シリアルアントレプレナーとして有名な日本人を紹介!共通する資質は

会計士 牧田彰俊

有限責任監査法人トーマツ入所、各種業務の法定監査、IPO支援に携わる。その後、ファイナンシャルアドバイザリーサービス部門にてM&A アドバイザリー業務・財務デューディリジェンス業務・企業価値評価業務等に従事。組織再編によりデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社に異動し、主に国内ミドルキャップ案件のM&Aアドバイザリーとして、豊富な成約実績を収める。2018年、これまで以上に柔軟に迅速に各種ニーズに応えるべく株式会社M&A DXを設立し、現在に至る。

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次から次へと起業するシリアルアントレプレナーは、かつては日本では誕生しにくいと思われていました。しかし、近年では日本人のなかにも優れたシリアルアントレプレナーが誕生しています。著名な起業家を紹介しつつ、共通する資質について探っていきましょう。

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本記事のポイント

  1. シリアルアントレプレナーに興味をお持ちの方向けの記事です。
  2. 著名な連続起業家を紹介しつつ、共通する資質について解説しています。

シリアルアントレプレナーとは連続起業家のこと

シリアルアントレプレナーとは連続起業家のこと

シリアルとは英語で「連続する」あるいは「一連の」を指し、アントレプレナーは「起業家」を指します。つまり、シリアルアントレプレナーは、日本語で言えば「連続起業家」です。事業を興し、軌道に乗せたら売却し、また新たな事業を興す起業家をシリアルアントレプレナーと呼びます。

起業家との違い

通常、「起業家」というときに、いくつの企業を創業したのかは問いません。たとえひとつであっても、企業をつくり上げれば起業家といえるでしょう。ひとつの会社を成長させ、例えば上場を目指し、より大きな会社へと発展させていきます。

しかし、シリアルアントレプレナーは「連続」起業家であるため、ひとつの会社に固執することはありません。ある程度成長させたら、会社を売却し、その資金を使って新たな起業に取り掛かります。

日本はシリアルアントレプレナーが生まれやすい土壌?

日本はシリアルアントレプレナーが生まれやすい土壌?

日本では終身雇用制が長く続いてきたこともあり、転職をすることや会社を辞めることに抵抗を感じる人も少なくありません。これは起業家においても同様です。ひとつの事業を立ち上げたら、ほぼ一生をかけて育てていき、事業を大きくすることに心血を注ぎます。

最近でこそ、いくつもの事業を立ち上げるシリアルアントレプレナーが誕生していますが、今まではあまり一般的ではありませんでした。つまり、日本はシリアルアントレプレナーが誕生しにくい土壌と考えられます。なぜ誕生しにくいのか、次の3つの視点から探っていきましょう。

●起業しやすさ
●資金調達のしやすさ
●国民性

起業しやすさは190か国中106位

世界銀行の調査によれば、日本は起業しやすさにおいて190か国中106位と低い水準となっています。起業しやすさは、起業にかかるコストや時間、起業方法の多さなどから算出していますが、そのどちらも望ましくない状態、つまり、起業にかかるコストが多くて時間がかかり、起業方法が少ない と考えられるでしょう。

資金調達のしやすさは190か国中94位

アイデアを具体的な形にするためには資金が必要です。しかし、日本は資金調達のしやすさという点においても低く、190か国中94位となっています。資金調達のしやすさは、信用情報を扱うシステムや担保制度から算出していますが、これらがあまり望ましくない状態、つまり、資金を借りる際に信用情報や担保制度が大きな足かせになっていることがわかるでしょう。

日本では銀行などから融資を受ける際に、信用情報をチェックしますが、収入に比べて借入額が多かったり返済に遅れたことがあったりすると融資を受けにくくなります。また、融資額が高額な場合は不動産などの担保や経営者保証を求められることも多いです。銀行側の貸し倒れを防ぐためには当然のシステムですが、これが事業を始める人にとって足かせになり、諸外国よりも資金調達しにくい現状を作っていると考えられます。

安定志向の国民性

シリアルアントレプレナーが生まれにくい理由として、日本人の国民性を挙げることができます。もちろん個人差はありますが、日本人はどちらかと言えば安定志向にあり、リスクを背負って大きな利益を目指すよりは、少ししか利益が得られなくても今の安定した生活を手放したくないと考える人が多いのかもしれません。

大学生がなりたい職業として地方公務員や看護師などの安定性の高い仕事が人気を集めるのも、安定志向の表れといえるでしょう。

参考:『22年卒の大学生が“就職したい企業・業種”ランキング』ITmedia ビジネスオンライン(2021/4/18)

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改善されつつある起業環境

改善されつつある起業環境

日本は起業しにくい土壌でしたが、近年では少しずつ改善されており、かつてよりは起業しやすい環境になってきています。また、人々の考え方も徐々に変化し、学校を卒業して定年退職までひとつの会社に勤める以外の生き方に対して、以前よりは理解されるようになってきました。

資金調達制度の拡充

現在、日本では国が主体となって新しいビジネスを生む起業家支援の制度を多数実施しています。その中のひとつとして、日本政策金融公庫の創業者支援を目的とした融資制度を挙げることができるでしょう。

条件によっては無担保・無保証人で借りられるので、担保とする不動産がない起業家や、保証人を立てるリスクを回避したい場合にでも利用できます。また、既に事業を開始している方であっても、事業を開始してからおおよそ7年以内であれば利用できる融資制度もあり、起業はしたけれど設備投資や資本投入が十分ではない場合などにも借入が可能です。

参考:日本政策金融公庫 創業時支援

日本政策金融公庫以外に置いても、資金調達の方法は充実してきています。例えばベンチャーキャピタルの存在を挙げることができるでしょう。また、インターネットを通してクラウドファンディングも利用できます。銀行で融資を断られたとしても、それだけでは起業を諦めずに済む土壌が育ってきているといえるでしょう。

個性を尊重する社会の流れ

教育の現場でも、平均的な学力よりも個性を伸ばすことが重視されるようになってきました。また、多様性を受け止めることが徐々に当たり前になってきています。人とは違う生き方をすることに対しても、かつてよりは偏見を持たずに受け止めるようになってきているといえるでしょう。

定年退職までひとつの会社に勤め続けることも尊重すべき価値観ですが、数年で辞めて、あるいは数ヶ月で辞めて、事業を興すのも尊重すべき価値観です。以前よりはシリアルアントレプレナーの生き方に対しても、個人や金融機関が理解を示すようになってきていると考えられるでしょう。

5人 の日本人シリアルアントレプレナー

5人 の日本人シリアルアントレプレナー

現在、日本にも優れたシリアルアントレプレナーが多数存在します。どのような人物なのか、また、どのような企業を世に送り出してきたのか見ていきましょう。

家入一真さん

シリアルアントレプレナーといえば真っ先に名前があがる家入一真さんは、2001年に「ロリポップ!レンタルサーバー」を立ち上げ、起業家人生を始めました。立ち上げた当初はワンルームにパソコン1台という、およそ起業のイメージには程遠い状態だったようです。

その後、「paperboy&co.(現在のGMOパペポ)」やクラウドファンディングを運営する「ハイパーインターネッツ(現在のCAMPFIRE)」など次々と企業を立ち上げ、成功に導いています。

竹之内教博さん

高校卒業後、大学を4ヶ月で中退し、大阪府堺市の美容室で勤務していた竹之内教博さんは、同社で5店舗を統括するディレクターと数十社に及ぶ美容室のコンサルティングを経験した後、自身がよくリラクゼーションサロンを利用していたことをきっかけに、2009年、31歳の時に『りらく(現りらくる)』をオープン。わずか7年で全国直営600店舗規模にまで拡大し、2度にわたって大手投資ファンドに90%の株を約270億円で売却。
現在は、
①店舗経営のノウハウを活かし、タピオカ、コッペパン、高級食パンなどの飲食店経営
②店舗マニュアルをクラウド上で管理ができるIT・通信関連事業
③室内遊園地の運営
④化粧品・健康食品のEC販売事業
⑤M&A・事業承継事業
⑥有料職業紹介事業
⑦大阪ミナミのクラブ運営
など10以上ものビジネスを立ち上げ、さらに20以上の企業に投資し、ご活躍をされています。

山田進太郎さん

山田進太郎さんは大学在学中に楽天でインターンを経験し、楽天オークションの開発に携わりました。そこで起業のノウハウを学び、インターネットメディアの運営を行う「ウノウ」や映画に関する情報を提供する「映画生活」などの事業を次々と立ち上げ、売却しています。

そのほかにも、フリマアプリの「メルカリ」やソーシャルゲーム「まちつく!」など、特定の分野にとらわれない多岐にわたる事業を創立しています。

島袋直樹さん

「事業は創って売る」をモットーとした事業家集団、Idealink株式会社の代表を
務める島袋直樹さんは、2008年に26歳でインターネット広告代理店を創業し、年商20億円規模にまで成長させました。
その後、2014年にIPO準備に取り掛かるも2年後に断念。2016年に同社を分社化し、
インターネットメディア運営を主体とするIdealink株式会社を創業しています。

小林清剛さん

小林清剛さんも前述の山田進太郎さんらと同様、大学在学中に起業経験のあるシリアルアントレプレナーです。食料品の輸入販売を行う事業を立ち上げ、翌年にはコーヒー通販に特化した企業「イン・ザ・カップ」を設立しました。

また、スマートフォン広告配信サービス「ノボット」など数多くの起業立ち上げに関わりつつ、アメリカでも起業を実施。日米両国でシリアルアントレプレナーとして活躍しています。

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書籍『シリアルアントレプレナー』で紹介の3名

書籍『シリアルアントレプレナー』で紹介の3名

連続起業の成功は、事業売却にかかっているといっても過言ではありません。思わぬ低値がつくと、起業資金の確保が難しくなるでしょう。 拙著『シリアルアントレプレナー』では、これまで150を超えるM&Aプロセスをサポートしてきた経験を踏まえ、事業売却の観点からもシリアルアントレプレナーを紹介しています。

海山龍明さん

中学生のときからメディア運営と投資を開始した海山龍明さんは、大学卒業後はデロイトトーマツコンサルティングに入社。入社前に予定を立てていた通り、2年後に退職して旅行関連会社「HowTravel(後にHITに改名)」を立ち上げました。

その後もグルメ紹介サイト「めしレポ」や求人サイト「セカンドペンギン」などを次々と立ち上げ、事業を売却して次のステップに進んでいます。

荒川健一さん

小学生のときからプログラミングに興味を持ち、懸賞サイトなどに自作プログラムを応募しては懸賞を獲得していた荒川健一さん。中学、高校とプログラミングを続けて、月に数十万円の収益を上げていました。

大学卒業後に自動車関連の企業に入社しますが、小さい頃からの習慣のまま副業を続けていたため、勤務先から会社をひとつに選ぶようにと迫られ、独立の道を選択。その後、「GEホールディングス」の前身となる「グローバルエンジニアリング」やバイオ関連企業などを多数立ち上げシリアルアントレプレナーとしてさらに成長を続けています。

田島慎也さん

20歳のときに創業したパン屋から、ねこねこ食パンなどのヒット商品で知られるベーカリーチェーン「オールハーツ・カンパニー」を育て上げた田島慎也さんは、シリアルアントレプレナーの中では 比較的長い期間、立ち上げた一つの会社の経営をされてきたタイプ です。

M&Aで何度も買収を繰り返して20年にわたって成長させた「オールハーツ・カンパニー」を2020年12月に売却し、その資金を元手にチョコレート専門店「CACAOCAT」を立ち上げています。

シリアルアントレプレナーに必要な資質とは

シリアルアントレプレナーに必要な資質とは

シリアルアントレプレナーは、いずれも個性を活かして活躍していますが、共通する点も見受けられます。ここでは、シリアルアントレプレナーに見られる3つの資質を紹介します。

ルールから外れることができる独創性

シリアルアントレプレナーは、すべてのことにおいて「こうしなくてはいけない」という思い込みがなく、目標に到達するために自由にレールを外れることができます。独創性があることが求められているといえるでしょう。

仲間をつくるコミュニケーション能力

ビジネスアイデアは1人で生み出すことができても、実際に事業として1人で発展させていくのは難しいでしょう。心から信頼できる仲間を作るコミュニケーションスキルも、シリアルアントレプレナーの資質です。

失敗を学びの機会に変えるポジティブさ

シリアルアントレプレナーは、すべての事業において成功しているわけではありません。しかし、失敗しても諦めるのではなく、失敗から必ず何かを学び、ポジティブに困難を切り開いていきます。

まとめ

まとめ

日本でも起業しやすい土壌が育ち始めています。シリアルアントレプレナーとして活躍する日本人も増えてきました。すでに起業をしている方であれば、現在の事業をM&Aで売却し、次のステップに進むことを考えることもできるでしょう。

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