登録免許税とは?計算方法や軽減させるためのコツを紹介

税理士 藤本絢

新卒で大手証券会社へ入社。中小企業経営者、医師等の富裕層に向けた資産運用コンサルティング業務に従事する。会社経営、資産管理の面からお客様により役立てる存在になりたいと考え、税理士を志す。その後、大手税理士法人にて、法人顧問業務、相続税申告業務、事業承継コンサルティング等幅広い会計・税務に携わる。2022年友好的承継を掲げる株式会社M&A DXに入社、現在に至る。

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登録免許税って何?
土地や建物を購入した時に、税金がかかるの?
実は、登録免許税は、住宅購入時には欠かせない費用になります。
一般の個人の方には、聞き覚えのない税金かもしれません。
しかし、マイホームを購入する予定があったり将来的に不動産を相続する可能性が高い人なら、基礎知識として、登録免許税について知っておくことをオススメします。そこで、登録免許税について計算方法も交え、詳しく説明していきます。
土地、建物を購入するときにかかる負担を少しでも減らすコツまで紹介していきますので、さいごまでお見逃しなく!

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登録免許税とは

初めに、登録免許税とは何か、どんな時にかかるのか説明していきます。
また免除される人はどんな人なのか、についても詳しく解説していきます。

関連記事「相続登記にかかる4つの費用を紹介!専門家に依頼すべきケースとは?

登録免許税とは

住宅などの不動産を購入するときには、土地や建物の所有者が変わったことを法務局に登記します。
これは、法務局(登記所)にある登記簿に、土地や建物の所有権者が変更したことを記録して公示するために行われ、正当な所有権者として権利を主張するために必要な手続きです。
つまり、この手続き(不動産登記)を行うことで初めて「この不動産は私が所有しています」と公に示すことができます。

登録免許税とは、この登記手続きの際に、登記所で納付する税金のことです。一般的には「登記料」などと呼ばれることも多いです。
登録免許税は、以下のような場合に納税が必要となる税金です。

不動産に関する登記
会社に関する登記
著作権などの権利の登録
宅建業、建設業を始める際の免許登録

1)不動産に関する登記

登録免許税の納付が必要になる「不動産に関する登記」は以下の通りです。

1.新築物件を購入する際の保存登記

新しく建物を建築する際に行われる登記には、表題登記(不動産の物理的状況を公的に記録)と保存登記(不動産の権利関係を公的に記録)がありますが、登録免許税が発生するのはこのうち保存登記だけで、表題登記時には登録免許税は課税されません。

2.売買などによる移転登記

申請時に登録免許税の支払いが必要です。

3.相続や贈与にかかる移転登記

申請時に登録免許税の支払いが必要です。

2)会社に関する登記

会社に関する登記は、新規で会社を設立する場合や役員の任期を更新する場合などに必要となり、それらの登記の都度、登録免許税を納付します。
また、自主的に会社を消滅させる場合には、解散や清算と呼ばれる一連の手続きが必要になりますが、解散・清算の各手続き時にも登記申請が必要になります。

3)著作権などの権利の登録

4)宅建業、建設業を始める際の免許登録

この場合にも登録の際に登録免許税を納める扱いとなっています。
以上のように、登録免許税を納め、これらの登録手続きが完了することで、正式に登録が認められる仕組みになります。
登録免許税は原則として次のように計算します。

登録免許税額=課税標準金額 × 税率

※課税標準金額とは、土地や建物の登記の場合、課税標準は「不動産の価額」となり、この不動産の価額は、市町村の固定資産課税台帳に価格がある場合はその価格になります。(固定信税評価額)

また、抵当権の設定登記の場合の課税標準は、債権金額の総額になります。
上記のように「課税標準金額」については、申請する登記の種類によって用いる値が変わってきます。主な課税標準金額の例としては以下のようなものがあります。

主な登録免許税の課税標準金額

1.不動産を購入する場合

課税標準金額=不動産(土地や建物)の固定資産税評価額

2.抵当権を設定する場合

課税標準金額=債券の金額(ローン借入金額など)

登録免許税の免除や軽減

登録免許税法

登録免許税法は、登記、登録、特許、許可、認可、認定、指定および技能証明について課す登録免許税について定めた法律です。
登録免許税について、課税の範囲、納税義務者、課税標準、税率、納付および還付の手続ならびにその納税義務の適正な履行を確保するために必要な事項が定められています。

免税措置について(免除)

平成30年度の税制改正により、相続による土地の所有権の移転登記について、登録免許税の免税措置が設けられました。
また、令和4年度の税制改正により、免税措置の適用期間が令和7年3月31日までに延長されています。

免税措置は次のように設けられています。詳しくは法務局のホームページを参照してください。

1.相続により土地を取得した人が、相続登記をしないで死亡した場合の免税措置

個人が相続により土地の所有権を取得し、移転の登記を受ける前に死亡した場合は、その死亡した人を土地の所有権の登記名義人とするために受ける登記については、登録免許税が免税となります。
免税の適用期間は、平成30年4月1日から令和7年3月31日までになります。
また、免税を受けるためには、免税の根拠となる法令の条項を申請書に記載する必要があります。

相続登記の登録免許税の免税措置については、「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と申請書に記載してください。記載がない場合は、免税措置が受けられませんので注意が必要です。

2.少額(100万円以下)の土地を相続により取得した場合の登録免許税の免税措置

土地について相続による所有権の移転登記または表題部所有者の相続人が所有権の保存登記を受ける場合、不動産の価額が100万円以下の土地であるときは、登録免許税が課さないこととされました。
法務大臣が指定する土地は、法務局・地方法務局のホームページに掲載されています。
詳しくは、各法務局・地方法務局の担当部署にお尋ねください。
免税の適用期間は、相続による所有権の移転登記については、平成30年11月15日から令和7年3月31日までです。
また、表題部所有者の相続人が受ける所有権の保存登記については、令和3年4月1日から令和7年3月31日までです。
また、免税を受けるためには、免税の根拠となる法令の条項を申請書に記載する必要があります。
相続登記(所有権の移転の登記または所有権の保存の登記)の登録免許税の免税措置については、「租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」と申告書に記載してください。記載がない場合は、免税措置が受けられませんので注意が必要です。

登録免許税を支払うタイミング

登録免許税を支払うタイミングは大きく分けて3つあります。
まず①不動産売買によって所有権移転登記を行うタイミング、次に②家を新築して家を新築し所有権保存登記を行うタイミング、最後に③住宅ローンによって抵当権の設定・抹消登記を行うタイミングです。
それぞれ①②③のタイミングによって登録免許税の計算方法が変わりますのでご注意ください。詳しい計算方法は次項に記載していますのでご参照ください。

登録免許税の計算方法

次に、登録免許税を自分で計算する方法を紹介します。
一般的には、司法書士に依頼するケースが多いですが、依頼すれば、司法書士への報酬費用も発生しますし、実際に依頼するしないにかかわらず、自分でもいくら登録免許税がかかるのかを把握しておくことは重要です。以下、順を追って、実際に具体例をみながら計算していきましょう。

登録免許税の計算方法

固定資産税評価額を出す

不動産登記の申請をする場合には、課税標準金額として固定資産評価額を知っておかなければなりません。
そもそもよく耳にする「固定資産税」とは何かですが、家を建てたり購入したりすると、住んでからも長く付き合うことになる税金の一つです。土地や家屋(建物)などの固定資産を所有していると、必ず毎年納付することになります。毎年1月1日現在で、所有権を登記している人に対して課税されることになります。
固定資産税の税額は、固定資産税評価額×1.4%(固定資産税率)で計算されます。
また、都市計画法により市街化区域内に土地や建物を所有している人に課税される「都市計画税」や、家を建てたり、土地を買ったりした時に、1回限りでかかる「不動産取得税」、登記を申請する時にかかる「登録免許税」も、この固定資産税評価額をもとに計算されています。

言い換えると、固定資産税評価額とは、土地やマンション、一戸建ての所有者に対して課せられる固定資産税を決める基準となる価格のことです。
固定資産税評価額は、土地や家屋などをそれぞれどう評価するかを定めた「固定資産評価基準」に基づいて、各市町村が個別に決める評価額のことをいいます。
土地であれば、土地の時価の約70%の概算で固定資産税評価額を算出し、その他に、土地がどんな場所にあるのか、面積や形状はどうか、道路は接しているのかなどによって、評価額が異なってきます。

建物の場合は、新築時の請負工事金額の約50〜60%、再建築ならその価格のおよそ50%〜70%が目安と言われていますが、家の価値や面積はもちろん、設備や構造、経過年数などによって評価額が異なるため、とても複雑な計算になります。
そこで、自分が所有している家はどうなのか気になると思いますが、毎年度、4月〜5月頃に市町村から送付される「納税通知書(振込用紙)」に添付された、「課税明細書」の「価格」の欄に記載されています。家や家屋の固定資産税評価額が記載されています。

添付の「課税明細書」をみると、「価格」のほかに「課税標準額」と記載されている箇所があります。通常、家屋の課税標準額は価格(固定資産税評価額)と同じですが、土地の場合は住宅用地に対する特例措置などで調整されるため、課税標準額は固定資産税評価額よりも小さくなります。「価格」と「課税標準額」を混同しないように注意が必要です。
では、これから家を買う人や家を相続する人が固定資産税評価額を知るには、どうすればいいのかを説明します。事前に固定資産税評価額が分かれば、購入後の固定資産税も分かり、支出の計画が立てやすくなります。

固定資産税評価額

1.新築住宅を購入する場合

家を建てるハウスメーカーや工務店、またはモデルハウスなどで尋ねると、税額の目安を教えてもらえることがあります。しかし、あくまでも概算で、実際とは誤差があるので注意が必要です。

2.中古住宅を購入する場合

既に固定資産税評価額は出ているはずなので、購入したい物件が決まっているのであれば、物件の担当者に聞いてみてください。
以上、固定資産税評価額を知る方法を説明しましたが、そもそもこの固定資産税評価額が正しく評価されているか気になる方もいらっしゃると思います。
基本的に、固定資産税評価額は、登記後にどんな家なのか市の担当者などが一軒ずつ訪問して、調査確認をした上で決められています。
実は、「縦覧制度」が設けられており、毎年4月1日から最初の納付期限の日までの間、固定資産税の納税者が、自分の土地や家だけでなく、他の納税者の土地や家屋の固定資産税評価額を確認することができます。
なので、同じエリアのほかの土地や家屋を比較してみて、大きな違いがないのか確認できます。もし大きな差があれば、適正に評価されているのか、審査の申し出をすることが可能です。

また、各市町村役場にある固定資産課税台帳で、自己の所有している土地や家屋の固定資産税評価額を閲覧することもできます。
このようにして、まずは固定資産税評価額を出し、不動産取得時の登録免許税を出すには、課税標準金額に不動産の固定資産税評価額を当てはめて計算します。

登録免許税額=課税標準金額 × 税率
登録免許税=不動産(土地や建物)の固定資産税評価額 × 税率

税率は、土地や建物の売買、相続などにより違いがありますので、後ほど詳しく説明していきます。

抵当権設定金額を出す

抵当権設定金額は債権金額のことで、債務者が何らかの事情で債務を返済できない状況になった場合のことを考えて、債務者が自らの土地や建物などに設定する金額のことです。
多くの場合、土地や建物などの不動産を担保として債権者の抵当権を設定します。
抵当権が設定されていると、例えば、住宅ローンが払えなくなってしまった場合に、融資している金融機関や保証会社が不動産を差し押さえることができ、競売などにより現金化した上で、その住宅ローンの弁済に充てられます。

なお抵当権設定登記をして登録免許税を支払うのは不動産の所有者で、金融機関からローンを借りた人になります。
抵当権設定にかかる登録免許税は、債券の金額を課税標準金額としなければならないので、次の式で求めることができます。

抵当権設定登記に係る登録免許税額=ローン借入額(債権金額)×0.4%※

例えば、4,000万円のローンを借りた場合は、計算式に当てはめると

4,000万円×0.4%※=16万円

上記の計算により、16万円が抵当権の設定登記における登録免許税額となります。
ちなみに、1,000円未満の端数がある場合は、切り捨てて考えます。
※ここでは軽減税率の適用がないものとします

登録免許税の税率を出す

登録免許税の税率ですが、土地、建物など申請内容により税率が変わってくるので、下記の通りまとめておきます。詳しくは「国税庁HP 登録免許税の税額表」を参照してください。なお軽減税率については後ほど詳しく触れますので、ここでは割愛します。ご了承ください。

1.土地の所有権の移転登記
申請内容課税標準税率
土地の売買不動産の価額1,000分の20(2%)
相続、法人の合併または共有物の分割不動産の価額1,000分の4(0.4%)
その他(贈与・交換・収用・競売等)不動産の価額1,000分の20(2%)

2.建物の登記
申請内容課税標準税率
所有権の保存不動産の価額1,000分の4(0.4%)
売買又は競売による所有権の移転不動産の価額1,000分の20(2%)
相続又は法人の合併による所有権の移転不動産の価額1,000分の4(0.4%)
その他の所有権の移転(贈与・交換・収用等)不動産の価額1,000分の20(2%)

計算例(具体的な数字を使用)

では、実際に具体例をあげて計算してみましょう。

例1)住宅用家屋を購入し、土地、建物を所有権移転登記した場合(なおここでは話を単純化するため、軽減税率については考えないものとする)
土地の固定資産税評価額 1,000万円
建物の固定資産税評価額 1,500万円
住宅ローンの借入(債務金額) 3,500万円(抵当権設定金額)の場合

上記の表により、「土地の売買」の税率は、「1,000分の20(2%)」
建物は「売買または競売による所有権の移転」に該当するため、税率は「1,000分の20(2%)」
抵当権設定金額に対する税率は0.4%を掛ければいいので、これらに次のようにそれぞれ税率を掛けて計算すると

土地:1,000万円×2%=20万円
建物:1,500万円×2%=30万円
住宅ローン(抵当権設定金額):3,500万円×0.4%=14万円

合計=64万円になります。
以上により、登録免許税は64万円となります。 

例2)相続により建物を取得した場合(例1と同様、軽減税率については考えないものとする)
建物の固定資産税評価額 500万円
債務金額 200万円(抵当権設定金額)の場合

上記の表により、建物の相続は「相続または法人の合併による所有権の移転」に該当するため、税率は「1,000分の4(0.4%)」になります。

これに次のようにそれぞれ税率を掛けて計算すると

建物:500万円×0.4%=2万円
債務金額(抵当権設定金額):200万円×0.4%=8千円

合計=2万8千円になります。
登録免許税は、取得した不動産すべてに課税されるため、かなりの出費になります。

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登録免許税の軽減税率

登録免許税の計算のところでも説明しましたが、住宅など購入する際に、登録免許税は種類がたくさんあり、合計金額はかなり高くなります。そのため、複数の登録免許税について、軽減措置が設けられています。税額を抑えるコツがいくつかあるため、紹介していきます。

登録免許税の軽減税率とは

一般的に、マイホームを購入する時に、適用要件を満たせば、登録免許税が軽減されます。

1.土地であれば、売買による所有権移転登記について軽減されます。
2.建物であれば、所有権保存登記、売買又は競売による所有権の移転登記、抵当権設定登記について軽減されます。

個人が、住宅用家屋を新築または取得し、自己の居住の用に供した場合については、後ほど説明する「住宅用家屋の軽減税率」により、軽減されます。

登録免許税の軽減を受けるための手順

登録免許税は誰が納付するのか決める(話し合う)

登録免許税は、ほとんどのケースで不動産登記によって利益を得る買主が納付するようです。
しかし、必ずしも購入者が税金を負担しなければならないわけではありません。
原則的に登記権利者(買主)と登記義務者(売主)に納税義務があります。
なので、当事者間の同意があれば折半したり、売主が負担することもあります。

もちろん、売主に拒絶されることもありますが、負担の多い税金ですので、試しに交渉してみる価値はあるかもしれません。

住宅用家屋の軽減税率を適用するための要件

登録免許税を抑えられる軽減税率ですが、要件を満たしていなければ利用できませんので、注意が必要になります。

居住用の家屋を新築または取得した人が、保存登記や移転登記などを行う時に、「住居用家屋証明書」を添付することで、不動産登記にかかる登録免許税が次のように軽減されます。
ただし、住宅用家屋証明書の交付には、一定の要件を満たす必要があります。

1.所有権の保存登記の軽減税率
軽減前軽減後
一般住宅1,000分の4(0.4%)1,000分の1.5(0.15%)
特定認定長期優良住宅認定低酸素住宅1,000分の4(0.4%)1,000分の1(0.1%)
2.所有権の移転登記(売買、競売に限る)の軽減税率
軽減前軽減後
一般住宅(取得が売買、競売に限る)1,000分の20(2%)1,000分の3(0.3%)
特定認定長期優良住宅認定低酸素住宅1,000分の20(2%)1,000分の1(0.1%)※長期優良住宅の一戸建ては1,000分の2(0.2%)
3.抵当権の設定登記の軽減税率
軽減前軽減後
一般住宅1,000分の4(0.4%)1,000分の1(0.1%)

上記の軽減措置を受ける為には、次の主な要件を満たす必要があります。

軽減措置の要件

1)所有権の保存登記

・個人の居住用建物であること
・床面積が50㎡以上であること
・新築または取得してから1年以内に登記をしていること

2)所有権の移転登記(新築住宅)

・個人の居住用建物であること
・床面積が50㎡以上であること
・新築または取得してから1年以内に登記をしていること

3)所有権の移転登記(中古住宅)

・個人の居住用建物であること
・床面積が50㎡以上であること
・新築または取得してから1年以内に登記をしていること
・取得日以前20年以内の建物であること(鉄骨造などは25年以内)

4)抵当権の設定登記

・個人の居住用建物であること
・床面積が50㎡以上であること
・新築または取得してから1年以内に登記をしていること

中古住宅の場合は、取得日以前20年以内の建物であること(鉄骨造などは25年以内)
一般に住宅ローンを利用すれば、金融機関を通して、融資時に登記をするので、上記の要件に当たる「新築または取得してから1年以内に登記をしていること」は満たします。
軽減税率の適用をしたいならば、住宅を探す時点で、「床面積が50㎡以上」の要件を満たすことを確認しておいた方が良いでしょう。

また、上記のような一般住宅からさらに免税される「認定長期優良住宅」や「認定低炭素住宅」の場合もそれぞれ要件があります。

「長期優良住宅」とは、国土交通省によると、長期にわたり良好な状態で使用するための措置がその構造および設備に講じられた優良な住宅のことです。これを申請し、基準に適合すれば、認定を受けることができます。(認定長期優良住宅)
この長期優良住宅として軽減措置を受けるためには、次の要件を満たす必要があります。

長期優良住宅の軽減措置要件

・個人の居住用建物であること
・床面積が50㎡以上であること
・新築または取得してから1年以内に登記をしていること
・市町村が発行する住宅家屋証明書を取得していること
・長期優良住宅の認定通知書を取得していること

「低炭素住宅」とは、国土交通省によると、建築物における生活や活動に伴って発生する二酸化炭素を抑制するための低炭素化に資する措置が講じられている、市街化区域内などに建築される建築物を指しています。これを申請し、基準に適合すれば、認定を受けることができます。(認定低炭素住宅)
この低炭素住宅として軽減措置を受けるためには、次の要件を満たす必要があります。

・個人の居住用建物であること
・床面積が50㎡以上であること
・新築または取得してから1年以内に登記をしていること
・市町村が発行する住宅家屋証明書を取得していること
・低炭素住宅の認定通知書を取得していること

以上で説明した通り、さまざまな軽減措置がとられています。是非、利用して少しでも家計の負担を減らしましょう。

登録免許税を計算する手順

まとめとして、あらためて登録免許税を計算していく流れを説明していきます。
計算方法としては、上記でも述べたように以下の計算式で求められます。

登録免許税額=課税標準金額 × 税率
1.土地と建物が同じの場合の保存登記・移転登記

課税標準金額は、固定資産課税台帳の登録価格で、土地と建物を足した金額になります。

課税標準額=固定資産課税台帳登録価格(土地)+(建物)

登録免許税額は上記の式の当てはめて、

登録免許税額=固定資産課税台帳登録価格(土地)+(建物)× 適用税率

※この時、価格が1,000円未満の端数は切り捨てます。価格が1,000円未満である場合は1,000円になります。

2.適用税率が土地と建物とで異なる場合の保存登記・移転登記

土地、建物それぞれで税率が違うので別々に計算していきます。

土地の課税標準額=固定資産課税台帳登録価格(土地)
建物の課税標準額=固定資産課税台帳登録価格(建物)

登録免許税額は同様に上記の式に当てはめて、

土地の登録免許税額=土地の課税標準額×土地の適用税率
建物の登録免許税額=建物の課税標準額×建物の適用税率

最終的な登録免許税は、土地と建物を足したものになります。

登録免許税額=土地の登録免許税額+建物の登録免許税額

※こちらも同様に、1,000円未満の端数は切り捨てます。価格が1,000円未満である場合は1,000円になります。

3.抵当権の設定登記の場合

抵当権の設定の課税金額は、ローンなどの債権金額になります。

課税標準額=債権金額

登録免許税は、同様に上記の式に当てはめて、

登録免許税額=債権金額×適用税率(1,000分の4もしくは軽減の時1,000分の1)

※こちらも同様に、1,000円未満の端数は切り捨てます。価格が1,000円未満である場合は1,000円になります。

4.抵当権の抹消登記、配偶者居住権の抹消、住所や氏名などの変更登記の場合

課税標準は登記する不動産の個数になります。
税率は不動産1個につき1,000円かかります。
※同一の申請書で20個以上の場合は2万円になります。

登録免許税額=1,000円×不動産の個数

軽減税率を受ける為に用意する必要書類

軽減税率を受ける条件を満たすには、「新築または取得してから1年以内に登記したもの」でなければなりません。このために必要となるのが、「住宅用家屋証明書」です。
住宅用家屋証明書は、その建物の所在地の区市町村が発行しています。
発行には、手数料がかかります。
また、住宅用家屋証明書を発行してもらうには、主に次の書類が必要になります。

・登記事項証明書
・建築確認済証の写し(建築確認通知書)
・売買契約書などの写し
・住民票の写し
・申立書および現在の住民票

その他必要があれば、従前の建物の処分方法などを明らかにする書類
詳しくは、それぞれの区市町村のホームページで確認したり、窓口に問い合わせて、事前に確認しておきましょう。

合わせて、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」により、認定長期優良住宅の場合、
「都市の低炭素化の促進に関する法律」により、認定低炭素建築物の場合には、さらに減税の対象になりますので、利用する場合は、住宅用家屋証明書を発行してもらう際に添付する必要があります。

登録免許税の納付方法

登録免許税の納付方法としては、原則、銀行などの金融機関を通じて、現金で納付します。
そして、その領収書を登記申請書に貼り付けて法務局に申請します。詳しくは、後ほど詳しく説明しています。

登録免許税の軽減の例

実際に、特例を利用するとどのくらい安くすることが出来るのか確認してみましょう。

例1)所有権保存登記の場合の軽減措置

軽減前軽減後
一般住宅1,000分の4(0.4%)1,000分の1.5(0.15%)
特定認定長期優良住宅認定低酸素住宅1,000分の4(0.4%)1,000分の1(0.1%)

建物の法務局認定額が1,500万円として、一般住宅の上記の表に当てはめてみます。

軽減前は1,500万円×0.4%=6万円
軽減後は1,500万円×0.15%=2万2,500円となり
差額の3万7,500円が軽減されます

例2)所有権の移転登記(売買、競売に限る)の場合の軽減措置

軽減前軽減後
一般住宅(取得が売買、競売に限る)1,000分の20(2%)1,000分の3(0.3%)
特定認定長期優良住宅認定低酸素住宅1,000分の20(2%)1,000分の1(0.1%)※長期優良住宅の一戸建ては1,000分の2(0.2%)

建物の不動産評価額が800万円として、一般住宅の上記の表に当てはめてみます。

軽減前は800万円×2%=16万円
軽減後は800万円×0.3%=2万4,000円
差額の13万6,000円が軽減されます。

例3)抵当権の設定登記の場合の軽減措置

軽減前軽減後
一般住宅1,000分の4(0.4%)1,000分の1(0.1%)

住宅ローン借入額が3,000万円とし、一般住宅に上記の表に当てはめてみます。

軽減前は3,000万円×0.4%=12万円
軽減後は3,000万円×0.1%=3万円
差額の9万円が軽減されます。

登録免許税を納めるには

登録免許税の金額が決まれば、実際にどうやって支払うのか、簡単に納付する方法はないのか、について詳しく解説していきます。

場所と納付方法

登録免許税の納付方法は、歳入金電子納付システムを利用して納付する方法と領収書または印紙を申請先の登記所窓口に提出または送付する方法があります。
上記にも述べたように、登録免許税を納付する方法は、主に金融機関を通じて現金で納付ししますが、収入印紙やオンラインでも納付することができます。

1)歳入金電子納付システムを利用して納付する方法

かんたん証明書請求を利用の場合は、照会内容確認(電子納付情報表示)画面の「電子納付」ボタンを利用して、各金融機関のインターネットバンキングにアクセスし、電子納付ボタンから行うことができます。
※全ての金融機関ではありませんので、ご利用可能な金融機関につきましては、金融機関のホームページまたは、直接問い合わせが必要です。

申請用総合ソフトを利用の場合は、電子納付画面の「納付」ボタンを利用して各金融機関のインターネットバンキングにアクセスし、電子納付を行うことができます。
(詳しくは、登記申請システムのホームページを御覧ください)

インターネットを利用すれば、法務局に直接行く必要がなく納付ができるので、非常に便利です。

2)領収書または印紙によって納付する場合

オンラインで登記申請を行った場合でも、領収書または収入印紙を窓口に提出または送付することによって、登録免許税を納付することができます。
この場合には、受付番号などを記載した登録免許税・登記手数料納付用紙に領収書または収入印紙を貼り付けて、申請先の登記所が定める補正期限内に、当該登記所の窓口に提出または送付します。
補正期限内に納付が行わなければ、申請は却下されます。

しかし、一般的には、不動産会社や、ハウスメーカーなどから紹介された、司法書士が代理人となり、登記手続きや登録免許税の納付を行うのが一般的です。
その際は、司法書士に報酬を支払う必要があります。
登記の手続きなどを司法書士に依頼する場合でも、登録免許税がいくらかかったのか、しっかり把握しておくと良いでしょう。

納付期限は、明確にいつまでという期日はありません。しかし、登録免許税の納付は、固定資産評価証明書に記載された不動産の評価額を基準としているので、その証明書が発行された年度内(4月1日から翌年3月31日)に納付する必要があります。
そのため、期限は設けられてはいませんが、実質的に固定資産評価証明書が発行された年度内が、登録免許税の期限となります。

費用は?(収入印紙はどうやって買う?)

登録免許税が3万円以下の場合は、収入印紙を登記申請書に貼り付けて提出することもできます。
収入印紙を簡単に購入できるのは郵便局です。コンビニでも売っていますが、200円程度の金額しか売られていないので、確実に購入できる郵便局がオススメです。
また、法務局の中に、印紙専門の売店が入っているところもありますが、確認してからが良いでしょう。

登録免許税も住宅取得に係る諸費用の一つで、住宅ローンと一緒に諸費用ローンとして組むこともできます。もちろん、利息はかかります。
事前に、登録免許税の目安を知っておくと、頭金として準備するのか、ローンを組むのか選択できますので、早めに確認しておくと良いでしょう。

また、取得する住宅の価格が高くなるほど、当然、納付する登録免許税も高くなります。
他にも、不動産取得時には不動産取得税、不動産を所有している間は毎年固定資産税もかかります。
取得時だけではなく、住んだ後の支出も考えて住宅の取得計画をすることをオススメいたします。

まとめ

登録免許税は、家を建てる時はもちろん、相続時などにも必ず納めなくてはならない税金です。
それぞれの場面により、税率も変わってくるので、しっかり確認する必要があります。
また、軽減措置も設けられているため、利用する人は、事前に確認し、少しでも家計の負担を減らしましょう。
また、一般的には、司法書士に依頼することが多いようですが、自分でもしっかり計算方法や金額を把握しておく必要があるでしょう。
また、不明な点があれば、お近くの法務局に問い合わせてみるのもいいでしょう。

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