不動産仲介業とは?不動産仲介の仕組みや流れをM&A専門家が解説!

MBA 清水淳史

阪和興業株式会社、株式会社紀陽銀行を経て、2018年フロンティア・マネジメント㈱に入社。紀陽銀行では、法人営業業務を経て、本部部署にて、事業承継・M&A業務を担当。フロンティア・マネジメントでは中堅・中小企業向けの事業承継型M&A業務、事業承継支援業務、組織再編業務に従事。製造業、飲食業、卸売業、小売業、不動産業など幅広い業界の事業承継型M&Aを多数経験。

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皆さんは不動産仲介業についてどのようなイメージをお持ちでしょうか。自宅の売買や賃貸物件の契約を通して不動産仲介業者と関わりを持った経験がある方もいらっしゃるかもしれません。本記事では不動産仲介業の仕事内容、仕組みを始め、不動産仲介業の領域でM&Aを行うメリット、注意点について解説します。不動産仲介業について基本から知りたい方、不動産仲介業のM&Aに関わる方にとって有益な内容となっておりますので、ぜひ最後までお読みいただけますと幸いです。

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不動産仲介業とは

ここでは不動産仲介業の基本的な概要と業務の流れ、不動産仲介業がもたらすメリットについて解説します。

不動産仲介とは何か

不動産業の中でも売買に関わる仕事は数多くあり、中でも不動産仲介はメジャーな領域です。不動産は数ある商品の中でも売買に手間がかかり、不動産の知識がない方には売買のノウハウがなく買い手や売り手を見つけるだけでも苦労することが多いでしょう。また、賃貸においても各物件の家主と個別に交渉して部屋を借りる場合、多くの手間と時間がかかります。そのため、不動産の買い手と売り手、貸し手と借り手をつなぐ不動産仲介という業種が発展してきました。

不動産仲介の流れ

ここでは、売買における不動産仲介を例に大きな流れについて解説します。売買、賃貸ともに売り手及び貸し手が持つ不動産を査定した上で、チラシの配布やWEBサイト掲載を通した広告活動によって買い手及び借り手を探し、双方の条件をすり合わせた上で契約に至るのが基本的な流れといえるでしょう。

【売買における不動産仲介の流れ】
1.売り手が物件の査定を依頼する。
2.買い手をつけるための物件を周知するなどの売買活動を行う。
3.売り手と買い手の間に立って条件交渉を行う。
4.売り手と買い手の間で売買契約を締結する。
5.物件の引き渡しを行う。

不動産仲介のメリット

先述の通り、不動産仲介業の役割は多くのノウハウを必要とする不動産売買や賃貸の領域において、売り手と買い手、貸し手と借り手の間で発生する手続きを円滑にすることです。不動産は独自性の強い商品であることから、買い手あるいは貸し手を見つけること自体が難しいという特徴があります。不動産仲介業者を通すことで、専用サイトであるレインズに物件情報を掲載する、仲介業者の持つネットワークを利用することなどが可能になり、買い手や借り手を探しやすくなります。また不動産取引においては独自の手続きや書類作成が発生するため、これらを代行してもらうことで不動産取引の手間を省くことができることも不動産仲介業者を通すことのメリットです。

不動産仲介契約の種類

ここでは、不動産仲介業を知る上で重要となる3種類の契約形態について解説します。不動産仲介
業では売り手が仲介業者と媒介契約を結ぶことで、対象となる不動産の売却を依頼します。

専任媒介契約

専任媒介契約は1社の不動産仲介業者にのみ不動産の売却を依頼する契約形態です。「専任」とあることから、この契約を結んだ場合は同じ物件に対して複数の業者に売却を依頼することはできません。一方で売り手が自分で見つけた買い手とは仲介業者を通さずに売買契約を結ぶことができます。専任媒介契約には最長3か月の期限があるため、依頼を受けた業者は期限内に買い手を見つけようと努力する動機が生まれます。そのため、早期に物件を売却したい場合は専任媒介契約が適しているといえるでしょう。一方で、営業活動に難のある業者や、十分な顧客基盤を持っていない業者と専任媒介契約を結ぶと売却までの期間が長引くケースもあります。

一般媒介契約

専任媒介契約と違い、複数の仲介業者と契約を結べるのが一般媒介契約です。一般媒介契約では一つの物件に対して複数の業者が売買に向けて動くために競争原理が働き、好条件で売却できる可能性があります。一方で、よほど好条件の物件が出ない限りは他の業者が先に売り手を見つけてしまうと、それまでの営業活動は徒労に終わってしまう可能性があるため、積極的に買い手を探さないことも考えられます。そのため、一般媒介契約は駅から近いなどの好立地であったり、築浅の物件などを売却する際に適した契約形態といえるでしょう。

専属専任媒介契約

専属専任媒介契約は、専任媒介契約の一種ですが専任媒介契約よりも制約が大きいのが特徴です。具体的には、専任媒介契約では売り手自身が買い手を見つけて直接契約することが可能なのに対し、専属専任媒介契約ではそれが許されていません。

【不動産仲介業における媒介契約】

 一般媒介契約専任媒介契約専属専任媒介契約
自分で買い手を見つけて契約する(自己発見取引)不可
依頼できる業者数複数1社のみ1社のみ
依頼主への報告義務なしあり(2週間に1回以上)あり(1週間に1回以上)
レインズへの登録義務なしありあり
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不動産仲介業界でM&Aによる買収を行うメリット

ここでは、不動産仲介業界でM&Aによる買収を行うメリットについて解説します。

地場の顧客を引き継げる

不動産仲介業の主な役目は売り手と買い手をつなげることにあります。そのため、売り手の不動産の潜在的な買い手となる顧客のネットワークを持っていることが重要です。特にある地域で長く営業してきた業者であれば、過去の取引や紹介などを通して独自の営業網を持っていることがあります。このような企業を買収することができれば、これまで展開してこなかった地域であっても有利な条件でビジネスを拡大することができるでしょう。

迅速な事業拡大

先述の通り、買収した企業の顧客基盤を引き継ぐことができれば事業拡大のスピードアップにもつながります。ある地域で有力なビジネス基盤を作ることは決して容易ではありません。M&Aにかかるコストをビジネス拡大にかかる時間への投資と考えることで、競合他社に先んじた事業展開が可能になるでしょう。

迅速に優秀な人材を確保できる

先ほども述べた通り、不動産仲介業においては優秀な宅地建物取引士が在籍していることが企業の競争力に直結します。宅地建物取引士は資格取得に向けた学習が必要な上、豊富な実務経験が求められる仕事ですので、一朝一夕で優秀な宅地建物取引士を育成することはできません。そのため、育成にかかる時間とコストをかけずに即戦力となる人材を確保できることもM&Aのメリットだといえるでしょう。

不動産仲介業界でM&Aによる売却を行うメリット

ここでは、不動産仲介業界でM&Aによる売却を行うメリットについて解説します。

後継者問題を解決できる

不動産仲介業者の中には地域に根差した営業活動を行い、豊富な人脈を持ちながらも後継者がいないがために廃業せざるを得ない業者も存在します。後継者不足に悩む業者にとって、M&Aは残された従業員の雇用も確保しつつ、事業を継続するための有力な手段となるでしょう。近年はM&Aを仲介するプラットフォームの出現などにより中小事業者にとってもM&Aによる後継者探しが活発化しつつあります。

廃業や税金のコストを削減できる

業界を問わず事業を畳む際には廃業の手続きを行いますが、廃業の手続きも簡単に進められるものではなく、コストが高くつくケースがあります。また、最終年度の売上に対しての税負担も無視できない金額になるでしょう。しかし、M&Aによって事業を売却することができれば、売却資金に対する課税はあるものの、少なくとも廃業に関するコストはゼロにすることができるため、これはM&Aによって売り手にもたらされるメリットだといえるでしょう。

不動産仲介業界でM&Aを行う際のポイント・注意点

ここでは、不動産仲介業界でM&Aを行う際のポイント及び注意点について、買い手と売り手の視点から解説します。

買い手の視点

スキルのある宅地建物取引士が所属しているか

不動産仲介においては、契約前の重要事項説明など宅地建物取引士にしかできない業務が
存在します。そのため、不動産仲介業者においては優秀な宅地建物取引士が所属しているかどうかが企業の競争力に関わってきます。買い手としては、M&Aで買収しようとしている仲介業者について、口コミなどのあらゆる手段を活用して在籍している宅地建物取引士の評価を知る必要があるでしょう。

有力な顧客基盤を持っているか

不動産仲介業においては買い手となる顧客に対するコネクションの豊富さが競争力に直結します。
不動産仲介の手数料は成功報酬であるため、潜在的な買い手を多く抱えていることは売上の拡大につながるからです。そのため、先述した通り買収した不動産仲介業者が既に有力な顧客基盤を持っていれば、該当する地域では有利に営業活動を行うことができます。また、賃貸であれば地域の物件に詳しい、管理会社とのネットワークがあるなどの強みを持っている企業があります。このような企業を買収すれば、顧客への物件提案がスムーズに進むといった強みも生まれるでしょう。

コンプライアンス上の問題を抱えていないか

不動産業界は他の業界に比べて、特にコンプライアンスの順守が求められる業界であり、5年ごとに更新される宅建事業者の更新回数が企業の信頼度のバロメーターになるといわれています。そのため、M&Aによる買収候補となる企業が過去に不動産の取引や雇用関係で問題を起こしていないかどうかは入念に確認しましょう。過去に宅建業の資格が取り消された業者や更新回数が少ない業者については注意が必要です。

売り手の視点

DXの進展につながるか

従来は人同士のつながりが重視された不動産仲介業界ですが、今後生き残るためにはデジタル技術を活用した業務の効率化が不可欠になっています。実際、契約の電子化や物件のオンライン内見など、デジタル技術が活用される領域が広がっており小規模な業者であっても、DXへの投資は避けられないものになりつつあります。特に一般消費者が顧客となる賃貸の仲介においては、利便性を重視する顧客も多くデジタル化に対応しているか否かが集客力の差に表れることもあるのです。M&Aの買い手となる企業には、今後デジタル化していく不動産仲介業務に適応できるだけの知見とデジタル投資ができる財務基盤を持っていることが求められるでしょう。

従業員の安定的な雇用につながるか

M&Aによって買収される側の企業の従業員は多くの場合、自分自身の安定的な雇用が
確保されるかどうかに不安を抱きます。そのため、買い手となる企業には安定した経営基盤を
持つことが求められます。売り手としてはM&Aに先立ち買い手の財務諸表や直近の業績を
確認するなどして、従業員の雇用を任せられる企業かどうかを見極めることが求められます。

まとめ

不動産仲介業者は、個人間での取引が難しい不動産という商品を円滑に取引するためには欠かせないプレーヤーです。また、売り手と買い手をつなぐことが主な使命であることから有力な顧客ネットワークの有無が企業の競争力に直結し、M&Aによる買収を行う際にも重要な判断基準となります。本記事では不動産仲介業におけるM&Aにおいて、売り手と買い手の双方で抑えるべきポイントについて解説しました。この記事を通して、不動産仲介業でのM&Aに関心を持っていいただけますと幸いです。

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