起業家が知るべきイグジット戦略!種類やメリット・デメリットを解説

会計士 牧田彰俊

有限責任監査法人トーマツ入所、各種業務の法定監査、IPO支援に携わる。その後、ファイナンシャルアドバイザリーサービス部門にてM&A アドバイザリー業務・財務デューディリジェンス業務・企業価値評価業務等に従事。組織再編によりデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社に異動し、主に国内ミドルキャップ案件のM&Aアドバイザリーとして、豊富な成約実績を収める。2018年、これまで以上に柔軟に迅速に各種ニーズに応えるべく株式会社M&A DXを設立し、現在に至る。

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日本では約10年前と比べ、ベンチャーやスタートアップの企業が増加傾向にあります。そんな起業家が目指す目標の一つ が、創業した企業や事業を第三者に売却して利益を得るイグジットです。

イグジットにはさまざまな手法があり、それぞれメリットやデメリットも大きく異なります。イグジットによって希望する成果が得られるよう、今回は、イグジットの種類、メリットやデメリットについて詳しく解説します。

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本記事のポイント

  1. イグジットの概要
  2. イグジットの種類(IPO、M&A、MBO)とそれぞれのメリット・デメリット

イグジットとは

イグジットとは

イグジットとは、ベンチャービジネスや企業再生などにおいて、創業者やファンド(ベンチャーキャピタル[VC]や再生ファンドなど)が株式を売却し、対価を手にすることです。
特に、スタートアップ企業は出資が可能な金額の大きさや、M&Aで買収した後にその企業の業績を着実に伸ばしているといった経営実績から投資ファンドへのイグジットを検討する人も多いでしょう。この場合は、イグジットを早い段階から意識し、生産性の高さや事業の継続性が高いことを投資ファンドに対して示していく必要があります。

イグジットプランを明確に立てられれば、投資家に出資の意思決定を促せます。イグジットを前提としたビジネスモデルを構築することで、資金面で有利な事業展開をしてくことも出来るでしょう。

イグジットの3つの種類

イグジットの3つの種類

イグジットの種類は、IPO・M&A・MBOがあります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

1.IPO

IPOは「Initial Public Offering(新規株式公開)」の略語で、経営陣や投資家だけが保有していた株式をマザーズや東証一部など株式市場に一般公開し、上場する方法です。上場することで市場で株式の売買が可能になるため、より多くの資金調達が見込めます。

ただし、企業が株式市場に上場するには、それぞれの証券取引所・市場が定める条件を満たさなければなりません。厳しい基準をクリアした企業だけが上場できるので、企業の社会的信用が高まることはもちろん、知名度の向上も期待できます。

2.M&A

M&Aは「Mergers and Acquisitions(合併 と 買収)」の略で、会社や一部の事業を第三者に売却する方法です。M&Aは「時間を買う」という発想ができ、買い手は既に収益を生み出している会社や事業をそのまま引き継げるため、一から新しくビジネスを立ち上げなくてもスピーディに事業展開を進めることが出来ます。
また、既存事業とうまく組み合わせれば、より高い利益を生む相乗効果が図れることも買い手にとって大きなメリットです。一方、売却する側は会社や事業の評価額に応じた売却対価を得ることが出来ます。

3.MBO

MBOは「Management buy out(経営陣による買収)」の略語で、M&A手法のひとつです。経営陣が自社の株式を既存株主から合計で過半数以上買い取ることで、支配権を獲得できるためオーナー経営者として完全に独立することも出来ます。

通常、上場会社は株主総会等を通して、株主の意見も聞きながら経営方針を決定していかなければなりません。しかし、事業の業績が悪い場合、多くの株主がいると利害の調整がなかなか進まず、事業再編が遅れることもあります。この状態を解消するために用いられるのが、MBOという手法です。

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IPOのメリット・デメリット

IPOのメリット・デメリット

会社を上場して利益を得るIPOには、メリットとデメリットがそれぞれあります。

IPOのメリット

IPOのメリットとして以下の2点が挙げられます。
①継続して経営に携われる
②大規模な資金調達を実現できる
それぞれの特徴を見てみましょう。

継続して経営に携われる

IPOでは、自社株式を売却しても、継続して自社の経営に携われるというメリットがあります。なぜならIPOは会社を上場させ自社株を売却しますが、すべての持ち株を売却するわけではありません。一部の株を売却したとしても経営権は残るため、引き続き経営に携わることが可能です。経営自体は継続したい人に適したイグジットの手法だといえます。

大規模な資金調達を実現できる

IPOを実施して自社株を公開すると、上場する前よりも株価が高騰する傾向にあります。IPO時に公募増資をすることで、資金調達をすることが出来ます。また、株価が高騰するタイミングを見計らって自社で保有する株式を売却すれば、大規模な資金調達をすることが可能です。

IPOのデメリット

IPOのデメリットとしては、以下の2点が挙げられます。
①準備において費用と手間がかかり、IPO後も上場維持コストがかかる
②上場後の手続きが複雑
それぞれの詳細を確認してみましょう。

準備において費用と手間がかかり、IPO後も上場維持コストがかかる

IPOを実現するためには、そのための準備で費用と手間がかかります。株式市場に上場するには証券取引所が定める厳しい条件を満たす必要があり、その結果、財務状況や収益性、労務関連や社内の管理体制などの見直しが必要となり、多くの費用や手間が発生します。 また、IPO後も上場を維持するために様々なコストがかかることになります。

上場後の手続きが複雑

IPOを実施して株式市場に上場したら、それで手続きから解放されるわけではありません。上場した後も、有価証券届出書や有価証券報告書など金融商品取引法に関する書類の提出が義務付けられています。

M&Aのメリット・デメリット

M&Aのメリット・デメリット

次は、会社や一部事業を売却するM&Aのメリットとデメリットを見ていきましょう。

M&Aのメリット

M&Aのメリットは、以下の2点が挙げられます。
①IPOより手続きが簡単
②赤字企業でも取引が成立する可能性がある
それぞれの特徴を見ていきましょう。

IPOより手続きが簡単

IPOの場合は、上場するために証券取引所が設ける厳しい条件をクリアする必要がありますが、M&Aの場合は、買い手側が買収を決定した時点で取引が成立します。IPOと比べればそのための準備にかかる時間や費用はかからない場合が多く、IPOより簡単にイグジット出来る可能性があります。

赤字企業でも取引が成立する可能性がある

M&Aは、購入したいと考える買い手がいれば契約が成立します。たとえ会社や事業が直近の決算で赤字であったとしても、買い手候補が「自分の会社が経営をすればすぐに収益を改善できる」という算段があったり、将来大きな利益を生み出せるという魅力があったりすれば買い手候補が買収を検討する可能性があります。

M&Aのデメリット

M&Aのデメリットには、以下の2点があります。
①買手の意向に大枠では従う
②想定した価格で売れない場合がある
以下、それぞれの特徴を詳しく説明します。

買手の意向に大枠では従う

M&Aは過半数の株式を譲渡して、会社や事業を売却するため、経営権は買い手側に移ります。譲渡後に経営陣がそのまま残る場合もありますが、最終的な決定権は買い手側に移ります。経営方針で対立することがないよう、M&Aを実行する前に、双方の考えを確認する必要があります。

希望する価格で売れない場合がある

M&Aにおける譲渡金額は買い手側との交渉で決まりますが、必ずしも自身の希望が通るとは限りません。後になって止む無く売るということが無いように、専門家に相談するなどして、あらかじめ適正な相場価格を把握しておくことが重要です。

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MBOのメリット・デメリット

MBOのメリット・デメリット

最後は、経営者が自社を買収するMBOのメリットとデメリットを見ていきましょう。

MBOのメリット

MBOのメリットは、以下の2点が挙げられます。
①長期的な視点で経営ができる②社内的な軋轢や急激な風土の変化がない
以下、それぞれの特徴を見ていきましょう。

長期的な視点で経営ができる

株主が多くいると、それぞれが自身の目先の利益を優先した短期的な視点で発言をすることがあります。自社の過半数(※特別決議を単独で成立させるためには3分の2以上)の株式を取得してオーナー経営者になることで、自身の意向に沿った長期的な視点で経営戦略を経てることが出来ます。

社内的な軋轢や急激な風土の変化がない

MBOによる株の買収は、急激に経営方針が変わらないため社員の間で不和が起こりづらいメリットもあります。なぜならMBOなら現経営陣がそのまま経営に携わることが前提となるるため、信頼関係が築けていれば社員は安心して業務を続行できるからです。また株主が経営陣に限定されることで株主総会等で確認する手間も省けるので、意思決定も迅速に行えます。経営の立て直しが必要な企業の場合は、迅速な対応が求められる場面も多いのでプラスに働くのです。

MBOのデメリット

MBOのデメリットは「既存株主と対立する可能性もある」ということです。
以下、詳しく見ていきましょう。

既存株主と対立する可能性もある

自社株を買収するときに利益相反で既存株主と対立する可能性があります。株を売却するとき、株主はできるだけ高く売却したいと考えるのが通常です。一方、買収する側は少しでも安く購入したいと考えるため意見が対立することもあります。最終的に交渉が決裂すると、MBOが失敗に終わることもあるため、注意しなければなりません。

経営者のイグジット戦略判断基準

経営者のイグジット戦略の判断は会社の状況や考え方、タイミングによって一概にはいえませんが、以下を考えながら判断していくとよいでしょう。

経営を続けていきたいかどうか?

M&Aの場合、代表者や役員を継続できるケースもありますが、一般的には株式を100%売却することになるため、経営に関与し続けることは難しくなります。IPOの場合は、株式の売却は一部のため、経営に関与し続けることが可能です。

自社だけで成長できるかどうか?

M&Aの場合、譲受企業とのシナジー効果が見込まれる可能性が高く、それまで自社だけでは難しかったことも実現可能です。IPOの場合、外部からの資金調達がし易くはなりますが、成長については選択肢を広げることができるでしょう。

会社の知名度をあげたいどうか?

M&Aの場合、子会社になるケースが多いため知名度という面では上がる可能性は低くく、IPOの場合は、知名度はこれまでよりもあげることが可能になります。

これらの各条件を見ながら、M&Aでイグジットするのか、IPOでイグジットするのかを選択していくと整理がしやすくなります。

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IPO、M&A、TOBの事例5選

IPO、M&A、TOBの事例5選

ここまで、IPO、M&A、MBOについて詳しく見て来ましたが、ここではそれぞれの事例をいくつか紹介します。

1. IPO

freee

2019年12月17日、クラウド会計ソフトを展開する「freee(フリー)」が東証マザーズ市場に上場。フリーは国内SaaS(Software as a Service)スタートアップで2019年12月当時、評価額646億円を誇り、2019年の新規株式公開(IPO)企業では、2019年7月に上場した法人向け名刺管理サービスSansan(初値時価総額1,400億円超)に次ぐ規模を記録。

上場により、日本国内と同時に海外でも株式の募集・売出を行うグローバルオファリングを実施。海外からの株式募集・売出比率は7割を超え、海外投資家からの注目を集めている。

2. M&A

パナソニック

日本を代表する電機メーカーのパナソニック株式会社は、日本のネット家電ベンチャー企業であるCerevoの子会社「株式会社Shiftall」の株式を取得し子会社化したことを発表。Cerevoのノウハウを受け継いだ株式会社Shiftallを子会社化することで、新製品開発や業務効率化を目的としています。

サイバーエージェント

インターネットの広告事業を展開する株式会社サイバーエージェントは、プロレス団体の株式会社DDTプロレスリングの子会社化を発表。サイバーエージェントが運営する「AmebaTV」でプロレスを配信することで、プロレスの認知度向上や団体を発展させることを主な目的としています。

メルカリ

フリマアプリを運営する株式会社メルカリは、スマホ向けのフリマアプリを開発・運営するザワット株式会社を子会社化することを発表しました。株式会社メルカリとザワット株式会社の両者の経営基盤を組み合わせて、Eコマース分野のさらなる発展を目指すことを主な目的としています。

3. MBO

すかいらーく

すかいらーくは、「ガスト」「バーミヤン」「ジョナサン」を運営しているファミレスの最大手です。そのすかいらーくは、2006年当時ごろ業績悪化に苦しんでおり、そのような中で、当時の経営陣はMBOによる上場廃止を決断しました。

その決断以降、結果としては苦難の連続で、経営陣であった創業家は非上場化後まもなく解任され、利益のほとんどを借り入れ金への返済とのれん代償却に充てることになりましたが、非上場化から8年後の2014年に再上場を果たしました。

この場合のMBOは、いったん非上場化して大幅な経営改革を行ない、企業価値を上げながら再上場を目指すというものでした。

まとめ

まとめ

イグジットには、IPO・M&A・MBOなどさまざまな手法があります。イグジットプランにおいてどのような手法を選択するのかは経営者の判断ですが、それぞれのメリットとデメリットを踏まえた上でM&Aを選ぶ人も少なくありません。ただ、イグジットの手法は、企業の今後を左右するほど大きな決断になるため迷う経営者もいるでしょう。

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