1億円以上の場合その他社債権者の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合には社債管理者を置く必要がありませんでした。この社債管理者を置かない場合について社債管理補助者を定めることができるとした点が新たな規律の見直しになります。

また、今回の改正において社債権者集会の決議により、社債に係る債務の全部又は一部の免除をすることができることが明確化されました。

株式交付制度の創設

株式交換制度は、買収会社が他の会社を子会社とするために、自社株式を他の子会社の株主に対して交付することを可能にする制度が新たに設けられました。

この制度はM&Aの新たな手法ともいえるものです。これまでM&Aのひとつの手法として株式交換が利用されるケースがありました。しかし現行法上の株式交換の制度は完全子会社化を行う場合にしか利用できず、対象会社が完全子会社化されることをのぞまない場合には、株式交換という手法が使えない現状があったのです。現行法においても、自社の新株を発行して、他の会社の株式の現物出資という構成をとる方法はあったのですが、手続きが複雑でコストがかかり、この手法は敬遠されていました。

株式交付制度の創設はこのような現状を踏まえたものです。買手が売手の過半数の議決権を取得し、対象会社を子会社にする場合の複雑な手続きが不要になりました。

その他の改正の対応ポイント

社債の管理に関する規律の見直し、株式交付制度の創設などは、現行法における問題点に対応するための改正といっていいでしょう。改正会社法の目的として挙げられるのは、会社に関わる人々の保護、利害関係者の権利利益の保護、より円滑な経済活動の促進、および、そのための環境の整備などです。

会社法の改正による影響

会社法の改正による影響

今回の改正はさまざまな制度において、多岐にわたって行われています。会社に義務づけられたこともあり、当然ビジネスにおいて多大な影響を及ぼすことが予想されます。

コンプライアンスの強化

今回の改正における大きな特徴はコンプライアンスの強化という点です。時代の要請により、さらなる開かれた透明性のある会社運営が求められています。

取締役に関する改正の多くは、相次ぐ会社の不祥事を踏まえてのものともいえるでしょう。社外取締役の設置義務化もコンプライアンスの強化を象徴する改正のひとつです。上場企業の多くがすでに社外取締役を設置しているので、実務面での影響はそれほど大きくないことが予想されます。しかし会社法で明文化されることによって、国内のみならず海外投資家へのメッセージ発信になるというメリットもあるのです。

影響が大きい電子提供制度

今回の改正で実務面においてもっとも大きな影響を及ぼすことが予想されるのは、株主総会資料の電子提供制度です。施行まで最大3年6か月の期間があるのは、対応するための準備に時間がかかることを考慮してのものでしょう。

電子提供制度の導入が義務づけられているのは上場企業のみで、非上場会社は電子提供制度を導入するかしないかを選択することができます。しかし時代の流れとして、デジタル化はさらに進行していくことが予想されます。

電子提供制度の準備で忘れてならないのは、インターネット環境の整備や資料のデジタル化だけではありません。電子提供制度の導入に先駆けて、改正会社法で定められた新たな項目が施行されます。

電子提供制度はコーポレートガバナンスのさらなる透明化、コンプライアンスの強化などと連動して、取締役の報酬情報の公開など、今後、電子提供制度での公開の範囲が拡大される可能性もあります。3年6か月以内の施行ということで、まだ時間はありますが、さまざまな状況に対応するために準備すべきことはたくさんあるでしょう。

まとめ

まとめ

法律は社会情勢、経済情勢に対応する形で改正されていきます。会社法も例外ではありません。会社にとって利益の追求は大きな目的ですが、近年、企業倫理の遵守、社会への貢献など、会社に求められることは変化してきています。

今回の会社法の改正はそうした状況を踏まえてのものといえそうです。と同時に、会社がさまざまな経済活動が行う過程で浮き彫りになってきた問題点に対応するためという意味合いもあるでしょう。改正される内容を把握して、早めに準備をすすめることをおすすめします。

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