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吸収合併における債権者保護手続きの流れ|注意点や公告手段もチェックしよう

公認会計士 牧田彰俊

公認会計士 牧田彰俊

有限責任監査法人トーマツ入所、各種業務の法定監査、IPO支援に携わる。 その後、ファイナンシャルアドバイザリーサービス部門にてM&A アドバイザリー業務・財務デューディリジェンス業務・企業価値評価業務等に従事。 組織再編によりデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社に異動し、主に国内ミドルキャップ案件のM&Aアドバイザリーとして、豊富な成約実績を収める。 2018年、これまで以上に柔軟に迅速に各種ニーズに応えるべく牧田公認会計士事務所を設立し、現在に至る。本記事の監修を務める。

合併を検討している場合、債権者保護手続きの必要性や注意点が知りたいという方もいるのではないでしょうか。

合併を実行するには、債権者が異議を述べることができる期間を一ヶ月以上確保しなければならないことが会社法で定められております(吸収合併:会社法799条、新設合併:会社法810条)。債権者保護手続きとは、官報公告や個別催告で組織再編の通知を受けた債権者が、最低1か月間は異議を述べることができ、債権者利益を保護しなくてはならない制度をいいます。1か月以内になんら異議を述べなかった場合は、承認したとみなされます。債権者が異議を申し立てた場合、当事会社は弁済もしくは相当の担保を提供するといった対応しなくてはなりません。
債権者保護手続きの必要性や手順を知ったうえで、合併プロセスをすすめることでスムーズに実行できる可能性が高まります。そこでこの記事では、債権者保護手続きの流れや注意点、選択できる公告方法について解説します。

債権者保護手続きは、通知や異議申立期間に相応に時間を要します。そのため、債権者保護手続きを理解し、スムーズなプロセス進捗を目指しましょう。

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合併するなら債権者保護手続きは必須!

合併するなら債権者保護手続きは必須!

合併は株式譲渡と異なり、債権者にとってのリスクを孕みます。例えば、融資(貸付)していた会社が経営状態の悪い会社と合併することによって債権回収が難しくなる場合があります。したがって、債権者は合併の効力が発生する前に、会社法が定める債権者保護手続きに従って異議申し立てが出来ます。債権者が合併に異議を延べた場合、会社はその債権者に対し、弁済し、もしくは相当の担保を提供、又はその債権者に弁済を受けさることを目的として信託会社等に相当の財産を信託しなければなりません。(会社法第789条5項)

債権者保護は会社法で定められている

会社法は、会社の設立・組織・運営・管理について定めた法律です。会社法では、組織再編によって影響を受ける債権者がいる場合、債権者に異議申し立ての機会を与えることが定められています。債権者とは、法的に物を受け取ったり、お金を受け取ったり、お金を返してもらう権利を持つ者を指しますので、合併する会社に融資している金融機関や取引先(仕入先)の会社です。

基本的には会社法が定める事項を官報によって公告し、債権者にも個別催告を行い、異議申し立てができる期間を確保します。債権者が異議申し立てをした際には、当事会社は債務の弁済や担保の提供といった対応をし、この一連の手続を債権者保護手続きと呼びます。

以下は債権者保護手続きの要否とM&Aにおけるスキーム別に整理しました。

M&Aの手法

債権者保護手続きの要否

株式譲渡 不要(会社法に定めなし)
事業譲渡 不要(会社法に定めなし)
株式交換 原則として不要
株式移転 原則として不要
会社分割 必要
合併 必要

合併には「吸収合併」と「新設合併」の2種類があり、実務上は多くのケースで吸収合併を採用します。

債権者保護手続きが必要な理由

経営状態・財政状態が悪い会社と合併する場合、もう一方の当事会社の債権者は債権を回収できなくなる可能性が生じます。

例えば、B社を存続会社としてA社とB社が吸収合併するケースを考えます。A社の経営状態が悪く、債務や不良債権を引き継ぐのであれば、B社の債権者は「貸した金銭が返ってこないのではないか」と不安に感じる場合があります。そこで、合併する予定を債権者に事前に告知し、異議申し立て期間を確保することで、債権者の権利を保護します。

債権者保護手続きを行わないとどうなる?

債権者保護手続きを行わなかった場合、法令に違反するとして、当事会社の株主から吸収合併の差し止めを請求される恐れがあります(吸収合併:会社法784条2項および会社法796条2項、新設合併:会社法第805条2項)。

また、債権者保護手続きが終了していない場合は合併の効力は発生しません(吸収合併:会社法750条6項、新設合併:商業登記法81条8項)。会社法の定めに従って債権者保護手続きを進め、異議申し立てをした債権者に対応することで、はじめて合併を実行できます。

債権者保護手続きを行わないと合併を実行することは出来ませんし、手続きに瑕疵があると無効事由となりうります。

合併で債権者保護手続きを行う際の流れ

合併で債権者保護手続きを行う際の流れ

合併における債権者保護手続きでは、官報による公告や債権者に対する個別催告をし、異議申し立てを行った債権者に対して弁済等します。債権者保護手続きの開始時期に会社法上の定めはありませんが、債権者が異議申し立てを検討する期間として1か月以上を確保しなければなりません(吸収合併:会社法789条2項、新設合併:会社法810条2項)。

1.官報による公告

債権者保護手続きの最初のステップは、会社法が定める事項を官報によって公告することです。吸収合併の場合、以下の事項を公告します(会社法789条2項、799条2項)。

・吸収合併等をする旨
・合併する相手会社の商号及び住所
・消滅株式会社等及び存続会社等(株式会社に限る。)の計算書類に関する事項として法務省令で定めるもの
・債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨
なお、公告は当時会社が共同で行うケースもあります。

新設合併の場合、以下の事項を公告します(会社法第810条2項)

・新設合併等をする旨
・他の消滅会社等及び設立会社の商号及び住所
・消滅株式会社等の計算書類に関する事項として法務省令で定めるもの
・債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨

官報は申し込み後、すぐに掲載されるわけではありません。申請してから2~3週間ほどの期間がかかりますので余裕を持った申し込みをおすすめします。

2.組織再編に関わる債権者に個別催告

官報による公告の後は、知れたる債権者に対して個別催告を行います。個別催告の方法は特に定められていないため自由に決定でき、催告の内容も官報公告と同一のもので構いません。

知れたる債権者に対する催告の方法は、普通郵便によるハガキや封書が一般的です。催告の効果が発生するのは通知が到達した日なので、合併効力発生日前までに到達した日から1か月以上確保します。

3.異議があれば債権者に対して弁済

公告や催告を行った結果、債権者が異議申し立てをするケースがあります。この場合、対応する方法は以下の3つです(吸収合併:会社法789条5項及び会社法799条5項、新設合併:会社法810条4項)。

・当事会社は債権者に債務を弁済する
・当事会社は債権者に相当の担保を提供する
・債権者に弁済を受けさせることを目的として、信託会社に相当の資産を信託する

期間内に異議申し立てがなければ、債権者は合併を承認したと見なします(吸収合併:会社法789条4項及び会社法799条4項、新設合併:会社法810条4項)。

債権者保護手続きの中でもっとも思い通りにいかないのが官報公告のタイミングなので、早めに準備に取り掛かりましょう。

合併で債権者保護手続きを行う際の注意点

合併で債権者保護手続きを行う際の注意点

合併する際には、会社法の定めに従って債権者保護手続きを行います。注意点は「効力発生日までに債権者保護手続きを完了させること」「知れたる債権者に漏れなく個別催告すること」の2つです。ここでは、合併で債権者保護手続きを行う際の注意点について解説します。

効力発生日までに債権者保護手続きを完了させる

合併の手続きを当事会社間で進めても、債権者保護手続きを完了させなければ、合併の効力は発生しません。会社法の定めにより、債権者保護手続きは効力発生日前までに完了する必要があります。効力発生日以降に債権者保護手続きを完了させても、吸収合併の効力は発生しないため、手続きをやり直さなければなりません。

個別催告の対象に漏れがないようにする

個別催告の対象となる知れたる債権者に催告を行わなかった場合、債権者保護手続きの知らせを受けなかった債権者は、債務の支払い請求や組織編成の無効を裁判で求めることが可能です。
また、債権者保護手続きを故意に行わないといった悪質性が認められると、合併の効力が失われるので注意しましょう。
債権者保護手続きが履行されなかったことを事由として、該当する債権者は吸収合併に対して訴訟を起こせます。

債権者による訴訟により、吸収合併後に当該合併が無効となるケースがあることに注意しましょう。吸収合併の効力発生日から6か月以内であれば、債権者であった者や破産管財人が訴訟を起こせます(会社法828条1項7号,8号及び会社法828条2項)。吸収合併が失敗とならないように知れたる債権者には漏れなく個別催告しましょう。

債権者保護手続きで個別催告を省略する方法

債権者保護手続きで個別催告を省略する方法

合併において債権者保護手続きは必須です。しかし、公告は比較的容易ですが、スケジュールがネックになることがあります。また、個別催告はどこまで催告するのかが論点となります。そのため、個別催告をパスすることには大きなメリットがあり、ここでは債権者保護手続きで個別催告を省略する方法について解説します。

ダブル公告を行う

債権者保護手続きにおいて個別催告は原則として必要ですが、官報公告に加えて、定款の定めに従い日刊新聞紙または電子公告をした場合は、債権者に対する各別の催告は不要となります(会社の公告方法:会社法939条2項及び3項、吸収合併:会社法789条3項及び会社法799条3項、新設合併:会社法810条4項)。これを「ダブル公告」あるいは「二重公告」といったりします。

公告方法の変更方法

ダブル公告を選択するには、定款に日刊新聞紙や電子公告による公告を定めていることが前提です。定款で官報を公告方法に定めているのであれば、ダブル公告は選択できません。公告方法は定款の記載事項であるため、変更したい場合は株主総会の特別決議により変更手続きを行います(会社法309条)。

なお、登記簿謄本を確認しない限り、債権者は公告方法が変更された事実に気付けません。公告方法の変更に当たっては、少なくとも公告の前日までに登記を済ませるのが望ましいでしょう。

合併検討をスタートした段階で、公告方法を確認しましょう。必要に応じて変更し、ダブル公告を利用することにより手続きを簡素化できます。

3パターンある公告手段の特徴

3パターンある公告手段の特徴

ここでは、「官報」「日刊新聞紙」「電子公告」という3種類の公告方法について、掲載する方法や特徴を紹介します。

官報に掲載する方法

官報とは、法令・条約・予算・人事といった事柄の広報や公告を使命とする国が発行する日刊機関紙です。紙媒体を購入できる他、インターネットでも閲覧が可能です。

申し込みから掲載までは、決算公告は2~3週間ほどかかります。多くの会社が公告方法として官報を採用しており、その際定款を変更せずに公告できるのがメリットです。掲載に当たっては、数万円の掲載費用がかかります。

日刊新聞紙に掲載する方法

定款次第では、日刊新聞紙への掲載による公告が可能です。事前に定款に記載することで、全国紙にも地方紙にも掲載することで公告となります。掲載費用は官報より割高です。

ダブル公告の仕組みを利用して、債権者への個別催告を省略できることがメリットです。

電子公告

日刊新聞紙と同じように、定款を変更することで電子公告も利用できます。電子公告とは、特定のWebページを指定して公告に利用する方法です。電子公告が適法に行われたかどうかを法務大臣の登録を受けた調査機関による調査により検証されます。(会社法941条)
Webページに自社のホームページを指定することで、官報や日刊新聞紙に比べて掲載費用を安く抑えられます。

電子公告

参考「電子公告とは

公告方法は様々ありますので、自社に合った方法を選択しましょう。

すばるなら合併手続きがワンストップ!

吸収合併を成立させるには、会社法が定める債権者保護手続きを行う必要があります。さらに、存続会社と消滅会社間のやり取りも多く、専門家と連携することが大切です。

すばるには大手監査法人系M&Aファーム出身の公認会計士や税理士が多数在籍し、FA(ファイナンシャル・アドバイザリー)・デューデリジェンス(DD)・PMI(Post Merger Integration)など、豊富なサービスラインに基づき、最適な事業承継をサポートします。吸収合併の手続きでお悩みの方は、M&Aの専門家集団であるすばるにご相談ください。

まとめ

まとめ

債権者保護手続きを効力発生日前までに完了しなければ、吸収合併は成立しません。知れたる債権者への個別催告に漏れがあると、吸収合併後に訴訟を起こされるケースがあることに注意しましょう。ダブル公告を利用すれば、個別催告の省略が可能です。

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