M&Aは専門家と進めるのが大切
M&Aは、当事企業の将来を左右する大きな決断のひとつです。M&Aを成立させるためには以下の専門知識やアドバイスが大切でしょう。
・法律
・税務
・会計
・業界
・労務
このように様々な要素が関係しているため、M&Aの専門家に相談するのがおすすめです。M&Aの専門家と連携して進めることができれば、これらの分野において適切なアドバイスを得るだけではなく、企業の状況を正しく分析して適切なM&A方法を提案してもらえます。時間的負担と、精神的負担を軽減するためにも役立つでしょう。
M&Aの相談先(1):M&Aの仲介会社
M&Aの仲介会社とは、譲渡企業と譲受企業の間に入り、交渉の仲介をサポートする業務に特化した会社です。仲介会社に相談しようと考えている方は、以下のメリット・デメリットについてあらかじめチェックしておくと良いでしょう。双方の条件を擦り合わせて中立的に支援するため、スムーズなM&Aが可能になると思われます。
メリット:専門知識・ネットワークとも豊富
仲介会社はM&Aの仲介サービスを専門で提供しているため、M&Aに関する専門知識や経験が豊富なのがメリットといえるでしょう。相手先企業の選定から成約まで、一連の助言・支援業務を委託できるため、安心してM&Aを進めることができるでしょう。
仲介会社によっては企業同士のマッチングサイトを運営している会社もあるため、そのような仲介会社に依頼すれば数多くの会社から相手を探すことも可能です。市場調査やスケジュール管理などM&A関連の手厚いサポートを受けられることが魅力です。
デメリット:料金にバラツキがある
仲介会社は数多く存在しており、会社によって料金設定が異なります。仲介を依頼すれば手数料がかかりますが、手数料にも様々な種類や料金体系があります。一般的に、アドバイザリー契約締結時に着手金が発生します。その後、基本合意締結時点で中間報酬を支払います。一般的に、中間報酬は成功報酬の10~30%で設定されています。そして、最終的にM&Aが成立すると成功報酬を支払います。成功報酬は、取引金額が大きくなるほど手数料率が低くなる「レーマン方式」を採用している会社が多いです。また、リテイナー(顧問)契約を結んだ場合、リテイナーフィー(顧問料)として、月額報酬を支払うこともあります。
【レーマンテーブル例】
譲渡企業の時価総資産額 | 料率 |
5億円以下の部分 | 5% |
5億円超 10億円以下の部分 | 4% |
10億円超 50億円以下の部分 | 3% |
50億円超 100億円以下の部分 | 2% |
100億超の部分 | 1% |
料金体系が同じである仲介会社でも、具体的な価額は異なります。仲介会社に依頼するときは、料金プランを確認することをおすすめします。着手金は、売り手企業の資料作成や、買い手候補へ打診する際の資料を事前に準備するための活動費用という位置づけになります。そのため、M&Aが成立しなかったとしても返金されない場合が殆どです。
M&Aの相談先(2):金融機関(銀行・証券会社など)
M&Aに関して、銀行や証券会社といった金融機関に相談することも可能です。金融機関に相談する際に覚えておきたいメリット・デメリットをチェックしていきましょう。仲介会社とは異なる金融機関特有の特徴があるので、自社が求めるものに適合するか、相談先として検討してみましょう。
メリット:紹介できる企業が多い
金融機関は、多くの顧客を抱えているため、紹介できる企業が比較的多い傾向があり、マッチング相手を見つけやすいのがメリットです。他にも以下のようなメリットがあります。
・譲受会社:資金の融資を受けられる可能性がある
・譲渡会社:仲介会社と同様に総合的なサポートを受けられる
銀行によってはM&Aに関する専門部署を設置している所があるため、M&Aの専門的なサポートが受けられます。ただし、銀行によってM&Aに関する知見の深さや経験はばらつきがあるため、事前に確認しましょう。
デメリット:中小企業のM&Aは難しい
金融機関のM&Aアドバイザリーの料金体系も、一般的には仲介会社と変わりません。着手金、中間報酬、成功報酬が発生します。
金融機関に相談したいと考えている方は、アドバイザリー業務を引き受けてくれるのか、手数料はどの程度かかるのかを事前にチェックしましょう。金融機関の主要な業務は融資であることから、M&Aアドバイザーの経験が浅い金融機関や担当者である場合もありますので、注意が必要です。
M&Aの相談先(3):税理士・会計士
税務や会計の専門家である税理士、会計士に相談することも可能です。自社の顧問税理士などに相談しようと考えている方もいるのではないでしょうか。ここでは、税理士や会計士に相談するときに覚えておきたいメリット・デメリットを見ていきましょう。相談するときには、M&Aを専門としているわけではないことを覚えておきます。
メリット:経理・税務の知識が豊富
税理士であれば税務、会計士であれば財務に関する知識が豊富です。M&Aでは所得税や法人税、登録免許税などの税金に関する知識や、財務諸表分析、のれん代の処理など、財務・会計処理に関する知識も多くの場面で大切になるでしょう。
税理士や会計士は税務や財務に関する専門家です。M&Aで欠かせない専門的な知識を有していることから、手続きをスムーズに進めることが可能といえます。
デメリット:紹介相手が少ない
税理士や会計士はM&Aの専門家ではないため、ネットワークは多くの場合で小規模です。従って、紹介できる相手先企業は仲介会社や金融機関に比べて少なくなるでしょう。自社に合ったマッチング相手を探すことが困難になる可能性もあります。
また、相談する税理士や会計士によってはM&A全般に関する知識や経験に乏しいこともあるため、M&Aについて専門的な知識をもっていることを確認しましょう。特にM&Aを専門と標榜している事務所であったとしても、FA(ファイナンシャルアドバイザリー)や仲介経験に乏しく、調査業務であるDD(デューデリジェンス)のみ経験されているケースも散見されますので、注意が必要です。
M&Aの相談先(4):弁護士
M&Aの相談を弁護士にすることも可能です。弁護士は法律の専門家特有のメリットがあるため、法律面を特に重視するならば有力な選択肢になるでしょう。基本的には、法務面のトラブルが発生しそうなM&Aのときに相談するのがよいでしょう。
メリット:書類作成やトラブルに強い
M&Aに関連する各種手続きの中で、契約や書類の作成には法律に関する知識が欠かせません。トラブルが発生したときにも、法律を盾にサポートしてくれます。M&A成立後の経営紛争が懸念される場合や、許認可の手続きが必要である場合は、弁護士の手腕が助けになるでしょう。
弁護士に契約書などの作成を依頼すれば、規定の不足をはじめとした契約に関する不安はなくなります。会社の内情に詳しく信頼関係のある顧問弁護士に依頼することで、安心して適切な法的アドバイスをもらうことができる場合もあるでしょう。
デメリット:財務面の専門的な知識に乏しい
弁護士は法律の専門家ですが、税務や財務の専門家ではありません。従って、財務・税務面で適切なアドバイスや提案をもらえない可能性があります。M&Aを検討する際は、会計士や税理士とも連携をとって進めることをおすすめします。
近年では、弁護士もM&Aプロセスを包括的にサポートを行うようになっています。ただし、企業価値の算定やデューデリジェンスも含めてワンストップで相談したいと考えている方は、仲介会社がおすすめです。また、相談する弁護士によってはM&A全般に関する知識や経験に乏しいこともあるため、M&Aについて専門的な知識をもっていることを確認しましょう。さらに、弁護士事務所はマッチング相手を探すためのネットワークも比較的弱い傾向があるため、よく検討してみましょう。
M&Aの相談先はどうやって選べばいい?
相談先によってメリット・デメリットがあることを知ると、相談先をどのように選べば良いのか迷ってしまう方もいるのではないでしょうか。M&Aに関する相談をどこにするかで迷っている方は、ここで紹介する3つのポイントを意識して検討しましょう。成果あるM&Aを成立させるには、専門的な知識を備えた信頼できる相談先に相談することをおすすめします。
専門知識を持っているか
M&Aは社運をかけた大事な取引です。取引によってはプロセスが複雑になったり、必要な書類や契約書も多くあるため、専門知識が求められます。税務・財務・法務に関する知識だけでなく、M&Aの実績が豊富な相手に相談するとより安心して依頼できます。それぞれの専門家と連携して総合的にサポートしてくれる所を選べば、円滑に手続きが進めることができます。
相談しやすい雰囲気か
相談しやすい雰囲気かどうかもチェックしておきたいポイントです。知識や経験がある相談先でも、相談しにくい雰囲気であればスムーズにM&Aを進めるのは難しくなります。普段から付き合いがある相手に相談するときは、以下のポイントを確認しましょう。
・親身になって相談に乗ってくれるか
・適切なアドバイスをしてくれるか
・意見をきちんと聞いてくれるか
これらのポイントを考慮し、信頼できると判断した所に相談すると安心です。M&Aのプロセスは長く、さまざまな打ち合わせが必要になるため、相談相手との相性も重要です。M&Aを円滑に進めるためにも、相談先は慎重に選びましょう。
料金体系が明瞭か
M&Aは莫大な金額が動く取引のため、料金体系が明確かどうかもチェックしておきたいポイントです。「何をしたらいくらかかるのか」が明確になっており、不透明な料金が発生しないことを確認しましょう。初期的な相談は無料で、契約して初めて料金が発生する場合が一般的です。
仲介会社を利用したケースを考えると、仲介手数料・着手金・リテイナーフィー・デューデリジェンス(DD)費用・成功報酬などの料金が考えられます。それぞれの料金体系が明確になっており、分かりやすく提示してくれる所なら安心できるでしょう。
M&Aについて相談する際の注意点
実際に相談するときには、いくつか覚えておきたい注意点があります。注意点をきちんと理解せずに後悔することがないよう注意しましょう。ここでは相談するときに注意したいポイントを2つ紹介します。
情報漏えいしないようにする
M&Aの相談をするときには、自社の機密情報やM&Aに関する情報が外部に漏れないように注意しなければなりません。情報漏えいが起こると関係者の会社に対する不安を煽り、社員の退職を誘発したり取引先を失ったりする可能性があります。
相手先企業の情報を漏らさないように注意することも大切です。相手先企業の情報を漏らした場合、損害が発生して賠償責任を負う可能性が出てきます。情報管理は極めて大切なため、十分に注意しましょう。
実績や成約率をチェックする
スムーズにM&Aを進めるためには、実績と専門的な知見が豊富な仲介会社をおすすめします。M&Aの仲介サービスを依頼するとさまざまな料金がかかるので、実績がある仲介会社に依頼しないと金銭面で大きな損失が出る可能性もあるでしょう。相談先を検討している際には、M&Aに関する知識を有しているか、実績があるかを確認し、依頼する仲介会社を選びましょう。
M&A DXは実績が豊富のワンストップサービス
M&Aに関して信頼できる仲介会社に相談したいと考えている方はぜひ、M&A DXにご相談ください。M&A DXには、大手監査法人系M&Aファーム出身の公認会計士や税理士等が多数在籍しています。次のようなメリットがM&A DXの強みです。
・M&Aに関する総合的なサポートを受けられる
・M&Aに関わる時間的負担と精神的負担を軽減できる
・広範なネットワークを生かして相手先企業を探索できる
これまでの実績も豊富で、安心してご相談いただけます。M&Aに関するサポートをワンストップで受けたいと考えている方はぜひ、M&A DXのM&Aサービスをご利用ください。
(参考: 『M&A DX』)
まとめ
M&Aの相談先には、仲介会社・金融機関・税理士・会計士・弁護士などさまざまな選択肢があります。それぞれにメリット・デメリットがあるので、自社が何を求めているかに応じて適切な相談先を選びましょう。
より信頼できる相手に相談したいと考えている方は、大手監査法人系M&Aファーム出身の公認会計士や税理士等が多数在籍して実績も豊富なM&A DXにご相談ください。相手先企業のマッチングからM&A成立までを総合的にサポートしているので、安心してご相談いただけます。