事業承継コンサルティングとは? どんなことをしてくれるのか?

公認会計士・税理士 山田武弥

会計士・税理士 山田武弥

有限責任監査法人トーマツ入所。金融業及び卸売業を中心とした各種業務の法定監査業務に携わる。 その後、大手税理士法人及びコンサルティング会社にて事業承継・事業再生・法人顧問業務に従事。 組織再編税制を活用した事業承継スキームの構築や株価対策、事業再生計画の立案やその後のモニタリング及び金融機関対応等に豊富な経験を有する。 山田武弥公認会計士・税理士事務所として独立後、相続・M&A大学に参画し、現在に至る。本記事の監修を務める。紹介ページはこちら

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現在、日本の中小企業は大廃業時代を迎えているといわれています。次代の経営者への事業承継が進まず、中小企業が廃業してしまうことは地方の経済や雇用にとって大きな損失となるため、国や地方自治体は、事業承継支援に力を注いでいます。あわせて、民間企業の中にも事業承継のコンサルティングを行う会社が多数存在します。
本記事では、事業承継コンサルティングとはどのようなものなのか、そのサービス内容やサービスの提供主体などについて、解説します。


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事業承継コンサルティングの具体的内容

はじめに、「事業承継コンサルティング」と呼ばれるサービスがどんなものなのか、その具体的内容について確認しましょう。

まず、事業承継には、後継者をだれにするかという観点で、「親族内承継」、「親族外承継(社内承継)」、「第三者承継(いわゆるM&A)」があり、一般的な特徴は下表のとおりです。

【図解要素】親族内承継、親族外承継、第三者承継(M&A)の一般的な特徴

事業承継方法
(後継者の例)
特徴・留意点
親族内承継
(息子や娘、甥や姪)
関係者に受け入れられやすく準備期間も設けやすいが、後継者に能力や意思があるかの確認が必須。“争族”対策が必要なことも
親族外承継
(社内の役員や従業員)
事業内容に精通しているため円滑な引継ぎが期待できるが、自社株の取得資金や経営者保証がネックとなることが多い
第三者承継
(同業他社など)
親族や社内に後継者となる人間がいなくとも事業継続できるが、買い手の探索や経営方針の確認、買収価額の折衝などが必要

このうち、第三者承継(M&A)は、コンサルティングの内容(提供サービスの内容)が親族内承継・親族外承継とは毛色が大分異なります。
このため、本記事では“M&Aの場合”と限定する記述がある場合を除き、親族内承継または親族外承継のケースを前提に、一般的な事業承継コンサルティングの内容を説明していきます。
なお、事業承継にあたり会社の抱えている課題は各社各様であるため、以下は事業承継に関するコンサルティング内容の一例であることを承知おきください。

後継者・次世代幹部の育成支援

事業承継で最も重要なポイントは、後継者の選定、およびその育成です。

後継者は、企業理念や経営方針、社内の各部門の現場に対する知見はもちろんのこと、財務や労務など経営に関する幅広い知識が必要となります。加えて、社内や取引先からの信頼の醸成や人脈構築なども必要となります。これらは一朝一夕で身につけられるものではなく、時間をかけて育成をしていく必要があります。
事業承継コンサルタントは、後継者の社内での立場や個性を理解した上で、後継者が円滑に事業や組織を引き継いでいくために、後継者自身が身につけるべき能力や、そのため方法に関する助言をおこないます。

なお、後継者が未確定である場合には、コンサルタントは現経営者などからのヒアリングを基に、後継者の選定に関する助言もおこないます。これは特に、親族外承継の場合に有用といえます。

また、事業承継では、後継者本人だけでなく、その脇を固める経営幹部の育成も図っていく必要があります。
例えば、一般的には、中小企業の経営者はワンマン経営体質であることが多いものです。事業承継で引き継いだ2代目、3代目の場合は、経営スタイルを変えていく必要があるケースが多いでしょう。その場合には、コンサルタントは経営幹部に対する意識改革の必要性を説き、新たな経営スタイルへの適合を促します。

また、現経営者が引退をする場合には、その前後で現経営者を支えた同世代の幹部も退職を迎えることも多く、その場合には次世代の経営幹部の選定、育成が必要になります。コンサルタントは、この点についても適切な助言を行います。

経営計画の策定や組織改革の支援

後継者の育成支援と並行して、コンサルタントは新たな経営計画の策定や組織改革の支援もおこないます。

コンサルタントは現経営者などからのヒアリングを基に現状分析をおこない、現経営者の想いにも配慮した新たな経営ビジョンの策定や経営計画の策定、さらに重要施策について具体的なアクションプランに落とし込み、その実行支援をおこないます。

先に述べたように、中小企業の場合、現経営者の強いリーダーシップに依存していることが多くありますが、事業承継を機に、特定の個人に依存し過ぎない組織へと変革していくため、組織形態や組織風土変革のための助言・指導を行うこともあります。

自社株集約のための法務・税務面の論点整理

事業承継の対象が株式会社であれば、自社株をいかにして後継者に集約させるかは、非常に重要な問題となってきます。

自社株集約を図っていく際は、後々のトラブルを避けるよう名義株の整理や所在不明株主への対応、株券不発行会社への移行の検討が必要になります。また、親族内承継では、相続争いを予防するため遺留分や感情面にも配慮した遺言書の作成なども必要となります。いずれも、実行には高度な法務面の知識が必要です。

さらに、自社株集約の際は、法務面のみならず税務面の検討も欠かせません。相続に際しての税負担軽減という観点から、自社株評価額の引き下げ方法の検討や事業承継税制の適用の検討など、こちらも高度な知識が必要となるのです。

これらに関しては、付け焼き刃の知識で対応することは困難かつリスクも大きくなるため、実行には弁護士や税理士、専門のコンサルタントなどの力を借りる必要があります。

事業承継スキームの構築

ここまで述べてきた経営面や法務・税務面の論点を踏まえて、コンサルタントは事業承継スキームの構築を行います。

ここでは、自社株を贈与、相続または譲渡のいずれの手段を用いて後継者へと移転させるのかといった話から、会社分割や株式交換(移転)などの組織再行為も組み合わせる必要があるかなどについて、検討と助言がおこなわれます。
また、スキームの検討と合わせて、相続税などの納税資金や自社株買い取り資金の確保など、資金調達に関する助言も行います。

事業承継コンサルティングの具体的内容

(M&Aの場合)マッチングやデューデリジェンスなどへの対応

M&Aで第三者へ事業を承継させようとする場合には、買い手候補とのマッチングや譲渡価額決定のための企業価値評価などが必要となってきます。これらは自前で行うことは通常困難であるため、これらの業務を担うM&A支援機関の力を借りる必要があります。

また、M&Aの場合、M&Aに伴うリスクを洗い出すため、買い手側から法務や財務・税務などの観点からのデューデリジェンス(買収監査)を受けることになります。このデューデリジェンスへの対応にも相応の知識や労力が必要となるため、M&A支援機関等のコンサルタントから助言を受けることが有用といえます。

事業承継コンサルティング(支援)を提供してくれるのはどんなところか

上記のような事業承継に関するコンサルティング業務、あるいは、コンサルティングとまではいかないまでも、事業承継の支援業務をおこなっているのは、どんなところでしょうか。

民間では、経営コンサルティング会社(個人の経営コンサルタント)や会計事務所・税理士事務所(税理士法人)、金融機関・生命保険会社などが、それぞれの特徴を生かしたさまざまな事業承継の支援活動をおこなっています。M&Aの場合には、M&A仲介会社、デューデリジェンスのための専門家などの支援を受ける必要があるでしょう。ある程度規模が大きい企業ではFA(ファイナンシャル・アドバイザー)と呼ばれる専門家が関与する場合もあります。

また、国や地方自治体、商工会などの公共的な団体も事業承継支援に力を注いでいます。まとめると、以下のようになります。

【図解要素】事業承継の支援機関とその役割・業務

事業承継の支援機関 役割・業務
民間の提供主体 経営コンサルティング会社 事業承継計画の策定や後継者の教育支援、その他事業承継全体のコーディネート業務など
会計事務所・税理士事務所 自社株の評価や事業承継にかかる税負担軽減策の検討、事業承継税制の適用申請など
金融機関・生命保険会社 納税資金や退職金の原資など事業承継のための資金需要への対応や情報提供、専門家紹介など
FA・仲介会社
(M&Aの場合)
M&Aのマッチング業務や企業価値評価、各種の専門知識・ノウハウの提供、案件の進捗管理など
公共の提供主体 事業承継・引継ぎ支援センター 各都道府県に設置され、中小企業の事業承継を総合的に支援、M&Aのマッチング支援も行う
商工会議所・商工会(注) 事業承継に関する経営相談や経営指導、セミナー開催による情報提供など
地方自治体の経営相談窓口 同上

(注)民間団体であるものの役割は公共性を有するため公共の提供主体に含めています。


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事業承継コンサルティング力を示す「民間資格」

事業承継が社会的課題となる中、上記のようなコンサルティングを行おうとする者も増えています。事業承継には経営、法務、財務、税務など多方面で高度な知識・ノウハウが必要となりますが、事業承継のコンサルティングを行う者の中には、これらの知見に乏しい者がいるのも現実です。

事業承継やM&Aに関する知見を確認する(証明する)ために有用なのが「資格」です。事業承継に関する資格としては、弁護士や公認会計士、税理士、中小企業診断士などの公的資格がすぐに思い当たるところではないでしょうか。
これらの公的資格の保有者が高い専門性を有することに疑義はありませんが、取得のための難易度が高い分、身近に保有者がいない、相談するにあたって敷居が高いといった問題も考えられます。

また、現在では、これらの公的資格以外にも、以下のような事業承継に関する“民間”資格が多数存在します。これらは、事業承継やM&A、相続などに的を絞って知識を身につけることができます。また、難易度も上記公的資格に比べれば易しいといえます。事業承継のコンサルティングを受けようとする際は、コンサルタントがこれらの資格を有しているかを確認してみることも、1つの参考にはなるでしょう。

事業承継に関する民間資格の紹介

資格の名称 運営元 資格の概要
事業承継士 事業承継センター 中小企業診断士や税理士などの士業に向けた、事業承継に関する高度な知識を身につけるための資格
事業承継プランナー 事業承継協会 専門家へのトスアップがおこなえるよう、事業承継に関する基本的知識を身につけるための資格
事業承継アドバイザー 金融検定協会 金融機関担当者に向けた、事業承継に関する基本的知識を身につけるための資格
事業承継・M&Aエキスパート 事業承継・M&Aエキスパート協会 事業承継やM&Aに関する税制や法制度の基本的知識を身につけるための資格。上級資格も用意されている
(上級)相続診断士 相続診断協会 相続の基本的な知識を身につけるための資格。上級では事業承継対策についても学ぶ
相続手続カウンセラー 相続手続カウンセラー協会 相続開始“後”の手続きを学ぶことに特化した資格。上級資格も用意されている

(注)上表の資格名をクリックすると、各資格のホームページに移動できます。

関連記事「M&Aコンサルとは?外部専門家に相談するメリットについても解説

まとめ

事業承継は、後継者への経営権の承継だけでなく、従業員の技術や技能などの知的資産の承継、さらに会社の株式や事業用資産の承継が必要であり、それらを円滑に進めるためには日ごろの会社運営とは異なる知見や経験が必要となります。
そして、その準備を進めるにあたっては、経営、税務、法務などの専門知識が必要になることも多いため、コンサルティング会社や支援機関に助言を求めるのも、円滑な事業承継を行うための一案といえます。
ただし、専門家のアドバイスを受けたとしても、数か月程度では、できることが限られます。理想的には、数年後の事業承継を見据えて、なるべく早くから相談だけでもしてみることがベターでしょう。

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