相続登記とは?必要な理由・自分でやる方法・費用・必要書類・リスクを解説

会計士 山田武弥

有限責任監査法人トーマツ入所。金融業及び卸売業を中心とした各種業務の法定監査業務に携わる。 その後、大手税理士法人及びコンサルティング会社にて事業承継・事業再生・法人顧問業務に従事。 組織再編税制を活用した事業承継スキームの構築や株価対策、事業再生計画の立案やその後のモニタリング及び金融機関対応等に豊富な経験を有する。 山田武弥公認会計士・税理士事務所として独立後、株式会社M&A DXに参画し、現在に至る。

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相続により建物や土地などの不動産を相続した場合、登記簿(※)に載っている所有者をどのように変更したらいいのか、迷う人は多いのではないでしょうか。そもそも名義変更は必ずしないといけないのか、そのままではだめなのかという疑問もあるでしょう。

不動産の名義変更を行う手続きを「相続登記」と言います。相続が発生し、遺産の中に土地や建物といった不動産がある場合には死亡した人から相続する人への名義変更が必要になります。相続後にどのように名義変更すればいいのかと不安になる人が多いと思います。

ここでは、相続した不動産の相続登記について解説していきます。

※登記簿とは…
不動産の物理的状況と権利関係を法的に記録した帳簿です。どの場所にどのような不動産が存在し、それが誰のものかがわかるようになっています。登記簿によって、安全かつ円滑に不動産取引ができるようになります。

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相続登記とは相続登記とは

相続登記とは、正確には「相続による所有権移転登記」といいます。土地や建物等の不動産の所有者が亡くなった時に、その土地や建物の名義を亡くなった方から遺産を引き継いだ相続人に変更する手続きのことを相続登記といいます。

相続登記の手続きをしなくても支障がないと感じる方もいるでしょうが、予め相続登記をしておかないと後になって不動産の売買をする時に不都合が生じることがあります。

相続登記は自分自身で手続きをすることが可能です。しかし、相続に関する手続き全般に言えることですが金銭や人間関係が絡むことなので気後れしてしまう人も多いのではないでしょうか。

そのため、ついつい、いつまでも相続登記をしないままにそのままにしているというケースも実際には多くみられます。相続登記をせずに放置しておくと様々なリスクや困りごとが出てくる可能性は否めません。

自分で手続きをするにしても司法書士のような専門家に依頼するにしても、相続登記とは何か、その手続きの方法、手順、必要なものは何かを知っておくとよいでしょう。 

尚、相続登記については現在は手続きの義務も期限もありませんが今後義務化されることが決定しています。相続登記の義務化の詳細については後述します。

相続登記が必要な理由

なぜ、義務化してまでも相続登記をする必要があるのでしょう。ここでは相続登記が必要な理由を主に3つ挙げます。ポイントは、相続した不動産を誰が管理するかという点です。
相続人が個々で相続分を管理したいのか、相続人全員で共有財産として管理していきたいのかによります。

管理方法や相続した不動産の活用で後になって少しでも問題を生じさせないためには相続登記はしておいた方が良いでしょうが、その理由を解説します。

相続登記が必要な理由 その①)

権利関係が不確かで相続財産の管理が複雑になるため
相続発生後に相続登記等の手続きを先延ばしにしていると、いつまでたっても権利関係が確定しないため、不動産の売却や無効にしたい取引の主張等ができないというデメリットがあります。

相続登記が必要な理由 その②)

売却や担保として差し入れることができないため
相続登記がされていないと、不動産の売買や担保設定ができないために資金の借入ができないなどの不都合が生じることがあります。

相続した不動産の名義変更をしていないと必要な時に資金を調達できずにビジネスチャンスを生かせなくなるなどの可能性があります。
不動産の売買や担保設定では、相手方が対象となる不動産の登記情報を確認するので相続登記をしておくに越したことはないでしょう。

相続登記が必要な理由 その③)

相続人の事情により差し押さえられるリスクがある
相続登記をしていないままにしておくと、相続財産である建物や土地等の不動産は相続人全員の共有という状態にあります。

そのため、相続人の中で借金の返済が滞っている人がいた場合に、その債権者によって不動産が差し押さえられてしまう危険性があります。

相続した不動産は相続人全員が共有していることになっているので、結果的に借金をしていない相続人は全く知らない債権者と共同で不動産を所有することになってしまいます。そうなると権利関係は益々複雑化してしまいます。

引き継いだ土地や建物などの財産は様々なことに活用できますが、何らかの決定を行う際に、相続登記をしていなければ上記のような問題が起こる可能性があるのです。

相続登記が必要な例

これまで、相続登記の手続きについては期限がなく義務でもありませんでしたが、2024年から義務化されることになりました。

相続登記の義務化についての詳細は後述しますが、相続登記した方が様々なリスクを回避でき、メリットが大きいとされているケースについて具体的に知ることで相続登記の必要性となぜ義務化に至ったかの理解を深めていきましょう。

相続登記が必要な具体例

複数の相続人の中に飲食業を営んでいる人がいました。その人は、いずれ親から相続することになる土地を売却して、新たに空き物件を購入し飲食店の事業拡大を計画していました。

そして、いざ相続が発生したときに、相続そのもので他の相続人との間で揉め事は起きませんでしたが、相続登記を先延ばしにしていたがために、土地の所有権が明確ではなく親から相続したはずの土地をタイミングよく売却することができませんでした。

結果的に良い条件で見つけた空き店舗は他の人に先に購入されてしまい事業拡大の好機を逃してしまったのです。

このように相続した不動産の名義変更が相続人に変更されていないと、不動産会社から「相続登記が済んでいない物件はすぐに売ることができない」と思われるため、話が進まないケースがあります。

相続登記を専門家に依頼した方が良い例

相続登記について、一昔前は司法書士等の専門職に一連の手続きを依頼する場合が多かったようですが、最近ではSNSを使える人が増えていることや手続き関連のWEBページが整っていることもあり、自分で手続きをする人も多くなっています。

相続に関しても、申請書類を法務局のホームページからダウンロードできたり、必要書類の書き方もインターネットで確認できたりします。

しかし、それでも相続登記について専門職に依頼した方が良いというケースもありますので例を2つ紹介します。

例1)手続きに必要な書類が集められない

例えば、普段目にすることが少ない戸籍では見方が分からない方が、戸籍を収集すると、被相続人の出生から死亡に至るまでの戸籍の一部が不足しているとなど、必要箇所がぬけてしまっている事態が発生することもあります。
法務局に相続登記の申請後に、提出書類に不備があれば再度の提出を求められることになります。

それは戸籍に限らず、他の書類にも言えることですが、特に戸籍では再提出したことにより、実は新たな相続人がいたという事実が明るみなったという例もあり、問題が複雑化してしまうことも起こりえます。

また、ちゃんと情報が記載された戸籍の収集ができなければ、相続登記の手続きをやり直すことになってしまいます。

例2)不動産の記載に漏れがある

被相続人が亡くなって、相続人が相続の手続きの中で本籍地が誤っていることや私道の記載漏れがあるなどに気が付くことがあります。

私道自体の存在を誰も知らなかったために、滞りなく相続登記が完了したと思っていたのに実は私道だけが亡くなった被相続人の名義のままで後に困ってしまう場合もあります。

相続登記を専門家に依頼すると費用が発生します。しかし、限られた期間内に初めて見聞きする相続関連の書類について理解し、揃え、提出することはなかなか大変な作業です。

今回紹介した2つの例以外でも、自分で手続きをするのが不安で自信がない時や、確実にスピーディーに相続登記の手続きを完了したいと考えている人は専門家に依頼すると安心でしょう。

相続登記チェックリスト

ここでは、上記にも記載している相続発生時に相続登記を専門家に依頼した方が良い例、相続登記を相続人だけで実施できそうな例についてチェックリスト形式で記載してみました。
以下のチェックリストをご参考にしてみてください。

相続人だけで実施できそうな例

・相続人が平日自由に動ける場合
・相続人が単純な場合
・登記簿謄本の権利関係が単純な場合

相続登記を専門家に依頼した方が良い例

・相続人が平日自由に動けない場合
・相続人の所在が不明、または音信不通の場合
・相続人が転籍や結婚を複数回していて戸籍をたどるのが難しい場合
・相続物件が被相続人名義ではない場合
・相続物件が区分所有などで土地と建物の権利関係の把握が難しい場合
・相続物件が敷地権化されていないマンションで共同所有者が多くいる場合
・相続物件に未登記がある場合
・相続物件に抵当権などの担保設定がされている場合
・登記簿謄本をみると権利関係が複雑で権利関係が複雑な場合

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相続登記の流れについて

ここからは相続登記の流れを説明していきますが、先に相続登記の3つの種類について説明します。それぞれに相続登記の流れに大きな違いはありませんが、登録申請書が異なり、揃える書類や収集しないといけない情報や確認事項が違ってきます。

3つの相続登記の方法

法廷相続による相続登記の場合

(相続人のうちの一人が代表で全員分を申請可)
法定相続分どおりに相続人に遺産分割を行うことです。持分を設定して共有することができます。

法定相続に基づいて遺産分割を行うと、相続人が単独で相続登記することができますが、不動産売却時などの際に相続人同士で揉める可能性が高くなります。

相続登記後すぐに不動産売却をしたいという方向性で全ての相続人の間の同意が取れていて、面倒な手続きを省いてスムーズに物事を進めたいという場合は問題は生じないでしょう。しかし、1人でも同意できない場合は揉め事に発展することもあります。

遺言書による相続登記の場合

(財産を取得した人のみが申請を行えばよい)
亡くなった方が生前に遺言書を残している場合は、改めて遺産分割協議を行う必要は基本的にはありません。
相続人全員で遺産分割協議を行って合意しない限りは、遺言書のとおりに遺産分割を行うこととなるからです。

ただ、裏を返せば、遺言書があってもその内容について納得できない場合や疑義があって精査したいと思う相続人がいた場合は、遺産分割協議を行って、遺言書に書かれた内容とは異なる遺産分割を行うことが可能です。

注意点としては相続人の中に1人でも遺産分割協議を行うことに反対し、あくまでも遺言書のとおりにしたいと主張すれば、遺言書による遺産分割をすることとなります。

遺産分割協議を行わなければ、遺産分割協議書を作成するよりも簡潔に相続登記に手続きを進めることができます。
遺言書に書かれたとおりに遺産分割を行った場合、その後相続登記を行うためには遺言書を法務局に提出する必要があります。

遺産分割協議による相続登記の場合

(財産を取得した人のみが申請を行えばよい)
相続登記は遺産分割協議の話し合いで決めることができます。相続人が複数人いる場合は誰が相続登記するのかを話し合う必要があります。

話し合いの場で相続登記する相続人が決まらないからといって、複数の相続人で登記を行うと、不動産売却や借入などの際に全員の許可が得られず、思うように資金調達ができないというようなトラブルが起きてしまう可能性があります。

事前に相続人全員でどういった場合に不動産を売却するのか、また、今後どのように不動産を管理していくのか等の話し合いを行った上で、相続登記は行いましょう。

【相続登記の流れ】

では、相続登記の流れについてみていきましょう。土地や建物の名義変更するには、法務局に相続登記の申請をすることになります。

相続登記の申請書と合わせて、その他必要書類を添付し、登録免許税などの税金を納めて申請します。

相続登記の手続きは、法務局に申請してその場ですぐに手続きが完了するというわけではなく、法務局の審査結果を待つ必要があります。
各法務局のホームページには申請してからの完了予定日が記載されていますので、ご参考ください。

ただし、書類に不備があった場合は再度の書類提出や内容の修正などfが発生しますので、完了予定日がズレ込んでいくことになってしまいます。

相続登記は申請前に揃えなければならない書類や、相続人の意向の確認などでも多くに時間を費やしてしまいます。時間的に余裕をもって早めに相続登記の手続きに向けて動くようにしましょう。

相続登記の流れ

~登記完了予定日に受け取る書類~

登記識別情報通知書…相続する土地、建物の不動産毎に1通ずつ発行されます
登記完了証…登記が完了したことを証明する書類です
原本還付書類一式…相続登記に使用した書類の原本が返却されます

相続登記の申請

相続登記の申請に必要な申請書と附属する書類がそろったらいよいよ相続登記の申請をしましょう。申請の方法は主に以下の3通りが考えられます。また、相続登記の一連の手続きを専門職に依頼する場合もありますので併せて解説します。

✦法務局の窓口での申請

法務局の窓口で申請する方法では、直接担当者に書類の書き方や内容を確認しながら手続きできるというメリットがあります。もし作成した文書に誤りや記載漏れがあっても、その場で確認しながら記載したり、訂正できたりします。

但し、平日に法務局に出向くことができなかったり、持参した書類が不足していた時などは改めて出直すことになってしまったりする点で、利用するのが困難であると感じる方もいるでしょう。

また、現実問題として法務局がとても遠い場所にしかないという人にとっては、窓口申請がネックになる場合もあるでしょう。

✦郵送での申請

郵送での相続登記は、法務局に平日にはなかなか足を運べないという方や、家の近くに法務局がない場合に便利な方法と言えます。
しかし、書類に不備があった場合に再度手間がかかってしまう点や登記完了予定日が即座にはわからないなどのデメリットがあります。郵送前後に確認の電話などを入れるなどするとより安心でしょう。

✦オンライン申請

オンライン申請はパソコン操作に慣れている方にとっては、相続登記に必要な書類をオンライン取得でき、自宅から相続登記ができるという手軽さがあります。
また、オンライン申請のメリットとしては、手数料が割安になる可能性がある点や自分の都合の良い時間に申請できるという点が挙げられます。

平日忙しくて書類の準備や手続きの時間がなかなか取れないという方にとってはメリットが多い方法だと思われます。オンライン申請の方法については法務省のホームページから確認できます。

相続登記に必要な主な書類と費用

相続登記には準備しなければならない書類がたくさんあり、登記の方法によっては揃える書類に違いもあります。

ここでは主な相続登記の手続きに必要な主な書類をその費用を解説し、その他の書類については法務局等のホームページで確認できるのでリンクを貼っておきます。

相続登記に必要な書類

法務局で登記申請を行う際、登記申請書と関係書類の準備と登録免許税の納付が必要です。相続登記に必要な書類は3種類の相続登記(法定相続、遺産分割協議、遺言書による)でそれぞれに必要な書類が異なることがあります。

相続登記に必要な主な書類とかかる費用は以下の①~③のようになっています。

①戸籍謄本等の必要書類の取得費

固定資産評価証明書・・・1通300円~400円
名寄せ帳・・・1通200円~300円
登記事項証明書・・・1通600円
被相続人の戸籍謄本等・・・1通450円~700円
被相続人の住民票の除票・・・1通200円~400円
相続人の戸籍謄本・・・1通450円
不動産を相続する人の住民票・・・1通200円~400円
相続人の印鑑証明書・・・1通200円~400円

②登記申請する際にかかる登録免許税

※計算式含む詳細は後述します。
登録免許税とは法務局に対して支払う税金の一種です。登録免許税の税額は建物や土地の評価額に税率をかけて計算します。

登録免許税[100円未満切捨て]=不動産価格[1,000円未満切捨て]×税率(0.4%)

不動産価格は、固定資産税評価額となります。

③相続登記を専門職に依頼した場合

相続登記を司法書士などの専門職に依頼する場合は、報酬が必要になります。不動産の数や評価額、地域により報酬額は変わります。

相続登記のみの依頼であれば報酬の相場は3~7万円程度、遺産分割協議書の作成をはじめとした各種書類を追加するごとに費用が増加していきます

参考までに司法書士に相続登記の手続きのみを依頼した場合の司法書士の報酬を地域ごとに載せておきますのでご確認下さい。

~平成30年1月調べ 司法書士における相続登記の報酬 ※法定相続人3名の場合~

北海道地区…60,983円
東北地区…60,667円
関東地区…65,800円
中部地区…63,470円
近畿地区…78,326円
中国地区…65,670円
四国地区…65,578円
九州地区…62,281円

※抜粋
相続登記とは?登記しない4つのリスクと申請完了までの5ステップ | 相続税申告相談プラザ|ランドマーク税理士法人 (zeirisi.co.jp)

✦ 登記申請書

登記申請書は相続登記を法務局で入手することが可能です。また、法務局のホームページからダウンロードすることもできます。登記申請書は相続登記を行う際に必ず提出する書類です。
登記申請書は法務局にある書類ですが、事前にホームページで様式や記載方法を確認しておけば作成するときに安心でしょう。

登記申請書は3種類あります。先に触れた様に申請の方法によって3つのパターンにおいて使用する書類が異なるため、どのパターンにより相続登記を行うか確認したうえで間違えないようにしましょう。

登記申請書は、相続登記を行う際に最も重要な書類です。まずは登記申請書の取得と作成をしっかりと行いましょう。

✦登記簿謄本

登記簿謄本とは、登記事項証明書のことです。相続登記を行う土地や建物の登記事項証明書は、法務局で取得できます。

登記簿謄本と登記事項証明書は同じものですが、厳密に言えば法務局で備えてある登記簿の内容をデータ化して発行されるものが登記事項証明書です。

登記簿証明書は土地や建物がどの都道府県にあっても、全国いずれの法務局からでも取得することが可能です。不動産の所在地などが分かれば、誰でも取得することができます。

注意点としては、登記事項証明書を取得するためにはその不動産の所在地などの基本情報が必要なため、正確な所在地などを予め確認しておきましょう。

※その他書類詳細は以下のHPで確認できます。
不動産登記の申請書様式について:法務局 (moj.go.jp)
【必要書類】相続登記の添付書類まとめ(一覧表) (meigi-henkou.jp)

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相続登記にかかる費用

次に、相続登記にかかる主な費用について解説していきます。

登録免許税

登録免許税とは法務局に対して支払う税金の一種です。登録免許税の税額は建物や土地の評価額に税率をかけて計算します。

支払い方法としては、金額分の収入印紙を登記手続きを行う際に登記申請書類に貼り付けて税金を支払うということになります。

~登記免許税の計算式… 相続の場合~

不動産の価額×1,000分の4

※不動産の価額とは、固定資産税評価額のことであり毎年市町村から送付されてくる固定資産税課税明細書に金額が記載されているのでそちらで確認できます。
計算例)…固定資産税評価額が2,000万円の土地と3,000万円の建物を相続登記した場合の登録免許税はいくらになるか。

(土地・2,000万円+建物・3,000万円)×0.4%=20万円

※上の計算例からもわかるように登記免許税は相続した土地、建物などの不動産の価額が高くなるほど高額になってしまいますが、贈与や売買の際に支払う登記免許税ではもっと高額な税率になってしまうことは念頭においておきましょう。

必要書類の取得費用

相続登記は自分で行うことも専門家に依頼することもできますが、いずれにしても必要書類を取得するには費用がかかります。
主な書類と費用については先に紹介しましたが、専門家に書類の取得も依頼するとさらに手数料もかかるので、ここでは自分で取得できそうな必要な書類と取得できる場所、かかる費用をまとめましたので参考にして下さい。

戸籍…450円/本籍地の市区町村役場
固定資産評価証明書……300円/相続する不動産がある自治体の市町村役場で取得可能
固定資産税課税明細書…一つの物件ごとに1件目400円、2件目以降は100円/相続する不動産がある自治体の市町村役場で取得可能
印鑑証明書…300円/市区町村役場
住民票…350円/市区町村役場
不動産登記事項証明書…450円/法務局や出張所、オンラインなど
・遺産分割協議書
 遺産分割協議書とは、相続人全員が参加した遺産分割協議において合意、決定した内容を書面に取りまとめた文書のことです。
遺産分割協議書は不動産の相続登記の他、相続した預貯金や株式、自動車等の名義変更の手続きを行う際にも必要になります。

遺産分割協議書は自分で作成することもできますが(自分で作成すれば費用はかかりません)弁護士や司法書士等に依頼すると数万円かかります。
3~10万円が相場とされていますが、相続財産の額や事務所の料金設定によって異なるので費用には幅があると考えられます。

相続登記の注意点

相続登記の注意点としては、相続登記の義務化の経緯や内容は後述しますが、相続登記が義務化される見通しなので、その過渡期にあっては義務化の時期と相続登記を行う期間の兼ね合いについても注意が必要です。

なぜなら、相続放棄の義務化の改正法施行日前に既に発生している相続についても義務化が適用されるためです。

施行日前に発生している相続については、経過措置として原則として施行日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。

もちろん現時点で発生している相続についても同様です。改正法は2021年4月28日に公布されましたので、公布から3年を超えない日(2024年の4月28日まで)に施行されます。

今現在発生している相続については、遅くとも2027年までは相続登記をしなければ、過料に処せられる恐れが出てきます。

相続登記の義務化

相続登記の義務化について、2021年4月28日に公布されました。これまでは相続登録に義務も申請期限はありませんでした。

しかし、相続登記が長年放置されることで所有者不明の土地の増加、空き家問題などが生じている状況があり、全国的に収拾がつかない事態になっていました。

その対策として、民法の一部を改正する法律が2021年4月21日成立しました。その改正不動産登記法の中で重要な改正の一つが相続登記の義務化です。内容は以下の通りです。

~相続登記の義務化~

相続登記の内容は「相続登記相続の開始があったことを知り、かつ当該所有権を取得した日から3年以内に相続登記を正当な事由がある場合を除いて申請しなければならない」ということになります。

相続登記の義務化の対象となる権利は「土地と建物の所有権に限るもの」とされています。法改正にあたって、所有者不明土地の問題点と同様に少子高齢化や人口流出に伴う空き家問題も深刻な社会問題となっているという背景があります。

2024年を目途に施行される見込みで、もしも正当な事由なく申請を怠ると10万円以下の過料に処せられます。
相続登記の義務化について要点をまとめると以下のようになります。

相続登記の義務化
2024年を目途に義務化される3年以内
※但し義務化の施行日前に発生している相続も対象
申請を怠ると10万円以下の過料が発生

相続登記をしないことによるリスク

相続登記の義務化の意義や相続登記はしておいた方が良いという点にここまで触れてきました。最後に相続登記しないことによるリスクを改めて解説します。

~相続登記をしないことによるリスクは所有権が曖昧になることが起因で起きる~

相続登記をしないことで生じるリスクの原因は、登記をしないことで所有権が曖昧になっている状態ゆえに起きることが多いです。

遺産分割協議が難航したり、不動産を相続したにも関わらず相続した物件を差し押さえられたりしてしまうことにより、相続登記をしないままでは家や土地を自由に売買することもできないので商機を逃したり、資金調達の計画が狂ってしまったりするなどの想定外の事態につながっていきます。相続登記をしておくとこれらのリスクを回避できるということを理解し、相続が発生した時の心構えの一つとしておきましょう。

相続登記を行う際に必要な相続人や関係者の必要書類の入手は、時が経てば経つほど困難になっていくと考えられます。

公的な書類であっても保管期間が定められている文書類も存在しますので、保管期間を超えると破棄されてしまい、もう入手できない、あるいは、入手するためには複雑な手続きをしないといけなくなることもあります。

まとめ

今回は相続登記について解説しました。
相続放棄は法改正によって2024年4月28日までには義務化が施行されることになりました。義務化によって罰則も設けられます。

相続登記の重要性を罰則以外の観点で考えても、相続登記をせずにそのままにしておいたために生じるリスクは色々考えられます。

時間が経てばたつほど問題が複雑化したり手続きに手間と時間がかかったり、予想しなかった新たな問題が発生する危険性も高くなります。
相続が発生したら速やかに相続登記を行うようにしましょう。通常の相続放棄は自分で手続きを行うことが可能です。

しかし、相続人をはじめとした関係者の戸籍を収集したり遺産協議書を作成するということは容易ではありません。必要に応じて専門職に相談したり、自分ではできないと判断する時や急いでいる部分については専門家に依頼するのがよいでしょう。

関連記事はこちら「遺産相続の手続き期限はいつまで?期限を超えるとどうなる?」

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