会社と経営者が抱える事業承継の問題とは?

小野田篤

大手銀行系ノンバンクの不良債権ビジネスからキャリアをスタートし、その後、独立系ノンバンクで投資銀行業務に従事。デット・エクイティを織り交ぜた投融資やメザニンレンダーとして多数のディールを経験。また、スタートアップベンチャー企業への投資及びFAS業務に従事し起業。ベンチャー企業専門のプレスリリース配信サイトや企業情報データベースサイトを構築運営。IPO支援や資金調達支援に実績を残す。外資系銀行・外資系生命保険などの金融業界では、富裕層及びオーナー経営者に対するM&Aを含む相続・事業承継コンサルティングや投資銀行業務に従事。ウェルスマネジメントを意識した金融スキームの提案、金融商品を活用したソリューション提供に多くの実績を残す。

この記事は約6分で読めます。

会社と経営者が抱える事業承継の問題はどのようなものがあるのでしょうか。
また、その問題を解決するにはどうすれば良いのでしょうか。
この記事では会社と経営者が抱える事業承継の問題について紹介し、どのようにすれば事業承継がうまくいくのかについて分かりやすく解説します。

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企業が事業承継できない場合

まずは企業が事業承継できない場合はどのような理由が考えられるのでしょうか。
経営者にとっては廃業するよりも、事業承継によって誰かに引き継いだ方がメリットが多いです。
しかしメリットが多いと分かってはいるものの、企業によっては事業承継の話がうまく進まないことがあります。
企業が事業承継できないのにはどのような理由があるのでしょうか。

企業が事業承継を行うべき理由

企業が事業承継を行うべき最大の理由は、金銭的なメリットです。
後継者が見つからずに廃業となった場合、不動産の売却など収入となるものもありますが、会社の備品などを処分するために費用がかかるものもあります。
賃貸で営業していた飲食店などが資産がないまま廃業となってしまった場合、借りた物件の原状回復や備品の処分代などで費用がかかることしかありません。
事業承継によって誰かに引き継いでもらえれば処分費用はかからないばかりか、株の贈与により収入を得ることができるので、大きなメリットがあります。
また、抱えている社員も廃業してしまえば職を失ってしまいます。
社員の為にも廃業はせずに事業承継をした方が良いでしょう。

企業が事業承継できない理由

企業が事業承継できない理由は主に以下の6つです。

・後継者の不在
・後継者の育成が遅い
・経営者の意思決定が遅い
・相談者・実務担当者の不在
・会社の経営状態
・会社の将来性への不安

後継者の不在は、経営者の後継者である子供がまだ未熟であったり、他の仕事をしている場合が原因となります。
長く勤めてもらっている社員に引き継いでもらうことも難しいです。
なぜなら、事業承継をするには株式の買取等を行わなければならず、会社を引き継ぐ側もある程度の資金が必要だからです。
したがって事業承継をする際の多くは外部から経営者として適任な人を見つけて引き継いでもらうことが多くなります。
後継者の育成が遅いというのは、創業者が長年1人で経営を担ってきた企業によくあることです。
会社の経営者には様々な知識や経験を身に付けなければなりません。
そのため後継者を育成するには、後継者だと決めてからしばらくの間後継者として育てる時間が必要です。
後継者として育成している途中で経営者の体調不良などにより突然誰かに後を継いでもらわなければならなくなると、事業承継は困難になります。
経営者の意思決定が遅いというのは、経営者がまだ元気でしっかりと自分で判断ができるうちは問題はありません。

しかし経営者が事故や病気などで突然倒れてしまい、後継者を選ばなければならなくなった場合、役員が後継者を決める必要があります。
そうなった場合、意思決定が遅くなってしまうことがあります。
相談者・実務担当者が不在というのは長年1人で会社を引っ張ってきた経営者によくあることです。

高齢化などの理由により自分の体調が悪くなってきた段階で、会社をどうしたらいいのかよくわからず廃業を選ぶというケースがあります。
事業承継はネット上や行政の専用窓口等で後で簡単に相談することができるので、廃業する前にまずは事業承継について相談してみると良いでしょう。
後継者が見つかったとしても会社の経営状態が悪いと事業承継は難しくなります。
事業承継によってどこかの企業の経営者の後を継ごうと考えている人は、会社の経営状態について把握しておくことが重要です。

会社の将来性の不安というのは、今はよくても将来的に安定した売り上げが見込めない業種にあることです。
世の中にはかつては多くの人が働いていたような仕事でも、時代の流れによりその仕事自体がなくなってしまうというケースはよくあります。
例えばレンタルビデオ屋や、タバコ屋などです。
これらの仕事はインターネットやコンビニの普及によってほとんど失われてしまいました。
今後なくなることが予想される業種はAIに代わり、人手が必要でなくなる仕事などです。
事業承継等をする際は、将来性のある仕事かどうかも考えなければなりません

企業が事業承継できない問題点

企業が事業承継できない問題点はどのようなところにあるのでしょうか。

後継者の不在

企業が事業承継できない問題点で最もよくある点が、後継者の不在という点です。
それまで黒字経営を続けていても、人材不足で後継者が見つからずに事業承継ができないという会社もあります。
会社の経営者の後継者に長年勤めていた社員を昇格させるというのは難しいです。
なぜなら株を買い取るだけの資金力が必要という事と、経営者保障として会社の保証人になる必要があるからです。

つまり会社の経営を引き継ぐにはある程度の資金力が最低限必要となります。
このことに加えて経営者としての能力も求められるので、社員が会社を引き継ぐということはあまりおこなわれておらず、多くの場合は既に何らかの会社を経営している経営者が、会社を引き継ぐということが多いです。
社員が社長に昇格する場合の多い形は、株は前の経営者のままで社長業だけを引き継ぐという形です。

つまり飲食店でいうとオーナーと店長を分けているという状態です。
このやり方だと前の経営者は実質的に経営に関わる必要はなくなりますが、最終的な責任は取らなければなりません。
このような事情のため会社が順調に利益を出している時は良いものの、会社の調子が良くない場合は経営者も会社の運営に関わることになります。
そのため株をそのまま持ったままだと完全に引退という形にはならず、何らかの形で会社に関わることになります。
保証人にならなければならないので、事業承継をする相手は会社が受けている融資以上の資産を持っている人である必要があります。
会社内に後継者にふさわしい人材がいなかったり、身の回りに会社を引き継いでくれそうな人がいない場合は行政が事業承継を支援しているので、商工会議所などで相談をしてみましょう。
また、事業承継のマッチングサイトなどもあるのでそちらを覗いてみると良い後継者が見つかるかもしれません。

会社の経営状態

会社の経営状態が悪いと事業承継が困難となります。
また相手が見つかったとしてもかなり安い値段で株の売却をすることになるでしょう。
しかし会社の経営状態が悪い理由が明確で、その悪い理由を解消するために違う企業に売却するという形をとるとそれほど価値は下がらない場合があります。
例えば製品は良いものを作っているのに、営業力や宣伝力が弱いため、全く売れない商品を抱えているという会社があったとします。
このような会社は知名度や宣伝のための資金が潤沢にある企業に買収されると、一気に売り上げが上がる場合があります。
そのため売却する側は自分たちの会社の力をしっかりアピールして、なるべく良い価値で売却できるようにしましょう。

このような自社の分析とアピールポイントは、M&Aを支援する会社などに依頼をすると自分たちで分析をして、他社に働きかけるよりも良い結果が出る場合があります。

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事業継承時の問題点

事業承継時にはどのような問題点があるのでしょうか。
主に金銭的な面で問題が発生することが多いです。

経営者保証

経営者保証というのは、通常の融資の際の連帯保証人と同じ意味を持ちます。
会社の場合は銀行から融資を受けるときは代表者がお金を借りるのではなく、会社として借りるという形になります。
その際の保証人が経営者保証です。
保証人になっていると会社事業がうまくいかず、お金が返せなくなった場合、経営者が自分の資産を売却などして借金を返済しなければなりません。
事業承継をする際はこの保証人も引き継ぐことになり、さらに保証人としてふさわしいかどうかは金融機関が判断します。
そのため事業承継をする人が覚悟を決めて保証人になると決めたとしても、金融機関が保証人としてふさわしくないと判断してしまえば保証人になることはできません。

債務超過状態

債務超過状態というのは銀行からの融資などの負債の金額が、会社が所有している資産全てを上回っているという状態です。
資産というのは現金のほかに土地や株などが含まれます。
特に株は持っている銘柄によっては価値が暴落することもあり、タイミングが悪ければ一時的に債務超過の状態になってしまうこともあります。
債務超過の状態でも事業承継をすることが可能です。
債務超過の状態で事業を引き継いだ人は、いきなり借金を背負った状態で経営を始めるということになります。
そのため債務超過の状態では事業承継をすることが困難です。

しかしそれまで培ってきた技術やノウハウなどが魅力的であった場合、事業承継を受けてくれる相手が見つかる場合もあります。
例えば有名な話で、シャープは赤字決算で経営が厳しい状態でしたが、それまでの技術力などが評価されて台湾の企業に買収されました。

まとめ

この記事では会社と経営者が抱える事業承継の問題について解説しました。
事業承継はそれまで会社を支えてくれた社員に引き継ぐことは稀であり、多くの場合はすでに違う会社を経営している経営者が引き継ぐ場合が多いです。
すでに会社を経営している経営者であれば、経営のノウハウをわかっているということのほか、譲り受け企業にによっては相乗効果によりさらに大きく成長できる場合があります。
事業承継を考えている人は親族や社員に引き継ごうとするのではなく、まずは事業承継の支援サイトなどで相談をしてみてはいかがでしょうか。

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