相続登記の必要書類を確認!一人で行うためのガイド

税理士 藤本絢

新卒で大手証券会社へ入社。中小企業経営者、医師等の富裕層に向けた資産運用コンサルティング業務に従事する。会社経営、資産管理の面からお客様により役立てる存在になりたいと考え、税理士を志す。その後、大手税理士法人にて、法人顧問業務、相続税申告業務、事業承継コンサルティング等幅広い会計・税務に携わる。2022年友好的承継を掲げる株式会社M&A DXに入社、現在に至る。

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マイホームを持っている人が亡くなった場合、必ず相続登記が発生します。
相続登記には用意しなければならない書類が多くあり、準備にも時間かかるので専門家に依頼する人も多いのではないでしょうか。
しかし、相続登記は必要な書類さえしっかり用意すれば一人で行うことも可能です。
この記事では相続登記の必要書類を紹介し、1人で相続登記を行うためのやり方を徹底解説します。

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相続登記の必要書類とは

相続登記をするためには多くの書類が必要となります。
さらに相続のパターンによって必要な書類が異なるので、まずは今回の相続がどのようなパターンなのかを確認しなければなりません。

ここでは相続登記についての基本を解説します。

相続登記で知っておくべきこと

相続登記についてまず知っておくべきことは、 2021年の法改正により相続登記が義務化されるということです。
この法律は2024年に施行される見込みです。

それまで相続登記は当事者の任意であり、相続登記されていない不動産もありました。
登記をすると登録免許税がかかり、その土地や建物の評価額の0.4% を支払わなければなりません。
つまり1,000万円の評価額の土地であれば40,000円の登録免許税が必要となります。
この登録免許税に加え、自力で相続登記のための書類を作成することが難しい場合は司法書士などに依頼することになり、さらに費用がかかります。
2024年に相続登記が義務化される予定なので、相続や遺贈によって不動産を取得した人は3年以内に相続登記を行い、登録免許税を支払う必要があります。

なお、法改正によると、相続登記をしなかった人には100,000円以下の罰金が課せられることになります。
また既に相続が発生したにも関わらず、相続登記をせずに放置してある土地があっても義務化の対象となるので、今のうちから相続登記しておかなければなりません。

相続の3つの基本パターンと相続登記

相続には大きく分けて3つのパターンがあります。
「遺言書による相続」と「遺産分割による相続」と「法定相続による相続」です。

遺言書による相続

遺言書による相続の場合は、遺言書に書かれてあるとおりに相続します。
例えば、長男に不動産を与え、他の相続人には預貯金を分けると書かれていた場合は、そのとおりに長男のみが相続登記をし、他の相続人は金融機関などで相続の手続きをすることになるでしょう。

ただし、遺言書にもすぐに有効な遺言書と、家庭裁判所による検認が必要な遺言書があります。

相続が発生したときにすぐに有効となる遺言書は公正証書遺言で、事前に公証人に依頼しておくことで作成することができます。
公正証書遺言以外の自筆証書遺言などの遺言書であれば、家庭裁判所での検認が必要となり、相続が発生したあとは、まず家庭裁判所で検認手続きをしなければなりません。

また、遺言書に特定の1人のみが不動産を相続すると書かれてあっても、他の相続人全員が合意すれば遺言書に書かれている形ではない遺産分割による相続登記も可能です。

遺産分割による相続

遺言書が残されていない場合、遺産分割協議により遺産分割をすることになります。
自筆証書遺言が家庭裁判所で検認されずに無効となった場合も、遺産分割協議で遺産分割をすると、遺言書と同じ内容で相続することができます。

遺産分割による相続登記をするためには、相続人全員の合意が絶対条件であり、1人でも反対をする相続人がいれば遺産分割協議は成立しません。

どうしても相続人同士の遺産分割協議が成立しない場合は、家庭裁判所で遺産分割調停をすることになります。
話がまとまれば遺産分割協議書を作成し相続人全員が署名のうえで印鑑を押し、印鑑証明書も添付した書類を用意します。

法定相続による相続

3つ目は法定相続による相続です。
法定相続による相続は、遺言書がなく相続人同士で遺産分割協議を行わない場合に、法定相続分に従って相続することになります。
相続人が初めから1人の場合は、遺産分割協議の必要はなく、自動的にその1人にすべての財産が相続されます。

しかし、2人以上相続人がいる場合は少し注意が必要です。
不動産の場合は他の財産と違って人数で割るということはできません。
そのため、法定相続によって不動産を相続する場合は、その不動産を法定相続人で共用で所有することになり、共有名義で登記をすることになります。

しかし、共有名義で不動産を相続すると、将来なんらかのトラブルに繋がる恐れがあるのであまりおすすめはできません。
例えば、不動産を売却したり銀行からお金を借りるための担保に入れたりする場合、登記名義人の同意が必要です。

不動産を共有名義で持っている場合は所有者全員の同意が必要となり、登記名義人の数が多いと全員の同意を得るまでかなりの時間を費やしてしまいます。
相続登記が義務化されたことにより、登記名義人の誰かが亡くなった場合、その相続によってさらに登記名義人の数が増える可能性もあります。

人によっては全く会ったこともない人と同じ不動産を登記名義人として所有する形となってしまい、何かあった時に連絡を取るのが大変です。
そのため、なるべく法定相続により共有で不動産を所有する場合、次の相続が発生した場合どうするのかという話し合いをしておいた方がいいでしょう。

例えば、遺言書に相続が発生した場合は、他の登記名義人に相続させる、と書いておいたり、登記名義人の数を増やさないためにも1人にのみ相続する、などと書いておけば、これ以上複雑化することは防ぐことができます。

なるべく不動産は共有せずに、1人の登記名義人にしておいた方が後でトラブルになる可能性は低くなるので、可能な限り登記名義人は1人にしておいた方がいいでしょう。

相続登記の必要書類の一覧

相続登記をするためには、多くの書類が必要となり、どのようなパターンの相続登記かによって必要な書類が異なります。
これらの書類は自分で相続登記の手続きをするにしても、司法書士などに依頼をする場合にも必要となる書類です。

必要書類によっては本人以外に取得できない書類もあるので、司法書士に依頼したとしても書類集めをすることには変わりありません。

遺産分割

遺産分割による相続は遺産分割協議によって決まります。
協議の内容次第で幅広い遺産分割の相続の仕方が選択できるのが特徴です。
例えば、相続人が3人いたとして、1人は不動産を相続し、残り2人で金融資産などを半分ずつ相続するということも可能です。
その場合、相続登記をするのは不動産を相続した1人のみになります。

ただし、遺産分割による相続が成立するためには相続人全員の同意と印鑑が必要となるので、1人の相続人が勝手に決めることはできません。
たとえ、相続を放棄する場合であっても、相続放棄の手続きが必要となり、 遺産分割協議に参加しないということはできません。

相続登記は長年登記をしなくても違法ではないという状況が続いていたため、人によっては少しややこしい状況に巻き込まれてしまうことがあります。
よくあるケースが、亡くなった被相続人の持っていた不動産が相続登記をされていなかったというケースです。
このようなケースだと相続人の数が増えてしまい、登記名義人の数が多くなってしまい、なかなか協議が進まないこともあります。

例えば、相続人から見て祖父が持っていた土地を、父が所有していてたはずのところ、相続登記をされておらず所有者が祖父のままであった場合はどうなるでしょうか。
本来であれば父の子供たちのみで話し合いをしておけば良いはずのところ、父の兄弟などとも遺産分割協議をしなければならなくなります。

このように、相続登記をしておかないと後で話がまとまらなくなり誰も手がつけられない不動産となってしまう可能性があるので、相続が発生する前にできるだけ登記について確認をしておきましょう。
遺産分割による相続により必要な書類は以下の通りです。

遺産分割の相続必要書類

・被相続人が出生してから死亡するまでの全ての戸籍謄本(除籍謄本、改正原戸籍を含む)
・被相続人の住民票の除票(もしくは戸籍の附票)
・相続人全員の戸籍謄本
・不動産を相続する方の住民票
・相続人全員の印鑑証明書
・遺産分割協議書

法定相続

法定相続の中にも 2つのパターンがあります。

1つ目のパターンは相続人が1人しかいないパターンで、1人しかいないと遺産分割協議をする必要がないので必然的に法定相続という形になります。
相続人が1人のみの場合は法定相続か、相続放棄の二択から選択するしかありません。

相続をしたくなくて相続放棄する場合は、相続放棄申述術受理証明書という書面を添付して提出しなければならず、放置しておけば自動的に相続放棄になるということはありません。

相続人が2人以上いて、遺産分割協議を行わない場合も法定相続という形になります。
法定相続は配偶者が遺産の半分を受け取り、子供が残りの半分を兄弟姉妹で分けるというのが基本的な配分の仕方です。

子供がいない場合は、被相続人の両親に相続人としての権利が移ったり、被相続人の兄弟に相続人としての権利が移るということになります。
現預金や株などの金融資産等は分割しやすい資産なので分割することはそれほど難しいことはありません。

問題は不動産の場合です。
不動産は相続財産に占める割合が大きいことが多く、法定相続分通りに相続すると、不動産を相続する人とその他の人との間で、相続財産額に大きく開きが出てしまうこともあります。

もちろん、土地を分割して相続するという方法もありますが、あまり現実的ではありません。
そのため、法定相続で不動産を相続する場合、共有者として相続人全員がその不動産を所有するという形になることが一般的です。

不動産を共有名義で所有しているということは個人の持ち物ではなくなるので、他の登記名義人に無断で不動産の担保に入れたり売却したりすることはできません。
不動産を銀行の担保などに使う場合や、売買による所有権移転登記をするためには、共有者全員の同意が必要で、登記名義人全員が手続きをしなければなりません。

さらに共有者の誰かが亡くなった場合、相続人の数がさらに増えてしまい、登記名義人の数も増えてしまう可能性もあります。
そのような状況になると、なかなか連絡を取れず会ったこともないような親族と話し合いをしなければならなくなり、不動産の売却なども全く手がつけられなくなってしまいます。

このようなトラブルを防止するためにも、不動産に関してはできるだけ単独での相続にしておいた方が良いでしょう。
しかし、共有名義であっても普通に家に住むだけであれば特に問題はありません。

法定相続により相続登記をするための必要書類は以下の通りです。

法定相続の相続登記必要書類

・被相続人が出生してから死亡するまでの全ての戸籍謄本(除籍謄本、改正原戸籍を含む)
・被相続人の住民票の除票(もしくは戸籍の附票)
・相続人全員の戸籍謄本
・不動産を相続する方の住民票

遺言書による相続登記

遺言書に不動産の相続登記について記載がある場合はその内容に従って相続登記をしていきます。
基本的には遺言書に記載の通りに進めていきますが、遺言書に書かれている内容と違う内容でも、遺産相続協議によって全員が納得すれば違う相続の仕方をしても問題はありません。

例えば、被相続人の遺言書に長男に家を与えると書かれているが、長男が特にその家を必要とせず次男が家を必要としていた場合などです。
遺言書による相続では、異なる相続を相続人全員が納得し、遺産分割協議書を用意できれば次男が家を相続し、長男が残りの遺産を相続するという形にすることも可能です。

また、遺言書は書かれてあってもすぐに使うことはできません。
遺言書の書き方には手書きでなければならないなどの一定のルールがあり、 パソコン上に遺言書を残しておくだけでは有効な遺言書とは言えません。
さらに、このような遺言書の書き方のルールに従い、最終的に家庭裁判所による検認がなければ遺言書とは認められない点には注意が必要です。

もし、残された家庭裁判所に認められないような書式の遺言書であれば、遺産協議による相続か、法定相続のどちらかになります。
遺言書の内容を相続が発生する前に相続人があらかじめ確認しており、被相続人も相続人も関係者全員が納得している場合は、家庭裁判所に検認されるような正式な遺言書ではなくても、全く同じ内容の遺産分割協議書を作成すればそのとおりに相続できます。

そのため、遺言書は遺産分割について相続人同士が揉める可能性がある場合に残しておくと効果的であり、全員が納得している状況ではあまり遺言書を残す意味はないかもしれません。
可能性があるとすれば、相続人の一人が納得したふりをしているだけで、遺産分割協議をするときに違うことを言い出すということです。

そのため、特定の相続人にどうしても特定のものを相続させたい時は、正式なルールにしたがって遺言書に書いておくと安心です。
また、遺言書に不動産の相続人以外の第三者に与えるということが書かれていても、相続人には法定相続分の取り分があるため、相続人が納得しなければ相続人は法定相続分の取り分を請求することが可能です。

このような訴えは遺留分侵害額請求といい、法律で法定相続人は最低限の額を相続できるということが保証されています。
遺言書により相続登記をするための必要書類は以下の通りです。

遺言書の相続登記必要書類

・遺言書
・被相続人が死亡した記載のある戸籍謄本(除籍謄本)
・被相続人の住民票の除票(もしくは戸籍の附票)
・不動産を相続する方の戸籍謄本
・不動産を相続する方の住民票

必要書類一覧

相続登記の3パターンのそれぞれ必要な点について紹介しました。 しかし、それぞれの書類はどこで取得してどのような注意点があるのでしょうか。
ここではさらにその必要な書類についての詳しい説明と注意点について紹介します。

相続登記の対象となる不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)

登記事項証明書は法務局で取得できます。
登記事項証明書を入手するためであれば、身分証明書や認印なども必要ありません。

基本的には不動産の情報を誰でも気軽に確認できるものというのが登記事項証明書等なので、自分のものではない不動産であっても不動産の登記事項証明書は取得することができます。
不動産の登記事項証明書を取得するには3つの方法があり、オンラインか郵送か窓口です。

オンライン

このうち最も手数料が安く、法務局もお勧めしているのがオンラインでの申請です。
オンラインでの申請は自宅にいながら入手でき、わざわざ窓口まで取りに行く必要がありません。
また、受付時間も長く、仕事をしながらでも申請することが可能です。

ただし、パソコン環境が必要で利用者登録も必要となります。
手数料については、不動産の登記事項証明書を郵送で送ってもらうか、窓口交付によって値段が変わってきます。
郵送の場合は500円で窓口交付の場合は480円です。
窓口交付では、最寄りの登記所や法務局証明サービスセンター等で受け取ることができます。

さらに手数料はインターネットバンキングで電子納付することもできるので収入印紙を用意する必要もありません。

オンラインの申請は法務局のホームページの中に特設のページがあるので、そちらから申請することができるほか、郵送で申請することもできます。

郵送

郵送申請の場合はまず申請書をダウンロードするか、法務局で入手しなければなりません。
その後必要事項を記載の上、郵送でポストに投函すれば全て終わりで、手数料は600円です。

ただし入手までの時間は早くて3日で、場合によっては1週間程度かかる場合があります。

窓口

窓口申請の場合は、申請すればすぐに申請した登記事項証明書が交付されます。
窓口は各都道府県にある法務局や、大きな駅の近くにある出張所などで申請できます。

ただし役所なので取扱時間は朝8時30分から午後5時15分までとなっており、窓口に行ってからも場合によっては混み合っており手続きまで時間がかかる場合があります。
手数料は郵送申請と同じく600円です。

被相続人の住民票の除票(本籍の記載があるもの)

被相続人の住民票の除票は被相続人が死亡時に住んでいた市区町村の役所で入手できます。
住民票の除票とはどのようなものかというと、死亡届が提出されたときに死亡した人は住民登録から抹消されます。
この時に抹消された住民票のことを除票と呼びます。

住民票は基本的に本人か世帯の人以外に取得できないのですが、相続のために必要であると理由を伝えれば取得することはできます。
ただし、取得する際に亡くなった方との関係がわかる戸籍等の書類と身分証明書が必要な場合があります。

どのような書類が必要なのかは市区町村によって異なるのであらかじめ確認しておいた方が良いでしょう。
また、住民票の除票を取得する場合の注意点として、本籍の記載があるものでなければなりません。

相続登記をするときに確認する登記簿には被相続人の名前と住所が記載されていますが、戸籍謄本には住所の記載がありません。
被相続人が登記簿上に書かれている人物と同一の人物であることを証明するために住民票の除票が必要となるのです。

さらに、登記簿上に記載されていた住所が引っ越しにより死亡時の住所と一致しない場合は、戸籍の附票を添付して住所が変わったことを証明する必要があります。

被相続人(亡くなられた方)の死亡時から出生時までの戸籍謄本一式

被相続人の死亡時から出生時までの戸籍謄本一式は、相続登記に限らず相続において必ず必要な書類となります。
そのため、すでに他の相続で利用している場合はその際に用意した戸籍謄本をそのまま利用することができます。
注意すべきことは、死亡時から出生時までのすべての戸籍謄本が必要だという点です。

人によっては本籍地を全く変えていない場合もありますが、様々な場所に戸籍謄本を移している人もいます。
その場合、すべての戸籍謄本を用意しなければなりません。
すべての戸籍謄本を調べるには、まず死亡時に住んでいた市区町村の窓口に行き、現在の戸籍謄本を入手する必要があります。
その戸籍謄本の中に、もしどこかから移ってきたのであれば前に住んでいた市区町村の名前が記載されています。

この情報をもとにどんどんさかのぼっていき、最終的に出生時までの戸籍謄本を入手します。

相続人全員の現在の戸籍謄本

相続人全員の現在の戸籍謄本が必要となります。
相続人に関しては出生日までさかのぼる必要もありません。

相続人の戸籍謄本も相続登記に限らず全ての相続において必要なので、既に持っている場合はそのまま使うことができます。

遺産分割協議書もしくは遺言

遺産分割協議書もしくは遺言書も、すべての相続において必要なものとなります。
遺言書がない場合、もしくは遺言書が家庭裁判所に検認されないような書式の内容だった場合は遺産分割協議書が必要となります。
遺産分割協議書には全員の署名と印鑑が必要で、全員が納得した内容でなければなりません。

相続人全員の印鑑証明書

相続人全員の遺産を相続する上で必ず必要な書類となり、他の相続の時に使ったものをそのまま使うことができます。
印鑑証明書は住民票がある役所で簡単に入手することができます。

物件を取得する相続人の住民票

物件を取得する相続人の住民票もすべての相続において必要なものなので、他の相続の時に使ったものをそのまま使うことができます。
ただし、相続登記の場合は相続人全員の住民票は必要なく、物件を取得する相続人だけの住民票だけで充分です。

相続人の住民票、印鑑証明書、戸籍謄本などはほとんどの場合、同じ役所で申請ができるので、まとめて取得できるようにしておきましょう。

固定資産評価証明書

固定資産評価証明書はその土地がどれぐらいの価値があるものなのかを証明する書類で、ここに記載されてある値段をもとに相続税等の額が決まってきます。
固定資産評価証明書を取得する場合は、不動産が所在している市区町村の担当課の窓口で取得することができます。
その他郵送による取得も可能です。
固定資産評価証明書を取得する際に必要なものは、相続の場合では必要なものは以下の通りです。

・申請書(認印が必要)
・申請者の本人確認書類
・被相続人が亡くなっていることが確認できる住民票の除票などの書類
・相続関係が確認できる戸籍謄本や財産分割協議書などの書類
・発行する証明書の種類や部数に応じた手数料(1件につき数百円)

固定資産評価証明書の手数料は自治体によって異なります。
大体の相場は固定資産証明書1枚につき200円から400円程度です。
相続される不動産が複数ある場合は、すべての不動産に対しての固定資産証明書を取得しなければなりません。

ただし、一戸建ての住宅のように土地と建物が別々である場合は土地と建物でそれぞれ1枚ずつ合計2枚が必要となります。
マンションの一室の場合は土地と建物で一件として取得できます。
固定資産評価証明書は毎年4月1日に更新されるので、 相続の手続きを進める上で4月1日をまたぐようなことがあれば要注意です。

例えば、3月29日に固定資産評価証明書を取得し、その後相続登記をしようと翌月に手続きをしても無効な書類となってしまいます。

そのため、4月1日をまたいでしまうと4月1日以降再び固定資産評価証明書を市役所などに行って取得しなければなりません。
同じ役所内で申請できるといっても住民票を取得できる窓口と固定資産評価証明書を取得できる窓口は異なっている場合が多いです。

まずは住民票と戸籍謄本を入手して中身を確認した上、4月1日を超えるまですべての相続の手続きを終える見込みがあるのであれば、すぐにその場で取得するようにするようにすると効率的です。

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相続登記の申請

必要書類を全て用意したらいよいよ相続登記の申請です。
相続登記のための申し込み用紙は役所などに行けばもらえるのではなく、自分でパソコンなどで書かなければなりません。

申請用紙に書かなければならない項目がいくつかあるので紹介します。

相続登記の申請方法

 
相続登記を申請する場所は相続をする不動産がある管轄の法務局です。
場所によっては法務局という言い方のほか、登記所という言い方で呼ばれている場所もあります。

申請する場所は不動産がある管轄の法務局なので、複数の不動産を相続した場合、各地域の法務局に行って申請をしなければなりません。
ただし、不動産登記の申請は書面申請とオンライン申請の2つがあり、オンライン申請の場合だとわざわざ相続する不動産がある地域の法務局に行く必要はなくなります。

相続登記は司法書士などの専門家が書いて申請することが多いですが、相続人本人が作成して提出することも可能です。
登録申請書に書かなければならない内容は決まっており、これらが全て正確に書かれていれば問題なく申請は受理されることでしょう。
また、法務局のホームページでは登記申請書の様式と記載例がダウンロードできるようになっています。

ホームページでは相続登記のための様式とははっきり書かれておらず最初は少しわかりにくいかもしれません。
しかし、相続にもいろいろなパターンがあり、売買をすることで相続をする場合もあったり、財産分与をすることで相続をする場合もあるでしょう。
該当する登記の内容をダウンロードし、 必要事項を記載して提出すれば完了です。

どうしても自分の相続のパターンに合わないものが見つからない場合は他の様式をもとに一部変更することで対応することもできます。

相続登記の申請書類の書き方

相続登記申請書を書くにあたって最低限の注意事項は、A4用紙を使用して黒色のボールペンかパソコンを利用して作成するということです。
シャーペンや鉛筆などの使用は認められていません。

申請書類の作成について分からない点があれば管轄の法務局に直接相談することもできます。
相続登記において記載しなければならない項目は以下の通りです。

登記申請書に書く項目

・登記申請書というタイトル
・登記の目的、原因
・相続人の名前 住所連絡先
・被相続人の名前
・添付書類
・課税価格
・登録免許税
・不動産の詳細

登記の目的というのは所有権移転か持分全部移転のどちらかになります。
所有権移転というのは被相続人が不動産の権利を全て保有している場合です。
持分全部移転というのは被相続人がその不動産を共有で持っている場合で、その共有部分を相続する際にはこちらになります。
その際は被相続人の名前と「持分全部移転」と記載します。

また、登記をする目的も書かなければならず、相続の場合は「相続」と書き、相続が発生した時は死亡した時なので、死亡診断書の死亡したときの記載通りに日付を記載します。

死亡診断書は死亡日から7日以内に提出しなければならず、 死亡した正確な日がわからなくなってしまいならないためにも、死亡診断書の内容はコピーをしておくと安心です。
相続人の名前と住所のほかに印鑑も押しておきます。

また、法務局から連絡が来る可能性もあるので、日中でも連絡可能な電話番号を記載しておきましょう。
相続人のほかに被相続人の名前も必要です。

添付書類は相続登記の場合は登記原因証明情報と住所証明情報となり、そのとおりに記載し、申請人の氏名も記載します。
相続する不動産がどの法務局の管轄なのかは法務局のホームページから調べることができます。
課税価格は、税務署が決めて請求されるのではなく自己申告によって課税するという形のものです。
課税価格は固定資産評価証明書、または課税明細書をもとに課税価格の欄に固定資産の価格を記載します。
固定資産税評価額は4月1日に更新されるので相続の手続きをしているうちに4月1日をまたぐ際は要注意です。

登録免許税は、固定資産税評価額の0.4%です。
ただし、この登録免許税は法定相続人が相続をした場合が0.4%であって、法定相続人以外の第三者が相続をした場合は2%となります。
また、生前贈与として相続が発生する前に登記を変更した場合も2%となります。

生前贈与として相続が発生する前に資産をある程度移しておくと良い場合もありますが、不動産の場合はこの登録免許税が大きく変わるので相続によって名義の変更をした方が安く抑えることができます。

最後に、不動産の情報を登記事項証明書通りに記載します。
この項目は登記事項証明書の記載内容をそのまま書けば良いので特に難しいことはありません。
基本的には所在、地番、地目、地積が書かれてあれば問題ありません。
建物を相続する場合は、所在、家屋番号、種類、構造、床面積を記載しましょう。

登記申請書を提出する際

登記申請書を書いた後は、収入印紙を貼付します。
収入印紙を貼り付けた紙と申請書を一緒にホチキス止めをします。その時に収入印紙には押印はしないので要注意です。

さらに他の添付書類も一緒に左側2カ所でホチキス止めして各用紙には割印をしていきます。
書類によっては他の相続の手続きの際に必要なものだったり、不動産が複数ありまた違う役所に持っていかなければならない場合はコピーをとっておきます。

ただし、申請には原本が必要なので、原本還付を希望する場合は申請書にホチキス止めをする際はコピーをホチキス止めにしておいて、原本は別でクリアファイルなどに入れて提出をします。

関連記事「遺産相続とは?手続きの流れやルール・注意点などを解説

相続登記の必要書類の注意点

相続登記をする際に必要な書類について注意点がいくつかあるので紹介します。
無効になってしまうと再び申請をやり直さなければなりません。

書類の有効期限

相続登記で集めた書類には基本的に有効期限はありません。
ただし、被相続者の戸籍謄本は、被相続者が亡くなった後に取得する必要があります。

被相続者がなくなる前に相続者の戸籍謄本を取得していると、被相続者が亡くなっていることの証明にならないため相続の書類としては有効ではないためです。
また、注意点として登記事項証明書は最新のものを用意しなければなりません。

固定資産税評価額は毎年4月1日に更新されるため、相続の手続きを進めているうちに4月1日をまたぐことがあればその書類は有効ではなくなり、再び取得をしなければなりません。

相続登記を放置したまま二次相続等が発生すると、さらにややこしいことになるので、相続が発生した後はなるべく早く手続きをするようにしましょう。

取得費用

相続登記においてかかるお金は各種書類の手数料に加え、登録免許税と相続税がかかります。
それ以外にも 相続者の死亡時から出生時までのすべての戸籍謄本を入手しなければならないため、その申請のための手数料等も発生します。

登録免許税は不動産評価額の0.4%なので、評価額の高い不動産だとなかなかの出費となってしまいます。
ただし、登録免許税には免税措置があり、相続をした土地の所有者が登記の手続きをする間に死亡してしまった場合、二次相続によって相続した新たな相続人は登録免許税を二重に支払う必要はありません。

例えば、相続者から見て祖父の土地を父が取得したものの、父もすぐに亡くなってしまい自分に相続されることになった場合、父が払うはずだった登録免許税は免除されます。

また、法務大臣が指定して不動産の価値が100,000円以下の土地も登録免許税は免除されます。
生前贈与で土地を贈与した場合は登録免許税はもっとかかってしまいます。
相続登記の場合は0.4%に対してその他の場合は2%かかってしまうので、相続により取得した方が登録免許税は安くなります。

また、相続登記において他にかかる費用としては、相続登記等相続に関することを司法書士に依頼した場合、司法書士への支払報酬も発生します。
司法書士の依頼料は特に決まっておらず各事務所が自由に価格を設定しています。
相続の内容や相続登記の複雑さなどにもよりますが、料金は大体70,000円から100,000円程度でしょう。

相続放棄した場合

不動産を相続すると、不動産という財産を受け取ることはできるものの、登録免許税や相続税等で現金を支払うことになります。

また、毎年固定資産税を納めなくてはいけません。
もし、上記事項を考慮し、不動産を相続したくないと思った場合、相続放棄するという選択肢もあります。

不動産の時に限らず、相続放棄をする場合は、家庭裁判所で発行される相続放棄申述受理証明書が必要となり、何もせずに放置するということはできません。

注意事項としては、相続放棄する場合、不動産のみを相続放棄するというような部分的な放棄はできないため、全ての財産を相続放棄しなければいけません。

かつては相続登記の期限が指定されていなかったため、相続登記をせずに放置しておき、金融資産のみを相続で受け取るということができていました。

しかし、2024年以降、法改正により3年以内に相続登記をしないと100,000円以下の罰金となってしまいます。
もし、不要な不動産が相続財産に含まれていた場合、その不動産をどう処理するかについて、相続人の間でよく話し合う必要があるでしょう。

関連記事「相続放棄とは?期限や必要書類・手続き方法・注意点などを解説

まとめ

相続登記を1人で行うための方法を紹介しました。
司法書士に依頼するにしても必要書類を集めるのはやはり自分でしなければなりません。
また、司法書士に頼らなくても法務局で教えてもらえれば問題なく処理することができるでしょう。

相続税の計算は、財産評価の難易度や手間、過少申告のリスク等を考慮すると、専門家に依頼した方が良いケースがほとんどです。

しかし、相続登記は専門家に頼らなくても自分たちだけですることも可能です。
そのため、相続をするときは相続税の計算だけ専門家に任せて、相続登記等の手続きは自分たちでする等、なるべく費用がかからないよう工夫して相続に臨むと良いでしょう。

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M&A用語集

M&A DX用語集では、M&Aに関する専門用語についての意味や内容についてご紹介しております。
M&Aや事業承継は英語を使うケースが多く、初めて聞くと意味が分からないまま会話が進み、後で急いで意味を調べるような経験がある方もいらっしゃると思います。M&Aの用語に関しては、一度理解してしまえばその後の会話で使えるようになるため、辞書代わりにご利用下さい。
※会計士の当社代表牧田が、動画で解説している用語もあります。

まんがでわかる事業承継

すべての人を幸せにするM&Aを、まんがでわかりやすく解説します。
「事業承継は乗っ取りではないのか?」と不安に思う社長に対し、友好的事業承継のコンセプトをわかりやすく解説します。

~あらすじ~
社長は悩んでいた。
創業して40年、生涯かけて取り組んだ技術も途絶えてしまうことに。
何より、社員を裏切る訳にもいかない…

そんな折、真っ直ぐな瞳の男が社長を訪ねてきた。
内に秘めた熱い心を持つ彼は、会計士でもある。
「いかがなさいましたか?」
この青年が声をかけたことにより、社長の運命が劇的に変わっていく。

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✓ 解説 1 定性的ポイント

業種、人材、マネジメント体制などの6つの焦点

✓ 解説 2 定量的ポイント

財務的に価値がある会社かどうか、BS・PLの評価基準

✓ 解説 3 総合的リスト

売れる会社と売れない会社を表にまとめて解説

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