第二創業とは
第二創業とは、比較的規模の小さい中小企業などににおいて、新しい経営者を就任させ別の分野に進出することを指します。事業の基盤を維持しながら、状況を変えるための経営革新を図ることを目的としています。企業によっては経営者は変わらず、新しい分野に挑戦する場合もあります。
第二創業が注目される理由
第二創業が注目を集めるのは、中小企業の経営者における高齢化が進んでいるからです。経営者の高齢化が進む企業では、後継者問題が深刻がしています。
また、「事業を引き継ぎたくない」と考える経営者のご子息も増えており、親族間での事業継承が減り続けています。
中小企業庁によると、中小企業数は1999 年から 2015 年までの 15 年間に約100 万社減少しており、リーマンショック後も緩やかな減少傾向である旨を公開しています。
廃業や倒産などの事態を回避するには、第二創業を選択するのもひとつの方法です。
出典:事業承継ガイドライン
第二創業のメリット
中小企業の経営者が第二創業を選択するメリットは、以下のことが挙げられます。
・資金調達を行いやすい
・経営基盤を活用することで失敗リスクを低減できる
・既存事業の行き詰まりを解消できる
それぞれのメリットを紹介します。
資金調達を行いやすい
第二創業を選択するメリットは、金融機関からの資金調達が行いやすくなることです。事業運営してきた実績を引き継ぐことから、返済の滞りなど大きな問題がない限り、金融機関からは一定程度の信用があることが多いです。。ゼロから新事業の経営基盤を構築するために金融機関へ資金調達を打診するよりも有利に進められる点がメリットです。
経営基盤を活用することで失敗リスクを低減できる
新しい事業を始めるにあたり、失敗のリスクを低減できるのも魅力です。なぜなら、第二創業は人材や顧客など事業を進める上での経営基盤を承継できるからです。引き継いだ経営基盤を活用することで、スムーズに新しい分野に進出できます。また、既存事業で抱えていた顧客も新しい事業の見込み顧客としてアプローチできるため、先の見通しが立てやすいのもメリットです。
既存事業の行き詰まりを解消できる
第二創業を選択することで、既存事業の行き詰まりを解消できるのも大きなメリットです。経営者の高齢化が進むと同時に、事業が衰退することもありますが、第二創業で経営刷新すると会社に新しい風を吹き入れることが可能で、企業が変わる大きなチャンスを得られます。
第二創業のデメリット
企業の経営を刷新する第二創業は、メリットだけではなくデメリットもあります。例えば、社員の中には新しい事業への挑戦に批判的な意見を持つ人もいます。批判的な意見を放置すると、不満を感じた社員が退職する場合があります。
また、社内派閥があることで柔軟な意思決定がしにくいことや、新しい経営が気に入らない社員が出てくるなど、人間関係におけるデメリットが考えられます。
第二創業の手法
第二創業を行う手法として、後継者に引き継ぐ「事業継承」と第三者に事業を譲渡する「M&A」の手法が主にあります。それぞれ特徴があるため、目的や状況に合わせて最適な手法を選びましょう。
後継者に引き継ぐ「事業継承」
事業継承は後継者に事業を継がせることで、役員承継と従業員承継、親族内承継があります。
役員承継、従業員承継
企業の役員や社員から後継者を選び、事業継承することを役員承継、従業員承継といいます。企業内で信頼度の高い人材が後継者に選ばれた場合は、他の従業員からの理解を得られやすくなるのが特徴です。企業の経営理念や社風を維持したまま事業を承継することができたり、従業員の雇用を維持できるなどのメリットがあります。一方で後継者選びを間違えると従業員の反感を買うこともあります。
親族内承継
経営者の子どもや配偶者、親族などから後継者を選び、事業継承することを「親族内承継」といいます。親族から後継者を選ぶことで、経営や事業だけでなく先代の意志を引き継げるのが大きな特徴です。ただ、事業はいきなり任せられるほど簡単なものではありません。事業継承を決断したら、早い段階で経営に関する教育を施しましょう。
第三者に事業承継するM&A
M&Aとは、企業の合併や買収のことです。特に後継者問題で悩む中小企業が選択する方法で、既存取引先との関係性や従業員の雇用を存続させることが可能です。ここからはM&Aにおける6つのスキームを紹介します。
・株式譲渡
・株式交換
・事業譲渡
・合併
・会社分割
・第三者割当増資
それぞれの特徴を見ていきましょう。
株式譲渡
株式譲渡とは、売却企業オーナーが保有株式を買い手側の企業または個人へ譲渡し、会社の経営権を買い手側へ譲渡する手法です。株式を譲渡した場合、買い手の企業はその対価として現金を支払うのが主な流れです。また、一般的には株式の半数以上を保有する者が企業の支配権を持ちます。中小企業では過半数の株式を経営者が保有しているケースが多く、株式譲渡により、企業の支配権が買い手側へ移ります。譲渡先が企業である場合、売却企業は譲渡先企業の子会社となります。
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株式交換
株式交換とは、会社法で定められている企業再編のための手続きで、発行済株式の全部をほかの企業(株式会社または合同会社)に取得させて行います。既存の企業に株式を取得させるのが特徴で、経営統合の手段として使われることが多い手続きです。株式交換は現金の支払いは発生しません。現金の代わりに買い手企業の株式が一部提供されます。
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事業譲渡
事業譲渡とは展開している事業の一部や全事業に関連する資産などを第三者に譲渡することです。そのため取引後は「事業」の支配権が移行することになります。
譲渡対象となる中には「店舗や工場のような土地建物などの有形固有資産」や「のれんや人材、ノウハウのような無形資産」も含まれています。また、売掛金や在庫などの流動資産も含まれているため、買い手側企業は必要な資産だけ選んで受け取ることもできます。
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合併
合併とは複数の会社が一つの法人格になることを指しており、組織の再構築や業界内シェア率の向上などの目的で実行されます。合併した後もそのまま残る会社のことを「存続会社」、合併によって消える会社のことは「消滅会社」と呼びます。2つ以上の会社を1つにするという点、買収とは異なります。
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会社分割
事業の事業の全部または一部をを他の企業へ承継させることです。手法は、他の企業に譲渡する「吸収分割」と新たに設立した企業に事業を引き継がせる「新設分割」の2種類があります。新設分割とは、会社分割によって新たに設立する会社に、事業等を承継させる手法で、M&Aでは新設分割後に株式譲渡を行うなどし、譲受側(買い手側)に承継させます。吸収分割とは、会社分割によって他の会社に、事業等を承継させる手法です。
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第三者割当増資
第三者割当増資とは企業が新たに株式を発行し、第三者に購入してもらうことで資金調達を行う手法法です。金融機関からの借入ではなく、株式の発行による資金調達であり、発行会社の財務基盤が強化されるのがメリットです。第三者割当増資は、第三者と資本関係を結び、経営への参画や資金の支援が大きな目的となります。
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第二創業に関連する補助金
中小企業庁は事業承継やM&A(事業再編・事業統合等。経営資源を引き継いで行う創業を含む。)を契機とした経営革新等への挑戦や、M&Aによる経営資源の引継ぎを行おうとする中小企業者等を後押しするため、「事業承継・引継ぎ補助金」による支援を実施してます。。第二創業に関連する補助金は定期的に公募がありますが、インターネットで探す場合、終了している情報が散見されますので、専門家に相談することをおすすめします。
補助を受けられる金額はどのくらい?
補助金は「経営革新」と「専門家活用」の類型に分けられます。
経営革新の補助率は2/3で、補助上限は400~800万円です。事業承継やM&Aによる経営革新等への挑戦に要する費用を補助します。また、専門家活用の補助率は2/3で補助上限:400万円です。M&Aによる経営資源の引継ぎを支援するため、専門家等の活用費用を補助します。
まとめ
少子高齢化が進む日本では、経営者の高齢化や後継ぎ問題などさまざまな問題があります。第二創業は、企業の経営基盤を残しつつ経営刷新できる手法です。
第二創業は経営者が交代する場合もありますが、同じ経営者が新事業に挑戦することもあります。
M&A DXでは、大手会計系M&Aファーム出身の公認会計士やWeb会社・広告代理店出身者等が、豊富なサービスラインに基づき、最適な事業承継、M&Aをサポートしており、第二創業に関しても支援しております。第二創業を検討されている方かたは是非M&A DXの無料相談をご活用下さい。