プロパティマネジメント業界の今後は?M&Aでリスクを回避しよう!

山下正太郎

メガバンクに入行し、M&Aを含む各種ファイナンス業務に従事した後、大手M&Aブティックに入社。中小企業の事業承継問題に対するソリューションとしてのM&A取引を推進。その後、上場企業および大手コンサルティング会社の企画部門にて投資責任者を歴任。キャリアを通じて多数のM&A案件の成約に携わった他、PMI担当として買収先とのスムーズな経営承継を実現した経験を多数持つ。

この記事は約12分で読めます。

物件の管理を代行するプロパティマネジメント(PM)業界。人口減少などによって、数々の課題を抱えている業界であることをご存知ですか?また、プロパティマネジメント業界は、不動産業界と密接につながっており、その課題も解決していかなければなりません。

今回はプロパティマネジメント業界の動向や課題、解決策としてのM&Aについて解説します。

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本記事のポイント

  1. プロパティマネジメント業界全体における今後の動向や課題、リスクを回避するためのM&Aについて解説します。
  2. M&Aによって得られるメリットについても解説しているので、M&Aを検討している方向けの記事にもなっています。

そもそもプロパティマネジメント業界って?

そもそもプロパティマネジメント業界って?

不動産業界と関連の薄い方にとっては、聞き慣れないのがプロパティマネジメントという言葉。プロパティマネジメントとは名前のとおり、財産管理(マネジメント)を専門に行う業界です

管理の対象は不動産です。ここでは、プロパティマネジメント業界がどのような業界であるのかを深掘りしたうえで、業界が担う役割などを解説します。

オーナーの代理を行うプロパティマネジメント

ひと言で「不動産の管理」といっても、イメージしづらいでしょう。プロパティマネジメント業界が行うのは、オーナーの代理です。不動産を保有しているオーナーに代わって、入居者や契約者への対応や清掃などを行います。

他にも入居者の募集にも対応しており、物件の管理全般を引き受けています。

アメリカ発祥の業界であり、もともとは商業ビルなどに限って管理を代行していました。現在では管理対象の幅が広がり、個人間でやりとりが行われる賃貸住宅の管理も請け負っています。

物件の管理会社には、一体型とプロパティマネジメント型(PM型)、2種類があります。両者の異なる点は、一体型管理会社が仲介店舗を持っているのに対し、プロパティマネジメント型の場合は持っていません。

プロパティマネジメントの役割は?

プロパティマネジメント業界における役割とは何でしょう。この業界が請け負っている業務の詳細は、以下のとおりです。

業務内容詳細
入居者募集・募集依頼をする
・必要に応じてリフォームを行う
建物の管理・各種設備の定期点検
・建物の清掃
入居者への対応・クレームや要望への対応
・提案
・家賃の回収や督促

また、業界全体における大きな目的としては「オーナーの利益最大化を図る」ことです。

前述した「一体型」の管理会社の場合、仲介店舗を持つためオーナーと入居者の中間に位置する立場となります。また、人件費や店舗維持費等が多くかかるため自社店舗のみで入居者を募集するなどオーナーが利益を損ねる可能性もあります。
しかし、「プロパティマネジメント型」の管理会社の場合は、仲介店舗を持たないため費用を抑えるとともに、他社に協力を仰ぐなどオーナー側の立場に立って、管理や提案をします。そのため、オーナーの利益最大化を図れることが可能です。

プロパティマネジメント業界の動向は?

プロパティマネジメント業界の動向は?

ここまでの内容から、プロパティマネジメント業界についてはお分かりいただけたでしょう。次はプロパティマネジメント業界がこれからどのようになっていくのか、今後の動向について解説します。

しかし、冒頭で説明したように、プロパティマネジメント業界は、不動産業に付随する業界です。そのため、プロパティマネジメント業界の動向を探るうえで、不動産業界は無視できません。そこで、まずは不動産業界の動向から解説します。

そもそもの不動産業界の動向

不動産業界は、今後どのような方向へ向かっていくのでしょうか。人々が生活するうえでは欠かせない「衣食住」の一端を担う不動産業界は、取り扱う対象物の金額が大きく、市場規模も大きなものとなっています。

現在、不動産業界の市場規模は、拡大傾向にあります。特にオフィスビル業界は、「国家戦略特区」が定められるなど、政治的背景も相まって、今後は大型ビルの建設ラッシュが起こる可能性もあるでしょう。

しかしながら、リモートワークの普及などによって、働き方が様変わりし、人々が全国に分散される可能性も否めません。そのような場合に、業界全体の勢いが衰退してしまうリスクも考えなければならないでしょう。

プロパティマネジメント業界の動向

続いて、本題となる「プロパティマネジメント業界の動向」について解説します。

近年では大型ビルや新築マンションの建設も行われる一方で、既存の資産の有効活用も主流になってきています。
それに対して、プロパティマネジメントの専門家が足りていないため、この業界は拡大傾向にあるといえるでしょう。

しかし、プロパティマネジメント業界が今後も安泰であるとは言い切れません。その理由は、次でご説明する「プロパティマネジメント業界の課題点」からお分かりいただけます。

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プロパティマネジメント業界が抱える課題

プロパティマネジメント業界が抱える課題

現在拡大傾向にあるプロパティマネジメント業界ですが、いくつかの課題も抱えています。また、プロパティマネジメント業界のみならず、不動産業界の課題も解決しなければなりません。

むしろ、不動産業界の課題がそのまま「プロパティマネジメント業界の課題」となっているといえます。そこで、ここではプロパティマネジメント業界と不動産業界との繋がりについて解説したのち、両者が抱える課題点について説明します。

不動産業界の課題と直結する

管理の対象が、賃貸住宅や商業ビルといった「不動産」である以上、不動産業界の課題はそのままプロパティマネジメント業界の課題になります。管理する物件が減少してしまえば、プロパティマネジメント業界の雲行きは怪しくなるでしょう。

つまりプロパティマネジメント業界の課題を探り、解決策を講じるためには、不動産業界の課題や今後想定されるリスクを考えなければなりません。

不動産業界の課題とは?

不動産業界は、世の中の動向に左右されやすい業界でもあります。そのため、不動産業界の課題としては、以下のように国全体で考えなければならない事柄が挙げられます。

● 人口の減少
● コロナ禍とオフィス需要の変化
● 生産緑地問題

それぞれの詳細について、以下で解説します。プロパティマネジメント業界や不動産業界の将来に不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。

人口減少

日本では長年、少子高齢化問題が取り沙汰されています。国立社会保障・人口問題研究所が発表した推計では、2030年には人口が1億1,900万人になるとされています。しかし残念ながら、現在でもこの問題の解消には至っていません。

そのため我が国の人口は、今後ますます減少していくことが予想されます。それに伴って、空き家が増え、賃料が下落し、不動産業界全体が縮小。当然ながら、プロパティマネジメント業界にも影響が及びます。

コロナ禍とオフィス需要の変化

コロナ禍の影響により、「テレワーク」や「在宅勤務」など私たちの働き方も様変わりしました。不動産業界において「オフィス賃貸」は重要な収益基盤であったにも関わらず、IT企業等で解約の動きが出ております。

2020年半ばから賃料が下落、空室率が上昇しており楽観視できない状況になっております。

この事業が今後崩れることで、プロパティマネジメント業界にも大いに影響を与えます。

生産緑地問題

現在の日本では、税制の優遇を条件に、農地や緑地を維持することが推奨されています。そのために利用されている制度「生産緑地指定」は、期間が30年とされており、2022年におよそ8割が期限切れになります。

指定外となった土地には、これまで通りの税負担が課されることとなります。その事態を危惧した土地所有者が、一気に生産緑地を手放す可能性を考慮しなければなりません。

所有者が一斉に土地を売却した場合、需要と供給のバランスが崩れ、土地の価格が大幅に下落します。不動産業界は、所有者のいない「余った土地」を活用する方法なども考えなければなりません。

プロパティマネジメント業界でM&Aを行うメリット

プロパティマネジメント業界でM&Aを行うメリット

さまざまな課題点を一度に解消できる方法としては、プロパティマネジメント部門を手放すという手段があります。もちろんIT化に自信のある企業は、課題点を大幅に解消できる可能性があるため、プロパティマネジメント部門を買収することも可能です。

では、これからプロパティマネジメント部門を売却、または買収することには、それぞれどのようなメリットがあるでしょう。以下で解説します。

売り手が得られるメリット

プロパティマネジメント業界に位置する、企業や部門を売却することには、以下のようなメリットがあります。

● 後継者問題の解決
● 不採算部門の整理
● 事業を継続し、拡大できる

プロパティマネジメント業界では経営者が高齢になっても、後継者がなかなか見つからない場合が多いですが、企業そのものを売却する場合は、後継者問題が解消します。また、大手企業の格安の管理手数料により自社のプロパティマネジメント部署が既に赤字であった場合や、これから赤字となるリスクが高いと判断した場合は、売却することで企業存続のリスクが軽減されます。

買い手企業によっては、自社では成し遂げることができなかった、プロパティマネジメント事業の成長や拡大が期待できます。

買い手側が得られるメリット

プロパティマネジメント事業を買収することには、買い手側にもメリットがあります。具体的な内容は、以下を参考にしてください。

● 事業の多角化が可能
● 新規事業として参入しやすい

プロパティマネジメント部門がなかった企業が買収した場合、事業自体の多角化ができます。収益を安定的に得るためには、幅広い分野に事業を展開しなければなりません。不動産の管理数によって売上が確定するので他事業に比べると事業計画が描きやすくなります。

よって、プロパティマネジメント業界に参入する場合、一から事業を立ち上げるよりも買収の方が売上予測が立つため、リスクを軽減できます。

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M&Aでプロパティマネジメント業界の売り手が確認すべきポイント

M&Aでプロパティマネジメント業界の売り手が確認すべきポイント

M&Aでプロパティマネジメント部門を売却するにも、以下のように気をつけなければならない点があります。

● 適切な相談相手を選ぶ
● 情報漏えいには細心の注意を払う

M&Aにおいては、相談先を慎重に選ぶことが成功の秘訣となります。資料作成や企業(または事業)価値の見極めなど、さまざまな段階で専門知識が求められるでしょう。相談相手は、一連のM&Aをサポートしてもらうパートナーとなるのでよく吟味してください。

またM&Aを検討している段階で、従業員へ情報が漏れてしまうのは避けるべきです。混乱を招いたり、モチベーションダウンに繋がったりする恐れがあります。

プロパティマネジメント業界の課題を解決するならM&Aを検討しよう!

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プロパティマネジメントや不動産業界の課題解決には、M&Aが有効です。しかし、初めてM&Aを行う場合、まずはしっかりとサポートしてくれる相談先がポイントとなります。

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