役員退職金とは?支給手続きや計算方法、税金などのメリットとデメリットを解説

会計士 村瀬達彦

新卒で有限責任監査法人トーマツに入所。主に製造業、卸売業、小売業を中心とした様々な企業の法定監査業務及びIPO支援業務に携わる。監査業務を遂行する中で企業が抱える様々な課題を目の当たりにし、監査業務とは異なった視点から世の中の企業の力になるべく、幅広いサービスラインを備える株式会社M&A DXに入所。現在に至る。

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退職金の1つである「役員退職金」はどのような定義の退職金で、どのような特性をもつのか。
この記事では、役員退職金の概要や支給手続き、計算方法、税金などを解説します。役員退職金について知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

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役員退職金(役員退職慰労金)とは?

役員退職金とは、一般的には取締役または監査役が、任期満了または辞任などの理由によって退任した場合に支払われる金銭です。

役員退職金の支給に関わる手続きについては、一般社員の退職金とは異なります。役員退職金を支給するには、株主総会の決議を経るか、定款に定める必要があります。

退職金との違い

一般社員の退職金は、基本的に、就業規則に記載された「退職金規程」に基づいて支給します。ただ、退職金規程を作成するのは義務ではないものの、合理的な労働条件を明確にするため、就業規則に定めるのが一般的です。

一方で、役員退職金には就業規則による退職金規程は必要ありません。規則に定められていなくても支給が可能です。

会社が役員退職金を給付するメリット

役員退職金を支給ことは会社にとってもメリットがあります。会社が役員退職金を支給するメリットは、主に次の2つです。

・損金に算入できるので節税対策になる
・社会保険料を負担する必要がない

役員退職金は、全額が損金となります。役員退職金を支給することで所得が圧縮され、法人税の節税などにつながります。

また一般的な退職金と異なり、役員退職金は社会保険の対象外です。つまり、会社が社会保険料を負担する必要がありません。

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会社が役員退職金を給付するデメリット

役員退職金を支給することは、会社にとってデメリットもあります。会社が役員退職金を支給する主なデメリットは、次の2つです。

・手間がかかることやトラブルになる可能性がある
・キャッシュが減る

詳しくは後述しますが、役員退職金は株主総会の決議を経て支給されるのが一般的です。そのため手間がかかるほか、株主からの反対によってトラブルが生じる恐れもあります。

また当然ですが、役員退職金を支給すれば会社の現金は減ります。特に資金繰りの苦しい企業にとっては、役員退職金の負担は重たいものになります。

役員退職金を支給する手続き

役員退職金は、定款もしくは株主総会の決議を経て支給されます。ただ実態としては、定款で定めていないことがほとんどですので、株主総会を経るのが一般的です。

株主総会では「〇〇氏に役員退職金を支払う」という旨を決議し、具体的な役員退職金の算定方法や支給額等は、取締役会を経て決める流れです。

分掌変更による支給

役員の分掌変更によって引き続き会社に在職する場合でも、客観的に退職した事実が認められる際は「役員退職金」の支給は可能です。

しかし、役員退職金を支給する目的(主に節税目的)で分掌変更する場合、退職した事実が認められないケースがあります。このとき、この支給は「賞与」という扱いになります。賞与を損金に算入するにはあらかじめ届出が必要で、また、支給額を損金に算入できない可能性もあります。

役員退職金を支給しない場合の手続きは?

会社の財務状況が悪化しているなどの理由で役員退職金を支給しない場合でも、その旨を株主総会で決議を経る必要があります。「〇〇氏には役員退職金を支給しない」旨を株主総会で決議することで、支給しないことを確定できます。

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役員退職金の計算方法

役員退職金には、いくつか算定方法があります。そこで、主なの計算方法を二つ紹介します。

①功績倍率法

功績倍率法とは、役員退職金の計算方法で一般的に用いられる算定方法です。功績倍率法では、以下の計算方法を用います。

最終報酬月額×役員在任年数×功績倍率

それぞれの用語の意味は、次の通りです。

・最終報酬月額
→役員の退任時の月額報酬
②役員在任年数
→役員として在任した年数
③功績倍率
→会社に対する貢献度などを反映した倍率。一般的に、2~3倍で設定される

たとえば、最終月額報酬100万円、役員在任数5年の専務に功績倍率2.5で役員退職金を支給する場合、支給額は次のようになります。

100万円×5年×2.5=1,250万円

なお、功績倍率を不当に高く設定すると、役員退職金が損金として認められない可能性があります。そのため、功績倍率法には客観的に正しいと思われる倍率で設定することが必要です。

②1年当たり平均額法

あまり使われない方法ですが、役員退職金を求める計算方法の1つに「1年当たり平均額法」があります。1年当たり平均額法とは、類似する企業役員の退職給与の1年当たりの平均額に、支給対象の役員の在任年数を乗じて計算する方法です。

類似する企業役員の退職給与の1年当たりの平均額×在任年数

たとえば、類似する企業役員の退職金が500万円で、在任年数が10年の場合、1年当たり平均額法で求める役員退職金は次のとおりです。

500万円×10年=5,000万円

なお1年当たり平均額法は、基本的に、功績倍率法での計算に合理性がないケースにおいて用いられる計算方法です。一般的に用いられる役員退職金の計算方法ではない点に留意が必要です。

③功労加算金

役員退職金とは別に、特に功績を残して退職された役員に対しては、「功労加算金」を上乗せの退職金を支給することができます。明確な制限はありませんが、一般的に役員退職金の30%で計算されます。

功労加算金=役員退職金の支給額(本体)×30%

たとえば、功績倍率法によって求められた役員退職金本体が5,000万円の場合、役員退職金の総支給額は次のとおりです。

5,000万円+5,000万円×30%=6,500万円

なお、功労加算金が不当に高い場合、役員退職金の支給額として認められない可能性があります。

役員退職金は「退職所得」として税金を計算する

役員が役員退職金を受け取った場合「退職所得」に該当します。役員退職金から計算された退職所得に対し「所得税」と「住民税」の2つの税金が課せられます。

役員退職金の退職所得は、次の計算式で求めます。

役員退職金の退職所得=(役員退職金支給額-退職所得控除)×1/2

退職所得控除は、次の計算式で求めます。

勤続年数退職所得控除額
20年以下40万円×勤続年数
(80万円に満たない場合は80万円)
20年超800万円×70万円×(勤続年数-20年)

上記の計算式で求めた役員退職金の退職所得に対し、所定の税率を乗じて所得税と住民税を計算できます。

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役員退職金の損金算入時期について

前述のとおり、役員退職金は損金に算入できます。原則、役員退職金の損金算入時期は、株主総会の決議などによって退職金の金額が具体的に決まった日に該当する事業年度です。

ただし、企業が役員退職金を支給した事業年度において、損金として処理した場合は、支給した事業年度を損金算入時期とすることも可能です。

役員退職金は適正な基準をもとに設定しよう

役員退職金は、一般的には取締役または監査役が、任期満了または辞任などの理由によって退任した場合に支払われる金銭です。役員退職金については、原則「功績倍率法」によって計算されます。

役員退職金には、会社にとって損金に算入できたり、社会保険料を支払う必要がないなどのメリットがあります。ただし、不当に高く支給した役員退職金は損金として認められない可能性があるので、適切に計算することが求められます。

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