1円買収って実際どうなってるの?詳細を解説してみた【動画要約記事】

会計士 有泉正樹

大手証券会社にてリテール営業に従事後、大手監査法人およびFAS会社にて上場準備会社や上場会社の監査、各種コンサルティング、財務DDおよびFA業務などに従事。ファンド会社にてグロース、ベンチャー投資を多数実行。大手証券会社にて主にM&Aのオリジネーション業務などに従事後、大手流通小売企業でのDX業務推進や新規事業開発を経て、現在に至る。

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本記事はYoutubeで公開している「1円買収って実際どうなってるの?詳細を解説してみた」の要約となります。

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1円買収について

1円買収では、業績不振で赤字が続き債務超過になっている企業が対象となるケースが多いです。1,000円以下のM&Aは、年間公表ベースで10件~20件程度あります。業績不振の企業は資金がショートしてしまうので、新たな設備投資をする場合、資金調達が必要となります。親会社やオーナー様の立場で考えてみると、廃業の場合、従業員の雇用や取引先企業に迷惑をかける可能性がありますので、タダで良いから買収してほしい状態となります。ただし、会社さえ残っていれば再生する可能性があるので、雇用が守られる可能性は十分にあります。

弊社社長も実際に有利子負債が数百億円の会社を1円で売却する案件に関与したことがあります。また、弊社社長の知人の案件で売却額50円のM&Aがありましたが、譲受企業が50円の振り込みを忘れてしまい、その場で財布から50円を取り出して支払ったところ、譲渡企業の社長が号泣してしまったこともあるそうです。一見切ない話のように思われますが、1円でも株価がついていることは良いことです。おそらく当該譲渡企業には数億円という借入金があったはずなので、借入金を考慮すると実際には数億円で譲渡したことになります。つまり、買い手としては、借入金と同等の価値があると判断したということになります。具体的には、借入金が5億円で企業価値が5億円の企業の場合、企業価値5億円-借入金5億円=1円ということになります。

会社を売る判断

最近ではオーナー様が自己破産しなくていいように、経営者保証ガイドラインというものがあります。経営者保証ガイドラインとは、経営者保証の弊害を解消し、早期事業再生等を応援するガイドラインのことです。つまり、連帯保証していたとしてもある程度の生活を守ってくれるということです。弊社社長も実際に経営者保証ガイドラインを使った再生案件に携わったことがあります。通常は連帯保証していた分は返済する必要がありますが、当ガイドラインのおかげで、多少(10%程)の資産の差し押さえがあったものの、連帯保証していた分(残り90%)は返済が免除されました。

ここ数年コロナ禍で業績不振に悩む企業がありますが、今ならまだ1円で買ってくれる企業もあるはずです。逆に言うと、このままでは、1円でも売れなくなる可能性があるということを良く理解しておく必要があります。

そのような企業を探すのは困難かもしれませんが、1円で会社を買って立て直すことができれば、安い買い物になる可能性があります。前述した株価1円の会社も利益は出ていませんでしたが、売上高は数百億円ある企業です。買い手の経営手腕が問われることになりますが、やり方次第では大きな成果を得られる可能性があります。つまり、1円で会社を買うことができればチャンスになる可能性があるということです。売り手にとっても1円で譲渡することができれば、借入金を肩代わりしてもらえ、プラマイゼロの状態で次の事業を始めることができますし、買い手にとってはやり方次第で大きく飛躍させることができる可能性があります。1円譲渡は、双方にとってメリットが十分ありますので、今後増えてくる可能性が高いので要注目です。

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【補足】1円企業のその後

過去には、さまざまな企業が1円で買収されています。
その一つとして、当時日本ハムの孫会社で、焼肉店を運営していた株式会社スエヒロレストランシステム(神奈川県)を、2009年に焼肉チェーンのあみやき亭が1円で買収しています。

新規エリアへの出店、セントラルキッチンの稼働率向上、スケールメリットなど、様々なシナジー効果が発揮でき、高い競争力を実現できた結果、今では売上高は約45億円から約60億円まで伸長しています。

株価1円という投資額で優秀な人材や技術、参入予定の業界の取引先(顧客)を獲得でき、自社の事業と大きなシナジー効果が期待できる場合は、相手が赤字企業であっても「買い」であるといえます。

【参考サイト】スエヒロ会社概要

1円買収って実際どうなってるの?詳細を解説してみた 動画

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