親等とはなに?配偶者は何親等?親等の意味と数え方

税理士 安江一将

会計コンサルティング会社・税理士法人及びベンチャー企業2社に勤務。会計コンサルティング会社・税理士法人では税務顧問・税務申告のほかに、事業承継支援業務、組織再編業務、IPO支援業務、M&A業務を数多く実行。ベンチャー企業では管理部長・経営企画室を歴任し、上場のための体制構築・実行支援を推進する。大手コンサルティング会社名古屋支社副支社長を経て2019年8月に安江一将税理士事務所として開業した後、さらにM&A業務を推進することを目的として株式会社M&A DXに参画し、現在に至る。

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相続についての解説記事などには「親等」(しんとう)という言葉がよく出てきます。この言葉について、あいまいには知っていても、その正しい意味は?と聞かれると、案外答えられないものではないでしょうか。
本記事では、親等という考え方の正確な定義から、それがどのような場面で必要になるのか、どのように数えるのか、また、配偶者は何親等になるのかなど、親等の意味と数え方を解説します。

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親等(しんとう)とは【親等早見表】

「親等」とは、親族関係における「世代の距離(近さ、遠さ)」を表すための、法律上の単位です。親等は、「1親等、2親等」など、数字によって表されます。この数字が小さいほど、本人から見て近い世代関係になり、数字が大きくなるほど、遠い世代関係であることを示します。

親等とは

親族を分類する様々な方法

親等以外に、親族の関係性を分類するために、次のような区分が用いられます。

・「血族」と「姻族」
・「直系」と「傍系」
・「尊属」と「卑属」

これらも確認しておきましょう。

血族と姻族

「血族」(けつぞく)とは端的にいえば「血縁関係にある人」です。例えば、両親と子は、血族関係です。ただし、ここでの血縁関係は、生物学的な血縁関係ではなく、あくまで「法律的な血縁関係」である点に注意してください。
例えば、養子縁組みを結んだ場合の養親と養子とは、生物学的には血のつながりがない場合もありますが、法律上は血縁関係のある「血族」として扱われます。
逆に生物学的には親子関係にあっても、非嫡出子(婚外子)は、父親の認知がない限り、血族にはなりません。このように生物的な、いわゆる「血のつながり」と、法律上の血縁関係は異なる場合があります。
一方、配偶者の血族、および血族の配偶者を「姻族」(いんぞく)と呼びます。例えば、本人から見て妻の父母や姻族です。また、本人の子の配偶者も姻族になります。なお、姻族関係とは、あくまで配偶者とその相手の血族との関係です。
例えば、夫婦における妻の父と夫の父との関係は、姻族関係にはなりません。

血族と姻族

「直系」と「傍系」

親族関係を家系図に描いた際に、祖父母→親→本人→子のように、縦につながる関係を「直系」と呼びます。一方、共通の親から生まれた兄弟姉妹のように、縦に直接つながっていない関係のことを「傍系」(ぼうけい)と呼びます。
本人から見て自分の親は、直系であり、かつ血族であるため「直系血族」と呼ばれることがあります。また、自分の兄弟姉妹は「傍系血族」です。

「直系」と「傍系」

「尊属」と「卑属」

「尊属」(そんぞく)とは、親、祖父母、叔父(おじ)、叔母(おば)など、本人よりも上の世代を指す総称です。一方、「卑属」(ひぞく)は、子、孫、甥(おい)、姪(めい)など、本人より下の世代を指す総称です。
本人から見て、親は「直系尊属」であり、子は「直系卑属」ということになります。兄弟姉妹は、本人と同じ世代となるため、尊属でも卑属でもありません。

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知っておきたい親等の数え方

以上をふまえて、親等の数え方を具体的に見ていきましょう。
民法726条1項では、「親等は、親族間の世代数を数えて、これを定める」と規定されています。どれだけ世代の距離が離れているのかを示す単位だということです。

直系血族の場合

直系血族では、本人を起点として、親(父母)は世代数が1つ離れているので「1親等」と数えます。子も同様に1世代離れているので「1親等」です。1親等はもっとも小さい親等であり、もっとも世代の距離が近いことを示しています。
祖父母は、親の世代(1親等)からさらに1つ上の世代に遡りますので、「2親等」と数えます。同様に、本人から見て孫は、子よりも1つ離れた世代となるので、「2親等」となります。
本人から見た曾祖父母は3親等、同様に、曾孫も3親等です。

傍系血族の場合

自分の兄弟姉妹については、自分たちの親を起点にして見れば「同じ世代」です。そのため、「1親等だろうか。もしかして0親等になるのか?」などと誤解されがちです。
しかし、法律上は、傍系血族を数える場合は、いったん始祖(親世代)に辿ってから下に降りて数えるというルールになっています。つまり「1親等×2」の“経路”を辿ることになるため、2親等となるのです。

傍系血族の場合

傍系親族の親等の数え方は、民法726条2項に定めがありますが、基本的な考え方はすべて同じで、上の世代を辿ってから下に降りて数えることになります。
例えば、親の兄弟姉妹である「叔父、叔母」は、親の世代から祖父母の世代に遡ってから下に降りて数えます。つまり、本人を起点として、「親(1)→祖父母(2)→叔父・叔母(3)」と、3本の世代の“経路”を辿るため、3親等となります。
「いとこ」は、叔父・叔母の子なので、3親等の叔父・叔母からさらに世代を1つ下に降りることになり、本人から見て4親等となります。
これが傍系の親等の数え方です。

配偶者には親等がつかない

民法において、配偶者の親等については定めがなく、配偶者には親等がありません。配偶者は、他の親族とは異なる「配偶者」という特別な地位にあると理解してください。

配偶者の親族の親等

姻族との親等の数え方は、血族の場合と同じです。配偶者を起点として世代の数を数えます。
例えば、本人の配偶者の両親(いわゆる「義父母」)は、1親等の姻族、配偶者の祖父母は2親等の姻族となります。

親等が複雑になるケース

親等の基本的な数え方は、世代数を数えるというところにあり、この点は、本人側の親族(血族)でも配偶者側の親族(姻族)でも同じです。
ただ、養子縁組をした場合や、連れ子がいる人と婚姻した場合、あるいは、離婚した場合などには、親等の考え方が少し例外的になります。

養子縁組の場合

法律上、養子縁組をした場合には、養子は養親およびその血族との間で、同一の親族関係が生じることになります(民法726条)。つまり、本人から見た養子は、実子と同一に血族となります。親等も実子と同じで1親等です。養子から見ると、養親の親(養子の祖父母)は2親等になります。養親に実子がいる場合、実子と養子とは兄弟姉妹の関係となるため、養子から見た実子も、実子から見た養子も、2親等の関係です。
また、養子には実親(産みの親)との親族関係が残る「普通養子」と、それが残らない「特別養子」とがあります。普通養子の場合、実親との1親等の関係も、そのまま残ります。つまり、養子から見て、実親も、養親も、ともに1親等の親ということになります。ただし、養親と実親との間には親族関係は生じないため、親等は存在しません。

一方、特別養子の場合は、実親との親子関係が存在しなくなるため、実親との親等も存在しません。

連れ子がいる人と婚姻した場合

連れ子がいる人と婚姻した場合、本人から見て、配偶者の連れ子は1親等となります。ただし、本人と連れ子とは直接の血縁関係はありませんので、血族ではなく姻族(1親等の姻族)となります。このケースで、仮に、本人が連れ子と養子縁組した場合には、連れ子は本人の血族になりますので、1親等の血族となります。

異父母の兄弟姉妹がいる場合

本人から見て異父母の兄弟姉妹がいる場合も、「親の世代を遡って下りる」という数え方には変わりはありません。そのため、同父母の兄弟姉妹の場合と同じく、異父母の兄弟姉妹も、2親等の血族となります。

内縁関係での親等

内縁(事実婚)関係は、法律上の婚姻関係にはあたりませんので、内縁の相手方の両親や子等は姻族にあたらず、当然、親等も生じません。

離婚した場合

法律上、離婚した場合には姻族関係は終了します(民法728条)。したがって、配偶者の両親(義父母)らとの姻族関係は離婚により終了し、親等も生じないことになります。
ただし、配偶者との間に子や孫がいる場合には、本人と子、孫との血縁関係が終了するわけではないので、離婚後も、子は1親等の血族、孫は2親等の血族(直系卑属)という点は変わりません。

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親等を数える意味

日常生活の中で、親族が何親等になるのかを意識することはほとんどないでしょう。それで困ることも、普通はありません。それでは、親等の数字には、何の意味があるのでしょうか?

親等は、親族であるか否かを決める基準になる

まず、親等は、法律上の「親族」に含まれるかどうかを判断するための基準として用いられます。
民法725条において「6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族」が「親族」であると定められています。例えば、本人のいとこと配偶者のいとこは、同じ「4親等」になります。しかし、本人のいとこは血族なので民法上の「親族」に含まれますが、配偶者のいとこは姻族であるため、民法上の「親族」には含まれないという違いがあります。
また、親等が近い者ほど、相続権や扶養義務など、法律上の権利義務関係が生じやすい関係性にあります。

親等は、相続権があるかどうかの目安になる

相続する権利は、法律上は①子、②直系尊属、③兄弟姉妹の順に発生します。これを親等に則してみれば、子(1親等)、直系尊属(親ならば1親等、祖父母ならば2親等。ただし、親等の近い者が優先して相続する)、兄弟姉妹(2親等)となります。このように相続する権利そのものは民法の規定によりますが、親等が近い者ほど相続権が発生しやすいという目安になります。

一定範囲の親等にあると、扶養義務を負うことがある

親族間での扶養義務について、民法では以下のように定めています。

【民法第877条】
直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
2家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。
(後略)

つまり、原則として、直系血族および兄弟姉妹は互いに扶養すべき義務があります(配偶者にもあります)が、特別の事情があるときには、3親等内の親族間において扶養の義務を負わせることができるということです。
3親等内の親族とは、直系では、父母、祖父母、総祖父母、子、孫、曾孫であり、傍系では、兄弟姉妹、兄弟姉妹の子である姪、甥、父母の兄弟姉妹である叔父、叔母となります。
これらの人に対して、扶養をする義務が生じる場合があるということです。

親等が近い人だけが行えることもある

法律上、親等が近い人だけが行える行為が定められていることがあります。例えば、後見開始の申立てや保佐開始の申立てなどを行えるのは、4親等内の親族だと定められています(民法7条、11条)。

親等が近い人ができないこと

上記とは逆に、親等が近い人には禁止されている行為もあります。例えば、法律上、直系血族または3親等内の傍系血族の間では婚姻することができないと定められています(民法734条)。ちなみに、いとこは、4親等になりますので、法律上はいとこと結婚することは可能です。

親等についてのまとめ

親等の数え方や、親族関係における「血族・姻族」「尊属・卑属」「直系・傍系」といった考え方は、日常生活で必要になることはほとんどありません。しかし、相続による遺産分割などの場面では、それらをしっかり理解しておかないと困ることもありえます。本記事で解説した内容を把握しておけば、通常は十分ですので、ぜひしっかり理解しておいてください。

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