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調剤薬局業界の業界動向やM&A事例をご紹介!

公認会計士 牧田彰俊

公認会計士 牧田彰俊

有限責任監査法人トーマツ入所、各種業務の法定監査、IPO支援に携わる。 その後、ファイナンシャルアドバイザリーサービス部門にてM&A アドバイザリー業務・財務デューディリジェンス業務・企業価値評価業務等に従事。 組織再編によりデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社に異動し、主に国内ミドルキャップ案件のM&Aアドバイザリーとして、豊富な成約実績を収める。 2018年、これまで以上に柔軟に迅速に各種ニーズに応えるべく牧田公認会計士事務所を設立し、現在に至る。本記事の監修を務める。

調剤薬局は、医薬分業が本格的に広まった1980年代を境に誕生していったと言われています。現在調剤薬局は全国に数多くありますが、近年ではM&Aの動きが活発になってきていることをご存知でしょうか?今回は、業界の特徴やM&A傾向などを踏まえ、実際の事例やなぜM&Aが拡大しつつあるのかを解説していきます。

調剤薬局業界の特徴

現在、調剤薬局はコンビニエンスストアよりも多く存在することが分かっています。2018年現在では、調剤薬局は5万店舗を超えると言われています。

収益源は主に薬による販売益と調剤報酬ですが、医療機関を受診した患者がどれだけ処方箋を持ってきてくれるかが大きく影響するようになりました。また、2018年に行われた調剤報酬改定後は、処方箋の処理数や集中率などに応じて見直しがされたため、処方箋枚数だけでなくサービスの多様性や質が求められるようになっています。しかし、人口減少や少子高齢化などに伴い、調剤薬局業界は以下のような問題が懸念されています。

薬剤師・後継者不足

現在、地方の調剤薬局では薬剤師1人だけで経営しているところもあると言われています。厚生労働省によれば、国内では2010年以降人口が減少を続けており、2050年になると1億人以下になると予想されています。さらに、少子高齢化が急速に進んでいるため、労働人口も減少傾向にあります。

また、2006年には薬学部が4年制から6年制に移行されました。6年制への移行による影響は当初の想定よりも深刻なもので、新卒薬剤師が減少したばかりか、国家試験合格率も下がってしまいました。団塊世代が退職・引退に差し掛かる時代に突入している中で、調剤薬局業界では慢性的な人手不足に陥っています。

競争激化

調剤薬局業界は、全体のほとんどが個人薬局で構成されると言われています。しかし、業界拡大に伴い店舗数を拡大する目的で、近年では大手ドラッグストアや調剤チェーン・商社・スーパーなどが参入してきています。

また、国の医療費削減対策により診療報酬・薬価格が縮小傾向にあることで、調剤薬局全体の収益が下がってきています。こうした理由から調剤薬局業界は競争が激化しており、再編の時代に入っていると言われているのです。

収益減

医療費削減対策で調剤報酬の減額や薬価差益が縮小傾向であることからも、調剤薬局の収益減が加速しています。また、最近では消費税増税やジェネリック医薬品などの後発品による在庫圧迫が重なり、さらに収益減が深刻になってきているのです。

調剤薬局業界のM&A傾向

調剤薬局業界では、近年M&Aが活発に行われるようになったと言われています。調剤薬局市場では、2014年までは新規出店や店舗拡大などで多くの店舗が好調な業績を残していました。

しかし、2016年以降は調剤報酬改定や薬価改定の影響から業界全体の業績が伸び悩んだことで新規出店が減少しただけでなく、調剤薬局存続のためにM&Aを利用する経営者が増えていったのです。実際に、2011年に行われた調剤薬局M&Aは48店舗でしたが、2016年には720店舗にまで及んでいることが分かっています。

では、調剤薬局業界ではなぜ市場の流れが変わりつつあるのでしょうか。原因は、先にも述べた薬剤師・後継者不足や競争激化、収益減などの業界を取り巻く多くのリスクの存在です。特に個人薬局の経営者は、医薬分業が本格的に広まった年代から団塊世代が多いと言われています。

しかし、薬剤師不足の影響で後継者がなかなか見つからず、引退したくても自分でどうにかするしかないという状況に陥っています。ただ、自分で経営を続けていくには限界があるものの、長年経営してきた調剤薬局を存続させたいといった思いや地域医療への影響を考慮することもあるでしょう。

特に地方の個人調剤薬局は地域に密着した環境にあり、長年多くの人々に親しまれてきた薬局であるケースも多くあります。地域住民の信頼と実績を全てなくしてまで閉鎖することはできないと考える経営者がほとんどです。

一方では、M&Aを利用して調剤薬局を譲り受けたいという企業も増えています。例えば、大手調剤薬局メーカーは、地方に新規出店する場合、地域情報やターゲット層などの情報収集が必要不可欠です。

そのため、M&Aを利用して既に実績と信頼が構築されている店舗を買収すれば、情報収集を効率的に行えるだけでなく、市場調査の費用を抑えることもできます。M&Aで売り手側になるのは個人調剤薬局で、買い手側は大手の調剤薬局となっている状態ですが、現在は売り手と買い手の数に大きな差があると言われています。

特に個人調剤薬局のほとんどがM&Aを選択した場合、売り手ばかりが多くなってしまい、飽和状態に陥ってしまうことが懸念されています。売り手の飽和状態が続けば、大手の調剤薬局から見れば選択肢が増える状態が続くことになるため、売り手側の競争が激しくなり買い手市場となると予想されます。現時点では、大手調剤薬局による買い手が多い状態であるため、個人調剤薬局がM&Aを利用するなら早急に取り組む必要があるでしょう。

調剤薬局業界のM&A事例

実際に行われている調剤薬局業界のM&Aの事例にはどのようなものがあるのでしょうか?ここでは、事例をいくつか紹介していきましょう。

高齢・ケガで引退を決意したAさん

Aさんは、実家であるT薬局に入局して以降、3代に渡って地域に親しまれる調剤薬局を経営してきました。しかし、薬剤師不足に伴い自身でこなす業務が増えたことも一因となり体調不良に悩まされるようになったのです。

M&Aで調剤薬局を譲渡する際には、自身を含め3代に渡って築き上げてきた調剤薬局を残してもらい、発展させてもらうことを目的に譲渡先を選択したといいます。結果的に3社と面談して理想的な譲渡先が見つかり、3ヶ月程度の引き継ぎ期間を経て引退したそうです。

経営者と薬剤師の体調不良で決意したDさん

調剤薬局の経営者は、Dさんの夫で1987年に地方都市で開局しています。当初の調剤薬局経営は順調で薬剤師不足もなかったため、収益も安定していましたが、夫が病気で倒れたことで経営が困難になってしまったのです。

経営者である夫の不在が長引いたことで、残された管理薬剤師があらゆる業務を担うようになり負担が大きくなったため、持病が悪化し退職を余儀なくされたのです。その後、調剤薬局業界全体でも薬剤師不足が深刻になってしまったため、M&Aで後継者を探すことにしました。調剤薬局の経営から解放されたことで、Dさんはこれまで夫にかかっていた精神的な負担がどれだけ大きかったのかに気付かされ、M&Aを選択して良かったと感じているそうです。

定年退職のためにM&Aを決意したBさん

Bさんは、薬学部を卒業後調剤薬局や大手調剤薬局チェーンなどに携わった後、55歳で個人調剤薬局を開局しています。周辺に新しい病院が開院し巨大な団地もあったため、経営はスムーズにいっていましたが、当初から10年後には定年退職しようと考えていたと言います。しかし、地域の方から信頼され、実績も多くなっていく中で簡単に引退という決断はできなかったのです。

そんな中、転倒で大腿骨を骨折し入院したことがきっかけで、M&Aを決意したそうです。働いている従業員の雇用をしっかりと守ってくれることを条件に譲渡先を探し、安心して任せられる方に調剤薬局を譲渡したのです。

事例を受けて

M&Aを決意するきっかけは様々ですが、紹介した事例のほとんどが高齢や体調不良でM&Aを検討しています。どの方も仲介業者に依頼しており、希望する条件や要望に沿う譲渡先を見つけることに成功しています。地域に寄り添い経営を続けてきた個人調剤薬局は、地域住民のニーズや従業員の雇用を大切にしているからこそ、最適な譲渡先を見つける必要があるのです。
このように何かのキッカケがありM&Aに踏み切るケースが多いものの、M&Aがすぐに成立するかはケースバイケースであり、またM&Aには相応の労力もかかることから、元気なうちに早めにM&Aのご相談をしていただくことをお勧めしております。

調剤薬局業界のM&Aを行う目的

調剤薬局業界でM&Aを行う目的は色々と考えられます。数ある目的を売り手側、買い手側の双方から見てご紹介しましょう。

【売り手側から見たM&Aを行う目的】

個人保証などを解除する

調剤薬局を開業する際に、金額の大きさは幅があると思いますが、多くの場合金融機関から借入をしています。また、その借入に対して連帯保証を行っていることがほとんどです。それだけではなく、連帯保証以外に調剤薬局オーナーの自宅が担保に入っているケースもあるでしょう。

もし、親族内承継を行った場合は、後継者も同じように個人保証を行わなければいけないというデメリットがあります。しかし調剤薬局業界のM&Aを行って第三者に譲渡するのであれば、個人保証の解除ができます。これを目的に調剤薬局業界のM&Aを行うというケースも少なくありません。

後継者問題を解消できる

調剤薬局の後継者問題は、近年大きな問題となっています。調剤薬局の中には家族経営をしているところもありますが、後継者になれる親族がいない、後継者候補がいたとしても引き継ぐ気がないといった理由から、現在後継者問題がクローズアップされています。後継者が見つからない場合は調剤薬局自体を廃業するという選択肢を選ぶことになってしまいますが、調剤薬局業界のM&Aを行えば調剤薬局の存続を実現できます。

従業員の雇用を継続できる

調剤薬局を親族内承継できる場合は問題ないのですが、後継者が見つからずに廃業することになってしまうと従業員が仕事を失うことになってしまいます。しかし、後継者が見つからなかった場合でも、調剤薬局業界のM&Aを行うと従業員の雇用を継続することができます。そのため、調剤薬局業界のM&Aを行う際に、「従業員の継続雇用」を条件に加えるケースはとても多くなっています。

廃業して地域の人に影響を与えないようにするため

調剤薬局は、地域密着型の事業を展開しているケースが多いので、廃業してしまうと地域の人に影響を与えてしまう可能性があります。特に、高齢化が進んでいる地域の場合は、身近な調剤薬局のニーズがとても高いため、調剤薬局業界のM&Aを行って存続させる意味は非常に大きくなります。

【買い手側から見たM&Aを行う目的】

新規事業への進出が容易になる

M&Aは、必ずしも同業同士で行われるとは限りません。他の業界で事業展開している会社が他の業界に新規参入する際に、M&Aを採用するケースもあります。M&Aを行うことによって、ノウハウや経験も引き継げるというメリットがあるためです。

事業エリアの拡大や強化を実現できる

調剤薬局業界でM&Aを行うことで、これまでは進出できなかったエリアへの進出や事業の強化を実現することもできます。基本的に創業したエリアを中心に地域密着型の事業を調剤薬局は展開していきますが、調剤薬局業界でのM&Aにより事業エリアの拡大や強化を実現することによって、地域的な優位性を獲得することもできるでしょう。そのため、調剤薬局業界でのM&A目的として、事業エリアの拡大や強化も挙げられるのです。

薬剤師や従業員を獲得する

近年、薬剤師の人手不足も問題となっています。そのため、薬剤師や従業員を獲得するという目的で調剤薬局業界でのM&Aが行われるケースもあります。M&Aによって薬剤師や従業員を確保できれば、グループ間で人材交流や人材の有効活用も可能になるでしょう。

目的総括

調剤薬局業界でM&Aを行う目的には、このようなものが挙げられます。調剤薬局の後継者問題は、オーナーにとって非常に大きな問題です。親族内承継ができれば問題となることはありませんが、全ての調剤薬局で親族内承継が実現できるわけではないので、調剤薬局M&Aの需要は高くなっていると言えるでしょう。

調剤薬局業界のM&Aを成功裏に進めるために

調剤薬局業界でM&Aを行うのであれば、よい買い手を見つけてM&Aを成立させることが重要になります。では、調剤薬局業界のM&Aを成功裏に進めるためにはどうすれば良いのでしょうか?続いては、どうすれば成功できるのかというポイントについてご紹介しましょう。

ドクターの理解を得る

調剤薬局業界のM&Aを成功させるためには、ドクターの理解を得ることがとても重要になります。長い間、ドクターと調剤薬局の二人三脚で地域医療に貢献してきたため、密接な関係になっているケースが非常に多いためです。

特に、小規模な調剤薬局のM&Aではドクターからの理解を得ることは重要です。M&Aを行った後にお互いの関係性がどうなるのかなどを事前にしっかり話し合い、ドクターが不安を感じないように準備するようにしましょう。そうすることで、調剤薬局のM&Aを成功へと導いていける可能性が高くなります。

調剤薬局のM&Aが成立した後のことを見据える

M&Aが成功したと言えるのは、買い手と売り手双方にとってメリットがある結果になった場合です。つまり、双方の企業価値が向上したということになるでしょう。企業価値の向上というと難しそうに聞こえますが、売上や利益を拡大させることによって、従業員や関係者に還元していくことを意味します。

そうするためには、M&Aが成立してから早い段階でお互いの強みを発揮し、弱みを補完できることが重要なポイントになります。調剤薬局のM&Aが成立した後のことを見据えることも、企業価値の向上を図るためにはとても重要だと言えるでしょう。

この理由は、買い手と売り手の両方が持つ強みや弱みを知った上でM&Aを進めていった方が、売上拡大のためのより具体的な改善策などを生み出せるためです。これは、PMI(Post Merger Integration)と呼ばれている、M&A後の統合効果を最大化させるための統合プロセスにおいて発揮されます。調剤薬局業界のM&Aを成功させるためにはこのPMIが重要になります。

ポイント総括

調剤薬局業界のM&Aを成功裏に進めるためには、この2つのポイントを押さえておく必要があります。調剤薬局はドクターとの関係が円滑に進まなければ後継者が見つかったとしても、後々苦しい状況になってしまう可能性もあります。

そのため、ドクターが不安を感じないように準備を進めていき、M&A前と同じようにドクターと調剤薬局の二人三脚で地域医療に貢献し続けられるような努力をしなければならないのです。そして、調剤薬局のM&Aが成立した後のことを見据えてM&Aを進めることによって、ドクターにも将来に関する説明もしやすくなります。

まとめ

調剤薬局業界は、薬剤師不足や後継者問題で悩むというケースが多くなっています。親族内承継によって後継者をすぐに確保できれば問題はありませんが、親族はいたとしても跡を継ぐ気がないというケースも多く、年々後継者確保が難しくなっているという現状があります。

このような状況下で、廃業をしなければいけない調剤薬局があることも事実です。しかし、地域に密着した事業を行っている調剤薬局の廃業は、その周辺に暮らす人々にとってマイナスな影響を与えることになってしまいます。

そのため、調剤薬局業界のM&Aが積極的に行われるようになってきました。今回ご紹介した事例にもあるように、調剤薬局業界のM&Aで成功したというケースが多くなっています。

それぞれの目的に合ったM&Aを行うことによって、調剤薬局業界が抱えている様々な問題の解決にも役立つことになるでしょう。調剤薬局業界のM&Aを成功裏に進めるために知っておきたいポイントを把握しておけば、調剤薬局のM&Aを成功へとつなげやすくなるので、ぜひこちらを参考にしてM&Aを検討されてみてはいかがでしょうか。

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