親族の遺産は何に使う?活用例や後悔のない使い道を徹底解説!

会計士 加藤大典

大手自動車メーカーに入社、生産技術部にて製造工程設計業務に携わる。その後、デロイトトーマツコンサルティングに入社し、組織再編により有限責任監査法人トーマツのアドバイザリー部門に異動。製造業の法定監査業務及びIFRS導入支援、組織再編支援、事業再生支援、内部統制構築支援、決算早期化支援、経営管理体制強化支援等の様々なプロジェクトに従事。

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人生で何度か大金を手にする機会があります。その機会の一つは親族の遺産が入ってくるときです。

親が残してくれた多額の遺産は有効に使いたいもの。そこで今回は、遺産の使い道や悩んだ時の相談先などについて解説します。

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本記事のポイント

  1. 遺産を有効に使いたいと考える方向けの記事です。
  2. 遺産の使い道や運用方法、相談先について解説しています。

遺産は受け取る前に活用方法を考えておこう

遺産は受け取る前に活用方法を考えておこう

親族が亡くなったタイミングで手にする遺産。しかし亡くなってすぐに遺産が入るわけではありません。遺産を有効に使うためには、遺産が入ってくると知ってから、実際に入金されるまでに使い道についてじっくり考えておくことが鍵となります。

ここでは平均的な遺産総額や使い道の例を紹介します。「具体的な金額はまだわからない」という方も参考にしてみてください。

遺産総額の平均は2,114万

親族が亡くなる前で、具体的な金額を知らない方。受け取るのは先だけど一度しっかりと検討しておきたい、などといった方は「遺産」と言われても、それがどの程度の金額なのかイメージできませんよね。

平均的な遺産の総額は、2,114万円とされています。(2018年12月 三菱UFJ信託銀行調べ)
男女によっても平均とされる金額が変わり、男性は2,885万円、女性は1,301万円です。

金額ごとの割合は、以下の表を参考にしてください。

遺産総額男性女性全体
100万円未満9.10%9.00%9.00%
100〜200万円未満11.40%10.80%11.10%
200〜300万円未満7.90%8.00%8.00%
300〜500万円未満6.50%10.80%8.60%
500〜1,000万円未満15.20%22.90%19.00%
1,000〜2,000万円未満18.50%15.50%17.00%
2,000〜3,000万円未満8.50%9.30%8.90%
3,000〜5,000万円未満8.80%6.80%7.80%
5,000〜1億円未満7.90%5.00%6.50%
1億円以上6.20%1.90%4.10%

また遺産の総額は、ある程度事前に調べることができます。シミュレーターツールなどもあるので、より具体的な金額が気になる方は、利用してみてください。

遺産の使い道の例を紹介

平均2,000万円以上の大金を一度に手にする機会は、そう多くありません。せっかく親族が残してくれたお金なので、よく検討したうえで、使い道を決めたいところです。ここでは、遺産の使い道について一般的な例を紹介します。「無駄なく活用したいけど、何に使えば良いかわからない」という方は、ぜひ参考にしてください。

大きな買い物をする

遺産の使い道としてまず考えるのは、大きな買い物でしょう。ある調査では、遺産に限らず保険金や宝くじなどで、大金を手に入れた方のうち、19.5%が買い物や旅行に使ったと答えています。これは貯蓄(46.3%)という回答の次に多い使い道です。

大きな買い物とは具体的に、車や住宅などである方が多いです。住宅の場合は、ローンの頭金として遺産を使う方もいます。

他にも、投資の意味も兼ねて、美術品などを購入する方もいるようです。普段はなかなか手が出せないけれど、数年後に価値が上がっていくのであれば、有効な使い道と言えます。また旅行なども、思い出や経験を買うという意味では、比較的大きな買い物の一つに分類されるでしょう。

堅実に活用する

遺産を堅実に使いたい方は、以下のような使い道を選ぶことが多いです。

● 住宅ローンの支払いにあてる
● 貯金する
● 子どものための資金にする

住宅ローンが大幅に減らせれば、経済的な将来の不安を軽減できたたり、生活レベルの向上が期待できます。貯金しておけば、万が一家族が病気になった場合の医療費などにも充当することもできます。さらに自身が将来、必要になる可能性もある介護費用として備えておくこともできるので、子どもの経済的な負担も軽くなります。
子どものための資金とは、大学進学や習い事の費用などを指します。大学進学やそのための予備校などにかかる費用などは、すべて合わせればかなり大きな出費になります。そのための資金を事前に用意できるだけでも安心でしょう。

賢く運用して増やす

資産を運用して、遺産をさらに増やすという方法もあります。定期預金や株式運用、不動産投資など、その方法は多数あります。以降、それぞれ詳しく解説していきます。

遺産を運用する方法も考えよう

遺産を運用する方法も考えよう

遺産を積極的に増やしたいと考えるなら、投資するのがおすすめです。株式・不動産・金の購入・M&Aなど、投資にはさまざまな方法があります。ここでは①株式投資と②不動産投資、③つみたてNISAの活用、④M&Aの4つをご紹介します。また、はじめに預貯金に関する懸念点も説明するので、遺産運用を考えている方は比較対照としてご参照ください。

預貯金における懸念点

遺産を手にした方の多くが、まずは貯金しておこうと考えるでしょう。しかし遺産額を増やすという目的であれば、やはり預貯金はあまりおすすめできません。理由は主に以下の3点です。
 ①インフレのリスク
 ②円安のリスク
 ③金融機関が破綻するリスク

①インフレのリスク

インフレによるリスクとは、物価上昇によってお金の実質的な価値が下がってしまうということです。2019年の例で見ると、物価上昇率は前年比プラス0.6%でした。

一方、定期預金の金利は0.01%でした。つまり、お金の価値は0.01%しか上がっていないにも関わらず、物価は0.6%上がっているということになります。

(参考:日本経済新聞2020年1月24日『消費者物価、19年は0.6%上昇 増税でも伸び鈍く』

②円安のリスク

円の為替レートにも注目しなければいけません。円の価値が下がることで、海外の製品を購入する際の価格が高騰します。日本は商品をはじめ、さまざまな製品を輸入しています。

輸入品の価格が高騰することもまた、物価上昇(インフレ)と同じリスクを抱えることになります。

③金融機関が破綻するリスク

確率は①のインフレや②の円安に比べて低いですが、預け先の金融機関が破綻してしまうというリスクも把握しておく必要があります。一つの金融機関の預金額が1,000万円以下であれば、金融機関が破綻したとしても預金保険機構によって保護の対象となっているので、預けたお金を回収するという意味では問題ありません。

しかし相続等によって得た遺産は、平均額が2,114万円であることを考えると1,000万円を超える可能性は十分にあります。預け先をよく検討したうえ、場合によっては分割して預金するという方法も考えておく必要があります。

賢く運用する3つの方法

では、預貯金によって遺産を管理する他に、どのような運用方法があるでしょう。ここからは①株式投資 ②不動産投資 ③つみたてNISAの活用 ④M&Aについて解説します。

①株式投資

初めて投資を行う方にとって、株式投資は少しハードルが高いでしょう。しかし、投資信託を利用すれば、初心者でも手軽に株式投資ができます。

投資信託では、投資家から集めた資金を運用のプロであるファンドマネージャーが運用します。投資家に専門知識がなくても、プロが代行してくれるので、簡単に株式投資を始めることができます。

②不動産投資

不動産を購入するのも、投資のひとつです。アパートやマンションなどを購入して、入居者を募れば「家賃収入」が入ります。しかし、闇雲に不動産を購入すれば良いというわけではなく、エリアや建物自体をよく吟味しなければならないでしょう。

③つみたてNISAの活用

2018年1月からスタートした『つみたてNISA』も投資手段の一つとして有効です。つみたてNISAとは、少額投資非課税制度のことです。投資額は最長20年間は非課税の対象となるので、節税対策としても有効です。

長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託から得られる年間40万円までの分配益や譲渡益が非課税となり、20年間で最大800万円がその対象となります。またつみたてNISAは、毎月自動的に株式を買い付けます。そのため投資において難しいとされる「売買するタイミングの見極め」が不要です。初心者でも手軽に始められるでしょう。

④M&A

近年では、個人が会社や事業の買収を行う「スモールM&A」が増加しています。経営者になるうえで、一から事業を始めるのはリスクが高いですが、もともとある会社を買収する場合は、過去の実績を確認して買収するかどうかを判断できるだけでなく、取引先や従業員、顧客を引き継いで買収したその月から収益を上げることもできるので、より安心です。

個人が買い手となるスモールM&Aは、法人が買い手になる一般的なM&Aよりも小規模にはなるものの、他の投資方法より動く金額は大きくなります。税務・財務・法務的な専門知識に加えて、適切な買収先の選定など様々な点に注意する必要がありますので、遺産の運用方法として考えている方は、まず専門家に相談されることをおすすめいたします。

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遺産をもらう際の相続税の有無・金額確認

相続した遺産の金額によっては相続税が発生します。相続税は、相続が判明してから10カ月以内に、申請・納付しなくてはなりません。申請・納付を怠ると、無申告加算税や延滞税を支払う必要があります。
相続税は、遺産合算額から基礎控除額を引いた金額に対して発生します。基礎控除額は、3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)で算出します。例えば、遺産合算額が7,000万円あり、法定相続人が配偶者と子供1人の場合は、遺産合算額7,000万円−基礎控除額4,200万円で、2,800万円が課税分です。
遺産合算額に対する課税分が明確になったら、各相続人が支払う相続税を計算しましょう。相続税は、法定相続分による遺産相続を前提に計算します。法定相続人が配偶者と子供1人の場合は、配偶者と子供が1/2ずつ相続するため、相続税も1/2ずつ支払います。相続税は法定相続で分配した金額により税率が異なります。

遺産を1年放置して使い道を検討するのも手

遺産を1年放置して使い道を検討するのも手

大金を後悔なく使いたい方は、受け取ってから1年間は「遺産を寝かせておく」という手段もおすすめです。もちろん使い道について、じっくり考える時間があまり取れなかったという方もこの方法が有効でしょう。

1年間は遺産に手を付けないことで、じっくり計画を立てることができます。また、その1年の間にさまざまなところへ相談にも行けるでしょう。特にM&Aなどを検討する方は、専門家によるアドバイスが必須となります。

まとめ

まとめ

ここまで、遺産の使い道をテーマに、代表例や運用方法について紹介してきました。大きな金額であっても、考えなしに使ってしまえば、せっかく親族が残してくれた遺産も無駄になってしまいます。自身と家族の生活を見つめ直し、将来的に意味のある使い道を考えてください。

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