企業売却は後継者不在の解決策!決断前にメリットとデメリットを比較

税理士 安江一将

会計コンサルティング会社・税理士法人及びベンチャー企業2社に勤務。会計コンサルティング会社・税理士法人では税務顧問・税務申告のほかに、事業承継支援業務、組織再編業務、IPO支援業務、M&A業務を数多く実行。ベンチャー企業では管理部長・経営企画室を歴任し、上場のための体制構築・実行支援を推進する。大手コンサルティング会社名古屋支社副支社長を経て2019年8月に安江一将税理士事務所として開業した後、さらにM&A業務を推進することを目的として株式会社M&A DXに参画し、現在に至る。

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後継者不在でも、企業売却により従業員の働き口を確保することができます。ただし、メリットだけでなくデメリットがあることも理解しておかなければなりません。

本記事では、企業を売却するか悩んでいる人の参考になるように、企業売却の事例や流れを詳しく解説します。

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本記事のポイント

  1. 企業の売却を検討しているが、何から始めれば良いかわからない方向けの記事です。
  2. 企業売却の流れや売却を成功させるためのコツを丁寧に解説しています。
  3. 企業売却のメリットデメリットも紹介しているので、企業を売却するか悩んでいる方向けの記事にもなっています。

企業売却は会社を第三者に売却すること

企業売却は会社を第三者に売却すること

企業売却とは、会社を第三者に売却することです。企業売却には、株式譲渡により会社全体を売却するケースと、事業譲渡のケースがあります。

企業売却と同じような場面で使われる用語がM&Aです。 M&A(merger and acquisition)は企業の合併や買収のことで、企業の多角化、競争力の強化、最新技術の獲得といった企業戦略の一環で用いられます。

株式譲渡による会社売却と事業譲渡の違い

株式譲渡による会社売却と事業譲渡の違い

中小企業庁の中小企業白書では、M&Aを「買収」と「合併・分割」に分類しています。本記事で取り上げる「企業売却」を買い手の立場から見た用語が「買収」です。

中小企業白書では、「買収」をさらに「株式譲渡」と「事業譲渡」に分類しています。株式譲渡による会社売却と事業譲渡の特徴を説明した上で、両者の違いを確認していきましょう。

株式譲渡の特徴

株式譲渡とは、譲渡側の企業のオーナーが所有する発行済株式を譲受側の企業に売却することにより、子会社となることを指します。手続きは他のM&Aの手法と比べると簡便です。

株式譲渡では、株主が代わる以外に大きな影響はなく、従業員や取引先との契約などもそのまま引き継ぐことが出来るため、対外的な影響は最小限にすることができるところが大きな利点です。また、企業の債権や債務、特許や許認可等も原則として引き継がれます。

株式譲渡による会社売却を選択した方が良いケースは、「株式を現金化したい場合」や「組織をそのまま相手に引き継ぎたい場合」です。一方、企業売却に反抗的な株主が存在する場合には適さないでしょう。

事業譲渡の特徴

事業譲渡とは、譲渡側の企業がその事業の全部、または一部を譲受側の企業に売却することです。債権や債務、契約関係などの同意を関係者から1つずつ取り付けていかなければいけないので、手続きが煩雑になります。

事業譲渡を選択した方がいいケースとして、複数の事業のうち、一部を譲渡したい場合やデューデリジェンスにより簿外債務などのリスクが顕在化した場合です。譲渡した際の代金は株主ではなく、譲渡した企業が受け取るため、創業者などが株式を現金化したいと考えている場合には向いていません。

株式譲渡と事業譲渡の違い

株式譲渡による企業売却と事業譲渡の大きな違いは、企業全体の資産がどうなるかという点です。株式譲渡では、基本的に全ての事業・資産を譲渡するのに対し、事業譲渡では継続保有したい事業や資産を法人格ごと残すことができます。

譲渡益に対して課される税金の種類も異なる点です。株式譲渡の場合、株主が得た株式譲渡益に対して所得税が課されます。一方、事業譲渡で事業譲渡益を得るのは企業なので、法人税が課されます。

また、株式譲渡と異なり事業譲渡では、取引先や従業員等の各契約の結び直しをしなければなりません。

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経営者が企業売却を検討する理由

経営者が大切な企業や事業の売却を決断するための理由はさまざまです。経営者自身の理由、企業存続の理由、あるいは両方の理由から企業売却を検討する場合などがあります。

経営者自身の理由の代表例が「創業者利潤の確保」「後継者不在」「年齢や健康上の問題から引退」です。一方、企業存続を理由とする場合の具体例として「経営不振」「まとまった資金調達」「別事業・分野への進出」などが挙げられます。

経営者が株式譲渡による企業売却や事業譲渡を検討する理由を確認していきましょう。

創業者利潤の確保

事業譲渡と異なり株式譲渡による企業売却では、株主が売却による譲渡益を得ることが可能です。そこで、現経営者が対象企業の創業者で今も株式を保有している場合、利益確保を目的に企業売却を検討する場合があります。

創業者は確保した利潤を引退後の生活に充てることが可能です。また、企業売却後に新たな企業を続けて立ち上げ、シリアルアントレプレナー(連続企業家)になるケースもあります。

また、ベンチャー企業やスタートアップで取られる株式の売却戦略はEXIT(イグジット)と呼ばれています。EXITを意識した経営者は、創業段階から株式を上場する「IPO」かM&Aによる「企業売却」いずれかを最終的な目的地としています。

後継者不在

後継者不在を理由に、企業売却を決断することもあります。2020年に実施された帝国データバンクの「後継者不在率動向調査」によると、約 26 万 6,000 社(全国・全業種)のうち約 65.1%に当たる約 17 万社で後継者不在でした。また、2019年に日本政策金融公庫が廃業企業に廃業理由について尋ねた調査では、後継者難による廃業が29.0%とおよそ3分の1を占めています。

出典:帝国データバンク「特別企画:全国企業「後継者不在率」動向調査(2020年)」

ちなみに、同じく日本政策金融公庫が後継者決定企業に後継者候補を尋ねた調査では、長男が45.2%で長男以外の男の実子10.1%でした。後継者候補が親族の割合はおよそ8割に及ぶ一方、役員・従業員は16.3%、社外の人が4.0%に過ぎません。日本の企業では、後継者の決定=親族から選ぶ傾向が強いため、親族に候補者がいない場合には後継者を決めきれない状況にあるといえます。

出典:日本政策金融公庫「「中小企業の事業承継に関するインターネット調査(2019年調査)」結果」

年齢や健康上の問題からの経営者引退を検討

年齢や健康上の問題から、経営者引退を決断するケースもあります。東京商工リサーチの調査によると、2020年の社長の平均年齢は62.49歳でした。2015年の同調査では60.89歳であったことから、日本で経営者の高齢化が進んでいることがわかります。

年齢を重ねるのに伴い、気力や体力が減退すると、経営悪化にもつながりかねません。社長の年齢別に直近の企業業績をみると、「増収」は30代以下で54.2%と最も大きい一方、年齢と反比例する形で70代以上は39.2%と4割を下回りました。

また、70代以上は、「赤字」や「連続赤字」の割合が全年代で最も高いとのことです。社長の高齢化と業績との関連性からも、経営者の年齢が企業売却するひとつのきっかけとなりえます。

出典:東京商工リサーチ「全国社長の年齢調査」

経営不振

経営不振をきっかけに、中小企業が売却を決断するケースもあります。熾烈な競争の中では、豊富な経営資源を有する大企業に立ち向かうことが困難なためです。売却先が見つかれば、事業を継続できるため、従業員の雇用を確保できます。

2050年には、日本の人口は約1億人まで減少する見込みです。特に、生産年齢人口比率の減少が加速していきます。日本の市場が縮小すると、たとえ技術を有していても経営不振に陥る可能性があるため、今後も企業の売却が有効な手段のひとつです。

出典:経済産業省「2050年までの経済社会の構造変化と政策課題について」

まとまった資金調達

株式譲渡による企業の売却ではなく主に事業譲渡のケースで、まとまった資金の調達を目的に売却することがあります。中小企業は経営資源が限られているため、多角化している場合は業績が良好なコア事業に集中する「選択と集中」が有効な対策です。

収益性が低い事業を売却してまとまった資金を手に入れれば、コア事業に人材や技術、設備を一気に投入することができます。ただし、従業員のスキルや設備がコア事業とマッチしていない場合はかえって生産が低下してしまうリスクを理解しておかなければなりません。

別事業・分野への進出

コア事業への集中とは反対に、別事業や分野への進出を目的として事業を売却する場合があります。別事業へ進出する主な理由は、本業が位置する業界での競争が激化している点、本業での先行きが見えないなどです。

なお、企業が別事業に進出するのではなく、経営者が企業を売却してから続々と新企業を創業した場合、「Exit(創業者利潤の確保)」で紹介したシリアルアントレプレナーとなります。

株式譲渡以外の選択肢

株式譲渡以外の選択肢

実際に「経営者が企業売却を検討する理由」で紹介した状況になった場合、株式譲渡や事業譲渡以外にも取りうる手段が存在します。具体的には、「合併する」「MBOで従業員が承継する」「親族が承継する」「売却先が見つからなければ清算する」といった手段です。

各手段の概要や株式譲渡による企業売却との区別について、解説していきます。

合併する

合併とは、二つ以上の企業を一つの法人格に統合する手法です。企業の全資産・負債、従業員等を譲受企業に移転し、譲渡企業は消滅します。

株式譲渡による企業売却では子会社としてそのまま企業が存続するのに対し、合併は法的にひとつの法人となる点が特徴です。また、合併は買収の対価を現金ではなく、自社株で交換とすることができます。合併することで企業間の結合は強くなりますが、合併企業同士の雇用条件の調整や事務処理手続きの一本化に手間がかかる点がデメリットです。

合併には、新設合併と吸収合併があります。

新設合併の特徴

新設合併とは、合併するすべての企業が解散して消滅し、同時に新たな企業を設立して合同する合併方式です。つまり、株式や事業用資産、従業員との雇用契約やノウハウなどは全て新設した企業が引き継ぎます。

新設合併では、いずれの企業も消滅するため対等な立場での合併になりやすい点がメリットです。ただし、企業を新規設立したり、許認可を再取得したりしなければならないため、手間がかかります。

吸収合併の特徴

吸収合併は、合併する企業のうちで、一企業だけが存続し、他の企業は存続会社に吸収されて消滅する合併方式です。一般的に、より規模の大きな企業が存続し、規模の小さい側の企業の全ての株式や事業用資産、諸契約を取り込みます。

新設合併も吸収合併も、シナジー効果やコスト削減が期待できる点は共通です。しかし、新設合併は企業が今まで取得していた許認可や申請を再度求められるのに対し、吸収合併では一部の業種を除き不要である点が異なります。

MBOで従業員が承継する

MBO(management buyout)とは、経営陣が自ら調達した資金で自社あるいは事業部門を買収し、親会社など株主から経営権を取得することです。役員や従業員が承継する場合、原則現経営者からの相続はないため、自社株式を買い取ることになります。

MBOは、今まで経営や事業に携わってきた役員や従業員が引き継ぐため、スムーズに交渉・承継できる点がメリットです。一方、承継する役員や従業員が個人的に資金を調達しなければならない点や、企業風土を大きく変えることが難しい点がデメリットとして挙げられます。

親族が承継する

親族内承継という方法もあります。親族内承継とは、経営者の子どもや親族を後継者として事業を承継する方法です。「経営者が企業売却を検討する理由」の「後継者不在」で説明した通り、後継者を決めている企業の多くは親族による承継となっています。

親族が承継する場合のメリットは、社内外の同意を得やすい点や相続を活用してコストを抑えることができる点です。デメリットは、経営者の資質がない人物が後継者になるおそれがある点、少子化などの影響から親族で後継者になる人物がいない点です。

売却先が見つからなければ清算する

親族内承継も第三者への売却もできず、事業を継続することが困難な状況な場合、清算せざるをえません。清算とは企業を解散した後に債権債務を整理し、残った財産を債権者に分配する手続きです。

清算は以下の流れで進みます。

1. 解散・清算人の登記申請手続き
2. 官報を利用して解散公示
3. 解散後2ヶ月以内に解散確定申告
4. 清算結了を登記し、企業が消滅
5. 1ヶ月以内に清算確定申告をし、所得があれば納税

清算で法人を消滅させるのではなく、市区町村と税務署に休業する旨を記載した異動届出書を提出して休眠状態にするケースもあります。休眠状態にしても、毎年税務申告しなければならない点がデメリットです。

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企業を売却するメリット

企業を売却するメリット

企業を買収する側のメリットは、「規模を拡大できる」「コスト削減やシナジー効果が期待できる」「新規事業への参入のきっかけとなる」などです。一方、企業を売却する側も、株主や経営者、従業員がメリットを享受できます。具体的には、「株主は売却利益が期待できる」「経営者は個人保証を解除できる」「経営者は余裕ができる」「会社の存続や更なる成長が期待できる」「社員はそのまま働くことができる」などです。

それぞれのメリットについて解説していきます。

株主は売却利益が期待できる

株式譲渡による企業売却では、創業者などの株主が株式の売却利益が期待できます。また独自のノウハウやブランドなど目に見えない資産(のれん)が高く評価される場合は、より高額の代金を受け取ることが可能です。

なお、事業譲渡では法人税や事業用資産に対する消費税が課されるのに対し、株式譲渡に課されるのは所得税や住民税です。

経営者は個人保証を解除できる

経営者が個人保証を解除できる点がメリットです。特に日本の中小企業が金融機関から借入を行う際、返済を経営者や親族が保証することがあります。

経営者が既往借入について保証している限り、たとえ経営を引退しても企業が既往借入を返済できななると全額代わりに支払う義務を負わなければなりません。その点、企業を売却すれば、個人保証も含めて買収企業に引き継がれることが一般的です。

ちなみに、2014年2月に中小企業庁は経営者保証ガイドラインを施行しています。ガイドラインによると、以下の全ての要件を満たしている場合、新規・既存の借入に個人保証を付けないように金融機関と交渉することができます。

1. 保証契約の主たる債務者が中小企業
2. 保証人が個人であり、主たる債務者である中小企業の経営者
3. 主たる債務者及び保証人の双方が弁済について誠実であり、対象債権者の請求に応じ、それぞれの財産状況等について適時適切に開示している
4. 主たる債務者及び保証人が反社会的勢力ではなく、その恐れもない

出典:経営者保証に関するガイドライン研究会「経営者保証に関するガイドライン」

経営者に余裕ができる

経営者は、「社長」という重責から解放されて余裕ができる点もメリットです。自社株式を有していれば、多額の売却益が得られた場合、自分で新たに事業を立ち上げることができます。

また、まだ若くても企業を売却した後に「アーリーリタイア」することも選択肢です。ただし、アーリーリタイアする際には経営者時代と同じような暮らしぶりを期待しない、高リスクな投資は避ける、在籍していた企業に過度に干渉しないなどを意識しておかなければなりません。

会社の存続や更なる成長が期待できる

一般的に、後継者がいない、業績が芳しくないなど会社の存続に関わる事態から企業売却の決断に至ります。企業売却は、大切な企業を存続させられる点が大きなメリットです。

また、買収側のメリットでもあるように、売却された企業は買収側の企業とのシナジー効果が期待できます。シナジー効果とは、異なる企業が販売面で同じ流通経路を流用したり、技術を活用したりすることで相乗効果を生み出すことです。

シナジー効果をきっかけに、売却した企業がさらに成長する可能性もあります。

社員はそのまま働くことができる

今まで働いていた企業が解散してしまうと、従業員の労働の場が失われます。企業を第三者に売却すると、企業自体は存続するため、引き続き従業員の雇用が継続されることが一般的です。

経営資源の獲得が買収目的のひとつなので、買収する企業側から従業員が引き続き残ることを前提にM&A交渉してくることもあります。売却する経営者も、交渉時に従業員の雇用
や従業員の処遇(役職、給与)の継続を求めるようにしてください。

企業を売却する際のデメリットや注意点

企業を売却する際のデメリットや注意点

企業を買収する側は、「簿外債務や偶発債務を引き継ぐリスク」「のれんの減損リスク」「買収後に人材が流出する」「キャッシュフロー悪化するリスク」などさまざまなリスクを負っています。

一方、企業を売却する側は「競業避止義務が発生する」「経営者は売却後も一定期間拘束される可能性がある」「売却したからといって順調に成長するとは限らない」「経営者は売却後に喪失感を抱える」「社員のモチベーションが低下する可能性がある」という点がデメリットや注意点です。それぞれ確認していきましょう。

競業避止義務が発生する

事業譲渡した企業や、企業を売却した経営者には競業避止義務が発生します。競業避止義務とは、営業者の営業と競争的性質をもつ行為をしてはならないことです。

売却した経営者は、競業避止義務があることで、企業を売却した後に同じ商圏で売却した企業と同様の事業を行うことができない可能性があります。競業避止義務については、M&A交渉時に双方で細かく決めることが可能です。

経営者は売却後も一定期間拘束される可能性がある

経営者は、企業を売却してすぐにリタイアできるとは限りません。売却した企業がスムーズに事業をできるように、一定期間譲渡した企業に残るケースもあります。

特にベンチャー企業やスタートアップの場合、上場企業に売却後も役員として残る可能性が高いです。ただし、オーナー社長ではなくなるため、売却以前よりも自由な裁量でできることは少なくなります。

売却したからといって順調に成長するとは限らない

自社のさらなる成長を目的に企業を売却することがあります。しかし、売却したからといって必ずしも順調に成長するとは限らない点がデメリットです。

例えば、今までと業務フローが変わることで現場の混乱につながり、取引先に迷惑をかけてしまうことがあります。結果的に、得意先が離れてしまうと業績悪化にもつながりかねません。

企業を売却した後も順調な成長を目指すのであれば、買収側の企業に自社が抱えるリスクを漏れなく伝えるようにしてください。

経営者は売却後に喪失感を抱える

企業を売却した後、経営者は資金繰りや後継者選定、従業員の雇用などさまざまな悩みから解放されます。一方、経営者時代に多忙だったからこそ、売却後に大きな喪失感を抱えうる点がデメリットです。

喪失感を抱える状況にならないためにも、企業の売却を進めつつ今後自分がどのように過ごすのかを検討しておくようにしましょう。譲渡した企業で会長などの役職に就く、趣味や家族との時間を楽しむ、新たに従業員として働ける先を探す、新たに起業するなど選択肢はさまざまです。

社員のモチベーションが低下する可能性がある

売却側と買収側がもともと似たような業種の企業であっても、それぞれ企業風土は異なります。企業を第三者に売却することで社員や従業員の雇用を守れたとしても、変化にストレスを感じてモチベーションが低下しうる点がデメリットです。

それぞれの社員が相手企業の社風を受け入れられず、衝突が起きたり社内の雰囲気が悪くなったりすることもあります。社員が引き続き働きやすい職場で仕事ができるように、経営者は買収側の社風などをあらかじめチェックした上で、企業の売却を決断するようにしましょう。

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事業売却のメリットデメリットも理解しておく

事業売却のメリットデメリットも理解しておく

ここまでは、株式譲渡による企業売却のメリットデメリットを中心に説明してきました。一方で、事業譲渡ならではのメリットやデメリットも存在します。

事業譲渡で買収する側は、余計な資産や簿外債務を引き継がずに自社が求める資産・負債を選んで引き継げる点がメリットで、許認可をそのまま引き継げない点や契約を承継するための手続きを別途進めなくてはならない点がデメリットです。一方、事業譲渡で売却する側にもメリットデメリットがあります。

事業を売却する際のメリットとデメリットを確認していきましょう。

事業を売却する際のメリット

売却後も企業の商号を利用できることがメリットです。株式譲渡で企業を売却してしまうと、今後社名を利用することができません。

特に、知名度の高い企業であれば社名が売上に寄与する割合も大きいです。事業売却する方法を選ぶことで、事業は少なくなっても引き続き顧客に愛着を持ってもらえます。

また、経営資源を本業に集中できる点もメリットです。不採算事業を切り離すことで、より強固な財務基盤を固めることができます。

事業を売却する際のデメリット

事業を売却する際に、手間や時間がかかることがデメリットです。株式譲渡の場合、契約などを含めて包括的に引き継ぎますが、事業譲渡は個別に手続きをしなければならないため、負担になります。

また、事業売却にあたり、事業別の財務諸表も作成しなければなりません。交渉で相手が納得しない限り、債務は引き継がれずそのまま残る点もデメリットです。

さらに、会社法21条で譲渡会社の競業の禁止が定めています。事業を譲渡した会社は当事者で別段の意思表示がない限り、同一の市町村の区域内及びこれに隣接する市町村の区域内において、事業を譲渡後20年間は同一の事業を行うことができません。

売却の価値や相場は手法によっても異なる

売却の価値や相場は手法によっても異なる

企業の売却価値や相場はどの手法を用いるかによって異なるものです。

代表的な手法として、「コストアプローチ」「マーケットアプローチ」「インカムアプローチ」があります。各アプローチをさらに細分化することも可能です。

3つのアプローチの概要を解説していきます。

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コストアプローチによる手法

コストアプローチによる手法

比較的簡単なコスト・アプローチは、純資産の時価評価額等に基づき、株式価値を計算するアプローチです。コストアプローチの個別評価手法として「(修正)簿価純資産法」「時価純資産法」等があります。

出典:M&A DX 「M&A用語集 コスト・アプローチとは」

コストアプローチは基本的に貸借対照表の純資産が基準となるため、客観性が高い点がメリットです。計算も簡単なため、双方が納得感を持ち交渉することができます。

一方、現時点での数字に焦点を充てているため、収益性を反映していない点がデメリットです。デメリットを補うために、ブランド力や技術力を考慮した「のれん」を価格に反映させることもあります。

簿価純資産法の概要

簿価純資産法は、貸借対照表の簿価を基準として企業価値を算出する方法ですが、帳簿金額をそのまま利用するものなので実務で使われるケースはあまりありません。そこで、貸借対照表の簿価純資産額に重要な項目のみ調整して価値を試算したのが修正(簿価)純資産法です。

出典:「M&A用語集 修正純資産法とは」

簿価純資産法や修正簿価純資産法は、基本的に帳簿の数字で算出するため、客観性を保てるというメリットがあります。一方、資産や負債に含み益や含み損が発生しており、時価と乖離している場合、企業の本当の価値を算出できない点がデメリットです。

時価純資産法の概要

時価純資産法は、資産・負債の全てを時価で評価して価値を試算する方法です。修正簿価純資産法では、一部の資産・負債の含み損益を修正するのに対し、時価純資産法では全ての項目を評価していきます。

出典:「M&A用語集 時価純資産法とは」

簿価純資産法に比べ、適正な価値を算出しやすい点がメリットです。ただし、全ての資産・負債を時価評価することは非効率なため、金融機関や不動産会社以外ではあまり用いられません。

中小企業のM&Aでは、時価純資産法に「のれん」を加味することで、将来的な価値を算出するケースも出ています。

マーケットアプローチによる手法

マーケットアプローチによる手法

マーケット・アプローチとは、株式市場やM&A市場における株価や取引価額に基づき、事業価値や株式価値を計算するアプローチです。マーケット・アプローチの個別評価手法として、「類似企業比較法(比準法)」「類似取引比較法(比準法)」「株式市価法」があります。

出典:M&A DX 「M&A用語集 マーケット・アプローチとは」

マーケットアプローチのメリットは、偏らず客観性が高い点や市場の需要や取引環境を反映できる点です。一方、デメリットには風評被害やインサイダー取引などにより、株式市場が歪められた場合に適切に評価されない点や比較対象がない場合に計算できない点が挙げられます。

類似会社比較法の概要

類似会社(企業)比較法とは、対象企業と類似する上場企業の株式価値(事業価値)と財務数値の倍率を算定し、その倍率を対象企業の財務数値に乗じて株式価値(事業価値)を計算する方法です。

出典:M&A DX「M&A用語集 類似企業比準法とは」

株式価値に対する倍率には、PER(Price Earnings Ratio、株式価値÷当期純利益)、PBR(Price Book Ratio、株式価値÷簿価純資産)などがあります。また、事業価値に対する倍率には、売上高倍率(事業価値÷売上高)、営業利益倍率(事業価値÷営業利益)、EBITDA(Earnings Before Interest,Taxes,Depreciation and Amortization、事業価値÷EBITDA)倍率などがあります。

上場企業の財務指標は公開されているため、情報を集めやすい点がメリットです。ただし、どの企業を類似企業と判断するかによって、価値が変化してしまいます。

類似取引比較法の概要

類似取引比較法とは、直近の取引事例を基に取引倍率を算定し、その倍率を対象企業の財務数値に乗じて株式価値(事業価値)を計算する方法です。類似取引比較法では、複数の取引価格を参考にして算出します。

出典:M&A DX「M&A用語集 類似取引比準法とは」

過去に類似する売買事例があったとしても、個別要因が価格に影響を与えている可能性があります。そのため、多数の売買事例があり、取引価格のベースとして定着しているような業界でのみ有効な手法です。

市場株価法の概要

市場株価法(株式市価法)とは、対象企業が上場している場合に限り株式市場で実際に取引された株価を使用して株式価値を計算する方法です。市場株価法では、過去1~6か月程の平均株価を評価額とします。

出典:「M&A用語集 株式市価法とは」

市場参加者によって形成された株価をベースとするため、客観性が高い点がメリットです。ただし、経営権の移動を伴わない少数株主間の売買によって形成されたものなので、経営改善効果やシナジー効果などは考慮されていません。

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インカムアプローチによる手法

インカムアプローチによる手法

インカム・アプローチは、過去や将来のキャッシュ・フローや損益に基づき、事業価値や株式価値を計算するアプローチです。インカム・アプローチの個別評価手法として、「DCF(ディスカウンティッド・キャッシュ・フロー)法」「収益還元法」があります。

出典:M&A DX「M&A用語集 インカム・アプローチとは」

インカムアプローチは、将来性のように不確定な要素を考慮したり、投資判断や不動産売買の判断に採用したりできる点がメリットです。ただし、客観性が伴わないため、双方で納得のいくように緻密な事業計画を立てなければなりません。

DCF法の概要

DCF(ディスカウンティッド・キャッシュ・フロー)法は、将来期待されるキャッシュ・フローを予測し、将来における不確実性を反映した割引率により将来期間のフリー・キャッシュ・フローを割り引いた現在価値をもって株式価値や事業価値を計算する方法です。

出典:M&A DX「M&A用語集 DCF(ディスカウンティッド・キャッシュ・フロー)法とは

対象企業のキャッシュ・フロー予測に基づくため、DCF法は複数のシナリオを加味して評価することが出来ます。一方、主観的な要素が多いため恣意的に評価できてしまう点がデメリットです。そのため、キャッシュ・フロー予測、割引率等の変動要素の妥当性などを検討しなければなりません。

収益還元法の概要

収益還元法とは、将来の期待される収益を永久還元して計算された現在価値をもって株式価値や事業価値を計算する方法です。DCF法は事業計画に基づき株式価値等を計算するのに対し、収益還元法は一般的に事業計画がない場合にも用いられます。

出典:M&A DX「M&A用語集 収益還元法とは」

DCF法と比べると計算が容易な点がメリットです。ただし、収益の変動が大きくないことを前提としているため、ベンチャー企業やスタートアップのように収益の変動が大きい会社に適用するのには適していません。

トップ面談に至るまでの企業売却の流れ

トップ面談に至るまでの企業売却の流れ

株式譲渡による企業売却は、基本合意書を締結する前に経営者同士のトップ面談を実施します。トップ面談に至るまでの流れは、「売却意思が発生したら必要資料を準備」「候補先を選定して交渉」「秘密保持契約を締結」「企業概要書(IM)を相手企業に提示」「トップ面談で双方の考えを確認」です。

トップ面談に至るまでの企業売却の流れを確認していきましょう。

売却意思が発生したら必要資料を準備

後継者不在や経営不振などをきっかけに企業売却の意思が発生したら、今後交渉の材料になる資料を用意します。用意しておく資料例は主に以下の通りです。

● 決算書直近3期分
● 商業登記簿謄本
● 組織図
● 自社をアピールできる資料

M&Aの仲介業者などに相談するのもこのタイミングです。相談時には、対象企業の価値を算出するため、所有する不動産関係の資料提出を求められることもあります。専門家や仲介業者に相談する際のポイントは、「企業売却を成功させるためのコツ」で紹介します。

候補先を選定して交渉

続いて、ソーシングの段階に入ります。ソーシングとは、具体的な相手候補を選定し交渉するプロセスのことです。

ソーシングには、売却を検討している企業が自ら売り込むプッシュ型ソーシングと仲介会社を利用するプル型ソーシングがあります。プッシュ型はコストがかからない点がメリットですが、手間や時間がかかる点がデメリットです。一方、プル型は業者へ依頼する手数料がかかる分、企業概要書の作成や交渉などを任せることができます。

具体的な流れは以下の通りです。

1. 自社の希望条件を整理し、対象となる企業群の情報を収集する
2. ロングリストを作成する
3. ショートリストを作成する
4. 候補企業を選定する
5. ターゲットになる企業と交渉に入る

ロングリストとは、M&Aを検討している対象会社の買い手候補先をリストアップしたものをいいいます。M&Aによって相応のシナジー効果が想定されるかなどを基準にリストアップします。ここから一定の条件で候補先を絞ったものをショートリストといいます。

ターゲット企業との交渉では、決算書などの資料を開示することがあります。

秘密保持契約を締結

選定・交渉を経て相手先が見つかったら、秘密保持契約を締結します。秘密保持契約とは、個人または法人が所持する、一般に公開されていない秘密情報を第三者に開示されたり、想定外の目的に使用されたりすることを防止するために締結する契約のことです。NDA(non-disclosure agreement)と表現されることもあります。

秘密保持契約の有効期間は、1〜5年で設定することが一般的です。また、秘密保持契約に損害賠償の規定を明記しておけば、情報漏洩の抑止につながります。

秘密保持契約の締結方式は差入方式と契約書方式の2種類です。差入方式が事者の一方が契約書を作成し記名・捺印したものを当事者のもう一方に差し入れる方式であるのに対し、契約書方式では双方の当事者が契約書に記名・捺印します。

企業概要書(IM)を相手企業に提示

続いて、企業概要書を相手企業に提示します。

企業概要書は、英語でInformation Memorandumであることから、略してIMと呼ばれることもあります。秘密保持契約締結前に相手に提示しているノンネームシートに比べ、企業概要書は売却予定の企業のより具体的な情報が記載されたものです。

企業概要書は買い手側が買収するか決断する材料になります。一方、売却する側も企業概要書作成を通じて自社の状況や数字を再度把握できます。

トップ面談で双方の考えを確認

トップ面談とは、売却予定側と買収予定側の経営者同士で面談することです。面談では、数字面や条件面よりも双方の企業風土や経営理念を確認します。

また、疑問点があれば面談時に解消しておくことも大切です。今後スムーズに交渉を進めておくためにも、相手の譲れない部分も確認しておいてください。

なお、トップ面談を実施する際は、従業員や取引先に知られないために時間や場所に気を配らなくてはなりません。

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合意書締結以降の企業売却の流れ

合意書締結以降の企業売却の流れ

トップ面談を終えた後、双方の経営者が基本的な条件に合意できるのであれば、基本合意書を締結します。基本合意書締結以降の流れは以下の通りです。

1. 基本条件に合意できれば基本合意書締結
2. デューデリジェンスを実施
3. 買い手から希望価格提示・条件交渉
4. 株式譲渡契約を締結
5. クロージング

それぞれのポイントを整理しておきましょう。

基本条件に合意できれば基本合意書締結

基本合意書は、最終契約前に双方が基本的な条件(譲渡価格や譲渡意向)に合意したことを確認するための書面です。英語でMemorandum Of Understandingであることから、MOUと呼ばれることもあります。

基本合意書締結の段階ではまだデューデリジェンスなどがおこなわれておらず、買収の判断材料が揃っていないため、法的拘束力は一部に止まるようにすることが一般的です。一方、クロージング前に締結する最終契約書には法的拘束力があります。

デューデリジェンスを実施

基本合意書締結後、買い手側がデューデリジェンス(DD)を実施します。「相当の注意・配慮」と直訳されるデューデリジェンスは、M&A時に対象企業の実態を把握することで、障害となる問題の有無などを調査検討することです。

デューデリジェンスには、法令遵守状況や法的リスクなどをチェックする法務デューデリジェンス、財務諸表を分析素材に、対象企業の健全性を評価する財務デューデリジェンス、企業の経営資源の実態把握と将来性などを評価するビジネスデューデリジェンスなどがあります。

企業を売却する側は、デューデリジェンスにあたり会計・税務・法務・事業に関する情報を開示しなければなりません。

買い手から希望価格提示・条件交渉

続いて、買い手から希望価格の提示があるので、最終価格の調整に入ります。従業員の雇用などの条件交渉が行われるのもこのタイミングです。

デューデリジェンスで課題が見つかった場合、売却側が提示していた価格よりも買い手からの希望価格が大幅に下回ることがあります。売却する際には、相手に減額理由を説明してもらったり、相手の一方的な都合による減額は受け入れないようにしたりすることで可能な限り減額幅を狭めるようにしましょう。

株式譲渡契約を締結

価格面、条件面で双方が合意に至れば、最終契約書(DA)を締結します。株式譲渡による企業売却の場合、最終契約書は株式譲渡契約書です。

株式譲渡契約書には、株式数や取引価額などの「取引対象物」のほか、「前提条件」「表明保証」「誓約事項」「補償条項」を記載します。前提条件はクロージング時に行う条件を明確にしたもので、表明保証は提示した財務などに関する情報が正確であることを表明するものです。

さらに、誓約事項でクロージング前後に実施することを義務付け、補償条項では違反があった場合に損害を補償することを定めます。

クロージング

株式譲渡契約を締結したら、クロージングで締めます。クロージングとは、売買取引を完了することや代金と商品・証券などの受け渡しを終えること、最終的な契約を結ぶことです。

株式譲渡による企業売却では、株式譲渡を実行することがクロージングとなります。資金の準備やデューデリジェンスで判明したリスクを軽減するための作業があるので、株式譲渡からクロージングまでに一定期間を空けることが一般的です。

企業売却後のポイント

企業売却後のポイント

デューデリジェンスを経て株式譲渡契約を締結し、クロージング(株式や代金の受け渡し)までに至ると、企業売却は完結です。ただし、関係者に不安を与えないためにも、企業売却後の経営者や社員の処遇、PMIについて把握しておかなければなりません。

各ポイントを確認し、企業売却後の不安を解消するようにしてください。

経営者は主に引退

売却した企業と経営者の関係は一般的に「委任契約の取締役(会長)に就く」「業務委託契約で顧問・相談役に就く」「経営から引退して売却企業には全く関与しない」のいずれかです。

主に、経営者は引退の道を選びますが、事業の引き継ぎに前経営者が欠かせない場合には、引き続き役員として残ります。売却と同時に、企業との関係性が切れるとは限りませんので注意しましょう。

社員の雇用は継続されるのが一般的

企業を売却した後も、社員の雇用が継続されることが一般的です。売却企業での雇用契約書の雇用条件は基本的に維持されます。

ただし、売却後社員の業務内容や役職が変わることもあります。突然の変更で社員が抱えるストレスをできるだけ軽減できるよう、早い段階で社員の希望を聞き取り、相手先企業に伝えるようにしてください。

企業はそのまま存続

企業を売却した後も、対象企業はそのまま存続するため、資産や負債・社名・商品・知的財産権なども丸ごと引き継がれます。

ただし、買収企業の企業戦略次第で、買収後に対象企業の資産を吸収したり、対象企業を消滅させる決断をする可能性はあります。また、企業売却にあたり既存株主が株式を一部あるいは全部手放すので、今までの株主の地位や株主構成が変化することも理解しておかなければなりません。

PMIは基本合意書締結前から意識

企業売却後、PMIと呼ばれる統合プロセスが進められます。PMI(Post Merger Integration)は、買収後の経営統合プロセスのことです。企業売却後にシナジー効果を創出するには、PMIが欠かせません。

出典:M&A DX「PMIとは」

PMIは「経営面」「業務面」「意識面」があります。それぞれの特徴は以下の通りです。

● 経営面: 経営理念、将来ビジョン、予算管理及び評価制度など経営にかかわる統合
● 業務面: 業務プロセス、情報システムなどの業務にかかわる統合
● 意識面: 企業風土や文化など社員の意識にかかわる統合

具体的にPMIを進めるのは企業売却後のことですが、基本方針は基本合意書締結前から検討されます。売却側の経営者でも、社員の今後を守るためにPMIを意識して企業売却を進めるようにしてください。

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企業売却を成功させるためのコツ

企業売却を成功させるためのコツ

企業売却を決断しても、実際に買いたいという企業が現れなければ当然売却することはできません。そこで、企業売却を成功させるためのコツがいくつか存在します。

「企業を売却する目的を明確にしておく」「業績が好調なタイミングを逃さない」「自社の特徴を理解しておく」「専門家や仲介会社に相談する」「より多くの候補先をピックアップし見極める」「同業者やシナジー効果が期待できる企業に注目」を意識するようにしましょう。

企業を売却する目的を明確にしておく

あらかじめ企業を売却する目的を明確にしておけば、どの企業が買い手の候補になるかを自社で明らかにできます。明確にした目的をブレずに、企業売却を進めていくことが大切です。

また、売却するための条件を固めておくようにしてください。買収を検討している企業も、売却側が目的を明らかにしていれば、どのように条件を満たし、買収できるかの判断材料になりやすいです。

業績が好調なタイミングを逃さない

企業の業績には浮き沈みがあります。経営不振が続くと、事業継続が困難になるので企業売却の決断につながりやすいです。

しかし、業績が悪化している企業は買収側にとっての魅力が低いため、買い手がなかなか見つからない可能性があります。決心がつきにくいかもしれませんが、企業売却の意向が少しでもあるのであれば、業績が好調な時こそ売却の準備を進めるようにしてください。業績が悪化してからでなければ決心がつかないのであれば、長期戦になることも覚悟しておきましょう。

自社の特徴を理解しておく

自社の特徴を理解しておくことも売却を成功させるために大切な作業です。部門別や製品別の利益などを相手企業から尋ねられることもあるため、答えられるように事前に把握しておきます。

また、自社の強みと弱みを把握しておくようにしてください。対象企業の強みや弱みを把握する際にはSWOT分析を用います。

SWOT分析とは、自社の強み(strengths)、弱み(weaknesses)、機会(opportunities)、脅威(threats)を体系的に評価するための分析枠組みのことです。企業の内部環境のプラス要因が「強み」でマイナス要因が「弱み」、企業の外部環境のプラス要因を「機会」でマイナス要因を「脅威」ととらえて対象企業を分析していきます。

専門家や仲介会社に相談する

企業を売却する機会は頻繁にあることではありません。企業売却自体には前向きであっても、専門用語が多かったり、手続きが難しく感じたりすることで本格的に準備に入れないこともあります。

そこで、専門家に相談することが大切です。企業売却に携わる専門家として、財務・税務デューデリジェンスや企業価値算定に携わる税理士・会計士、契約書作成やリーガルチェックに携わる弁護士が挙げられます。

また、スムーズに売却を進めるためには、M&Aアドバイザーや仲介業者に相談することも大切です。

より多くの候補先をピックアップし見極める

買い手候補先を選定するにあたり、どのような相手先候補をリストに掲載するかといった基準を設定した上でロングリストを作成します。希望の金額で売却できるのかといった点がひとつの作成基準です。

ロングリストの段階では、各社を比較できるようにより多くの候補先をピックアップするようにします。状況によって、リストアップする企業が100社に及ぶこともあります。

同業者やシナジー効果が期待できる企業に注目

売却を予定している企業の同業者を買い手企業の候補にしてください。同業者であれば、業務内容をよく把握しているので、売却手続きや売却後の引き継ぎが比較的スムーズに進みます。また、相手側企業にとっても、買収が他地域などでのシェア拡大につながるため、買収メリットを見出しやすいです。

また、同業者でなくても流通ルートや仕入れルートなどでシナジー効果が期待できる場合、交渉がスムーズに進むことがあります。

企業売却サイトを利用する方法もある

企業売却サイトを利用する方法もある

従来、M&A仲介会社を介して進めるのが一般的でした。しかし、近年は企業売却サイトや企業マッチングサイトなどのM&Aプラットフォームを利用して売却成功につなげることもできます。M&Aプラットフォームとは、売り手と買い手がインターネット上のシステムに登録することで主にマッチングをはじめとするM&Aの手続を低コストで行うことができる支援ツールです。

企業売却サイトを利用することで享受できるメリットとデメリットについて解説します。

企業売却サイト利用のメリット

企業売却サイトを利用することで、全国の買い手候補企業から探せる点がメリットです。webを通じて募集するため、時間や場所の制約を受けずに相手にアピールできます。

また、候補企業が見つかれば、直接相手先と交渉することが可能です。M&A仲介業者を通さないため、コストをかけずに企業売却することができます。

さらに、オンライン上でのやり取りであれば、膨大な資料の共有もしやすいです。

企業売却サイト利用のデメリット

デメリットは、対面に比べると面談時間が短くなったり、面談の内容が薄くなったりしがちな点です。また、掲載した重要情報が拡散されてしまい、自社の信用を損なうリスクもあります。

また、専門家を全く介さずに直接相手と売買交渉すると、自社に著しく不利益な内容で売買成約してしまう可能性があります。企業売却にはさまざまな専門知識が求められるため、企業売却サイトだけで完結せず、専門家にも相談するようにしてください。

なお、企業売却サイトはそれぞれ特徴があるため、どこがが自社に適しているか利用前に検討しておくことも大切です。

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企業売却でかかる手数料や税金

企業売却でかかる手数料や税金

企業売却することで、株主は多額の売却益を得られる可能性があります。しかし、売却前後にコストや税金がかかることも理解しておかなければなりません。

売却企業はM&A仲介会社に払う報酬があります。デューデリジェンスは買い手側が進めるものですが、価値算出は売却側もしておくものなので、税理士や会計士に支払う報酬が発生します。

企業売却で支払う手数料や株主が納める税金について理解していきましょう。

手数料はレーマン方式を理解する

企業売却を専門家に相談する際、レーマン方式を基準として成功報酬を算出することがあります。

レーマン方式を用いた算出方法は以下の通りです。

● 譲渡価格が5億円までの部分:5%
● 譲渡価格が5億円超え・10億円までの部分:4%
● 譲渡価格が10億円超え・50億円までの部分:3%
● 譲渡価格が50億円超え・100億円までの部分:2%
● 譲渡価格が100億円を超える部分:1%

例えば譲渡価格が6億円の場合、レーマン方式を基準とした成功報酬は2,900万円(5億円×5%+1億円×4%)です。成功報酬には別途消費税もかかります。

税金もかかることを把握しておく

事業譲渡と異なり、株式譲渡による企業売却では株主が利益を得ます。株式を売却して得た利益は譲渡所得です。

譲渡所得は以下の式で算出できます。

総収入金額(譲渡価額)-必要経費(取得費+譲渡費用+負債利子)-特定投資株式の控除額

譲渡所得に対しては、所得税15.315%(復興所得税を含む)と住民税5%が課されます。

出典:国税庁「令和2年分 株式等の譲渡所得等のあらまし」

企業の売却事例5選

企業の売却事例5選

企業売却を成功させるためには、売却事例を参考にすることも大切です。株式譲渡を用いた企業の売却には、豊富な事例が存在します。

今回は「武田薬品工業の子会社売却事例」「ZOZOの売却事例」「コインチェックの売却事例」「LIXILの子会社売却事例」「ソフトバンクが英国子会社を売却した事例」を確認していきましょう。

武田薬品工業の子会社売却事例

バイオ医薬品のリーディングカンパニーである武田薬品工業株式会社が、子会社の武田コンシューマーヘルスケア株式会社(TCHC社)の株式をBlackstoneに譲渡して企業売却した事例です。売却後、TCHC社は武田薬品工業の連結子会社から外れ、新たに「アリナミン製薬株式会社」として事業を運営しています。

2020年8月に、武田薬品工業は譲受企業との株式譲渡契約を締結しました。TCHC社の高い能力や専門性を最大化し、製品ブランドをさらに発展させるあらゆる成長戦略の選択肢を慎重に検討した結果、世界有数の投資会社でヘルスケア分野への豊富な投資実績を有するBlackstoneが設立した譲受会社に譲渡することを決定したとのことです。

なお、本株式譲渡が成立したことにより、武田薬品工業は2021年3月期に約1,400億円の株式売却益(税引前)が発生します。

ZOZOの売却事例

ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営する株式会社ZOZOが売却された事例もあります。2019年11月に公開付けのスキームでZホールディングス株式会社に買収され、同社の連結子会社になりました。

ZOZO側はZホールディングスに売却されたことにより、携帯キャリアのソフトバンクまたはYモバイルの契約者、Yahoo!プレミアム会員、電子決済サービスPayPayの利用者などソフトバンク・ヤフー経済圏の顧客を獲得しやすくなる点がメリットです。

コインチェックの売却事例

仮想通貨(暗号資産)の交換業者コインチェック株式会社は、2018年4月に売却されてマネックスグループ株式会社の子会社となりました。買収後のコインチェックの業績予測が困難だったため、追加で買収対価を払う仕組み「アーンアウト条項」が定められていたとのことです。

コインチェックでは、過去に発生した不正アクセスによる仮想通貨NEMの不正送金の事案を踏まえ、さらなる経営管理態勢の強化が必要であると認識してマネックスグループに売却するきっかけとなりました。

LIXILの子会社売却事例

建材・住設機器最大手の株式会社LIXILグループは、2020年6月に子会社である株式会社LIXILビバを、DIY 用品卸売業とホームセンターを展開する新潟県のアークランドサカモトに売却することを発表しました。本株式譲渡は、事業構造の簡素化や基幹事業への注力を進め、組織の統合を強化することでさらなるシナジーの創出や効率化を図るLIXIL グループの取り組みに合致するものです。

本件は、当時ホームセンター業界11位のアークランドサカモトが6位のLIXILビバを買収するという「小が大を飲み込む」構図であったことでも世間の注目を集めました。

ソフトバンクが英国子会社を売却した事例

ソフトバンクグループ株式会社の子会社(孫会社)英半導体設計Arm Limited(Arm)を米国の半導体メーカーであるNVIDIA Corporation(NVIDIA)に売却したという海外関連の事例もあります。取引価値は最大400億米ドル(1ドル=106円で換算で約4.2兆円)で評価したとのことです。

取引には米国や中国、英国などの規制当局の承認を要するため、売却完了までに約18カ月を見込んでいます。ソフトバンクの巨額の有利子負債を削減することが売却目的のひとつだったとのことです。

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企業売却を決断する前に理解しておくこと

企業売却を決断する前に理解しておくこと

課題を解決するために企業売却を決断したにもかかわらず、失敗してしまうことがあります。失敗例は、「相場より大幅に低い価格で売却してしまう」「株式譲渡した方が良いケースにもかかわらず事業売却を選択した」「特定の相手としか交渉せずに損をした」などさまざまです。

企業売却の失敗は、専門知識を有していなかったことなどが失敗の要因となりえます。企業売却での失敗は、経営者だけの問題ではなく社員や取引先など多数の関係者に影響を与えるため、企業売却を決断する前に以下の点を理解しておきましょう。

PJ期間は6~12ヶ月程度と長期にわたる

企業売却を決定して資料を集めて交渉し、最終的にクロージングに至るまでに、6〜12ヶ月と長い期間がかかります。短くて3ヶ月程度で進むケースもありますが、あくまで売却側と買い手側のニーズが合致し、スムーズに交渉がまとまったケースです。長い場合では、2年間にも及ぶ可能性があります。

そこで、経営者の高齢化かつ後継者不在など早期の売却を望んでいる場合には、企業売却を決断したら早めに専門家に相談しておくことが大切です。一方、今後の事業成長が期待できる企業ですぐに売却しようとも考えていない場合には長期的な視野で動いていくこともできます。

希望した金額が出ない・売却できない可能性がある

企業の売却価格は企業価値に基づき算出しますが、確固たる相場が存在するわけではありません。自社で算出し、想定していた売却価格よりも大幅に低い金額でしか買収希望企業が現れない可能性があります。

特に、利益赤字を計上している企業であれば、希望した金額を提示してもらえない可能性が高いです。最悪、買い手がつかず、売却できないこともあります。業績が不振な企業こそ、自社をアピールするために強みを分析したり、相手企業とシナジー効果が生み出せる部分はないかを模索したりすることが大切です。

アーンアウトやロックアップの可能性、競業避止義務がある

企業売却では、アーンアウト条項が設けられることがあります。アーンアウト条項は、取引が完了した後に買収対象の事業が特定の目標を達成した場合、買い手企業が売却した企業に対して買収対価の一部を支払うことを約束した規定です。

アーンアウトが設けられていると、売却後に業績が上がればより多くの譲渡金額を得ることができます。特に業績が見通しにくいベンチャー企業などで設定される条項です。
一方、買収側から売却側の経営陣が一定期間は会社に残り、経営に携わることを義務付けるロックアップ(キーマン条項)の設定を求められることもあります。買収後も前経営陣に一定期間経営を任せることで経営の安定を図り、企業価値の下落を防ぐことがロックアップの目的です。

さらに、売却後の事業を制限する競業避止義務もあります。

守秘義務が重要である

企業売却では、買い手企業だけでなくM&Aアドバイザリーや仲介会社、候補企業にも秘密情報を開示する機会があります。そこで、事前に秘密情報を第三者へ開示しないことや目的以外に利用しないこと、守秘義務を取り決めておくことが大切です。

自社の情報が漏洩することを防ぐために、秘密保持契約を締結します。秘密保持契約を締結するのは、自社の財務情報を仲介会社などに開示するとき、譲受候補企業に自社のより詳しい情報を開示するとき、デューデリジェンスを実施するときなどです。

まとめ

まとめ

企業売却は、経営者が引退を検討しているときや後継者不足に悩まされているとき、経営不振に陥っている時などに検討する方法です。企業を売却することで、創業者などの株主は売却益を手に入れることができ、経営者も保証を解除することができます。

企業を売却した後も、引き続き社員が雇用されることが一般的ですが、モチベーションが下がらないように交渉段階から相手企業と社風が合うかなどを意識しておくことが大切です。また、企業売却では企業価値算出やPMIの打ち合わせ、候補企業との交渉など専門的で煩雑な手続きが多く存在します。そのため、M&Aなどの実績が豊富な公認会計士や税理士に相談するようにしましょう。

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